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'''牙山市'''(アサンシ、아산시)は忠清南道に位置する地域。本ページでは牙山市の料理、特産品について解説する。
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'''牙山市'''(アサンシ、아산시)は[[忠清南道の料理|忠清南道]]に位置する地域。本ページでは牙山市の料理、特産品について解説する。
  
[[ファイル:15040901.JPG|thumb|400px|江華支石墓]]
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[[ファイル:15062501.JPG|thumb|400px|外岩民俗村]]
  
 
== 地域概要 ==
 
== 地域概要 ==
牙山市は忠清南道の北部に位置し、同じ忠清南道の天安市、公州市、礼山郡、唐津市、京畿道の平沢市と接する。人口は30万8007人(2015年4月)<ref>[http://www.asan.go.kr/population 인구현황] 、牙山市ウェブサイト、2015年5月22日閲覧</ref>。韓国でも有数の温泉地として知られ、温陽温泉、牙山温泉、道高温泉などを有する。中でも温陽温泉の歴史は記録上、百済時代、統一新羅時代までさかのぼるとされ、高麗時代にはこの地域を温水郡と呼んだ。朝鮮時代には歴代の王も温陽温泉を訪れ、休養をしたり、病気の治療を行っている<ref>[http://www.asan.go.kr/culture/node/6786 1300년 온천역사] 、牙山市ウェブサイト、2015年5月22日閲覧</ref>。
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牙山市は[[忠清南道の料理|忠清南道]]の北部に位置する地域。市の北部は[[京畿道の料理|京畿道]]の[[平沢市の料理|平沢市]]、東部は[[忠清南道の料理|忠清南道]]の[[天安市の料理|天安市]]、南部は[[忠清南道の料理|忠清南道]]の[[公州市の料理|公州市]]、南西部は[[忠清南道の料理|忠清南道]]の[[礼山郡の料理|礼山郡]]、西部は[[忠清南道の料理|忠清南道]]の[[唐津市の料理|唐津市]]と接する。また、市の北西部は牙山湾(아산만)に面し、黄海へとつながる。人口は33万6690人(2023年3月)<ref>[https://jumin.mois.go.kr/ 주민등록 인구 및 세대현황] 、行政安全部ウェブサイト、2023年4月9日閲覧</ref>。韓国でも有数の温泉地として知られ、温陽温泉(オニャンオンチョン、온양온천)、牙山温泉(アサンオンチョン、아산온천)、道高温泉(トゴオンチョン、도고온천)などを有する。中でも温陽温泉の歴史は記録上、百済時代、統一新羅時代までさかのぼるとされ、高麗時代にはこの地域を温水郡(オンスグン、온수군)と呼んだ歴史もある。朝鮮時代には歴代の王も温陽温泉を訪れ、休養をしたり、病気の治療を行っている<ref>[http://www.asan.go.kr/culture/node/6786 1300년 온천역사] 、牙山市ウェブサイト、2015年5月22日閲覧</ref>。[[ソウル市の料理|ソウル市]](東ソウルバスターミナル、南部バスターミナル)から高速バスで約2時間の距離。またはソウル駅から高速鉄道のKTXに乗れば天安牙山駅まで約40分で到着する。[[ソウル市の料理|ソウル市]]の地下鉄1号線が温陽温泉駅まで伸びているので、時間はかかるものの例えば市庁駅から乗ると約2時間20分で到着する。
 
 
江華郡は仁川市の北部に位置し、同じ仁川市の西区と甕津郡、京畿道の金浦市と接する。また、北部は川を挟んで北朝鮮の黄海北道開豊郡や、黄海南道白川郡、延安郡と向かい合う。人口は6万7118人(2015年1月)<ref>[http://www.ganghwa.incheon.kr/open_content/main/we_ganghwa/introduction/present_condition.jsp 강화군정보 일반현황] 、江華郡ウェブサイト、2015年4月4日閲覧</ref>。郡全体が黄海に浮かぶ島嶼地域であり、韓国で5番目の面積を誇る江華島(강화도)をはじめ、喬桐島(교동도)、席毛島(석모도)といった15の島で構成されている。観光地としても人気が高く、古代から近現代に至るまで幅広い歴史遺産を残しているのが大きな特徴である。ユネスコの世界文化遺産にも指定された青銅器時代の支石墓群(高敞、和順、江華の支石墓群跡)や、神話上の始祖である檀君が天に祭祀を行った摩尼山(마니산)、高句麗時代の381年に創建されたとされる伝燈寺(전등사)、高麗時代の13世紀に臨時首都として使用された宮殿跡の高麗宮址(고려궁지)、朝鮮時代の19世紀後半に諸外国と対峙した防衛拠点の草芝鎮(초지진)など、各時代における歴史がこの地域に凝縮している。ソウル(新村、弘大入口などの各バス停)から広域バスで約2時間の距離。
 
