「江華郡の料理」の版間の差分

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'''江華郡'''(カンファグン、강화군)は仁川広域市に位置する地域。本ページでは江華郡の料理、特産品について解説する。
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'''江華郡'''(カンファグン、강화군)は[[仁川市の料理|仁川市]]に属する地域。本ページでは江華郡の料理、特産品について解説する。
  
[[ファイル:15011901.JPG|thumb|400px|来蘇寺の大雄宝殿]]
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[[ファイル:15040901.JPG|thumb|400px|江華支石墓]]
  
 
== 地域概要 ==
 
== 地域概要 ==
江華郡は仁川市の北部に位置し、同じ仁川市の西区と甕津郡、京畿道の金浦市と接する。また、北部は川を挟んで北朝鮮の黄海北道開豊郡や、黄海南道白川郡、延安郡と向かい合う。人口は6万7118人(2015年1月)<ref>[http://www.ganghwa.incheon.kr/open_content/main/we_ganghwa/introduction/present_condition.jsp 강화군정보 일반현황] 、江華郡ウェブサイト、2015年4月4日閲覧</ref>。郡全体が西海岸に浮かぶ島嶼地域であり、韓国で5番目の面積を誇る江華島(강화도)をはじめ、喬桐島(교동도)、席毛島(석모도)といった15の島で構成されている。観光地としても人気が高く、古代から近現代に至るまで幅広い歴史遺産を残しているのが大きな特徴である。ユネスコの世界文化遺産にも指定された青銅器時代の支石墓群(高敞、和順、江華の支石墓群跡)や、神話上の始祖である檀君が天に祭祀を行った摩尼山(마니산)、高句麗時代の381年に創建されたとされる伝燈寺(전등사)、高麗時代の13世紀に臨時首都として使用された宮殿跡の高麗宮址(고려궁지)、朝鮮時代の19世紀後半に諸外国と対峙した防衛拠点の草芝鎮(초지진)など、各時代における歴史が縮図のように集まっている。ソウル(新村、弘大入口などの各バス停)から広域バスで約2時間の距離。
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江華郡は[[仁川市の料理|仁川市]]の一部であり、[[仁川市の料理|仁川市]]北部に位置し、同じ[[仁川市の料理|仁川市]]の西区と甕津郡、[[京畿道の料理|京畿道]]の[[金浦市の料理|金浦市]]と接する。また、北部は川を挟んで北朝鮮の黄海北道開豊郡や、黄海南道白川郡、延安郡と向かい合う。人口は6万7118人(2015年1月)<ref>[http://www.ganghwa.incheon.kr/open_content/main/we_ganghwa/introduction/present_condition.jsp 강화군정보 일반현황] 、江華郡ウェブサイト、2015年4月4日閲覧</ref>。郡全体が黄海に浮かぶ島嶼地域であり、韓国で5番目の面積を誇る江華島(강화도)をはじめ、喬桐島(교동도)、席毛島(석모도)といった15の島で構成されている。観光地としても人気が高く、古代から近現代に至るまで幅広い歴史遺産を残しているのが大きな特徴である。ユネスコの世界文化遺産にも指定された青銅器時代の支石墓群(高敞、和順、江華の支石墓群跡)や、神話上の始祖である檀君が天に祭祀を行った摩尼山(マニサン、마니산)、高句麗時代の381年に創建されたとされる伝燈寺(チョンドゥンサ、전등사)、高麗時代の13世紀に臨時首都として使用された宮殿跡の高麗宮址(コリョグンジ、고려궁지)、朝鮮時代の19世紀後半に諸外国と対峙した防衛拠点の草芝鎮(チョジジン、초지진)など、各時代における歴史がこの地域に凝縮している。ソウルからのアクセスは、新村、弘大入口などの各バス停から江華郡の市外バスターミナル「江華旅客自動車ターミナル」まで約2時間の距離。
  
 
== 食文化の背景 ==
 
== 食文化の背景 ==
島嶼地域という特性から漁業、養殖業が盛んに行われている。郡内では四季折々の魚介が食卓にのぼり、春はイイダコ([[주꾸미]])、メフグ([[황복]])、春から初夏にかけてはワタリガニ([[꽃게]])や、マナガツオ([[병어]])、ツマリエツ([[반지]], [[밴댕이]])、塩辛用のアキアミ([[젓새우]])、秋はコノシロ([[전어]])や、コウライエビ([[대하]])、冬はボラ([[숭어]])といった魚介が旬を迎える。また江華郡は漢江、臨津江、礼成江という3つの河川が流れ込む河口地域に位置するため、堆積地として肥沃な土壌を有することから、漁業のみならず農業が盛んに行われている。米([[쌀]])、サツマイモ([[고구마]])、カブ([[순무]])、ブドウ([[포도]])、高麗人参([[인삼]])、ヨモギ([[쑥]])といった特産品があり、これらを利用した加工品も多く作られている。食品以外では、花紋席(화문석)と呼ばれる花ござの生産が盛んである。
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島嶼地域という特性から漁業、養殖業が盛んに行われている。郡内では四季折々の魚介が食卓にのぼり、春はイイダコ([[주꾸미]])、メフグ([[황복]])、春から初夏にかけてはワタリガニ([[꽃게]])や、マナガツオ([[병어]])、ツマリエツ([[반지]], [[밴댕이]])、秋はコノシロ([[전어]])や、コウライエビ([[대하]])、冬はボラ([[숭어]])といった魚介が旬を迎える。塩辛用として使われるアキアミ([[젓새우]])は5~6月を中心に秋冬もとれる。また江華郡は漢江(ハンガン、한강)、臨津江(イムジンガン、임진강)、礼成江(イェソンガン、예성강)という3つの河川が流れ込む河口地域に位置するため、堆積地として肥沃な土壌を有することから、漁業のみならず農業も盛んに行われている。米([[쌀]])、サツマイモ([[고구마]])、カブ([[순무]])、ブドウ([[포도]])、高麗人参([[인삼]])、ヨモギ([[쑥]])といった特産品があり、これらを利用した加工品も多く作られている。食品以外では、花紋席(화문석)と呼ばれる花ござの生産が盛んである。
  
