「タッカンマリ(丸鶏の鍋/닭한마리)」の版間の差分

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※この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。
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{{Notice}}
  
 
'''タッカンマリ'''([[닭한마리]])は、丸鶏の鍋。
 
'''タッカンマリ'''([[닭한마리]])は、丸鶏の鍋。
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[[ファイル:22122810.JPG|thumb|400px|タッカンマリ]]
  
 
== 名称 ==
 
== 名称 ==
タッカンマリは丸鶏の鍋。タッが鶏、ハンマリは一羽という意味で、直訳をするなら「鶏一羽」となる。丸鶏を一羽そのまま使ったことに由来し、客が注文時に「鶏一羽!」と注文したところから、そのまま料理名へと転化したと語られる。日本ではダッカンマリ、タッハンマリ、ダッハンマリ、タクハンマリ、ダクハンマリ、タガンマリといった表記も見られるが、本辞典においては「タッカンマリ」を使用する。発音表記は[다칸마리]。
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タッカンマリは丸鶏の鍋。タッが鶏、ハンマリは一羽という意味で、直訳をするなら「鶏一羽」となる。丸鶏を一羽そのまま使ったことに由来し、客が「鶏一羽!」と注文したところから、そのまま料理名へと転化したとされる。日本ではダッカンマリ、タッハンマリ、ダッハンマリ、タクハンマリ、ダクハンマリ、タガンマリといった表記も見られるが、本辞典においては「タッカンマリ」を使用する。発音表記は[다칸마리]。
  
 
== 概要 ==
 
== 概要 ==
タッカンマリは丸鶏を使用した鍋。鶏一羽をそのままの形で煮込む場合と、ぶつ切りにして提供する場合がある。水炊きにしたものを、つけダレで味わう方式が一般的で、具にはジャガイモ、長ネギ、ニラ、韓国餅などを加える。残ったスープにはカルグクス([[칼국수]])を入れて味わうのが定番である。もともとはソウルの東大門を発祥とする料理で、現在は鍾路5街に専門店が集まっている。いわばソウルの郷土料理であり、他地域においては比較的近年までほとんど存在を知られていなかったと言ってよい。それとは対照的に日本人観光客の間では、インターネットサイトやガイドブックなどで取り上げられたこともあって、2000年代初頭から話題の料理として知名度を上げてきた。
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タッカンマリは丸鶏を使用した鍋。鶏一羽をそのままの形で煮込む場合と、ぶつ切りにして提供する場合がある。水炊きにしたものを、つけダレで味わう方式が一般的で、具にはジャガイモ、長ネギ、ニラ、韓国餅([[]])などを加える。店によっては高麗人参、ナツメ、ハリギリ([[엄나무]])などの漢方材を加えることもある。残ったスープには[[カルグクス(韓国式の手打ちうどん/칼국수)]]を入れて味わうのが定番である。また、[[カルグクス(韓国式の手打ちうどん/칼국수)|カルグクス]]のほかに[[マンドゥ(餃子/만두)]]を加えたり、残ったスープでごはんを炒めて食べることもある。もともとは[[ソウル市の料理|ソウル]]の東大門を発祥とする料理で、現在は東大門駅からも近い鍾路5街に専門店が集まっている。このエリアは東大門タッカンマリ通り、鍾路5街タッカンマリ通りなどと呼ばれ、連日大勢の人が訪れる。いわば[[ソウル市の料理|ソウル]]の郷土料理であり、他地域においては比較的近年までほとんど存在を知られていなかったと言ってよい。それとは対照的に日本人観光客の間では、インターネットサイトやガイドブックなどで取り上げられたこともあって、2000年代初頭から話題の料理として知名度を上げてきた。
  
=== タッカンマリの食べ方 ===
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=== 食べ方 ===
 
*卓上での作業
 
*卓上での作業
:丸鶏のまま登場する場合、客が自らハサミで食べやすい大きさにカットする必要がある。日本人客の場合は店員がやってくれることもあるが、韓国人客の多くは自分たちで行う。骨の継ぎ目を探り当てつつハサミを入れていくのに少しのコツがいるが、慣れてしまえばこれもタッカンマリを味わう楽しさといえる。
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:タッカンマリは卓上で鍋を火にかけ調理しながら味わう。このとき下煮をした丸鶏がそのまま登場する場合、客が自らハサミで食べやすい大きさにカットする必要がある。日本人客の場合は店員がかわりにやってくれることもあるが、韓国人客の多くは自分たちで行う。骨の継ぎ目を探り当てつつハサミを入れていくのに少しのコツがいるものの、慣れてしまえばこれもタッカンマリを味わう楽しさといえる。また、ビギナー客を伴って訪れた場合、この作業をスムーズに行えるとたいへんカッコいい。参考動画「[http://www.youtube.com/watch?v=hEw-1Jljo_E タッカンマリ(丸鶏の水炊き、닭한바리)をハサミでカットする方法]」。
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:店によっても異なるが、テーブルに浅漬けの白菜キムチや、刻みニンニクが置かれている。好みによってこれを鍋の中に投入してもよい。
  