  
 
== 食文化の背景 ==
 
== 食文化の背景 ==
島嶼地域という特性から漁業、養殖業が盛んに行われている。郡内では四季折々の魚介が食卓にのぼり、春はイイダコ([[주꾸미]])、メフグ([[황복]])、春から初夏にかけてはワタリガニ([[꽃게]])や、マナガツオ([[병어]])、ツマリエツ([[반지]], [[밴댕이]])、秋はコノシロ([[전어]])や、コウライエビ([[대하]])、冬はボラ([[숭어]])といった魚介が旬を迎える。塩辛用として使われるアキアミ([[젓새우]])は5~6月を中心に秋冬もとれる。また江華郡は漢江、臨津江、礼成江という3つの河川が流れ込む河口地域に位置するため、堆積地として肥沃な土壌を有することから、漁業のみならず農業も盛んに行われている。米([[쌀]])、サツマイモ([[고구마]])、カブ([[순무]])、ブドウ([[포도]])、高麗人参([[인삼]])、ヨモギ([[쑥]])といった特産品があり、これらを利用した加工品も多く作られている。食品以外では、花紋席(화문석)と呼ばれる花ござの生産が盛んである。
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牙山市の北部は牙山湾に面し、かつては汽水域でとれるウナギ([[장어]])をはじめ多くの海産物が名産であった。ところが1970年代になって牙山湾防潮堤、挿橋川防潮堤などが相次いで建設されたことで、それまで海だった場所は人造湖へと変貌を遂げた。現在は仁州面傑梅里などにわずかな海が残るのみとなっており、漁業人口は激減している。一方で、ウナギ料理の専門店は仁州(インジュ、인주)地区にまだ多く、現在は養殖物が主となってはいるが、仁州ウナギ(インジュジャンオ、인주장어)の名前で地元の名物になっている。また、一部店舗では数少ないながら天然物のウナギも扱う。そのほか市内の塩峙(ヨムチ、염치)地区には牛焼肉の専門店が集っており、松岳面駅村里の「外岩民俗村(ウェアムミンソクチョン、외암민속촌)」では自家製の味噌や酒などを販売するとともに、入口付近の飲食店ではススブクミ(タカキビ餅、[[수수부꾸미]])が名物となっている。
  
 
== 代表的な料理 ==
 
== 代表的な料理 ==
江華郡の料理には旬の魚介を使った料理が多い。また、高麗時代に臨時首都が置かれた経緯から、王に献上された料理との逸話を持つものもある。
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牙山市の料理には国内有数の温泉地としての姿が密接にかかわっている。他地域から大勢の観光客が訪れるためウナギ焼きや牛焼肉といった高級料理が発達した。
 
 
=== ペンデンイフェ(ツマリエツの刺身/밴댕이회) ===
 
[[ファイル:15040902.JPG|thumb|300px|ペンデンイフェムチム]]
 
:ペンデンイフェはツマリエツの刺身。ペンデンイ([[밴댕이]])の和名はサッパであるが、仁川・江華島地域では見た目のよく似たツマリエツ([[반지]])をペンデンイと呼んでいる。4~7月を最盛期とするが、最近は冬でも全羅南道から冷蔵品が直送されており、旬以外の時期でも見かけるようになった。ペンデンイフェは新鮮なものを刺身にしたものか、または刺身を生野菜とともに辛いタレで和えたフェムチム(刺身和え、[[회무침]])でも味わう。フェムチムの場合は丼ごはんが用意され、フェドッパプ(刺身丼、[[회덮밥]])のように混ぜて食べることも多い。華道(화도)地区の後浦港(후포항)には「船首ペンデンイ村(선수밴댕이마을)」と呼ばれる地域があり、ペンデンイフェを中心とした刺身専門店が集まっている。
 
  
 
=== チャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이) ===
 
=== チャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이) ===
:チャンオグイはウナギ焼き。江華島と金浦市を分かつ江華海峡(강화해협)は、塩辛い川のようだという意味で塩河(염하)と呼ばれ、一帯では古くからウナギがよくとれた。近年は天然物の減少から漁獲量は激減しているが、それでも塩河沿いのトリミ(더리미)地区にはウナギ料理の専門店が集まっており、養殖、または天然環境で育てた養殖ウナギのチャンオグイを味わうことができる。
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*仁州チャンオ
 
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:牙山市の仁州(インジュ、인주)地区にはチャンオグイの専門店が集まっている。韓国観光公社が配布する『韓国の味紀行』という冊子(WEBでも閲覧可)ではその始まりを以下のように紹介している。
=== コッケタン(ワタリガニ鍋/꽃게탕) ===
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:「1973年に牙山湾の防潮堤が建設され牙山湾は塞がれ湖になりましたが、1977年には観光地として開発されることになり、観光客のための飲食店が立ち並び始めました。牙山湾の防潮堤と挿橋川の防潮堤の間の仁州面にうなぎの蒲焼きの食堂ができたのは、その直後の1980年代からだと言われています。昔ならではのノウハウを生かした韓方ソースを考案し、観光客の口コミで牙山湾のうなぎの蒲焼きが全国的に知られるようになりました。初めは数軒だったお店も徐々に増え、現在ではうなぎの蒲焼き村が形成されています。」<ref>[http://japanese.visitkorea.or.kr/jpn/taste/taste_index.jsp?cid=998506&regionCode=34,9 忠清南道味紀行] 、韓国観光公社ウェブサイト、2015年6月25日閲覧</ref>
[[ファイル:15040903.JPG|thumb|300px|コッケタン]]
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*老舗のチャンオグイ
:コッケタンはワタリガニ鍋。江華島沖はワタリガニの好漁場であり、4~6月には卵を持ったメスが西海岸の各漁港に水揚げされる。地元ではこの時期をいちばんの旬と考えるが、秋にももう1度旬があり、9月にはオスのワタリガニを、10~12月にはメスのワタリガニを味わう。内可面外浦里(내가면 외포리)にはコッケタンや、カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け、간장게장)を提供するワタリガニ料理の専門店が集まっており、「外浦里ワタリガニ村(외포리 꽃게마을)」と呼ばれる。
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:牙山市の得山洞(トゥクサンドン、득산동)には1936年創業の老舗チャンオグイ店「恋春(연춘)」がある([[牙山市の料理#老舗|老舗 恋春(연춘)]]参照)。
  
=== チョックッカルビ(豚カルビの塩辛鍋/젓국갈비) ===
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=== ソゴギグイ(牛焼肉/소고기구이) ===
:チョックッカルビは豚カルビの塩辛鍋。料理名のチョックッが塩辛の汁を意味する。ぶつ切りにした豚カルビを白菜、カボチャ、長ネギ、豆腐などとともに鍋で煮込む際、特産品であるアミの塩辛([[새우젓]])で味付けをするのが特徴である。料理の発祥として、高麗時代に臨時の都となった際、王に献上するための料理として開発されたと語られることがある。ただし、それを裏付ける史料はなく、あくまでも俗説のひとつと言わざるをえない。
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[[ファイル:15062502.JPG|thumb|300px|塩峙韓牛村]]
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:ソゴギグイ([[소고기구이]])は、牛焼肉(「[[ソゴギグイ(牛焼肉/소고기구이)]]」の項目も参照)。1980年代後半から市内の塩峙(ヨムチ、염치)地区には韓牛([[한우]])を扱う焼肉店が集まり始め、塩峙韓牛村、塩峙韓牛特化通りなどと呼ばれている。韓牛を使った焼肉のほか、[[ユッケジャン(牛肉の辛いスープ/육개장)]]なども名物に数えられる。古株店の「京東食堂(경동식당)」にはコドゥンシム([[고등심]])と呼ばれる希少部位があり、これは[[トゥンシム(牛ロースの焼肉/등심)]]の一部を指すものだが、カットしたときの形状がコドゥンオ(サバ、[[고등어]])に似ていることからコドゥンオトゥンシム(サバロース、[[고등어등심]])、それを略してコドゥンシムと呼んだものである。
  