 
== 代表的な料理 ==
 
== 代表的な料理 ==
=== コッケタン(ワタリガニ鍋/꽃게탕) ===
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江華郡の料理には旬の魚介を使った料理が多い。また、高麗時代に臨時首都が置かれた経緯から、王に献上された料理との逸話を持つものもある。
[[ファイル:15011903.JPG|thumb|300px|パジラッチュク]]
 
:パジラッチュクはアサリ粥。地元でとれたアサリをむき身にして、米と一緒にゴマ油で炒め、水を加えてじっくり煮込んで作る。具にはアサリのほか、刻んだ野菜やキノコ、緑豆などを加え、店によっては高麗人参や、桑の葉などを加えて作ることもある。アサリの旬は春だが、専門店ではほぼ通年で味わえる。辺山面大項里に専門店が集まっている。
 
  
 
=== ペンデンイフェ(ツマリエツの刺身/밴댕이회) ===
 
=== ペンデンイフェ(ツマリエツの刺身/밴댕이회) ===
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[[ファイル:15040902.JPG|thumb|300px|ペンデンイフェムチム]]
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:ペンデンイフェ(밴댕이회)は、ツマリエツの刺身(「[[ペンデンイフェ(ツマリエツの刺身/밴댕이회)]]」の項目も参照)。ペンデンイ([[밴댕이]])の和名はサッパであるが、仁川・江華島地域では見た目のよく似たツマリエツ([[반지]])をペンデンイと呼んでいる。4~7月を最盛期とするが、最近は冬でも全羅南道から冷蔵品が直送されており、旬以外の時期でも見かけるようになった。[[ペンデンイフェ(ツマリエツの刺身/밴댕이회)|ペンデンイフェ]]は新鮮なものを刺身にしたものか、または刺身を生野菜とともに辛いタレで和えた[[フェムチム(刺身和え/회무침)]]でも味わう。[[フェムチム(刺身和え/회무침)|フェムチム]]の場合は丼ごはんが用意され、[[フェトッパプ(刺身丼/회덮밥)]]のように混ぜて食べることも多い。華道(ファド、화도)地区の後浦港(フポハン、후포항)には「船首ペンデンイ村(ソンスペンデンイマウル、선수밴댕이마을)」と呼ばれる地域があり、[[ペンデンイフェ(ツマリエツの刺身/밴댕이회)|ペンデンイフェ]]を中心とした刺身専門店が集まっている。
  
 
=== チャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이) ===
 
=== チャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이) ===
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:チャンオグイ([[장어구이]])は、ウナギ焼き(「[[チャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이)]]」の項目も参照)。江華島と[[金浦市の料理|金浦市]]を分かつ江華海峡(カンファヘヒョプ、강화해협)は、塩辛い川のようだという意味で塩河(ヨマ、염하)と呼ばれ、一帯では古くからウナギがよくとれた。近年は天然物の減少から漁獲量は激減しているが、それでも塩河沿いのトリミ(더리미)地区にはウナギ料理の専門店が集まっており、養殖、または天然環境で育てた養殖ウナギの[[チャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이)|チャンオグイ]]を味わうことができる。
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=== コッケタン(ワタリガニ鍋/꽃게탕) ===
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[[ファイル:15040903.JPG|thumb|300px|コッケタン]]
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:コッケタン([[꽃게탕]])は、ワタリガニ鍋(「[[コッケタン(ワタリガニ鍋/꽃게탕)]]」の項目も参照)。江華島沖はワタリガニの好漁場であり、4~6月には卵を持ったメスが西海岸の各漁港に水揚げされる。地元ではこの時期をいちばんの旬と考えるが、秋にももう1度旬があり、9月にはオスのワタリガニを、10~12月にはメスのワタリガニを味わう。内可面外浦里(ネガミョン ウェポリ、내가면 외포리)には[[コッケタン(ワタリガニ鍋/꽃게탕)|コッケタン]]や、[[カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)]]を提供するワタリガニ料理の専門店が集まっており、「外浦里ワタリガニ村(ウェポリ コッケマウル、외포리 꽃게마을)」と呼ばれる。
  
 
=== チョックッカルビ(豚カルビの塩辛鍋/젓국갈비) ===
 
=== チョックッカルビ(豚カルビの塩辛鍋/젓국갈비) ===
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:チョックッカルビ([[젓국갈비]])、は豚カルビの塩辛鍋。チョックッ([[젓국]])は塩辛の汁、カルビ([[갈비]])はあばら肉を意味する。ぶつ切りにした豚カルビを白菜、カボチャ、長ネギ、豆腐などとともに鍋で煮込む際、特産品であるアミの塩辛([[새우젓]])で味付けをするのが特徴である。料理の発祥として、高麗時代に臨時の都となった際、王に献上するための料理として開発されたと語られることがある。ただし、それを裏付ける史料はなく、あくまでも俗説のひとつと言わざるをえない。
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=== ファンボクフェ(メフグの刺身/황복회) ===
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:ファンボクフェ([[황복회]])は、メフグの刺身。ファンボク([[황복]])がメフグ、フェ([[회]])は刺身の意(「[[センソンフェ(刺身/생선회)]]」の項目も参照)。春を旬とするが、近年は漁獲量が減っている。倉後里(チャンフリ、창후리)に専門店が集まっている。
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=== スンムキムチ(カブのキムチ/순무김치) ===
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:スンムキムチ([[순무김치]])は、カブのキムチ。スンム([[순무]])がカブを意味する。カブを大きめの角切りにし、[[カクトゥギ(大根の角切りキムチ/깍두기)]]のように漬け込む。韓国ではあまりカブを食べる習慣がなく、カブのキムチといえば江華郡を連想するほど珍しい存在である。大根の[[カクトゥギ(大根の角切りキムチ/깍두기)|カクトゥギ]]に比べて食感がしんなりとしており、カブの風味が活きているのが特徴である。
  