 
*つけダレの作り方
 
*つけダレの作り方
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[[ファイル:14101710.JPG|thumb|300px|タッカンマリのつけダレ]]
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:タッカンマリのつけダレは、醤油、酢、マスタード、タデギ(唐辛子ペースト、[[다대기]])の4種類を基本とする。これを好みで混ぜ合わせ、煮えた鶏肉をつけて味わう。濃い場合は、鍋のスープを足し薄めて調節をする。店によっては最初から混ぜ合わせたものが用意されることもある。つけダレに刻んだ生のニラや、ニンニクを加えることもある。
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=== 調理器具 ===
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*鍋
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:東大門タッカンマリ通りでは、洗面器か、金だらいのようなとってのない鍋が用いられることが多い。使いこまれてボコボコになった鍋ほど味があるとして喜ぶファンは多い。
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*ハサミ
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:鶏肉をカットするために、大ぶりなハサミとトングが卓上に用意される。
  
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=== トッピング ===
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:タッカンマリを注文する際に、サリ([[사리]])と呼ばれるトッピングを追加することができる。店によっても異なるが、ジャガイモ、韓国餅、長ネギ、カルグクスなどが代表的な例である。
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[[ファイル:14101711.JPG|thumb|300px|タッカンマリのトッピング(カルグクス)]]
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[[ファイル:14101712.JPG|thumb|300px|タッカンマリのトッピング(韓国餅)]]
  
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=== 類似料理との差異 ===
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:タッカンマリと比較される類似料理に[[サムゲタン(ひな鶏のスープ/삼계탕)]]と、[[タッペクスク(丸鶏の水煮/닭백숙)]]があり、主に以下のような差異がある。それぞれまったく違う料理と言えるが、タッカンマリを知らない韓国人には[[タッペクスク(丸鶏の水煮/닭백숙)|タッペクスク]]と混同されることも多い。
  
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{| class="wikitable"
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|+ タッカンマリと類似料理の比較
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! 料理名 !! タッカンマリ !! サムゲタン !! タッペクスク
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! 鶏のサイズ
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| 700g~1.2kg程度の鶏を用いて1羽が2~4人前となる || 3~500g程度のひな鶏を用いて1羽が1人前となる || 700g~1.2kg程度の鶏を用いて1羽が2~4人前となる
 +
|-
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! 具
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| 野菜や餅を一緒に煮込み、漢方材を足すこともある || 腹にもち米や漢方材を詰めて煮る || 基本的には鶏だけを煮て漢方材を加える
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! 味付け
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| 鶏を辛いつけダレで味わう || 薄い塩味、好みで塩を足してもよい || 鶏を塩、コショウで味わう
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! 提供方式
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| 金ダライのような鍋で煮ながら味わう || 1人前のトゥッペギ(素焼きの器、[[뚝배기]])に盛り付ける || 鶏だけを大皿に盛り付ける
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! 料理の後
 +
| 残ったスープにカルグクスやごはんを入れる || 特になし || 煮汁で粥を作る
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|}
  
 
== 歴史 ==
 
== 歴史 ==
 
=== 1970年代 ===
 
=== 1970年代 ===
カルメギサルは豚肉の一部位としてよりも内臓に近い副産物ととらえられていた。カルメギサルを独立したひとつの部位として食べ始めたのは1970年代からと考えられている。
+
韓国では1960年代後半から高速道路の整備が進み、各地で高速バスが運行するようになった。1968年に誕生した東大門市外バスターミナルは1970年に京釜高速道路が全線開通すると、地方から東大門の卸売市場を訪れる人たちで賑わった。こうした高速バスの利用客に対し、すぐ提供できてボリュームのある料理として生まれたのがタッカンマリである。もともとは[[タッカルグクス(鶏肉入り手打ちうどん/닭칼국수)]]として販売されていたものが、徐々にアレンジされて現在の姿になったと考えられる。現在タッカンマリを提供する店で、残ったスープに[[カルグクス(韓国式の手打ちうどん/칼국수)]]を入れることや、料理名をタッカンマリカルグクス(닭한마리칼국수)と表記する店があるのもその名残であろう。なお、東大門市外バスターミナルは1978年8月に江南のソウル高速バスターミナルと統合され、跡地は1970年にオープンした東大門総合市場の駐車場として使われた後、2014年2月にホテル「JWマリオット東大門スクエアソウル」がオープンした。<ref>[http://ko.wikipedia.org/wiki/%EB%8F%99%EB%8C%80%EB%AC%B8%EC%8B%9C%EC%99%B8%EB%B2%84%EC%8A%A4%ED%84%B0%EB%AF%B8%EB%84%90 동대문시외버스터미널] 、위키백과、2014年10月8日閲覧</ref>
  
==== 京畿道城南市の事例 ====
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*「陳玉華ハルメ元祖タッカンマリ」の開店
:京畿道城南市中院区麗水洞にはカルメギサルの専門店が集まっており、1970年代から専門店ができ始めたとされる。この一帯はヨスル村(여술마을)とも呼ばれる。
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:タッカンマリの元祖店とされる「陳玉華ハルメ元祖タッカンマリ」は公式ウェブサイトにおいて、1978年に東大門総合市場の飲食店街にて、[[タッカルグクス(鶏肉入り手打ちうどん/닭칼국수)|タッカルグクス]]の店として創業。その後、1981年に現在の場所へ移転し、店名を「陳玉華元祖タッカンマリ」に変更したと記述している。<ref>[http://www.darkhanmari.co.kr/korean/intro/intro03.phtml 회사 연역] 、陳玉華ハルメ元祖タッカンマリ公式ウェブサイト、2014年10月8日閲覧</ref>
  