=== ファンボクフェ(メフグの刺身/황복회) ===
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=== ススブクミ(タカキビ餅/수수부꾸미) ===
:ファンボクフェはメフグの刺身。春を旬とするが、近年は漁獲量が減っている。倉後里(창후리)に専門店が集まっている。
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[[ファイル:15062503.JPG|thumb|300px|ススブクミ]]
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:ススブクミ([[수수부꾸미]])は、タカキビ餅。松岳面駅村里にある外岩民俗村の入口付近には飲食店があり、白あんを入れて焼いたススブクミが名物となっている。
  
=== スンムギムチ(カブのキムチ/순무김치) ===
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=== 農家レストラン(농가맛집) ===
:スンムギムチはカブのキムチ。カブを大きめの角切りにし、カクトゥギ(大根の角切りキムチ、[[깍두기]])のように漬け込む。韓国ではあまりカブを食べる習慣がなく、カブのキムチといえば江華郡を連想するほど独特な存在である。
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:牙山市では農家の食文化を観光アイテムとして活用する「農家レストラン([[농가맛집]])」の発掘、開発、普及に力を入れている。また、これは国が地方と連携して行っている施策の一環でもある。農家の家屋や、その一部を飲食店、または体験プログラムの場として利用するもので、牙山市の農業技術センターによれば、2014年11月時点で松岳面江長里の「オドルゲ(오돌개)」、外岩里民俗村内の「豊徳古宅(풍덕고택)」の2ヶ所が稼働している(八田靖史の取材記録より、2014年11月6日)。
  
 
== 代表的な特産品 ==
 
== 代表的な特産品 ==
島嶼地域であることから魚介類が豊富であり、また農業も盛んに行われている。高麗人参の産地として知られるほか、獅子足ヨモギ(사자발쑥)と呼ばれる薬用ヨモギの栽培も盛んであるなど、漢方材の生産地という側面もある。
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牙山市では農業、畜産業が盛んで、一部の特産品ではブランド化も進められている。
 
 
=== 高麗人参 ===
 
[[ファイル:15040904.JPG|thumb|300px|江華高麗人参センター]]
 
:江華郡は高麗人参の名産地であり、その経緯を江華郡のウェブサイトでは、「朝鮮戦争が起こると高麗人参の本拠地である開城の人たちがここに避難し、1953年から本格的に栽培が行われた」(原文1)<ref>[http://www.ganghwa.incheon.kr/open_content/tour/special_product/goods/ginseng.jsp 특산물 강화인삼] 、江華郡ウェブサイト、2015年4月7日閲覧</ref>と説明している。現在も江華郡では高麗人参の栽培が盛んに行われており、また2010年頃からは田んぼを再利用しての栽培も始まっている。もともと高麗人参栽培は畑作が中心であるが、土地の栄養を吸い尽くしてしまうため連作ができないとの特性があり、農地の確保が難しかった。田んぼでの栽培はまだ技術的に難しい部分も残るが、農地拡充の可能性を広げるため江華郡でも盛んに技術が研究されている。また、江華高麗人参農協では外部へのPRを目的として、観光客向けに高麗人参堀りの体験プログラムなども実施している(八田靖史の取材記録より、2015年3月30日)。
 
 
 
:【原文1】한국전쟁이 터지자 인삼의 본거지인 개성사람들이 이곳에 피난와 1953년부터 본격 재배가 이루어 졌다.
 
 
 
*江華高麗人参センター
 
:江華郡庁や江華市外バスターミナルからほど近い中心部の江華邑甲串里には、五日市場の風物市場(풍물시장)と並んで江華高麗人参センター(강화인삼센터)がある。交通の便利な場所であるため、江華島観光では人気のスポットとなっており、生の高麗人参をはじめ、蜂蜜漬けや韓方茶、菓子などの高麗人参製品も購入できる。なお、生の高麗人参を日本に持ち込む場合は、丁寧に土を除いたうえで検疫を通す必要がある<ref>[http://www.kansyoku-life.com/2013/10/1632.html 韓国から生の高麗人参を持ち帰る方法(個人消費用)。] 、韓食生活、2015年4月9日閲覧</ref>。
 