=== スンムギムチ(カブのキムチ/순무김치) ===
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=== 喬桐島の料理 ===
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:喬桐島(キョドンド、교동도)は、[[仁川市の料理|仁川市]]江華郡に属する島。江華島の北西部に位置し、2014年7月に開通した喬桐大橋にて結ばれている。島の北部と西部は海を挟んで[[北朝鮮の料理|北朝鮮]]と向かい合っており、対岸までもっとも近いところで2.6kmしか離れていない。対岸地域であるかつての黄海道延白郡(ファンヘド ヨンベックン、황해도 연백군、現在の黄海南道延安郡、白川郡)から、朝鮮戦争時に避難してきた人たちが多く住んでおり、黄海道式の[[ネンミョン(冷麺/냉면)]]を提供する飲食店があったり、旧正月には鶏肉を具とする黄海道式の[[マンドゥクッ(餃子スープ/만두국)]]を作って食べるなどの食文化が残る。島の中心地域である大龍市場(テリョンシジャン、대룡시장)は観光客からの人気が高く、日本統治時代に祭祀餅の代替として作られたカンアジトク(大福餅、[[강아지떡]])や、伝統菓子のトゥルケカンジョン(エゴマおこし、[[들깨강정]])、昔ながらの喫茶店([[다방]])で提供される[[サンファチャ(双和茶/쌍화차)]]などが名物として知られる。
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:*カンアジトク(大福餅/강아지떡)喬桐面
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:*ネンミョン(冷麺/냉면)喬桐面
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:*サンファチャ(双和茶/쌍화차)喬桐面
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:*トゥルケカンジョン(エゴマおこし/들깨강정)喬桐面
  
 
== 代表的な特産品 ==
 
== 代表的な特産品 ==
内陸部では米や野菜の栽培が盛んで、ジャガイモやスイカなどがよくとれる。海岸部では名産のアサリを中心とした貝類のほか、コムソ地区で作られる天日塩や塩辛も有名である。古くから養蚕事業で栄えたため郡内には桑畑が多く、桑の実や桑の葉を料理に使用している。
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島嶼地域であることから魚介類が豊富であり、また農業も盛んに行われている。高麗人参の産地として知られるほか、獅子足ヨモギ([[사자발쑥]])と呼ばれる薬用ヨモギの栽培も盛んであるなど、漢方材の生産地という側面もある。
  
 
=== 高麗人参 ===
 
=== 高麗人参 ===
[[ファイル:15011905.JPG|thumb|300px|アサリ漁の様子]]
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[[ファイル:15040904.JPG|thumb|300px|江華高麗人参センター]]
:扶安郡の海岸部は広大な干潟が続いており、良質のアサリを多く産する。アサリは代表的な料理であるパジラッチュク(アサリ粥、바지락죽)のほか、パジラッカルグクス(アサリうどん、바지락칼국수)や、ゆがいたむき身を生野菜と和えたパジラクフェムチム(アサリの刺身和え、바지락회무침)、またそれをビビンバに仕立てたパジラクフェピビムパプ(アサリのビビンバ、바지락회비빔밥)といった料理に用いる。
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:江華郡は高麗人参の名産地であり、その経緯を江華郡のウェブサイトでは、「朝鮮戦争が起こると高麗人参の本拠地である開城の人たちがここに避難し、1953年から本格的に栽培が行われた」(原文1)<ref>[http://www.ganghwa.incheon.kr/open_content/tour/special_product/goods/ginseng.jsp 특산물 강화인삼] 、江華郡ウェブサイト、2015年4月7日閲覧</ref>と説明している。現在も江華郡では高麗人参の栽培が盛んに行われており、また2010年頃からは田んぼを再利用しての栽培も始まっている。もともと高麗人参栽培は畑作が中心であるが、土地の栄養を吸い尽くしてしまうため連作ができないとの特性があり、農地の確保が難しかった。田んぼでの栽培はまだ技術的に難しい部分も残るが、農地拡充の可能性を広げるため江華郡でも盛んに技術が研究されている。また、江華高麗人参農協では外部へのPRを目的として、観光客向けに高麗人参堀りの体験プログラムなども実施している(八田靖史の取材記録より、2015年3月30日)。
 
 
=== アミの塩辛 ===
 
[[ファイル:15011906.JPG|thumb|300px|コムソ地区の塩田]]
 
:開岩竹塩は扶安郡で生産される焼き塩の一種。竹塩の生産はもともと寺の僧たちに民間療法として受け継がれてきた技法とされ、開岩竹塩は1990年代になって開岩寺(ケアムサ、개암사)から民間へと伝えられた。開岩竹塩の製造技術は全羅北道無形文化財第23号に指定されているが、その技能保有者も開岩寺のヒョサン住職である。
 
  
*開岩竹塩の製造方法
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:【原文1】한국전쟁이 터지자 인삼의 본거지인 개성사람들이 이곳에 피난와 1953년부터 본격 재배가 이루어 졌다.
:開岩寺のウェブサイトでは開岩竹塩の製造方法を以下のように説明している。
 
  
:「開岩竹塩は清浄海域である国立公園辺山半島のコムソ塩田で生産されたミネラル豊富な天日塩を3年以上育った竹筒の中に入れ、黄土だんごで栓をした後、松の木の薪だけを燃料として使い、高温で焼き上げることを8度繰り返し、最後の9回目は薪に松脂をばらまいて加熱温度をよりいっそう高めることで塩が溶けて流れる、といった丁寧な過程を経、ていわゆる『紫色の宝物のような塩』が誕生することになる」(原文1)<ref>[http://www.gaeamsa.org/maha/mall/mall_02.html 개암죽염 유래] 、開岩寺ウェブサイト、2015年1月21日閲覧</ref>
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*江華高麗人参センター
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:江華郡庁や江華市外バスターミナルからほど近い中心部の江華邑甲串里(カンファウプ カプコンニ、강화읍 갑곳리)には、五日市場の江華風物市場(カンファプンムルシジャン、강화풍물시장)と並んで江華高麗人参センター(강화인삼센터)がある。交通の便利な場所であるため、江華島観光では人気のスポットとなっており、生の高麗人参をはじめ、蜂蜜漬けや韓方茶、菓子などの高麗人参製品も購入できる。なお、生の高麗人参を日本に持ち込む場合は、丁寧に土を除いたうえで検疫を通す必要がある<ref>[http://www.kansyoku-life.com/2013/10/1632.html 韓国から生の高麗人参を持ち帰る方法(個人消費用)。] 、韓食生活、2015年4月9日閲覧</ref>
  