 
*韓国観光公社の記述
 
*韓国観光公社の記述
:韓国観光公社が配布する『韓国の味紀行』という冊子(WEBでも閲覧可)では以下のように紹介されている。
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:韓国観光公社は公式ウェブサイトにおいて、「ソウル東大門タッカンマリ通り」というページで、タッカンマリの発祥を以下のように説明している。執筆者や執筆時期は明らかにされていないが、情報提供者として鍾路区庁、タッカンマリ通りの食堂らがあげられている。
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:「その路地に点在するタッカンマリ店は短くて5年、長くて30年を越える歳月を過ごしている。だが、今の店舗ができる前、個人宅で[[タッカルグクス(鶏肉入り手打ちうどん/닭칼국수)|タッカルグクス]]を販売していた時期までさかのぼれば、その路地におけるタッカンマリ店の歴史は30年よりはるか前までさかのぼらなければならない。当時[[タッカルグクス(鶏肉入り手打ちうどん/닭칼국수)|タッカルグクス]]を売っていたおばあさんの家を28年前に引き継いで、今まで「タッカンマリ」を扱ってきた飲食店の主人に話を聞いてみると、おばあさんのひとりが現在のタッカンマリスタイルではない、鶏肉を入れた[[カルグクス(韓国式の手打ちうどん/칼국수)|カルグクス]]を作って出していたという。瓦ぶき伝統家屋の板の間と個室でお客さんを受けた。今の社長はその家をそっくり引き継いで、当時庭だったところにホールを作って食卓を置いた。今残っている店の中でもっとも古い店は「陳玉華ハルメタッカンマリ」だ。しかし店で火事が起きて、2009年2月に建て直した。この店もまた、当初は今のようなタッカンマリではなく[[タッカルグクス(鶏肉入り手打ちうどん/닭칼국수)|タッカルグクス]]を販売した。すなわち東大門タッカンマリ通りの元祖は[[タッカルグクス(鶏肉入り手打ちうどん/닭칼국수)|タッカルグクス]]であったという訳だ」(原文1)。<ref>[http://korean.visitkorea.or.kr/kor/inut/where/where_main_search.jsp?cid=704507 서울 종로구 서울 동대문 닭한마리 골목] 、韓国観光公社公式ウェブサイト「대한민국 구석구석」、2014年10月8日閲覧</ref>
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:【原文1】「그 골목 닭한마리집들은 짧게는 5년부터 길게는 30년이 넘는 세월 동안 그 자리를 지키고 있다. 그러나 지금의 식당이 있기 전 개인집에서 닭칼국수를 팔던 시절까지 거슬러 올라가면 그 골목 닭한마리집의 역사는 30년 보다 훨씬 더 전으로 거슬러올라가야 한다. 당시 닭칼국수를 팔던 할머니집을 28년 전에 인수해서 지금까지 '닭한마리'를 팔던 식당 주인의 이야기를 들어보면 할머니 한 분이 지금의 '닭한마리'식의 요리가 아니라 닭고기를 넣고 칼국수를 끓여 팔았다고 한다. 기와 얹은 한옥집 마루와 방에서 손님을 받았다. 지금의 사장은 그 집을 고스란히 인수해서 당시 마당이었던 곳에 홀을 만들고 식탁을 놓았다. 지금 남아 있는 집들 가운데서 가장 오래된 집은 '진옥화 닭한마리'이다. 그러나 식당에 불이 났고 2009년 2월 재건축 하였다. 이 집 또한 처음에는 지금의 '닭한마리'식의 요리가 아니라 '닭칼국수'를 팔았다. 그러니까 동대문 닭한마리 골목 요리의 원조는 닭칼국수인 셈이다.」。
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=== 2000年代 ===
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2000年代に入ってインターネットサイトや、ガイドブックなどで東大門のタッカンマリ通りが取り上げられるようになると、日本人観光客の姿も増えるようになった。代表的な旅行サイトであるソウルナビでは、2000年5月14日に店舗紹介記事が、2002年1月25日に飲食体験レポートとして「(11)『タッハンマリ』を食べに行こう!」が掲載された。これらは同サイトの掲示板でも話題となり、クチコミの広がりによってタッカンマリの知名度をおおいに向上させた。現在は記事がリニューアルされている。<ref>[http://www.seoulnavi.com/food/12/ チンオックァ・ハルメ・ウォンジョ・タッカンマリ/陳玉華ハルメ元祖タッハンマリ] 、ソウルナビ、2014年10月8日閲覧</ref>
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== 種類 ==
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[[ファイル:23102007.JPG|300px|thumb|タットゥマリ(鶏2羽)]]
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タッカンマリには次のような種類がある。
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*ハンバンタッカンマリ([[한방닭한마리]])
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:漢方材を加えたタッカンマリ
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*トジョンタッカンマリ([[토종닭한마리]])
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:地鶏を使用したタッカンマリ
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*タッカンマリバン([[닭한마리반]])
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:鶏一羽半という意味で、半羽追加。二羽の場合はタットゥマリ(鶏2羽、[[닭두마리]])となる。1人客向け、または追加用として半羽のみのタッパンマリ(鶏半羽、[[닭반마리]])をメニューに載せている店もある。
  