  
=== アミの塩辛 ===
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=== 牙山マルグンサル(아산맑은쌀) ===
:江華郡は韓国を代表するアミの塩辛([[새우젓]])の一大生産地である。江華島西部の外浦里には外浦港塩辛水産市場(외포항젓갈수산시장)があり、毎年10月頃には「江華島アミの塩辛祭り(강화도새우젓축제)」が開催される。郡内の市場ではアミの塩辛を豊富に扱っており、5月に漬け込むオジョッ([[오젓]])、6月に漬け込むユッチョッ([[육젓]])、秋に漬け込むチュジョッ([[추젓]])、冬に漬け込むトンベッカジョッ([[동백하젓]])が代表的な分類である。これらはキムチを漬け込む際の調味用に使われるほか、茹で豚につけて食べたり、鍋料理の味付けにも利用する。
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:米は牙山市の特産品であり「牙山マルグンサル(아산맑은쌀)」というブランド米を流通させている。マルグンサルとは澄んだ米、清浄な米という意味である。
  
=== 獅子足ヨモギ ===
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=== 道後温泉硫黄豚(도고온천유황돈) ===
:獅子足ヨモギ(사자발쑥)は江華郡で栽培されるヨモギのブランド名である。食用としてよりも薬用としての利用が多く、ヤクスッ(薬ヨモギ、약쑥)との呼び名でも広く浸透している。特産品としての歴史は古く、1530年に編纂された「新増東国輿地勝覧」を見ると、第12巻江華都護府の項目に特産品として「獅子足艾」との記載がある<ref>[http://db.itkc.or.kr/index.jsp?bizName=MK&url=/itkcdb/text/nodeViewIframe.jsp?bizName=MK&seojiId=kc_mk_g012&gunchaId=av012&muncheId=01&finId=002&NodeId=&setid=985199&Pos=2&TotalCount=3&searchUrl=ok 신증동국여지승람 제12권] 、韓国古典総合DB、2015年4月8日閲覧</ref>。郡内ではエキスを搾ったものを生薬として服用したり、または灸や、スッチム(ヨモギ蒸し)の素材としても利用される。石鹸や化粧品に利用することもあり、これらは土産物にもなっている。食用としての利用は少ないが、ヨモギ茶([[쑥차]])にしたり、または獅子足ヨモギを飼料として育てた韓牛([[한우]])を提供する飲食店もある。
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[[ファイル:15062504.JPG|thumb|300px|温陽温泉伝統市場内にある道後温泉硫黄豚の販売店]]
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:硫黄泉で有名な道後温泉地区では、硫黄を飼料に加えて育てた豚を特産品として育成している。市内の精肉店で販売されるほか、飲食店でも提供されている。
  
 
== 代表的な酒類・飲料 ==
 
== 代表的な酒類・飲料 ==
=== 江華郡のマッコリ ===
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=== 牙山市のマッコリ ===
:主要な銘柄にチャヌムルの「高香(고향)」、江華温水醸造場の「民族(민족)」がある。また、特産品を活かした高麗人参マッコリや、ヨモギマッコリなども市販されている。
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:特産品の牙山マルグンサルを利用したマッコリなどが流通しており、オナ濁酒共同製造場(온아탁주공동제조장)、陰峰醸造場(음봉양조장)、タウォン酒家(다원주가)といった酒造会社がマッコリを造っている。
  
*江華温水醸造場(강화온수양조장)
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=== 牙山蓮葉酒(아산연엽주) ===
[[ファイル:15040905.JPG|thumb|300px|江華温水醸造場]]
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:忠清南道牙山市松岳面外岩里の李家に伝わるハスの葉を加えた民俗酒。もち米とうるち米を混ぜて原料とした醸造酒で、忠清南道の無形文化財第11号に指定される<ref>[http://www.cha.go.kr/korea/heritage/search/Culresult_Db_View.jsp?mc=NS_04_03_01&VdkVgwKey=22,00110000,34 1300년 아산연엽주] 、文化財庁ウェブサイト、2015年6月24日閲覧</ref>。
:仁川市江華郡吉祥面に位置する江華温水醸造場は1924年の創業(実際は1923年の創業で法的な登記が1924年)で、ソウル、京畿道地域においてはもっとも古い醸造場である。3代目の社長によれば「ソウル、京畿道地域で現在営業する醸造場の多くが、江華温水醸造場で必要な技術を学んでおり、その人数は3~400人になるだろう」とのことである(八田靖史の取材記録より、2015年3月30日)。醸造場の建物は築100年を超えるもので、建築的な価値も高いとされる。
 