:【原文1】개암죽염은 청정해역인 국립공원 변산반도의 곰소염전에서 생산된 미네랄이 풍부한 천일염을 3년 이상 자란 대나무 통 속에 넣고 황토 경단으로 마개를 한 뒤 소나무 장작만을 연료로 사용하여 고온으로 구워 내기를 8번 반복하고, 마지막 9번째는 소나무에 송진을 뿌려 가열 온도를 더욱 올리게 되면 소금이 녹아 흘러내리게 되는 정성스러운 과정을 거쳐 이른바 "자색보물소금"이 탄생하게 된다.
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=== アミの塩辛 ===
 
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:江華郡は韓国を代表するアミの塩辛(セウジョッ、[[새우젓]])の一大生産地である。江華島西部の外浦里(ウェポリ、외포리)には外浦港塩辛水産市場(ウェポハンチョッカルスサンシジャン、외포항젓갈수산시장)があり、毎年10月頃には「江華島アミの塩辛祭り(강화도새우젓축제)」が開催される。郡内の市場ではアミの塩辛を豊富に扱っており、5月に漬け込むオジョッ([[오젓]])、6月に漬け込むユッチョッ([[육젓]])、秋に漬け込むチュジョッ([[추젓]])、冬に漬け込むトンベッカジョッ([[동백하젓]])が代表的な分類である。これらはキムチを漬け込む際の調味用に使われるほか、茹で豚につけて食べたり、鍋料理の味付けにも利用する。
=== ヨモギ ===
 
  
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=== 獅子足ヨモギ ===
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:獅子足ヨモギ(사자발쑥)は江華郡で栽培されるヨモギのブランド名である。食用としてよりも薬用としての利用が多く、ヤクスッ(薬ヨモギ、약쑥)との呼び名でも広く浸透している。特産品としての歴史は古く、1530年に編纂された『新増東国輿地勝覧』を見ると、第12巻江華都護府の項目に特産品として「獅子足艾」との記載がある<ref>[http://db.itkc.or.kr/index.jsp?bizName=MK&url=/itkcdb/text/nodeViewIframe.jsp?bizName=MK&seojiId=kc_mk_g012&gunchaId=av012&muncheId=01&finId=002&NodeId=&setid=985199&Pos=2&TotalCount=3&searchUrl=ok 신증동국여지승람 제12권] 、韓国古典総合DB、2015年4月8日閲覧</ref>。郡内ではエキスを搾ったものを生薬として服用したり、または灸や、スッチム(ヨモギ蒸し)の素材としても利用される。石鹸や化粧品に利用することもあり、これらは土産物にもなっている。食用としての利用は少ないが、ヨモギ茶([[쑥차]])にしたり、または獅子足ヨモギを飼料として育てた韓牛([[한우]])を提供する飲食店もある。
  
 
== 代表的な酒類・飲料 ==
 
== 代表的な酒類・飲料 ==
 
=== 江華郡のマッコリ ===
 
=== 江華郡のマッコリ ===
:主要な銘柄にチャヌムルの「高香(고향)」、江華温水醸造場の「民族(민족)」がある。また、特産品を活かした高麗人参マッコリや、ヨモギマッコリなども市販されている。
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:主要な銘柄にチャヌムルの「高香(고향)」、江華温水醸造場の「民族(민족)」がある。また、特産品を活かした[[マッコリ(韓国式の濁酒/막걸리)|高麗人参マッコリ]]や、[[マッコリ(韓国式の濁酒/막걸리)|ヨモギマッコリ]]なども市販されている。
  
 
*江華温水醸造場(강화온수양조장)
 
*江華温水醸造場(강화온수양조장)
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[[ファイル:15040905.JPG|thumb|300px|江華温水醸造場]]
 
:仁川市江華郡吉祥面に位置する江華温水醸造場は1924年の創業(実際は1923年の創業で法的な登記が1924年)で、ソウル、京畿道地域においてはもっとも古い醸造場である。3代目の社長によれば「ソウル、京畿道地域で現在営業する醸造場の多くが、江華温水醸造場で必要な技術を学んでおり、その人数は3~400人になるだろう」とのことである(八田靖史の取材記録より、2015年3月30日)。醸造場の建物は築100年を超えるもので、建築的な価値も高いとされる。
 
:仁川市江華郡吉祥面に位置する江華温水醸造場は1924年の創業(実際は1923年の創業で法的な登記が1924年)で、ソウル、京畿道地域においてはもっとも古い醸造場である。3代目の社長によれば「ソウル、京畿道地域で現在営業する醸造場の多くが、江華温水醸造場で必要な技術を学んでおり、その人数は3~400人になるだろう」とのことである(八田靖史の取材記録より、2015年3月30日)。醸造場の建物は築100年を超えるもので、建築的な価値も高いとされる。
  