:「『カルメギ肉』と呼ばれる豚の横隔膜の肉は、鶏粥とともに城南を代表する料理です。豚の横隔膜に付いている『カロマク肉』を間違って呼んだものですが、その名が有名になってそのまま使われています。1970年ごろ、島村洞の屠殺場近くの麗水洞一帯の飲食店で、歯ごたえのよいカルメギ肉をおつまみとして出したところ、噂が広まって全国的に評判となりました。」<ref>[http://japanese.visitkorea.or.kr/jpn/taste/taste_index.jsp?cid=998420&regionCode=31,12 京畿道の味紀行] 、韓国観光公社ウェブサイト、2014年10月4日閲覧</ref>
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== 日本における定着 ==
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=== 2002~06年頃まで ===
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[[ソウル市の料理|ソウル]]の東大門タッカンマリ通りが日本人観光客の間で話題になるとともに、東京では2002~03年頃からタッカンマリをメニューに掲げる店が登場し始めている。
  
*デジタル城南文化電子大典の記述
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*東京での事例
:城南市の郷土文化を紹介する「デジタル城南文化電子大典」では、「麗水洞カルメギサル村」について以下のように説明している。
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:代表的な店に東京、新大久保で2003年にオープンした「まいうKOREA」や、2004年4月に東京、神宮前にオープンした「Korean Organic nabi」(現在は閉店)などがある。韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2006年の時点で、東京に10軒程度のタッカンマリ提供店を確認していた。<ref>[http://www.kansyoku-life.com/2006/07/181.html 東京タッカンマリ提供店リスト。] 、韓食生活、2014年10月8日閲覧</ref> ただし、この時期のタッカンマリは店によって解釈がさまざまで、東大門スタイルのタッカンマリとは細部で異なる場合が多かった。
  
:「盆唐区と中院区の間に位置する麗水洞はカルメギサルを専門的に販売する食堂30余ヶ所が集まる場所である。1960年代からこの近所である野塔洞のチャンミ村には、城南屠畜場があった。もともと屠畜場では豚肉の横隔膜と肝臓の間にある筋肉質のスジである『カロマクサル』を販売できるものと考えてはいなかった。ところがある日、誰かが見向きもされない『カロマクサル』を集めて皮をはがして売り始めた。人々はカルマクサルの、脂肪がなく、肉質が柔らかく、シコシコとした味を喜んだ。すると『カロマクサル』だけを専門的に扱う焼肉店ができ、それが集団を形成し、今日の麗水洞カルメギサル村になった。『アンチャンコギ(ハラミ肉)』とも呼ばれるカロマクサルは速く発音すると、『カルメギサル』と呼ばれるようになる。しかし、その理由について今まで定説はない」(原文1)<ref>[http://seongnam.grandculture.net/Contents?local=seongnam&dataType=01&contents_id=GC00101481 여수동갈매기살촌] 、デジタル城南文化電子大典、2014年10月4日閲覧</ref>
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*福岡での事例
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:2005年12月に福岡市中央区天神で株式会社クリエイト・レストランツが「鶏一羽(タクハンマリ)」(現在は閉店)という専門店をオープンした。
  
:【原文1】「분당구와 중원구의 사이에 위치하고 있는 여수동은 갈매기살을 전문적으로 판매하는 식당 30여 곳이 모여 있는 곳이다. 1960년대부터 이곳 근처인 지금의 야탑동 장미마을에는 성남도축장이 있었다. 원래 도축장에서는 돼지고기의 횡격막(橫膈膜)과 간(肝) 사이에 있는 근육질 힘살인 ‘가로막살’을 판매할 수 있는 고기로 여기지 않았다. 그런데 어느 날 누군가가 거들떠보지도 않던 ‘가로막살’을 모아 껍질을 벗긴 뒤 팔기 시작했다. 사람들은 가로막살에 기름이 없고 육질이 부드러우며 쫄깃한 맛이 나서 좋아했다. 특히 거의 버렸던 돼지고기 부위이기 때문에 가격이 싸서 서민들이 먹기에 좋았다. 그러자 ‘가로막살’만 전문으로 취급하는 고깃집이 생겨났고, 그것이 집단을 이루어 오늘날 여수동의 갈매기살촌이 되었다. ‘안창고기’라고도 불리는 가로막살은 빨리 발음하면, ‘갈매기살’이라고 하게 된다. 그러나 그 이유에 대해 아직까지 정설이 없다.」
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=== 2010~12年頃まで ===
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この頃、日本では第2次韓流とも呼ばれるK-POPブームが起こり、若い世代の韓国ファンが増えるとともに、韓国料理店の多様化も進んだ。この時期にはタッカンマリの専門店が増え、新たな話題の韓国料理としてちょっとしたブームの様相を呈した。八田靖史は2012年9月2日、WebマガジンのWoman typeによる「次にブレイクする韓国フードはサッパリヘルシー系!? 鶏を丸ごと煮込むコラーゲンたっぷり『タッカンマリ』に注目!」という記事において、ブームの背景を解説するとともに、都内の専門店を紹介した。<ref>[http://womantype.jp/mag/archives/1364 次にブレイクする韓国フードはサッパリヘルシー系!? 鶏を丸ごと煮込むコラーゲンたっぷり「タッカンマリ」に注目!] 、Woman type、2014年10月8日閲覧</ref>
  