  
 
== 老舗 ==
 
== 老舗 ==
[[ファイル:15040906.JPG|thumb|300px|1953年創業のウリオク]]
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[[ファイル:15062505.JPG|thumb|300px|恋春のチャンオグイ(右)とタックイ]]
*仁川市江華郡江華邑に位置する「ウリオク(우리옥)」は1953年創業である。江華郡においてはもっとも古い飲食店であり、また仁川市内においても1945年創業の「平壌屋(평양옥)」に次いで2番目に古い。魚介料理を自慢とする定食店で、ハンシクペッパン(韓国料理定食、한식백반)と呼ばれる5000ウォンの基本定食に、好みでチゲや刺身などを追加するシステムを取っている。追加用の料理にはテグチゲ(タラの鍋、대구찌개)、ピョンオチゲ(マナガツオの鍋、병어찌개)、ピョンオフェ(マナガツオの刺身、병어회)、プルコギ(牛焼肉、불고기)などがある。
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*恋春(연춘)
:店名:ウリオク(우리옥)
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:牙山市の得山洞(トゥサンドン、득산동)に位置するウナギ料理店の「恋春(연춘)」は1936年創業である。牙山市においてはもっとも古い飲食店であり、また韓国内でもウナギ料理の専門店としてもっとも古い。1926年に造られた人造湖の神井湖(シンジョンホ、신정호)湖に位置し、日本統治時代に建てられた家屋をそのまま残している。店主によれば「温泉地である牙山には創業当時、日本人が休養地としてよく訪れており、日本人に向けた高級料理としてウナギを出すようになった。当時は近くに光興楼という楼閣があったため、『光興楼観光食堂』という名前を掲げ、ウナギ料理と韓定食を扱った。後に『迎春』と名前を変え、また現在は『恋春』としている。春を迎える、春に恋するというのは、もともとウナギのオフシーズンである9月末から3月は営業をせず、春を待って営業を始めたことに由来する」(八田靖史の取材記録より、2014年12月17日)。現在もメニューにはチャンオグイ(ウナギ焼き、장어구이)を筆頭に掲げ、ウナギと同じタレで焼いたタックイ(鶏肉焼き、[[닭구이]])も他店ではあまり見ない名物として親しまれる。
:住所:仁川市江華郡江華邑南山キル12(新門里184)
 
:住所:인천시 강화군 강화읍 남산길 12
 
:電話:032-934-2427
 
  
 
== 飲食店情報 ==
 
== 飲食店情報 ==
 
以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。
 
以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。
  
*江華島ヨモギ韓牛(강화섬약쑥한우)
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*ソルメジャント(솔뫼장터)
:住所:仁川市江華郡仙源面仙源寺址路32(新井里247-1)
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:住所:忠清南道牙山市松岳面講堂路36(駅村里71-1)
:住所:인천시 강화군 선원면 선원사지로 32(신정리 247-1)
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:住所:충청남도 아산시 송악면 강당로 36(역촌리 71-1)
:電話:032-934-1212
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:電話:041-544-7554
:料理:焼肉
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:料理:ススブクミ(タカキビ餅)、[[チャンチグクス(にゅうめん/잔치국수)|チャンチグクス(にゅうめん)]]
 
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*恋春(연춘)
*ソンチャンチプ(선창집)
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:住所:忠清南道牙山市神井湖キル67(得山洞15-3)
:住所:仁川市江華郡仙源面海岸東路1199(神井里320-3)
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:住所:충청남도 아산시 신정호길 67(득산동 15-3)
:住所:인천시 강화군 선원면 해안동로 1199(신정리 320-3)
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:電話:041-545-2866
:電話:032-933-7628
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:料理:[[チャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이)|チャンオグイ(ウナギ焼き)]]、タックイ(鶏焼き)
:料理:チャンオグイ
 
 
 
*三郎城(삼랑성)
 
:住所:仁川市江華群吉祥面伝燈寺路56(温水里660)
 
:住所:인천시 강화군 길상면 전등사로 56(온수리 660)
 
:電話:032-937-0397
 
:料理:ポリパプ(麦飯定食)
 
 
 
*ワンジャジョンムッパプ(왕자정묵밥)
 
:住所:仁川市江華郡江華邑北門キル55(官庁里750-7)
 
