この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。掲載されている情報によって被った損害、損失に対して一切の責任を負いません。また、内容は随時修正されます。 |
原州市(ウォンジュシ、원주시)は江原道の南西部に位置する地域。本ページでは原州市の料理、特産品について解説する。
地域概要
原州市は江原道の南西部に位置する地域。市の北部は江原道の洪城郡と、東部は寧越郡、南部は忠清北道の堤川市と忠州市、西部は京畿道の驪州市と楊平郡と接する。人口は36万0807人で、江原道ではもっとも多い(2022年12月)[1]。
- 迷路芸術原州中央市場
- 迷路芸術原州中央市場(ミロイェスルウォンジュチュンアンシジャン、미로예술중앙시장)は、市中心部の中央洞(チュンアンドン、중앙동)に位置する伝統市場。原州中央市場が、2015年4月に文化観光型市場として選定されたことを機に、迷路のように入り組んだ路地と、芸術家たちの活動空間としての活用を掲げて名称を変更した。市場内には「牛肉通り(소고기골목)」という焼肉店の集まった一画がある。迷路芸術原州中央市場に隣接して、トレミ市場(도래미시장、旧原州中央市民伝統市場)と、自由市場(자유시장)もあり、一帯は巨大な商圏として賑わっている。
食文化の背景
原州市では代表料理として、クァンチャルサオンシミ(観察使すいとん、관찰사옹심이)、ウォンジュチュオタン(原州式ドジョウ汁、원주추어탕)、ウォンジュポンニプパプ(原州式クワの葉ごはん、원주뽕잎밥)、ウォンジュポクスンアプルコギ(原州桃の牛焼肉、원주복숭아불고기)の4種を選定している。そのほかにも、マリゴギ(牛肉のロール焼き、말이고기)や、雉岳山(チアクサン、치악산)の炭焼き窯で提供するサムギョプサル(豚バラ肉の焼肉/삼겹살)、原州中央市場(ウォンジュチュンアンシジャン、원주중앙시장)名物のキムチマンドゥ(キムチ餃子/김치만두)やソゴギスップルグイ(牛肉の炭火焼き、소고기숯불구이)などが地域の料理として有名である。雉岳山のファンコル(황골)地区では、トウモロコシと麦芽で作るファンコルヨッ(トウモロコシ飴、황골엿)を名産とする。
代表的な料理
原州代表料理
- 原州代表料理(원주대표음식)は、原州市が試食評価会やアンケート調査などをもとに選定した4種類の料理。2012年3月に、ウォンジュポンニプパプ(原州式クワの葉ごはん、원주뽕잎밥)、ウォンジュポクスンアプルコギ(原州桃の牛焼肉、원주복숭아불고기)の2種が選定されたのち、2019年11月にウォンジュチュオタン(原州式ドジョウ汁、원주추어탕)、2020年5月にクァンチャルサオンシミ(観察使すいとん、관찰사옹심이)が追加された[2][3][4]。
ウォンジュポンニプパプ(原州式のクワの葉ごはん/원주뽕잎밥)
- ウォンジュポンニプパプ(원주뽕잎밥)は、原州式のクワの葉ごはん。クワの若芽を加えて炊いたごはんに、薬味醤油をかけて味わう。
ウォンジュポクスンアプルコギ(雉岳山モモの牛焼肉/원주복숭아불고기)
- ウォンジュポクスンアプルコギ(원주복숭아불고기)は、名産である雉岳山モモ(치악산복숭아)の果汁に漬けて熟成させた牛焼肉(「プルコギ(牛焼肉/불고기)」の項目も参照)。
ウォンジュチュオタン(原州式ドジョウ汁/원주추어탕)
- ウォンジュチュオタン(원주추어탕)は、原州式のドジョウ汁(「チュオタン(ドジョウ汁/추어탕)」の項目も参照)。釜で煮ながら提供するスタイルが多く、味付けにコチュジャンを用いるのが特徴である。ドジョウ以外にも、セリ、ジャガイモ、シイタケ、エリンギなどを加えて具だくさんに作る。専門店では、ミクラジティギム(ドジョウの天ぷら/미꾸라지튀김)などもメニューに加える。
クァンチャルサオンシミ(観察使すいとん/관찰사옹심이)
- クァンチャルサオンシミ(관찰사옹심이)は、ジャガイモすいとん(「オンシミ(白玉のスープ/옹시미)」の項目も参照)。一般的にはカムジャオンシミ(감자옹심이)と呼ばれる。原州市には1395年から1895年まで江原監営(現在の道庁に相当)が置かれ、観察使(現在の道知事に相当)が地方行政を担った。原州市の歴史と関係の深い観察使にちなんで、名称をクァンチャルサオンシミとしている。
キムチマンドゥ(キムチ餃子/김치만두)
- キムチマンドゥ(김치만두)は、キムチ餃子(「キムチマンドゥ(キムチ餃子/김치만두)」の項目も参照)。一般的によく使用される古漬けのキムチではなく、浅漬けのキムチを用いて作るのが特徴とされる。中央洞(チュンアンドン、중앙동)のトレミ市場(도래미시장)内に専門店が集まっており、市場の名物として親しまれる。専門店ではキムチマンドゥを用いた、チンマンドゥ(蒸し餃子、찐만두)、トゥィギムマンドゥ(揚げ餃子、튀김만두)、カルマンドゥクッ(餃子入りうどん、칼만두국)などのメニューを提供する。
