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昌原市(チャンウォンシ、창원시)は慶尚南道の南東部に位置する地域。本ページでは昌原市の料理、特産品について解説する。

昌原コンベンションセンター

地域概要

昌原市は慶尚南道の南東部に位置する地域。市の北東部は慶尚南道密陽市、東部は慶尚北道金海市、南東部は広域市の釜山市、南西部は慶尚南道固城郡、西部は慶尚南道晋州市、北西部は慶尚南道咸安郡と接し、南部は南海岸に面する。人口は102万1487人で、慶尚南道ではもっとも多く、韓国の基礎地方自治団体としては京畿道水原市高陽市龍仁市に次いで4番目に多い。(2022年12月)[1]

  • 馬山市と鎮海市の合併
2010年7月に馬山市(マサンシ、마산시)と鎮海市(チネシ、진해시)が合併し、旧・馬山市は馬山会原区(マサンフェウォング、마산회원구)と馬山合浦区(マサンハッポグ、마산합포구)に、旧・鎮海市は鎮海区(チネグ、진해구)となった。

食文化の背景

 
馬山アグチム通り入口の看板

市西部の馬山合浦区(マサンハッポグ、마산합포구)地区は、古くからの名漁港として知られ、水産市場の「馬山魚市場(마산어시장)」が有名である。近隣の午東洞(オドンドン、오동동)地区は、アグチム(アンコウの蒸し煮/아구찜)の発祥地で、専門店の立ち並ぶ一角を「馬山アグチム通り(마산명물아구찜거리)」と呼ぶ。また、同じく午東洞にはフグ(북어)料理の専門店が集まる一画もあり、こちらは「馬山フグ料理通り(마산복요리거리)」と呼ばれ、ポゴフェ(フグの刺身、복어회)、ポックッ(フグのスープ/복국)や、ポップルコギ(フグの炒め焼き/복불고기)などを味わえる。義昌区(ウィチャング、의창구)地区はソクセプルコギ(牛肉の網焼き/석쇠불고기)が名物料理であり、鎮海区(チネグ、진해구)地区はテグポルチム(マダラの頭の蒸し煮/대구뽈찜)などのマダラ(대구)料理が有名である。

代表的な料理

 
コンアグチム(乾燥アンコウの蒸し煮)

アグチム(アンコウの蒸し煮/아구찜)

アグチム(아구찜)は、アンコウの蒸し煮(「アグチム(アンコウの蒸し煮/아구찜)」の項目も参照)。かつて韓国ではアンコウの利用が盛んではなかったが、1960年代半ばに午東洞(オドンドン、오동동)地区の飲食店「チンチャチョガチプ(진짜초가집)」で、干したアンコウをセリや豆モヤシと辛いタレで蒸し煮にしたアグチムが開発され、これが定着して全国区の料理になった。現在では生のアンコウをぶつ切りにして用いるのが主流だが、馬山地区の専門店では現在も生アンコウと乾燥アンコウを選んで注文できる。馬山合浦区(マサンハッポグ、마산합포구)の午東洞に「馬山アグチム通り(마산명물아구찜거리)」がある。

ポックッ(フグのスープ/복국)

 
トラフグのポックッ
ポックッ(복국)は、フグのスープ(「ポックッ(フグのスープ/복국)」の項目も参照)。馬山合浦区(マサンハッポグ、마산합포구)の午東洞に「馬山フグ料理通り(마산복요리거리)」がある。トラフグ(자주복)、シマフグ(까치복)、シロサバフグ(은복은밀복)などのフグを、セリや豆モヤシとともに、ニンニクを効かせたスープで味わう。1899年の馬山港(マサンハン、마산항)開港以降、馬山地区には多くの日本人が移り住み、フグは高級魚として人気があった。当初は日本人相手の商売だったが、そのまま地元に根付いて郷土料理になった。

ソクセプルコギ(牛肉の網焼き/석쇠불고기)

ソクセプルコギ(석쇠불고기)は、牛肉の網焼き(「ソクセプルコギ(牛肉の網焼き/석쇠불고기)」の項目も参照)。義昌区(ウィチャング、의창구)地区の名物料理として知られ、1970年代に南海高速道路を建設する際、作業員たちがスタミナ補給のために好んで食べて有名になった。ソクセプルコギでひとしきり焼酎を飲んだ後、ソクッパプ(牛肉のクッパ/소국밥)でシメるのが定番の流れとなっている。

テグポルチム(マダラの頭の蒸し煮/대구뽈찜)

テグポルチム(대구뽈찜)は、マダラの頭の蒸し煮(「テグポルチム(マダラの頭の蒸し煮/대구뽈찜)」の項目も参照)。鎮海区(チネグ、진해구)地区はマダラ(대구)の名産地であり、専門店ではテグフェ(マダラの刺身、대구회)、テグタン(マダラ(真鱈)の鍋/대구탕)、テグメウンタン(マダラの辛い鍋、대구매운탕)などの料理も味わえる。

ミドドクトッパプ(エボヤのビビンバ/미더덕덮밥)

