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== 概要 == | == 概要 == | ||
+ | [[ファイル:24082101.JPG|thumb|300px|サムゲタン。左上に高麗人参酒が添えられている]] | ||
サムゲタンは、ひな鶏の腹にもち米、高麗人参、ナツメ、ニンニク、銀杏などを詰めて煮込んで作る。味付けはごく薄い塩味にとどめ、食べる人が卓上の塩やコショウを好みで加える。主に専門店で食べられるメニューであるが、一般の食堂でも出すところがある。夏負けを防ぐスタミナ料理として食べられることが多く、[[ポシンタン(犬肉の鍋/보신탕)]]とともに、伏日([[복날]])に食べる料理として知られる。伏日は三伏([[삼복]])とも呼び、夏至から数えて3度目の庚の日である「初伏([[초복]])」と、4度目の庚の日である「中伏([[중복]])」、立秋後初めての庚の日である「末伏([[말복]])」の総称であり、1年の中で最も暑い時期とされる。類似の料理としては、ハーフサイズの[[パンゲタン(半羽のサムゲタン/반계탕)]]や、烏骨鶏を用いて作る[[オゴルゲタン(烏骨鶏のサムゲタン/오골계탕)]]がある。 | サムゲタンは、ひな鶏の腹にもち米、高麗人参、ナツメ、ニンニク、銀杏などを詰めて煮込んで作る。味付けはごく薄い塩味にとどめ、食べる人が卓上の塩やコショウを好みで加える。主に専門店で食べられるメニューであるが、一般の食堂でも出すところがある。夏負けを防ぐスタミナ料理として食べられることが多く、[[ポシンタン(犬肉の鍋/보신탕)]]とともに、伏日([[복날]])に食べる料理として知られる。伏日は三伏([[삼복]])とも呼び、夏至から数えて3度目の庚の日である「初伏([[초복]])」と、4度目の庚の日である「中伏([[중복]])」、立秋後初めての庚の日である「末伏([[말복]])」の総称であり、1年の中で最も暑い時期とされる。類似の料理としては、ハーフサイズの[[パンゲタン(半羽のサムゲタン/반계탕)]]や、烏骨鶏を用いて作る[[オゴルゲタン(烏骨鶏のサムゲタン/오골계탕)]]がある。 | ||
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=== 具 === | === 具 === | ||
+ | [[ファイル:24082102.JPG|thumb|300px|サムゲタンに入る具材の例]] | ||
:ひな鶏のほか、高麗人参([[인삼]])、もち米([[찹쌀]])、緑豆([[녹두]])ナツメ([[대추]])、栗([[밤]])、銀杏([[은행]])、ニンニク([[마늘]])、クコの実([[구기자]])、松の実([[잣]])などを用いる。高麗人参は6年根を最高級とするが、一般的には3~4年根を使用することが多い。韓方材のキバナオウギ([[황기]])や鹿角([[녹각]])などを一緒に煮込むことも多く、具のように入って出てくる場合もあるが、食用とするものではない(そもそも固くて食べられない)。 | :ひな鶏のほか、高麗人参([[인삼]])、もち米([[찹쌀]])、緑豆([[녹두]])ナツメ([[대추]])、栗([[밤]])、銀杏([[은행]])、ニンニク([[마늘]])、クコの実([[구기자]])、松の実([[잣]])などを用いる。高麗人参は6年根を最高級とするが、一般的には3~4年根を使用することが多い。韓方材のキバナオウギ([[황기]])や鹿角([[녹각]])などを一緒に煮込むことも多く、具のように入って出てくる場合もあるが、食用とするものではない(そもそも固くて食べられない)。 | ||
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=== 伏日(복날)=== | === 伏日(복날)=== | ||
+ | [[ファイル:24082103.JPG|thumb|300px|伏日にはサムゲタン専門店に行列ができる]] | ||
