「チキン(韓国チキン/치킨)」の版間の差分
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:1960年代後半になると、養鶏や食用油の生産が盛んになり、丸鶏に塩、コショウなどをすり込み、小麦粉([[밀가루]])、または天ぷら粉([[튀김가루]])などの薄衣をつけてそのまま揚げた[[トンダク(丸鶏揚げ/통닭)]]が市場などで販売されるようになった。[[トンダク(丸鶏揚げ/통닭)]]は広義のチキンに含まれる料理として現在も人気が高く、フライドチキンや[[ヤンニョムチキン(辛口のフライドチキン/양념치킨)]]よりも歴史が古いことから、イェンナルトンダク(昔風の丸鶏揚げ、[[옛날통닭]])とも呼ばれる。 | :1960年代後半になると、養鶏や食用油の生産が盛んになり、丸鶏に塩、コショウなどをすり込み、小麦粉([[밀가루]])、または天ぷら粉([[튀김가루]])などの薄衣をつけてそのまま揚げた[[トンダク(丸鶏揚げ/통닭)]]が市場などで販売されるようになった。[[トンダク(丸鶏揚げ/통닭)]]は広義のチキンに含まれる料理として現在も人気が高く、フライドチキンや[[ヤンニョムチキン(辛口のフライドチキン/양념치킨)]]よりも歴史が古いことから、イェンナルトンダク(昔風の丸鶏揚げ、[[옛날통닭]])とも呼ばれる。 |
2024年7月21日 (日) 00:09時点における版
この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。掲載されている情報によって被った損害、損失に対して一切の責任を負いません。また、内容は随時修正されます。 |
チキン(치킨)は、韓国チキン。
概要
チキン(치킨)は本来鶏肉を意味するが、フライドチキン(후라이드치킨、프라이드치킨、후라이드)、オーブン焼きチキン(오븐치킨)、トンダク(丸鶏揚げ/통닭)、ヤンニョムチキン(辛口のフライドチキン/양념치킨)など、韓国におけるフライドチキンとその派生料理を含めた総称としても用いられる。丸鶏、またはぶつ切りの鶏肉に衣をつけて揚げたり、丸鶏をローストしたりして作る。韓国には大手フランチャイズのチキン専門店が多数あるほか、小規模な専門店や、市場でのテイクアウト店などが数多くある。ホプ(호프)と呼ばれるビール専門の居酒屋で提供されることも多い。韓国では国民食と呼ばれるほどに人気が高く、ビールとの組み合わせで宴席の主菜になるほか、日常の食事、間食、夜食などさまざまな場面で食べられる。
- チメク
- 定番の副菜
- チキンを食べる際の副菜として、チキンム(チキン大根、치킨무)と呼ばれる角切り大根の酢漬けが定番として添えられる。デリバリーの場合はパックに入ったチキンムが一緒についてくる。飲食店ではオーロラソースをかけた千切りキャベツも定番である。
歴史
チキンの歴史は諸説あり、どの時点を始まりとするかは語り手によって見解が大きく異なる。丸鶏料理の原形としてタッペクスク(丸鶏の水煮/닭백숙)などから紐解く場合があるほか、1459年頃(?)に書かれた料理書『山家要録(산가요록)』に掲載される「炮鶏(ポゲ、포계)」[1]という鶏肉を油で焼いた料理をルーツとする説や、朝鮮戦争(1950~53年)後に米軍基地などを通じてフライドチキンが入ってきたことを直接的な起源と考える説などがある。
文献上の記録
- 『山家要録』(1459年頃?)の記述
- 全循義(전순의)によって1459年頃(?)に書かれた料理書の『山家要録(산가요록)』には、「炮鶏(ポゲ、포계)」という鶏肉を油で焼いた料理の調理法が紹介されている。調理法は以下の通りである。
「肉付きのよい鶏1羽をぶつ切りにして24~25片にする。まず鍋に油を引いて熱したのち、鶏肉を入れて手早くひっくり返して炒める。醤油とゴマ油を小麦粉に混ぜてたれを作り、酢とともに提供する」(原文1)