==== ソウル市麻浦区桃花洞の事例 ====
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*東京での事例
:ソウル市麻浦区桃花洞にはカルメギサルの専門店が集まっており、1970年代後半から専門店ができ始めたとされる。「釜山カルメギ(부산갈매기)」が1978年、「元祖カルメギ(원조갈매기)」が1979年創業の看板を掲げており、一帯は「麻浦カルメギサル通り(마포갈매기살골목)」と呼ばれる。
+
:2010年11月に東京、新大久保で専門店の「コリア タッカンマリ」がオープンした。
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:2012年10月に東京、表参道で専門店の「タッカンマリ×2」(現在は休店)がオープンした。[[スンドゥブチゲ(柔らかい豆腐の鍋/순두부찌개)]]の専門店「東京純豆腐」のプロデュースであり、またその創業1号店を、タッカンマリ専門店にリニューアルしたとのことで話題となった。
  
=== 2010年代 ===
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*家庭向け商品の登場
2010年から11年頃に豚肉の特殊部位を扱う専門店が続々と増えてブームになった。これは2008年頃からの韓牛ブームによって、牛肉の特殊部位を提供する店が増えたことも影響していると考えられる。カルメギサルはハンジョンサル([[항정살]]、首すじの肉、豚トロ)、カブリサル([[가브리살]]、バラ肉を包んでいる肉 )、コプテギ([[껍데기]]、豚皮)などとともに代表的な豚肉の特殊部位として定着している。
+
:2012年8月に永谷園が、2012年秋冬の限定商品として「生姜タッカンマリ風鍋の素」を発売した。
  
== 種類 ==
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=== 2014年 ===
カルメギサルには次のような種類がある。
+
韓国から専門店の進出が重なった。
  
*センカルメギサル(생갈매기살)
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*大阪での事例
:味付けなしのカルメギサル
+
:2014年11月20日に[[ソウル市の料理|ソウル]]の蘆原区孔陵洞に本店のある「コンヌンタッカンマリ」が大阪、今里で日本1号店をオープンした<ref>[http://ameblo.jp/dakhanmariosaka/entry-11954960088.html 本日オープンいたしました!] 、鶏一匹のブログ、2014年11月21日閲覧</ref>。
*ヤンニョムカルメギサル(양념갈매기살)
 
:辛い薬味ダレを絡めたカルメギサル
 
*マヌルカルメギサル(마늘갈매기살)
 
:ニンニクダレを絡めたカルメギサル
 
  
== 日本における定着 ==
+
*福岡での事例
日本では焼肉店などで豚ハラミとして提供されている。韓国料理のカルメギサルとしては、まだほとんど馴染みがなく、これからの定着が期待される。
+
:2014年12月5日に[[ソウル市の料理|ソウル]]の東大門にある「陳元祖タッカンマリ」から公認を得た「陳」が福岡、天神にオープンした<ref>[http://www.takkanmari-chin.com/ タッカンマリ専門店陳] 、公式ウェブサイト、2014年12月21日閲覧</ref>。
  
 
== エピソード ==
 
== エピソード ==
*韓食ペディアの執筆者である八田靖史は留学時代の2000年に豚焼肉店でメニューにカルメギサルを発見し、韓国ではカモメの肉を食べるのだと本気で勘違いをした過去がある。
+
*韓食ペディアの執筆者である八田靖史は留学時代の2000年に[[ソウル市の料理|ソウル]]の汝矣島で初めてタッカンマリを食べた。つけダレにニラを加えて食べるタイプの店で、そのイメージが強かったせいか、自分でタッカンマリを作るときはついニラを入れたくなると語る。また、つけダレに用いる醤油は、甘味がある韓国のチンガンジャン(濃口醤油、[[진간장]])でないと求める味に仕上がらない、などとわかったようなことを言ったりもする。
  
 
== 地域 ==
 
== 地域 ==
*ソウル市麻浦区桃花洞
+
*[[ソウル市の料理|ソウル市]]鍾路区鍾路5街
:孔徳駅の近くにカルメギサルの専門店が集まっており、麻浦カルメギサル通りと呼ばれる。
+
:細い路地の中に専門店が密集しており、東大門タッカンマリ通り、鍾路5街タッカンマリ通りなどと呼ばれる。
*ソウル市鍾路区敦義洞
 
:鍾路3街駅の近くにカルメギサルの専門店が集まっており、鍾路3街カルメギサル通り(종로3가 갈매기살골목)と呼ばれる。
 
*京畿道城南市中院区麗水洞
 
:麗水洞にカルメギサルの専門店が集まっている。
 
  
 
== 脚注 ==
 
== 脚注 ==
72行目: 122行目:
  
 
== 外部リンク ==
 
== 外部リンク ==
*[http://zukan.com/koreanfood/internal11470 韓国料理図鑑(カルメギサル)/ズカンドットコム]
+
;制作者関連サイト
*[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活]
+
*[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活](韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
 +
*[http://www.kansyoku-life.com/profile 八田靖史プロフィール](八田靖史のプロフィール)
  
