「カクトゥギ(大根の角切りキムチ/깍두기)」の版間の差分

15行目: 15行目:
 
;『春香伝』(18世紀中ごろ?)の記述
 
;『春香伝』(18世紀中ごろ?)の記述
 
:韓国の代表的な説話『春香伝(춘향전)』にカクトゥギが登場している<ref>[http://www.davincimap.co.kr/davBase/Source/davSource.jsp?Job=Body&SourID=SOUR001003&Lang=%EF%BF%BD%D1%B1%EF%BF%BD&Page=2 열녀춘향수절가(烈女春香守節歌) 하] 、DAVINCI 지식지도、2017年11月24日閲覧</ref>。『春香伝』の成立時期は定かでないが、18世紀中ごろから後半にかけてと推測されている。
 
:韓国の代表的な説話『春香伝(춘향전)』にカクトゥギが登場している<ref>[http://www.davincimap.co.kr/davBase/Source/davSource.jsp?Job=Body&SourID=SOUR001003&Lang=%EF%BF%BD%D1%B1%EF%BF%BD&Page=2 열녀춘향수절가(烈女春香守節歌) 하] 、DAVINCI 지식지도、2017年11月24日閲覧</ref>。『春香伝』の成立時期は定かでないが、18世紀中ごろから後半にかけてと推測されている。
 +
 +
;『是議全書』(19世紀末)の記述
 +
:19世紀末に書かれた『是議全書』(原著者不詳)のキムチ([[김치]])という項目には、チョンム([[젓무]])という大根を用いたキムチの調理法が紹介されている。チョン(チョッ、[[젓]])は塩辛、ム([[무]])は大根を意味し、直訳をすれば大根の塩辛漬けになるが、材料に粉唐辛子や長ネギ、ニンニクが用いられており、大根を「真四角に切って(네모반듯하게 썰어)」との表現もあることから、カクトゥギの原型であるとされる。また、冒頭にはキュウリを使ったウェジョンム([[외젓무]])の作り方も付記されており、こちらはオイカクトゥギ(キュウリの角切りキムチ、[[오이깍두기]])の原型と考えられる。該当の記述は以下の通りである。
 +
 +
:「キュウリのチョンム(カクトゥギ)は、[[オイキムチ(キュウリのキムチ/오이김치)]]のように具を入れ、アミの塩辛([[새우젓]])は刻んで粉唐辛子と長ネギ、ニンニクも刻んで合わせ馴染ませる。白菜の内側部分は四等分に切り、大根はザクザクと真四角に切って、オイジ(キュウリ漬け、[[오이지]])も入れる。アミの塩辛は刻んでおき、長ネギとニンニクはすりばちでつぶし、粉唐辛子と混ぜてひとつの混ぜ合わせ、味を調えておく。チョンムは上に覆いをかけてこそよく漬かり味もよい」(原文2)
 +
 +
:【原文2】
 +
:외젓무는 외김치처럼 소를 넣고 새우젓은 다지고 고춧가루와 파 마늘도 다져서 합하여 익힌다. 배추속대는 4절로 썰고 무 도독도독 네모반듯하게 썰어 외지도 넣는다. 새우젓은 다져 넣고 파와 마늘은 절구에 찧어 고춧가루와 섞어 한데 버무려 간 맞추어 넣는다. 젓무는 위를 많이 덮어야 잘 익고 맛이 좋다.<ref>이효지 외(엮음), 2004,『시의전서』, 신광출판사, P173</ref>
 +
 +
;『朝鮮料理製法』(1921年)の記述
 +
:方信栄(방신영)によって1917年に初めて書かれ、その後も増補を重ねた『朝鮮料理製法(조선요리제법)』にはカクトゥギの調理法が紹介されている。カクトゥギという名前で文献に登場するのはこれが初めてである(目次では「깍둑이」、本文では「각뚝이」と表記されている。1921年の版で確認)<ref>方信栄, 1921, 『朝鮮料理製法』, 悦話堂, P3, 99-100</ref>。
 +
 +
;『朝鮮無双新式料理製法』(1930年)の記述
 +
:李用基(이용기)によって1924年に書かれた『朝鮮無双新式料理製法(조선무쌍신식요리제법)』にはカクトゥギ(表記は깍뚝이)、ウェカクトゥギ(キュウリの角切りキムチ、表記は외깍뚝이)、クルカクトゥギ(牡蠣を入れた大根の角切りキムチ、表記は굴깍뚝이)、ヘッカクトゥギ(初物の大根を使った角切りキムチ、表記は햇깍뚝이)、チェカクトゥギ(大根の千切りキムチ、表記は채깍뚝이)、スッカクトゥギ(茹でた大根の角切りキムチ、表記は숙깍뚝이)という6種類が掲載されている<ref>李用基, 1930, 『朝鮮無双新式料理製法』, 永昌書館, P103-105</ref>。
  