 
== 老舗 ==
 
== 老舗 ==
*仁川市江華郡江華邑に位置する「ウリオク(우리옥)」は1953年創業である。江華郡においてはもっとも古い飲食店であり、また仁川市内においても1945年創業の「平壌屋(평양옥)」に次いで2番目に古い。魚介料理を自慢とする定食店で、ハンシクペッパン(韓国料理定食、한식백반)と呼ばれる5000ウォンの基本定食に、好みでチゲや刺身などを追加するシステムを取っている。追加用の料理にはテグチゲ(タラの鍋、대구찌개)、ピョンオチゲ(マナガツオの鍋、병어찌개)、ピョンオフェ(マナガツオの刺身、병어회)、プルコギ(牛焼肉、불고기)などがある。
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[[ファイル:15040906.JPG|thumb|300px|1953年創業のウリオク]]
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*ウリオク(우리옥)
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:江華邑(カンファウプ、강화읍)に位置する「ウリオク(우리옥)」は1953年創業である。江華郡においてはもっとも古い飲食店であり、また[[仁川市の料理|仁川市]]全体でも1945年創業の「平壌屋(평양옥)」に次いで2番目に古い。魚介料理を自慢とする定食店で、テグチゲ(マダラの鍋、[[대구찌개]])、ピョンオチゲ(マナガツオの鍋、[[병어찌개]])を得意とする。
 
:店名:ウリオク(우리옥)
 
:店名:ウリオク(우리옥)
 
:住所:仁川市江華郡江華邑南山キル12(新門里184)
 
:住所:仁川市江華郡江華邑南山キル12(新門里184)
:住所:인천시 강화군 강화읍 남산길 12
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:住所:인천시 강화군 강화읍 남산길 12(신문리 184)
 
:電話:032-934-2427
 
:電話:032-934-2427
  
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以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。
 
以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。
  
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;<江華島>
 
*江華島ヨモギ韓牛(강화섬약쑥한우)
 
*江華島ヨモギ韓牛(강화섬약쑥한우)
 
:住所:仁川市江華郡仙源面仙源寺址路32(新井里247-1)
 
:住所:仁川市江華郡仙源面仙源寺址路32(新井里247-1)
 
:住所:인천시 강화군 선원면 선원사지로 32(신정리 247-1)
 
:住所:인천시 강화군 선원면 선원사지로 32(신정리 247-1)
 
:電話:032-934-1212
 
:電話:032-934-1212
:料理:焼肉
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:料理:焼肉料理
  
 
*ソンチャンチプ(선창집)
 
*ソンチャンチプ(선창집)
72行目: 90行目:
 
:住所:인천시 강화군 선원면 해안동로 1199(신정리 320-3)
 
:住所:인천시 강화군 선원면 해안동로 1199(신정리 320-3)
 
:電話:032-933-7628
 
:電話:032-933-7628
:料理:チャンオグイ
+
:料理:[[チャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이)|チャンオグイ(ウナギ焼き)]]
  
 
*三郎城(삼랑성)
 
*三郎城(삼랑성)
78行目: 96行目:
 
:住所:인천시 강화군 길상면 전등사로 56(온수리 660)
 
:住所:인천시 강화군 길상면 전등사로 56(온수리 660)
 
:電話:032-937-0397
 
:電話:032-937-0397
:料理:ポリパプ(麦飯定食)
+
:料理:[[ポリパプ(麦飯の定食/보리밥)|ポリパプ(麦飯の定食)]]
  
 
*ワンジャジョンムッパプ(왕자정묵밥)
 
*ワンジャジョンムッパプ(왕자정묵밥)
84行目: 102行目:
 
:住所:인천시 강화군 강화읍 북문길 55(관청리 750-7)
 
:住所:인천시 강화군 강화읍 북문길 55(관청리 750-7)
 
:電話:032-933-7807
 
:電話:032-933-7807
:料理:チョックッカルビ
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:料理:チョックッカルビ(豚カルビの塩辛鍋)
  
 
*ウリオク(우리옥)
 
*ウリオク(우리옥)
 
:住所:仁川市江華郡江華邑南山キル12(新門里184)
 
:住所:仁川市江華郡江華邑南山キル12(新門里184)
:住所:인천시 강화군 강화읍 남산길 12
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:住所:인천시 강화군 강화읍 남산길 12(신문리 184)
 
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:料理:ピョンオチゲ(マナガツオの鍋)
 
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:住所:인천시 강화군 내가면 중앙로 1200(외포리 385)
 
:住所:인천시 강화군 내가면 중앙로 1200(외포리 385)
 
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;<喬桐島>
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*宮殿茶房(궁전다방)
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:住所:仁川市江華郡喬桐面大龍アンキル54番キル21(大龍里457-12)
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*青春ブラボー(청춘부라보)
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:住所:仁川市江華郡喬桐面大龍アンキル54番キル32(大龍里516-8)
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:住所:인천시 강화군 교동면 대룡안길54번길 32(대룡리 516-8)
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:住所:인천시 강화군 교동면 대룡안길 36(대룡리 514-1)
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:電話:032-934-5102
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:料理:テハチョックッカルビ(コウライエビと豚カルビの塩辛鍋)
  
 
== エピソード ==
 
== エピソード ==
*韓食ペディアの執筆者である八田靖史は留学時代である2001年11月に語学堂の卒業旅行として初めて江華郡を訪れた。以後、2009年11月、2014年1月、2月、2015年3月の計5度訪問している。
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*韓食ペディアの執筆者である八田靖史は留学時代である2001年11月に語学堂の卒業旅行として初めて江華郡を訪れた。そのとき観光中にふざけていた八田靖史は城壁から落下しかけ、危ういところで命が助かるという衝撃的な事件があった。
*2001年11月の卒業旅行時、観光中にふざけていた八田靖史は城壁から落下しかけ、危ういところで命が助かるという衝撃的な事件があった。
 
  
 
== 脚注 ==
 
== 脚注 ==
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== 外部リンク ==
 
== 外部リンク ==
*[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活]
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;関連サイト
*[http://www.buan.go.kr/02tour/ 扶安郡文化観光(韓国語)]
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*[http://tour.ganghwa.incheon.kr/ 江華郡文化観光(韓国語)]
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;制作者関連サイト
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*[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活](韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
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*[http://www.kansyoku-life.com/profile 八田靖史プロフィール](八田靖史のプロフィール)
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*[https://itunes.apple.com/us/app/%E9%9F%93%E5%9B%BD%E8%AA%9E%E9%A3%9F%E3%81%AE%E5%A4%A7%E8%BE%9E%E5%85%B8/id1220010846?l=ja&ls=1&mt=8 韓国語食の大辞典アプリ版](八田靖史制作の韓国料理専門辞典)
  