【原文1】 肥鷄一隻 切作二十四五介 先於鍋內煉油 卽下肉 促手飜之 淸醬眞油 和眞末 作汁 和醋供之
1950年代
- 1953年7月27日に朝鮮戦争(1950~53年)の休戦協定が結ばれると、同10月1日には韓米相互防衛条約により韓国内で米軍が駐留するようになった。これをきっかけとして米軍基地の周辺では軍関係者向けの飲食店が増え、チキンをはじめするアメリカの食文化が伝わるきっかけとなった。基地から流出した食材を応用した料理も発達し、京畿道の議政府市や平沢市ではプデチゲ(ソーセージ鍋/부대찌개)が名物料理となった。
1960年代
- 1960年にソウル市の明洞(ミョンドン、명동)で創業した「栄養センター本店(영양센타 본점)」は、当時珍しかった電気オーブンを店頭に設置し、丸鶏を回転させながら焼くパフォーマンスで話題を集めた。同店は韓国におけるチキンの草分け店とされ、2009年8月に同じ明洞内で移転をしたものの、店頭の電気オーブンで焼くスタイルは現在も継続している。電気オーブンで焼いたチキンは、チョンギグイトンダク(丸鶏のオーブン焼き/전기구이통닭)と呼ばれる。
- 1960年代後半になると、養鶏や食用油の生産が盛んになり、丸鶏に塩、コショウなどをすり込み、小麦粉(밀가루)、または天ぷら粉(튀김가루)などの薄衣をつけてそのまま揚げたトンダク(丸鶏揚げ/통닭)が市場などで販売されるようになった。トンダク(丸鶏揚げ/통닭)は広義のチキンに含まれる料理として現在も人気が高く、フライドチキンやヤンニョムチキン(辛口のフライドチキン/양념치킨)よりも歴史が古いことから、イェンナルトンダク(昔風の丸鶏揚げ、옛날통닭)とも呼ばれる。
1970年代
- 1977年にソウル市の中区忠武路1街(チュング チュンムロイルガ、중구 충무로1가)にある「新世界百貨店本店(신세계백화점 본점)」で「リムスチキン(림스치킨)」が創業した。同店は韓国初の本格的なチキン専門フランチャイズとなった。
1980年代
- 1960~80年代にかけての高度経済成長は「漢江の奇跡」と呼ばれ、1980年に入ると韓国では世界的なスポーツイベントを誘致するに至った。1986年に仁川市でアジア競技大会、1988年にソウルオリンピックが開催されると、韓国内では海外の食文化へも関心が高まり、この時期を前後してトンカス(トンカツ/돈가스)や、オムライス(オムライス/오므라이스)などの軽洋食(경양식)が流行ったり、海外からファストフード店が進出してきたりした。1984年4月25日にはソウル市の鍾路区鍾路2街(チョンノグ チョンノイガ、종로구 종로2가)で「KFC(ケンタッキーフライドチキン)」の1号店がオープンした。
1990年代
- 1990年代後半の韓国はアジア通貨危機により経済的に苦しんだ時期で、会社を解雇された人たちが生活の糧を求めてチキンの専門店を始める例が増えた。
種類
代表的なものに以下の種類がある。
- フライドチキン(フライドチキン、후라이드치킨、프라이드치킨)
- ヤンニョムチキン(辛口のフライドチキン/양념치킨)
- カンジャンチキン(醤油味のフライドチキン、간장치킨)
- マヌルチキン(ニンニクチキン、마늘치킨)
- オーブンチキン(オーブン焼きチキン、오븐치킨)
- トンダク(丸鶏揚げ/통닭)
- チョンギグイトンダク(丸鶏のオーブン焼き/전기구이통닭)
- ヌルンジトンダク(おこげチキン/누룽지통닭)
- マヌルトンダク(ニンニクチキン/마늘통닭)
- タッカンジョン(鶏の蜜揚げ/닭강정)
脚注
- ↑ 포계 · 닭고기구이 、NAVER知識百科(다시 보고 배우는 산가요록)、2024年7月3日閲覧
外部リンク
- 制作者関連サイト
- 韓食生活(韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
- 八田靖史プロフィール(八田靖史のプロフィール)