 
=== 逸話 ===
 
=== 逸話 ===
29行目: 43行目:
 
*エピソード
 
*エピソード
 
:韓食ペディアの執筆者である八田靖史は、2008年に公州カクトゥギにまつわる由来を知って、その壮大な歴史にいたく感銘を受け、メールマガジン「コリアうめーや!!第169号(公州の王女が作った新しいキムチ!!)」にて、一連の話をフィクションとしてまとめた<ref>[http://www.kansyoku-life.com/2000/02/2149.html 2017 공주깍두기축제’ 성황리에 열려] 、コリアうめーや!!第169号(公州の王女が作った新しいキムチ!!)、2017年11月23日閲覧</ref>。
 
:韓食ペディアの執筆者である八田靖史は、2008年に公州カクトゥギにまつわる由来を知って、その壮大な歴史にいたく感銘を受け、メールマガジン「コリアうめーや!!第169号(公州の王女が作った新しいキムチ!!)」にて、一連の話をフィクションとしてまとめた<ref>[http://www.kansyoku-life.com/2000/02/2149.html 2017 공주깍두기축제’ 성황리에 열려] 、コリアうめーや!!第169号(公州の王女が作った新しいキムチ!!)、2017年11月23日閲覧</ref>。
 
;『是議全書』(19世紀末)の記述
 
:19世紀末に書かれた『是議全書』(原著者不詳)のキムチ([[김치]])という項目には、チョンム([[젓무]])という大根を用いたキムチの調理法が紹介されている。チョン(チョッ、[[젓]])は塩辛、ム([[무]])は大根を意味し、直訳をすれば大根の塩辛漬けになるが、材料に粉唐辛子や長ネギ、ニンニクが用いられており、大根を「真四角に切って(네모반듯하게 썰어)」との表現もあることから、カクトゥギの原型であるとされる。また、冒頭にはキュウリを使ったウェジョンム([[외젓무]])の作り方も付記されており、こちらはオイカクトゥギ(キュウリの角切りキムチ、[[오이깍두기]])の原型と考えられる。該当の記述は以下の通りである。
 
 
:「キュウリのチョンム(カクトゥギ)は、[[オイキムチ(キュウリのキムチ/오이김치)]]のように具を入れ、アミの塩辛([[새우젓]])は刻んで粉唐辛子と長ネギ、ニンニクも刻んで合わせ馴染ませる。白菜の内側部分は四等分に切り、大根はザクザクと真四角に切って、オイジ(キュウリ漬け、[[오이지]])も入れる。アミの塩辛は刻んでおき、長ネギとニンニクはすりばちでつぶし、粉唐辛子と混ぜてひとつの混ぜ合わせ、味を調えておく。チョンムは上に覆いをかけてこそよく漬かり味もよい」(原文2)
 
 
:【原文2】
 
:외젓무는 외김치처럼 소를 넣고 새우젓은 다지고 고춧가루와 파 마늘도 다져서 합하여 익힌다. 배추속대는 4절로 썰고 무 도독도독 네모반듯하게 썰어 외지도 넣는다. 새우젓은 다져 넣고 파와 마늘은 절구에 찧어 고춧가루와 섞어 한데 버무려 간 맞추어 넣는다. 젓무는 위를 많이 덮어야 잘 익고 맛이 좋다.<ref>이효지 외(엮음), 2004,『시의전서』, 신광출판사, P173</ref>
 
 
;『朝鮮料理製法』(1921年)の記述
 
:方信栄(방신영)によって1917年に初めて書かれ、その後も増補を重ねた『朝鮮料理製法(조선요리제법)』にはカクトゥギの調理法が紹介されている。カクトゥギという名前で文献に登場するのはこれが初めてである(目次では「깍둑이」、本文では「각뚝이」と表記されている。1921年の版で確認)<ref>方信栄, 1921, 『朝鮮料理製法』, 悦話堂, P3, 99-100</ref>。
 
 
;『朝鮮無双新式料理製法』(1930年)の記述
 
:李用基(이용기)によって1924年に書かれた『朝鮮無双新式料理製法(조선무쌍신식요리제법)』にはカクトゥギ(表記は깍뚝이)、ウェカクトゥギ(キュウリの角切りキムチ、表記は외깍뚝이)、クルカクトゥギ(牡蠣を入れた大根の角切りキムチ、表記は굴깍뚝이)、ヘッカクトゥギ(初物の大根を使った角切りキムチ、表記は햇깍뚝이)、チェカクトゥギ(大根の千切りキムチ、表記は채깍뚝이)、スッカクトゥギ(茹でた大根の角切りキムチ、表記は숙깍뚝이)という6種類が掲載されている<ref>李用基, 1930, 『朝鮮無双新式料理製法』, 永昌書館, P103-105</ref>。
 
  
 
== 種類 ==
 
== 種類 ==
30,747

回編集