 
== 関連項目 ==
 
== 関連項目 ==
*[[パジラッチュク(アサリ粥/바지락죽)]]
 
 
 
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*[[カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)]]
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*[[コッケタン(ワタリガニ鍋/꽃게탕)]]
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*[[ペンデンイフェ(ツマリエツの刺身/밴댕이회)]]
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2024年7月19日 (金) 08:19時点における最新版

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江華郡(カンファグン、강화군)は仁川市に属する地域。本ページでは江華郡の料理、特産品について解説する。

江華支石墓

地域概要

江華郡は仁川市の一部であり、仁川市北部に位置し、同じ仁川市の西区と甕津郡、京畿道金浦市と接する。また、北部は川を挟んで北朝鮮の黄海北道開豊郡や、黄海南道白川郡、延安郡と向かい合う。人口は6万7118人(2015年1月)[1]。郡全体が黄海に浮かぶ島嶼地域であり、韓国で5番目の面積を誇る江華島(강화도)をはじめ、喬桐島(교동도)、席毛島(석모도)といった15の島で構成されている。観光地としても人気が高く、古代から近現代に至るまで幅広い歴史遺産を残しているのが大きな特徴である。ユネスコの世界文化遺産にも指定された青銅器時代の支石墓群(高敞、和順、江華の支石墓群跡)や、神話上の始祖である檀君が天に祭祀を行った摩尼山(マニサン、마니산)、高句麗時代の381年に創建されたとされる伝燈寺(チョンドゥンサ、전등사)、高麗時代の13世紀に臨時首都として使用された宮殿跡の高麗宮址(コリョグンジ、고려궁지)、朝鮮時代の19世紀後半に諸外国と対峙した防衛拠点の草芝鎮(チョジジン、초지진)など、各時代における歴史がこの地域に凝縮している。ソウルからのアクセスは、新村、弘大入口などの各バス停から江華郡の市外バスターミナル「江華旅客自動車ターミナル」まで約2時間の距離。

食文化の背景

島嶼地域という特性から漁業、養殖業が盛んに行われている。郡内では四季折々の魚介が食卓にのぼり、春はイイダコ(주꾸미)、メフグ(황복)、春から初夏にかけてはワタリガニ(꽃게)や、マナガツオ(병어)、ツマリエツ(반지, 밴댕이)、秋はコノシロ(전어)や、コウライエビ(대하)、冬はボラ(숭어)といった魚介が旬を迎える。塩辛用として使われるアキアミ(젓새우)は5~6月を中心に秋冬もとれる。また江華郡は漢江(ハンガン、한강)、臨津江(イムジンガン、임진강)、礼成江(イェソンガン、예성강)という3つの河川が流れ込む河口地域に位置するため、堆積地として肥沃な土壌を有することから、漁業のみならず農業も盛んに行われている。米()、サツマイモ(고구마)、カブ(순무)、ブドウ(포도)、高麗人参(인삼)、ヨモギ()といった特産品があり、これらを利用した加工品も多く作られている。食品以外では、花紋席(화문석)と呼ばれる花ござの生産が盛んである。

代表的な料理

江華郡の料理には旬の魚介を使った料理が多い。また、高麗時代に臨時首都が置かれた経緯から、王に献上された料理との逸話を持つものもある。

ペンデンイフェ(ツマリエツの刺身/밴댕이회)

ペンデンイフェムチム
ペンデンイフェ(밴댕이회)は、ツマリエツの刺身(「ペンデンイフェ(ツマリエツの刺身/밴댕이회)」の項目も参照)。ペンデンイ(밴댕이)の和名はサッパであるが、仁川・江華島地域では見た目のよく似たツマリエツ(반지)をペンデンイと呼んでいる。4~7月を最盛期とするが、最近は冬でも全羅南道から冷蔵品が直送されており、旬以外の時期でも見かけるようになった。ペンデンイフェは新鮮なものを刺身にしたものか、または刺身を生野菜とともに辛いタレで和えたフェムチム(刺身和え/회무침)でも味わう。フェムチムの場合は丼ごはんが用意され、フェトッパプ(刺身丼/회덮밥)のように混ぜて食べることも多い。華道(ファド、화도)地区の後浦港(フポハン、후포항)には「船首ペンデンイ村(ソンスペンデンイマウル、선수밴댕이마을)」と呼ばれる地域があり、ペンデンイフェを中心とした刺身専門店が集まっている。

チャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이)

チャンオグイ(장어구이)は、ウナギ焼き(「チャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이)」の項目も参照)。江華島と金浦市を分かつ江華海峡(カンファヘヒョプ、강화해협)は、塩辛い川のようだという意味で塩河(ヨマ、염하)と呼ばれ、一帯では古くからウナギがよくとれた。近年は天然物の減少から漁獲量は激減しているが、それでも塩河沿いのトリミ(더리미)地区にはウナギ料理の専門店が集まっており、養殖、または天然環境で育てた養殖ウナギのチャンオグイを味わうことができる。

コッケタン(ワタリガニ鍋/꽃게탕)

コッケタン
コッケタン(꽃게탕)は、ワタリガニ鍋(「コッケタン(ワタリガニ鍋/꽃게탕)」の項目も参照)。江華島沖はワタリガニの好漁場であり、4~6月には卵を持ったメスが西海岸の各漁港に水揚げされる。地元ではこの時期をいちばんの旬と考えるが、秋にももう1度旬があり、9月にはオスのワタリガニを、10~12月にはメスのワタリガニを味わう。内可面外浦里(ネガミョン ウェポリ、내가면 외포리)にはコッケタンや、カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)を提供するワタリガニ料理の専門店が集まっており、「外浦里ワタリガニ村(ウェポリ コッケマウル、외포리 꽃게마을)」と呼ばれる。