ソゴギスップルグイ(牛肉の炭火焼き/소고기숯불구이)
- ソゴギスップルグイ(소고기숯불구이)は、牛肉の炭火焼き。中央洞(チュンアンドン、중앙동)の迷路芸術原州中央市場(ミロイェスルウォンジュチュンアンシジャン、미로예술중앙시장)に専門店が集まっており、一画は「牛肉通り(소고기골목)」と呼ばれる。もともとは市場関係者らの御用達であり、アロンサテ(牛の後足のモモ肉、아롱사태)や、チェビチュリ(カルビの内側にある肉、제비추리)といった希少部位をリーズナブルに味わえるのが魅力である。
マリゴギ(牛肉のロール焼き/말이고기)
- マリゴギ(말이고기)は、牛肉のロール焼き。薄切りの牛肉でエゴマの葉(깻잎)、葉ネギ(쪽파)を巻き、鉄板で焼いて味わう。鶴城洞(ハクソンドン、학성동)に位置する1967年創業の老舗「パク・スルレソンマリゴギサンジョンチプ(박순례손말이고기산정집)」の名物料理として有名。
ファンコルヨッ(トウモロコシ飴/황골엿)
- ファンコルヨッ(황골엿)は、米、トウモロコシ、麦芽で作る伝統的な飴。所草面興陽里(ソチョミョン フンヤンニ、소초면 흥양리)のファンコル村(ファンコルマウル、황골마을)で古くから生産されてきた。同様に米、トウモロコシ、麦芽、麦麹を用いて造った伝統酒をファンコルヨッスル(トウモロコシ酒/황골엿술)と呼ぶ。
代表的な特産品
雉岳山モモ(치악산복숭아)
- 雉岳山(チアクサン、치악산)で栽培されるモモ(복숭아)。農林畜産食品部が地域の名産品を認証する地理的表示農産物の第63号として登録されている[5]。
炭(참숯)
- 雉岳山(チアクサン、치악산)には炭焼き窯があり、主にアベマキ(굴참나무)の木を1週間かけて焼き上げる。最大で1300度まで上がる窯は、炭を取り出した後、次の火入れまでチムジルバン(サウナ、찜질방)として利用される。炭焼き窯に併設された飲食店では、自慢の炭を利用したサムギョプサル(豚バラ肉の焼肉/삼겹살)や、チムジルバンの定番料理であるミヨックッ(ワカメスープ/미역국)などの料理を味わえる。
代表的な酒類・飲料
ファンコルヨッスル(トウモロコシ酒/황골엿술)
- ファンコルヨッスル(황골엿술)は、米、トウモロコシ、麦麹、麦芽、麦麹を用いて造る伝統酒。所草面興陽里(ソチョミョン フンヤンニ、소초면 흥양리)のファンコル村(ファンコルマウル、황골마을)で、ファンコルヨッ(トウモロコシ飴/황골엿)とともに生産されてきた。
飲食店情報
以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。
- セビョクチプ(새벽집)
- 住所:江原道原州市中央市場キル6(中央洞60-60)
- 住所:강원도 원주시 중앙시장길 6(중앙동 60-60)
- 電話:033-745-8687
- 料理:ソゴギスップルグイ(牛肉の炭火焼き)
- 原州キムチマンドゥ中央店(원주김치만두 중앙점)
- 住所:江原道原州市中央市場キル35、38号(中央洞46)
- 住所:강원도 원주시 중앙시장길 35, 38호(중앙동 46)
- 電話:033-745-3848
- 料理:キムチマンドゥ(キムチ餃子)
- 原州福チュオタン(원주복추어탕)
- 住所:江原道原州市雉岳路1748(開運洞406-13)
- 住所:강원도 원주시 치악로 1748(개운동 406-13)
- 電話:033-762-7989
- 料理:チュオタン(ドジョウ汁)
- イロチプ(일호집)
- 住所:江原道原州市中央市場キル6(中央洞62-65)
- 住所:강원도 원주시 중앙시장길 6(중앙동 62-65)
- 電話:033-742-3258
- 料理:ソゴギスップルグイ(牛肉の炭火焼き)
- 雉岳山チャムスッカマ(치악산 참숯가마)
- 住所:江原道原州市所草面下黄コルキル45-19(興陽里1036-6)
- 住所:강원도 원주시 소초면 하황골길 45-19(흥양리 1036-6)
- 電話:033-731-8464
- 料理:サムギョプサル(豚バラ肉の焼肉/삼겹살)
エピソード
脚注
- ↑ 주민등록 인구 및 세대현황 、行政安全部ウェブサイト、2023年1月10日閲覧
- ↑ 원주시 대표음식 선정 、原州トゥデイ(2012年3月26日記事)、2023年4月16日閲覧
- ↑ 원주 추어탕, 대표음식 지정됐다 、原州トゥデイ(2019年12月2日記事)、2023年4月16日閲覧
- ↑ 감자옹심이, 대표음식 선정 、原州トゥデイ(2020年5月18日記事)、2023年4月16日閲覧
- ↑ 지리적표시 농산물 、国立農産物品質管理院ウェブサイト、2023年4月16日閲覧
外部リンク
- 関連サイト
- 制作者関連サイト
- 韓食生活(韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
- 八田靖史プロフィール(八田靖史のプロフィール)