カルビグイ(牛カルビ焼き/갈비구이)
ナビゲーションに移動
検索に移動
この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。掲載されている情報によって被った損害、損失に対して一切の責任を負いません。また、内容は随時修正されます。 |
カルビグイ(갈비구이)は、牛カルビ焼き。
概要
カルビグイ(갈비구이)は、牛カルビ焼き。カルビ(갈비)は肋骨、およびそのまわりの肉のこと。グイ(=クイ、구이)とは焼き物の総称。焼肉店ではクイを省略し、カルビと呼ぶことも多い。ソカルビ(소갈비)とも呼ぶ。肋骨まわりの肉を薄く切り広いて、網や鉄板などで焼いて味わう。下味をつけずにそのまま焼いたものをセンカルビ(生カルビ、생갈비)と呼び、甘い醤油ダレに漬け込んだものをヤンニョムカルビ(양념갈비)と呼ぶ。日本では骨を外したものもカルビと称するが、韓国では骨付きが前提であり、骨を外したものはカルビサル(骨なしの牛カルビ焼き/갈비살)と呼び分ける。牛焼肉の部位としては定番のひとつであり、カルビサル(骨なしの牛カルビ焼き/갈비살)、トゥンシム(牛ロースの焼肉/등심)、アンチャンサル(牛ハラミの焼肉/안창살)、チャドルバギ(薄切り牛バラ肉の焼肉/차돌박이)などともに、牛焼肉店のメニューに並ぶことが多い。なお、豚のカルビを焼いた料理はテジカルビ(豚カルビ焼き/돼지갈비)と呼ぶ。類似の料理には、トッカルビ(叩いた牛カルビ焼き/떡갈비)がある。
歴史
1930年代
- 趙豊衍の報告
- 1914年生まれの随筆家、趙豊衍(조풍연)によれば、1939年にソウル市鍾路区楽園洞(チョンノグ ナグォンドン)のネンミョン(冷麺/냉면)店でカルビグイを提供したのが外食における始まりだったという[1]。当時はネンミョン1杯が20銭であり、カルビグイも同じく1皿20銭であった。
種類
エルエイカルビ(LAカルビの焼肉/엘에이갈비)
- LAカルビ(엘에이갈비)は、牛カルビ焼きの一種(「エルエイカルビ(LAカルビの焼肉/엘에이갈비)」の項目も参照)。LAカルビグイ(엘에이갈비구이)とも呼ぶ。カルビグイと同じく甘い醤油ダレに漬けたのち、鉄板や網などで焼いて調理をする。一般的なカルビグイは肋骨に沿って包丁を入れて薄く切り開くのに対し、LAカルビは肋骨ごと断ち切ってカットするとの違いがある。後者はアメリカで「Flanken Style」と呼ばれ、LAはアメリカのロサンゼルスを意味するとの説と、「Lateral Axis(側面の軸)」の頭文字を取ったとの説がある。ロサンゼルス説の中でも、同地域に多く住む韓国移民らが「Flanken Style」の牛カルビ焼きをLAカルビと呼んだのが始まりとする説と、アメリカ牛を輸入する際にロサンゼルス在住の同胞らが親しんでいる牛カルビとの意味で名付けられたとの説に分けられる。同じくロサンゼルスのコリアンタウンで普及したスンドゥブチゲ(柔らかい豆腐の鍋/순두부찌개)の専門店では、サイドメニューとしてLAカルビを提供することが多い。
地域
- 京畿道水原市
- 京畿道水原市は、郷土料理としてカルビグイが有名であり、サイズが大きいことからワンガルビ(왕갈비、直訳では王カルビ)、または地名を冠して水原カルビ(수원갈비)、水原ワンガルビ(수원왕갈비)の名前でも広く知られる。水原カルビの特徴としては、骨の長さを10~15cm程度に大きく取ること、味付けに醤油を用いず天日塩をベースとした塩ダレに漬け込むことがあげられる。水原カルビの骨をいったん厨房に下げて、テンジャンチゲ(味噌鍋/된장찌개)を作るのも定番である。水原カルビの歴史や有名店については、「水原市の料理#カルビグイ(牛カルビ焼き/갈비구이)」を参照。
- 京畿道抱川市
- 京畿道抱川市の二東面場岩里(イドンミョン チャンアムニ、이동면 장암리)にカルビグイ専門店が集まっており、地名から二東カルビ(이동갈비)と呼ばれる。1960年代から専門店が増え始め、近隣の基地に服務する軍人らを対象としてボリュームたっぷりに提供するサービスで有名になった。周囲の山々を訪れる登山客や観光客からも人気が高い。一帯は「二東カルビ村(이동갈비촌)」と呼ばれる。
- 忠清南道礼山郡
- 釜山市
- 釜山市の海雲台区(ヘウンデグ、해운대구)はカルビグイが有名で、地名を冠して海雲台カルビ(해운대갈비)と呼ばれる。1964年に創業した「ヘウンデアムソカルビチプ(해운대암소갈비집)」が元祖店として知られ、創業者のユン・ソクホ(윤석호)氏は、牛カルビに無数の包丁目を入れて柔らかくするダイヤモンドカット(다이아몬드 컷팅)を考案したとされる。
- 慶尚南道金海市
- 慶尚南道金海市の進永邑(チニョンウプ、진영읍)にカルビグイの専門店が多く、地名を冠して進永カルビ(진영갈비)と呼ばれる。国道14号線の一部に含まれる金海大路(キメデロ、김해대로)沿い、または道路を挟んだ一帯に専門店が点在する。古くから金海市は畜産物の集散地であり、酒村面(チュチョンミョン、주촌면)などに屠畜場があったことから、カルビグイや、ティッコギ(豚端肉の焼肉/뒷고기)などの焼肉料理が発達したと語られる。進永カルビを掲げる専門店ではソガルビ(牛カルビ、소갈비)に加えて、テジカルビ(豚カルビ焼き/돼지갈비)を提供する店も多く、どちらも人気メニューとなっている。進永カルビは「金海9味(김해9미)」のひとつとして、金海3味に選定されている。
脚注
- ↑ 著:趙豊衍、訳:尹大辰, 1995, 『韓国の風俗 -いまは昔-』, 南雲堂, P30-31
外部リンク
- 制作者関連サイト
- 韓食生活(韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
- 八田靖史プロフィール(八田靖史のプロフィール)