チョックッカルビ(豚カルビの塩辛鍋/젓국갈비)

チョックッカルビ(젓국갈비)、は豚カルビの塩辛鍋。チョックッ(젓국)は塩辛の汁、カルビ(갈비)はあばら肉を意味する。ぶつ切りにした豚カルビを白菜、カボチャ、長ネギ、豆腐などとともに鍋で煮込む際、特産品であるアミの塩辛(새우젓)で味付けをするのが特徴である。料理の発祥として、高麗時代に臨時の都となった際、王に献上するための料理として開発されたと語られることがある。ただし、それを裏付ける史料はなく、あくまでも俗説のひとつと言わざるをえない。

ファンボクフェ(メフグの刺身/황복회)

ファンボクフェ(황복회)は、メフグの刺身。ファンボク(황복)がメフグ、フェ()は刺身の意(「センソンフェ(刺身/생선회)」の項目も参照)。春を旬とするが、近年は漁獲量が減っている。倉後里(チャンフリ、창후리)に専門店が集まっている。

スンムキムチ(カブのキムチ/순무김치)

スンムキムチ(순무김치)は、カブのキムチ。スンム(순무)がカブを意味する。カブを大きめの角切りにし、カクトゥギ(大根の角切りキムチ/깍두기)のように漬け込む。韓国ではあまりカブを食べる習慣がなく、カブのキムチといえば江華郡を連想するほど珍しい存在である。大根のカクトゥギに比べて食感がしんなりとしており、カブの風味が活きているのが特徴である。

喬桐島の料理

喬桐島(キョドンド、교동도)は、仁川市江華郡に属する島。江華島の北西部に位置し、2014年7月に開通した喬桐大橋にて結ばれている。島の北部と西部は海を挟んで北朝鮮と向かい合っており、対岸までもっとも近いところで2.6kmしか離れていない。対岸地域であるかつての黄海道延白郡(ファンヘド ヨンベックン、황해도 연백군、現在の黄海南道延安郡、白川郡)から、朝鮮戦争時に避難してきた人たちが多く住んでおり、黄海道式のネンミョン(冷麺/냉면)を提供する飲食店があったり、旧正月には鶏肉を具とする黄海道式のマンドゥクッ(餃子スープ/만두국)を作って食べるなどの食文化が残る。島の中心地域である大龍市場(テリョンシジャン、대룡시장)は観光客からの人気が高く、日本統治時代に祭祀餅の代替として作られたカンアジトク(大福餅、강아지떡)や、伝統菓子のトゥルケカンジョン(エゴマおこし、들깨강정)、昔ながらの喫茶店(다방)で提供されるサンファチャ(双和茶/쌍화차)などが名物として知られる。
  • カンアジトク(大福餅/강아지떡)喬桐面
  • ネンミョン(冷麺/냉면)喬桐面
  • サンファチャ(双和茶/쌍화차)喬桐面
  • トゥルケカンジョン(エゴマおこし/들깨강정)喬桐面

代表的な特産品

島嶼地域であることから魚介類が豊富であり、また農業も盛んに行われている。高麗人参の産地として知られるほか、獅子足ヨモギ(사자발쑥)と呼ばれる薬用ヨモギの栽培も盛んであるなど、漢方材の生産地という側面もある。

高麗人参

江華高麗人参センター
江華郡は高麗人参の名産地であり、その経緯を江華郡のウェブサイトでは、「朝鮮戦争が起こると高麗人参の本拠地である開城の人たちがここに避難し、1953年から本格的に栽培が行われた」(原文1)[2]と説明している。現在も江華郡では高麗人参の栽培が盛んに行われており、また2010年頃からは田んぼを再利用しての栽培も始まっている。もともと高麗人参栽培は畑作が中心であるが、土地の栄養を吸い尽くしてしまうため連作ができないとの特性があり、農地の確保が難しかった。田んぼでの栽培はまだ技術的に難しい部分も残るが、農地拡充の可能性を広げるため江華郡でも盛んに技術が研究されている。また、江華高麗人参農協では外部へのPRを目的として、観光客向けに高麗人参堀りの体験プログラムなども実施している(八田靖史の取材記録より、2015年3月30日)。
【原文1】한국전쟁이 터지자 인삼의 본거지인 개성사람들이 이곳에 피난와 1953년부터 본격 재배가 이루어 졌다.
  • 江華高麗人参センター
江華郡庁や江華市外バスターミナルからほど近い中心部の江華邑甲串里(カンファウプ カプコンニ、강화읍 갑곳리)には、五日市場の江華風物市場(カンファプンムルシジャン、강화풍물시장)と並んで江華高麗人参センター(강화인삼센터)がある。交通の便利な場所であるため、江華島観光では人気のスポットとなっており、生の高麗人参をはじめ、蜂蜜漬けや韓方茶、菓子などの高麗人参製品も購入できる。なお、生の高麗人参を日本に持ち込む場合は、丁寧に土を除いたうえで検疫を通す必要がある[3]

アミの塩辛

江華郡は韓国を代表するアミの塩辛(セウジョッ、새우젓)の一大生産地である。江華島西部の外浦里(ウェポリ、외포리)には外浦港塩辛水産市場(ウェポハンチョッカルスサンシジャン、외포항젓갈수산시장)があり、毎年10月頃には「江華島アミの塩辛祭り(강화도새우젓축제)」が開催される。郡内の市場ではアミの塩辛を豊富に扱っており、5月に漬け込むオジョッ(오젓)、6月に漬け込むユッチョッ(육젓)、秋に漬け込むチュジョッ(추젓)、冬に漬け込むトンベッカジョッ(동백하젓)が代表的な分類である。これらはキムチを漬け込む際の調味用に使われるほか、茹で豚につけて食べたり、鍋料理の味付けにも利用する。