ミドドクトッパプ(미더덕덮밥)は、エボヤのビビンバ。生のエボヤから内臓を取り、よく叩いたものをごはんの上に載せ、とびこ(날치알)や、揉み海苔、ゴマなどを振って混ぜて味わう。ミドドク(エボヤ、미더덕)は馬山合浦区(マサンハッポグ、마산합포구)地区の名産であり、専門店ではミドドクフェ(エボヤの刺身、미더덕회)、生のエボヤを生野菜と和えたミドドクムチム(エボヤの和え物、미더덕무침)などの料理を味わえる。

代表的な特産品

 
スーパーで売られている蒙古醤油

蒙古醤油(몽고간장)

蒙古醤油(モンゴガンジャン、몽고간장)は、義昌区八龍洞(ウィチャング パリョンドン、의창구 팔용동)に本社を置く「蒙古食品株式会社(몽고식품주식회사)」が生産する醤油のブランド。蒙古食品は1905年に日本人の山田信助氏が設立した「山田醤油醸造場(야마다장유양조장)」を前身とし、1945年に工場長であった金洪求(キム・ホング、김홍구)氏が引き継いで、翌1946年に「蒙古醤油醸造場社(몽고장유양조장)」と社名を変更した[2]。韓国の食品企業としてはもっとも歴史が古く、企業全体でも斗山、新韓銀行、同和薬品、ウリ銀行に次いで5番目に古い。社名の由来は近隣の井戸「蒙古井(몽고정)」にちなみ、13世紀に元の軍勢がこの地域に駐屯し、飲用水として用いたとの逸話がある[3]
蒙古食品と蒙古醤油
1971年に金洪求氏が死去すると、同社の馬山工場を長男のキム・マンシク(김만식)氏が、京畿道富川市の富川工場を次男のキム・ボクシク(김복식)氏が引き継いで別々に経営を行うようになった。以後、現在に至るまで蒙古醤油(몽고간장)のブランドは、長男経営の「蒙古食品(몽고식품)」と、次男経営の「蒙古醤油(몽고장유)」の2社が共同で使用している。「蒙古醤油」は現在、京畿道華城市に本社を置く。

昌原甘柿(창원단감)

昌原甘柿(チャンウォンダンガム、창원단감)は、昌原市で生産される甘柿(단감)。隣接する金海市の進永甘柿(チニョンダンガム、진영단감)や、晋州市の晋州甘柿(チンジュダンガム、진주단감)などとともに一帯の名産品として知られる。甘柿の生産量は慶尚南道全体で7万2131トン(2021年)にのぼり、全国の72.2%を占めて1位である[4]

代表的な酒類・飲料

  • ピパチャ(ビワ茶/비파차)鎮海区
  • チョウンデイ(チョウンデイ/좋은데이)馬山会原区鳳岩洞

飲食店情報

以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。

  • クァンポポクチプ(광포복집)
住所:慶尚南道昌原市馬山合浦区午東洞10キル8(午東洞251-158)
住所:경상남도 창원시 마산합포구 오동동10길 8(오동동 251-158)
電話:055-242-3308
料理:フグ料理、ポックッ(フグのスープ)
  • ナムソン食堂(남성식당)
住所:慶尚南道昌原市馬山合浦区午東洞10キル3(午東洞251-8)
住所:경상남도 창원시 마산합포구 오동동10길 3(오동동 251-8)
電話:055-246-1856
料理:フグ料理、ポックッ(フグのスープ)
  • オドンドンアグハルメチプ(오동동아구할매집)
住所:慶尚南道昌原市馬山合浦区アグチムキル13(東城洞48-2)
住所:경상남도 창원시 마산합포구 아구찜길 13(동성동 48-2)
電話:055-246-3075
料理:アグチム(アンコウの蒸し煮)
  • 元祖板門店食堂(원조판문점식당)
住所:慶尚南道昌原市義昌区上南路240(新月洞6-6)
住所:경상남도 창원시 의창구 상남로 240(신월동 6-6)
電話:055-287-5514
料理:ソクセプルコギ(牛肉の網焼き)
  • 臨津閣食堂(임진각식당)
住所:慶尚南道昌原市義昌区八龍路515(八龍洞198-19)
住所:경상남도 창원시 의창구 팔용로 515(팔용동 198-19)
電話:055-256-3535
料理:ソクセプルコギ(牛肉の網焼き)

エピソード

脚注

  1. 주민등록 인구 및 세대현황 、行政安全部ウェブサイト、2023年1月12日閲覧
  2. 몽고식품 회사소개/연혁 、蒙古食品ウェブサイト、2023年8月29日閲覧
  3. 몽고식품 회사소개/몽고식품 기업소개 、蒙古食品ウェブサイト、2023年8月29日閲覧
  4. 통계청,「농작물생산조사」, 2022, 2023.08.30, 과실생산량(성과수+미과수) 、統計庁(KOSIS)ウェブサイト、2023年8月29日閲覧

外部リンク

関連サイト
制作者関連サイト

関連項目