:伏日(ポンナル、[[복날]])は、「初伏(チョボク、[[초복]])」「中伏(チュンボク、[[중복]])」「末伏(マルボク、[[말복]])」の総称。夏至から数えて3度目の庚(かのえ)の日を初伏、4度目の庚の日を中伏、立秋を過ぎて最初の庚の日を末伏と呼び、これを総称して「三伏(サムボク、[[삼복]])」とも呼ぶ。伏日は陰陽五行思想に基づいた習慣であり、1年の中でもっとも暑い時期であることから、強い陽気に押されて陰気が地表近くに「伏」せている「日」を指す。陰気が濃密になることにより、人間に害をなす鬼神が横行しやすくなるため、体調を崩す(夏負けする)と考えられる。その対策として栄養価の高い料理を食べることが推奨され、伏日の代表的な料理には、サムゲタンや、[[タッペクスク(丸鶏の水煮/닭백숙)]]、[[タッカンマリ(丸鶏の鍋/닭한마리)]]、[[ユッケジャン(牛肉の辛いスープ/육개장)]]、[[ポシンタン(犬肉の鍋/보신탕)]]、[[チュオタン(ドジョウ汁/추어탕)]]などがあげられる。伏日はほぼ10日間隔となるが、暦の関係で中伏と末伏は20日間隔になることもあり、これを越伏(ウォルボク、[[월복]])と呼ぶ。末伏は立秋と重なることもある。よく似た習慣として日本の土用丑があるが、十干十二支に「庚」と「丑」の組み合わせはなく、伏日と土用丑が重なることはない。 | :伏日(ポンナル、[[복날]])は、「初伏(チョボク、[[초복]])」「中伏(チュンボク、[[중복]])」「末伏(マルボク、[[말복]])」の総称。夏至から数えて3度目の庚(かのえ)の日を初伏、4度目の庚の日を中伏、立秋を過ぎて最初の庚の日を末伏と呼び、これを総称して「三伏(サムボク、[[삼복]])」とも呼ぶ。伏日は陰陽五行思想に基づいた習慣であり、1年の中でもっとも暑い時期であることから、強い陽気に押されて陰気が地表近くに「伏」せている「日」を指す。陰気が濃密になることにより、人間に害をなす鬼神が横行しやすくなるため、体調を崩す(夏負けする)と考えられる。その対策として栄養価の高い料理を食べることが推奨され、伏日の代表的な料理には、サムゲタンや、[[タッペクスク(丸鶏の水煮/닭백숙)]]、[[タッカンマリ(丸鶏の鍋/닭한마리)]]、[[ユッケジャン(牛肉の辛いスープ/육개장)]]、[[ポシンタン(犬肉の鍋/보신탕)]]、[[チュオタン(ドジョウ汁/추어탕)]]などがあげられる。伏日はほぼ10日間隔となるが、暦の関係で中伏と末伏は20日間隔になることもあり、これを越伏(ウォルボク、[[월복]])と呼ぶ。末伏は立秋と重なることもある。よく似た習慣として日本の土用丑があるが、十干十二支に「庚」と「丑」の組み合わせはなく、伏日と土用丑が重なることはない。 | ||
:伏日が庚の日であるのは陰陽五行思想をもとに、庚が五行(木・火・土・金・水)の「金」、五季のうち夏が「火」に相当し、「火克金(火は金属を溶かす=火が強まると金が弱まる)」の考え方から、庚の日はもっとも盛夏の影響を受ける日とされる。伏日には弱まった「金」の要素を補充することが好ましく、いずれも「金」に相当する五畜の「犬」、五菜の「葱」、五味の「辛味」を掛け合わせた[[ポシンタン(犬肉の鍋/보신탕)]]が、かつては伏日の代表的な料理であった(各要素は資料によって異なる場合がある)。しかし、近年は犬肉を食肉とすることへの忌避が強まったことから、韓国ではサムゲタンなどの鶏料理や、[[ポシンタン(犬肉の鍋/보신탕)]]の犬肉を牛肉で代替した[[ユッケジャン(牛肉の辛いスープ/육개장)]]などを食べる人が多い。[[北朝鮮の料理|朝鮮民主主義人民共和国]]では、伏日に[[ポシンタン(犬肉の鍋/보신탕)]]を食べる習慣が残っている。 | :伏日が庚の日であるのは陰陽五行思想をもとに、庚が五行(木・火・土・金・水)の「金」、五季のうち夏が「火」に相当し、「火克金(火は金属を溶かす=火が強まると金が弱まる)」の考え方から、庚の日はもっとも盛夏の影響を受ける日とされる。伏日には弱まった「金」の要素を補充することが好ましく、いずれも「金」に相当する五畜の「犬」、五菜の「葱」、五味の「辛味」を掛け合わせた[[ポシンタン(犬肉の鍋/보신탕)]]が、かつては伏日の代表的な料理であった(各要素は資料によって異なる場合がある)。しかし、近年は犬肉を食肉とすることへの忌避が強まったことから、韓国ではサムゲタンなどの鶏料理や、[[ポシンタン(犬肉の鍋/보신탕)]]の犬肉を牛肉で代替した[[ユッケジャン(牛肉の辛いスープ/육개장)]]などを食べる人が多い。[[北朝鮮の料理|朝鮮民主主義人民共和国]]では、伏日に[[ポシンタン(犬肉の鍋/보신탕)]]を食べる習慣が残っている。 | ||
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:;追加素材の種類 | :;追加素材の種類 | ||
+ | [[ファイル:24082103.JPG|thumb|300px|チョンボクサムゲタン]] | ||
:*ノクトゥサムゲタン(緑豆入りのサムゲタン、[[녹두삼계탕)]] | :*ノクトゥサムゲタン(緑豆入りのサムゲタン、[[녹두삼계탕)]] | ||
:*ナクチサムゲタン(テナガダコ入りのサムゲタン、[[낙지삼계탕)]] | :*ナクチサムゲタン(テナガダコ入りのサムゲタン、[[낙지삼계탕)]] |