 
== 関連項目 ==
 
== 関連項目 ==
 
+
{{DEFAULTSORT:たっかんまり}}
{{DEFAULTSORT:かるめきさる}}
+
*[[タッペクスク(丸鶏の水煮/닭백숙)]]
 +
*[[タッカルグクス(鶏肉入り手打ちうどん/닭칼국수)]]
 +
*[[マンドゥ(餃子/만두)]]
 +
*[[サムゲタン(ひな鶏のスープ/삼계탕)]]
 +
*[[スンドゥブチゲ(柔らかい豆腐の鍋/순두부찌개)]]
 +
*[[カルグクス(韓国式の手打ちうどん/칼국수)]]
 +
*[[ソウル市の料理]]
 
[[Category:韓食ペディア]]
 
[[Category:韓食ペディア]]
[[Category:ソウルの料理]]
+
[[Category:鍋・スープ料理の一覧]]
[[Category:京畿道の料理]]
+
[[Category:肉・卵料理の一覧]]
[[Category:肉・卵料理]]
+
[[Category:鶏肉料理の一覧]]
[[Category:豚肉料理]]
+
[[Category:ソウル市の料理]]

2023年10月20日 (金) 02:44時点における最新版

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タッカンマリ닭한마리)は、丸鶏の鍋。

タッカンマリ

名称

タッカンマリは丸鶏の鍋。タッが鶏、ハンマリは一羽という意味で、直訳をするなら「鶏一羽」となる。丸鶏を一羽そのまま使ったことに由来し、客が「鶏一羽!」と注文したところから、そのまま料理名へと転化したとされる。日本ではダッカンマリ、タッハンマリ、ダッハンマリ、タクハンマリ、ダクハンマリ、タガンマリといった表記も見られるが、本辞典においては「タッカンマリ」を使用する。発音表記は[다칸마리]。

概要

タッカンマリは丸鶏を使用した鍋。鶏一羽をそのままの形で煮込む場合と、ぶつ切りにして提供する場合がある。水炊きにしたものを、つけダレで味わう方式が一般的で、具にはジャガイモ、長ネギ、ニラ、韓国餅()などを加える。店によっては高麗人参、ナツメ、ハリギリ(엄나무)などの漢方材を加えることもある。残ったスープにはカルグクス(韓国式の手打ちうどん/칼국수)を入れて味わうのが定番である。また、カルグクスのほかにマンドゥ(餃子/만두)を加えたり、残ったスープでごはんを炒めて食べることもある。もともとはソウルの東大門を発祥とする料理で、現在は東大門駅からも近い鍾路5街に専門店が集まっている。このエリアは東大門タッカンマリ通り、鍾路5街タッカンマリ通りなどと呼ばれ、連日大勢の人が訪れる。いわばソウルの郷土料理であり、他地域においては比較的近年までほとんど存在を知られていなかったと言ってよい。それとは対照的に日本人観光客の間では、インターネットサイトやガイドブックなどで取り上げられたこともあって、2000年代初頭から話題の料理として知名度を上げてきた。

食べ方

  • 卓上での作業
タッカンマリは卓上で鍋を火にかけ調理しながら味わう。このとき下煮をした丸鶏がそのまま登場する場合、客が自らハサミで食べやすい大きさにカットする必要がある。日本人客の場合は店員がかわりにやってくれることもあるが、韓国人客の多くは自分たちで行う。骨の継ぎ目を探り当てつつハサミを入れていくのに少しのコツがいるものの、慣れてしまえばこれもタッカンマリを味わう楽しさといえる。また、ビギナー客を伴って訪れた場合、この作業をスムーズに行えるとたいへんカッコいい。参考動画「タッカンマリ(丸鶏の水炊き、닭한바리)をハサミでカットする方法」。
店によっても異なるが、テーブルに浅漬けの白菜キムチや、刻みニンニクが置かれている。好みによってこれを鍋の中に投入してもよい。
  • つけダレの作り方
タッカンマリのつけダレ
タッカンマリのつけダレは、醤油、酢、マスタード、タデギ(唐辛子ペースト、다대기)の4種類を基本とする。これを好みで混ぜ合わせ、煮えた鶏肉をつけて味わう。濃い場合は、鍋のスープを足し薄めて調節をする。店によっては最初から混ぜ合わせたものが用意されることもある。つけダレに刻んだ生のニラや、ニンニクを加えることもある。

調理器具

東大門タッカンマリ通りでは、洗面器か、金だらいのようなとってのない鍋が用いられることが多い。使いこまれてボコボコになった鍋ほど味があるとして喜ぶファンは多い。
  • ハサミ
鶏肉をカットするために、大ぶりなハサミとトングが卓上に用意される。

トッピング

タッカンマリを注文する際に、サリ(사리)と呼ばれるトッピングを追加することができる。店によっても異なるが、ジャガイモ、韓国餅、長ネギ、カルグクスなどが代表的な例である。
タッカンマリのトッピング(カルグクス)
タッカンマリのトッピング(韓国餅)