獅子足ヨモギ

獅子足ヨモギ(사자발쑥)は江華郡で栽培されるヨモギのブランド名である。食用としてよりも薬用としての利用が多く、ヤクスッ(薬ヨモギ、약쑥)との呼び名でも広く浸透している。特産品としての歴史は古く、1530年に編纂された『新増東国輿地勝覧』を見ると、第12巻江華都護府の項目に特産品として「獅子足艾」との記載がある[4]。郡内ではエキスを搾ったものを生薬として服用したり、または灸や、スッチム(ヨモギ蒸し)の素材としても利用される。石鹸や化粧品に利用することもあり、これらは土産物にもなっている。食用としての利用は少ないが、ヨモギ茶(쑥차)にしたり、または獅子足ヨモギを飼料として育てた韓牛(한우)を提供する飲食店もある。

代表的な酒類・飲料

江華郡のマッコリ

主要な銘柄にチャヌムルの「高香(고향)」、江華温水醸造場の「民族(민족)」がある。また、特産品を活かした高麗人参マッコリや、ヨモギマッコリなども市販されている。
  • 江華温水醸造場(강화온수양조장)
江華温水醸造場
仁川市江華郡吉祥面に位置する江華温水醸造場は1924年の創業(実際は1923年の創業で法的な登記が1924年)で、ソウル、京畿道地域においてはもっとも古い醸造場である。3代目の社長によれば「ソウル、京畿道地域で現在営業する醸造場の多くが、江華温水醸造場で必要な技術を学んでおり、その人数は3~400人になるだろう」とのことである(八田靖史の取材記録より、2015年3月30日)。醸造場の建物は築100年を超えるもので、建築的な価値も高いとされる。

老舗

1953年創業のウリオク
  • ウリオク(우리옥)
江華邑(カンファウプ、강화읍)に位置する「ウリオク(우리옥)」は1953年創業である。江華郡においてはもっとも古い飲食店であり、また仁川市全体でも1945年創業の「平壌屋(평양옥)」に次いで2番目に古い。魚介料理を自慢とする定食店で、テグチゲ(マダラの鍋、대구찌개)、ピョンオチゲ(マナガツオの鍋、병어찌개)を得意とする。
店名:ウリオク(우리옥)
住所:仁川市江華郡江華邑南山キル12(新門里184)
住所:인천시 강화군 강화읍 남산길 12(신문리 184)
電話:032-934-2427

飲食店情報

以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。

<江華島>
  • 江華島ヨモギ韓牛(강화섬약쑥한우)
住所:仁川市江華郡仙源面仙源寺址路32(新井里247-1)
住所:인천시 강화군 선원면 선원사지로 32(신정리 247-1)
電話:032-934-1212
料理:焼肉料理
  • ソンチャンチプ(선창집)
住所:仁川市江華郡仙源面海岸東路1199(神井里320-3)
住所:인천시 강화군 선원면 해안동로 1199(신정리 320-3)
電話:032-933-7628
料理:チャンオグイ(ウナギ焼き)
  • 三郎城(삼랑성)
住所:仁川市江華群吉祥面伝燈寺路56(温水里660)
住所:인천시 강화군 길상면 전등사로 56(온수리 660)
電話:032-937-0397
料理:ポリパプ(麦飯の定食)
  • ワンジャジョンムッパプ(왕자정묵밥)
住所:仁川市江華郡江華邑北門キル55(官庁里750-7)
住所:인천시 강화군 강화읍 북문길 55(관청리 750-7)
電話:032-933-7807
料理:チョックッカルビ(豚カルビの塩辛鍋)
  • ウリオク(우리옥)
住所:仁川市江華郡江華邑南山キル12(新門里184)
住所:인천시 강화군 강화읍 남산길 12(신문리 184)
電話:032-934-2427
料理:ピョンオチゲ(マナガツオの鍋)
  • 忠南瑞山家(충남서산집)
住所:仁川市江華郡内可面中央路1200(外浦里385)
住所:인천시 강화군 내가면 중앙로 1200(외포리 385)
電話:032-933-8403
料理:コッケタン(ワタリガニ鍋)カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)
<喬桐島>
  • 宮殿茶房(궁전다방)
住所:仁川市江華郡喬桐面大龍アンキル36-1(大龍里508-2)
住所:인천시 강화군 교동면 대룡안길 36-1(대룡리 508-2)
電話:032-934-0078
料理:サンファチャ(双和茶)
  • テプン食堂(대풍식당)
住所:仁川市江華郡喬桐面大龍アンキル54番キル21(大龍里457-12)
住所:인천시 강화군 교동면 대룡안길54번길 21(대룡리 457-12)
電話:032-932-4030
料理:ネンミョン(冷麺)
  • 青春ブラボー(청춘부라보)
住所:仁川市江華郡喬桐面大龍アンキル54番キル32(大龍里516-8)
住所:인천시 강화군 교동면 대룡안길54번길 32(대룡리 516-8)
電話:032-933-8403
料理:カンアジトク(大福餅)、トゥルケカンジョン(エゴマおこし)
  • チョウォン食堂(초원식당)
住所:仁川市江華郡喬桐面大龍アンキル36(大龍里514-1)
住所:인천시 강화군 교동면 대룡안길 36(대룡리 514-1)
電話:032-934-5102
料理:テハチョックッカルビ(コウライエビと豚カルビの塩辛鍋)

エピソード

  • 韓食ペディアの執筆者である八田靖史は留学時代である2001年11月に語学堂の卒業旅行として初めて江華郡を訪れた。そのとき観光中にふざけていた八田靖史は城壁から落下しかけ、危ういところで命が助かるという衝撃的な事件があった。

脚注

  1. 강화군정보 일반현황 、江華郡ウェブサイト、2015年4月4日閲覧
  2. 특산물 강화인삼 、江華郡ウェブサイト、2015年4月7日閲覧
  3. 韓国から生の高麗人参を持ち帰る方法(個人消費用)。 、韓食生活、2015年4月9日閲覧
  4. 신증동국여지승람 제12권 、韓国古典総合DB、2015年4月8日閲覧

外部リンク

関連サイト
制作者関連サイト

関連項目