類似料理との差異

タッカンマリと比較される類似料理にサムゲタン(ひな鶏のスープ/삼계탕)と、タッペクスク(丸鶏の水煮/닭백숙)があり、主に以下のような差異がある。それぞれまったく違う料理と言えるが、タッカンマリを知らない韓国人にはタッペクスクと混同されることも多い。
タッカンマリと類似料理の比較
料理名 タッカンマリ サムゲタン タッペクスク
鶏のサイズ 700g~1.2kg程度の鶏を用いて1羽が2~4人前となる 3~500g程度のひな鶏を用いて1羽が1人前となる 700g~1.2kg程度の鶏を用いて1羽が2~4人前となる
野菜や餅を一緒に煮込み、漢方材を足すこともある 腹にもち米や漢方材を詰めて煮る 基本的には鶏だけを煮て漢方材を加える
味付け 鶏を辛いつけダレで味わう 薄い塩味、好みで塩を足してもよい 鶏を塩、コショウで味わう
提供方式 金ダライのような鍋で煮ながら味わう 1人前のトゥッペギ(素焼きの器、뚝배기)に盛り付ける 鶏だけを大皿に盛り付ける
料理の後 残ったスープにカルグクスやごはんを入れる 特になし 煮汁で粥を作る

歴史

1970年代

韓国では1960年代後半から高速道路の整備が進み、各地で高速バスが運行するようになった。1968年に誕生した東大門市外バスターミナルは1970年に京釜高速道路が全線開通すると、地方から東大門の卸売市場を訪れる人たちで賑わった。こうした高速バスの利用客に対し、すぐ提供できてボリュームのある料理として生まれたのがタッカンマリである。もともとはタッカルグクス(鶏肉入り手打ちうどん/닭칼국수)として販売されていたものが、徐々にアレンジされて現在の姿になったと考えられる。現在タッカンマリを提供する店で、残ったスープにカルグクス(韓国式の手打ちうどん/칼국수)を入れることや、料理名をタッカンマリカルグクス(닭한마리칼국수)と表記する店があるのもその名残であろう。なお、東大門市外バスターミナルは1978年8月に江南のソウル高速バスターミナルと統合され、跡地は1970年にオープンした東大門総合市場の駐車場として使われた後、2014年2月にホテル「JWマリオット東大門スクエアソウル」がオープンした。[1]

  • 「陳玉華ハルメ元祖タッカンマリ」の開店
タッカンマリの元祖店とされる「陳玉華ハルメ元祖タッカンマリ」は公式ウェブサイトにおいて、1978年に東大門総合市場の飲食店街にて、タッカルグクスの店として創業。その後、1981年に現在の場所へ移転し、店名を「陳玉華元祖タッカンマリ」に変更したと記述している。[2]
  • 韓国観光公社の記述
韓国観光公社は公式ウェブサイトにおいて、「ソウル東大門タッカンマリ通り」というページで、タッカンマリの発祥を以下のように説明している。執筆者や執筆時期は明らかにされていないが、情報提供者として鍾路区庁、タッカンマリ通りの食堂らがあげられている。
「その路地に点在するタッカンマリ店は短くて5年、長くて30年を越える歳月を過ごしている。だが、今の店舗ができる前、個人宅でタッカルグクスを販売していた時期までさかのぼれば、その路地におけるタッカンマリ店の歴史は30年よりはるか前までさかのぼらなければならない。当時タッカルグクスを売っていたおばあさんの家を28年前に引き継いで、今まで「タッカンマリ」を扱ってきた飲食店の主人に話を聞いてみると、おばあさんのひとりが現在のタッカンマリスタイルではない、鶏肉を入れたカルグクスを作って出していたという。瓦ぶき伝統家屋の板の間と個室でお客さんを受けた。今の社長はその家をそっくり引き継いで、当時庭だったところにホールを作って食卓を置いた。今残っている店の中でもっとも古い店は「陳玉華ハルメタッカンマリ」だ。しかし店で火事が起きて、2009年2月に建て直した。この店もまた、当初は今のようなタッカンマリではなくタッカルグクスを販売した。すなわち東大門タッカンマリ通りの元祖はタッカルグクスであったという訳だ」(原文1)。[3]
【原文1】「그 골목 닭한마리집들은 짧게는 5년부터 길게는 30년이 넘는 세월 동안 그 자리를 지키고 있다. 그러나 지금의 식당이 있기 전 개인집에서 닭칼국수를 팔던 시절까지 거슬러 올라가면 그 골목 닭한마리집의 역사는 30년 보다 훨씬 더 전으로 거슬러올라가야 한다. 당시 닭칼국수를 팔던 할머니집을 28년 전에 인수해서 지금까지 '닭한마리'를 팔던 식당 주인의 이야기를 들어보면 할머니 한 분이 지금의 '닭한마리'식의 요리가 아니라 닭고기를 넣고 칼국수를 끓여 팔았다고 한다. 기와 얹은 한옥집 마루와 방에서 손님을 받았다. 지금의 사장은 그 집을 고스란히 인수해서 당시 마당이었던 곳에 홀을 만들고 식탁을 놓았다. 지금 남아 있는 집들 가운데서 가장 오래된 집은 '진옥화 닭한마리'이다. 그러나 식당에 불이 났고 2009년 2월 재건축 하였다. 이 집 또한 처음에는 지금의 '닭한마리'식의 요리가 아니라 '닭칼국수'를 팔았다. 그러니까 동대문 닭한마리 골목 요리의 원조는 닭칼국수인 셈이다.」。

2000年代

2000年代に入ってインターネットサイトや、ガイドブックなどで東大門のタッカンマリ通りが取り上げられるようになると、日本人観光客の姿も増えるようになった。代表的な旅行サイトであるソウルナビでは、2000年5月14日に店舗紹介記事が、2002年1月25日に飲食体験レポートとして「(11)『タッハンマリ』を食べに行こう!」が掲載された。これらは同サイトの掲示板でも話題となり、クチコミの広がりによってタッカンマリの知名度をおおいに向上させた。現在は記事がリニューアルされている。[4]

種類

タットゥマリ(鶏2羽)

タッカンマリには次のような種類がある。

漢方材を加えたタッカンマリ
地鶏を使用したタッカンマリ
鶏一羽半という意味で、半羽追加。二羽の場合はタットゥマリ(鶏2羽、닭두마리)となる。1人客向け、または追加用として半羽のみのタッパンマリ(鶏半羽、닭반마리)をメニューに載せている店もある。

日本における定着

2002~06年頃まで

ソウルの東大門タッカンマリ通りが日本人観光客の間で話題になるとともに、東京では2002~03年頃からタッカンマリをメニューに掲げる店が登場し始めている。

  • 東京での事例
代表的な店に東京、新大久保で2003年にオープンした「まいうKOREA」や、2004年4月に東京、神宮前にオープンした「Korean Organic nabi」(現在は閉店)などがある。韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2006年の時点で、東京に10軒程度のタッカンマリ提供店を確認していた。[5] ただし、この時期のタッカンマリは店によって解釈がさまざまで、東大門スタイルのタッカンマリとは細部で異なる場合が多かった。
  • 福岡での事例
2005年12月に福岡市中央区天神で株式会社クリエイト・レストランツが「鶏一羽(タクハンマリ)」(現在は閉店)という専門店をオープンした。

2010~12年頃まで

この頃、日本では第2次韓流とも呼ばれるK-POPブームが起こり、若い世代の韓国ファンが増えるとともに、韓国料理店の多様化も進んだ。この時期にはタッカンマリの専門店が増え、新たな話題の韓国料理としてちょっとしたブームの様相を呈した。八田靖史は2012年9月2日、WebマガジンのWoman typeによる「次にブレイクする韓国フードはサッパリヘルシー系!? 鶏を丸ごと煮込むコラーゲンたっぷり『タッカンマリ』に注目!」という記事において、ブームの背景を解説するとともに、都内の専門店を紹介した。[6]

  • 東京での事例
2010年11月に東京、新大久保で専門店の「コリア タッカンマリ」がオープンした。
2012年10月に東京、表参道で専門店の「タッカンマリ×2」(現在は休店)がオープンした。スンドゥブチゲ(柔らかい豆腐の鍋/순두부찌개)の専門店「東京純豆腐」のプロデュースであり、またその創業1号店を、タッカンマリ専門店にリニューアルしたとのことで話題となった。
  • 家庭向け商品の登場
2012年8月に永谷園が、2012年秋冬の限定商品として「生姜タッカンマリ風鍋の素」を発売した。

2014年

韓国から専門店の進出が重なった。

  • 大阪での事例
2014年11月20日にソウルの蘆原区孔陵洞に本店のある「コンヌンタッカンマリ」が大阪、今里で日本1号店をオープンした[7]
  • 福岡での事例
2014年12月5日にソウルの東大門にある「陳元祖タッカンマリ」から公認を得た「陳」が福岡、天神にオープンした[8]

エピソード

  • 韓食ペディアの執筆者である八田靖史は留学時代の2000年にソウルの汝矣島で初めてタッカンマリを食べた。つけダレにニラを加えて食べるタイプの店で、そのイメージが強かったせいか、自分でタッカンマリを作るときはついニラを入れたくなると語る。また、つけダレに用いる醤油は、甘味がある韓国のチンガンジャン(濃口醤油、진간장)でないと求める味に仕上がらない、などとわかったようなことを言ったりもする。

地域

細い路地の中に専門店が密集しており、東大門タッカンマリ通り、鍾路5街タッカンマリ通りなどと呼ばれる。

脚注

  1. 동대문시외버스터미널 、위키백과、2014年10月8日閲覧
  2. 회사 연역 、陳玉華ハルメ元祖タッカンマリ公式ウェブサイト、2014年10月8日閲覧
  3. 서울 종로구 서울 동대문 닭한마리 골목 、韓国観光公社公式ウェブサイト「대한민국 구석구석」、2014年10月8日閲覧
  4. チンオックァ・ハルメ・ウォンジョ・タッカンマリ/陳玉華ハルメ元祖タッハンマリ 、ソウルナビ、2014年10月8日閲覧
  5. 東京タッカンマリ提供店リスト。 、韓食生活、2014年10月8日閲覧
  6. 次にブレイクする韓国フードはサッパリヘルシー系!? 鶏を丸ごと煮込むコラーゲンたっぷり「タッカンマリ」に注目! 、Woman type、2014年10月8日閲覧
  7. 本日オープンいたしました! 、鶏一匹のブログ、2014年11月21日閲覧
  8. タッカンマリ専門店陳 、公式ウェブサイト、2014年12月21日閲覧

外部リンク

制作者関連サイト

関連項目