:住所:인천시 강화군 강화읍 북문길 55(관청리 750-7)
 
:電話:032-933-7807
 
:料理:チョックッカルビ
 
  
*ウリオク(우리옥)
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*塩峙食堂(염치식당)
:住所:仁川市江華郡江華邑南山キル12(新門里184)
+
:住所:忠清南道牙山市塩峙邑塩星キル110(塩峙邑268-10)
:住所:인천시 강화군 강화읍 남산길 12
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:住所:충청남도 아산시 염치읍 염성길 110(염치읍 268-10)
:電話:032-934-2427
+
:電話:041-542-2768
:料理:ピョンオチゲ(マナガツオの鍋)
+
:料理:[[ソゴギグイ(牛焼肉/소고기구이)|ソゴギグイ(牛焼肉)]]
  
*忠南瑞山家(충남서산집)
+
*イルシンチョクタン(일신족탕)
:住所:仁川市江華郡内可面中央路1200(外浦里385)
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:住所:忠清南道牙山市市民路382(温泉洞221-11)
:住所:인천시 강화군 내가면 중앙로 1200(외포리 385)
+
:住所:충청남도 아산시 시민로 382(온천동 221-11)
:電話:032-933-8403
+
:電話:041-545-2696
:料理:コッケタン、カンジャンケジャン
+
:料理:[[ウジョクタン(牛の足のスープ/우족탕)|ウジョクタン(牛の足のスープ)]]
  
 
== エピソード ==
 
== エピソード ==
*韓食ペディアの執筆者である八田靖史は留学時代である2001年11月に語学堂の卒業旅行として初めて江華郡を訪れた。以後、2009年11月、2014年1月、2月、2015年3月の計5度訪問している。
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*韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2014年11月に初めて牙山市を訪れた。以後、2014年12月、2015年2月の計3度訪問している。
*2001年11月の卒業旅行時、観光中にふざけていた八田靖史は城壁から落下しかけ、危ういところで命が助かるという衝撃的な事件があった。
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*2014年12月に八田靖史が牙山市観光課を訪れた際、担当者にチョクタン(牛足のスープ、[[족탕]])の店を尋ねたつもりが、同音異義語である足湯のパンフレットを出され、慌てて訂正したことがある。
  
 
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== 外部リンク ==
 
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*[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活]
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;関連サイト
*[http://tour.ganghwa.incheon.kr/ 江華郡文化観光(韓国語)]
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*[http://www.asan.go.kr/culture/ 牙山市文化観光(韓国語)]
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;制作者関連サイト
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*[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活](韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
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*[http://www.kansyoku-life.com/profile 八田靖史プロフィール](八田靖史のプロフィール)
  
 
== 関連項目 ==
 
== 関連項目 ==
*[[カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)]]
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*[[コッケタン(ワタリガニ鍋/꽃게탕)]]
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*[[トゥンシム(牛ロースの焼肉/등심)]]
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*[[ソゴギグイ(牛焼肉/소고기구이)]]
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*[[ウジョクタン(牛の足のスープ/우족탕)]]
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*[[ユッケジャン(牛肉の辛いスープ/육개장)]]
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*[[チャンチグクス(にゅうめん/잔치국수)]]
 
*[[チャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이)]]
 
*[[チャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이)]]
 
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[[Category:忠清南道・大田市・世宗市の料理]]
 
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2024年7月20日 (土) 02:28時点における最新版

この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。掲載されている情報によって被った損害、損失に対して一切の責任を負いません。また、内容は随時修正されます。

牙山市(アサンシ、아산시)は忠清南道に位置する地域。本ページでは牙山市の料理、特産品について解説する。

外岩民俗村

地域概要

牙山市は忠清南道の北部に位置する地域。市の北部は京畿道平沢市、東部は忠清南道天安市、南部は忠清南道公州市、南西部は忠清南道礼山郡、西部は忠清南道唐津市と接する。また、市の北西部は牙山湾(아산만)に面し、黄海へとつながる。人口は33万6690人(2023年3月)[1]。韓国でも有数の温泉地として知られ、温陽温泉(オニャンオンチョン、온양온천)、牙山温泉(アサンオンチョン、아산온천)、道高温泉(トゴオンチョン、도고온천)などを有する。中でも温陽温泉の歴史は記録上、百済時代、統一新羅時代までさかのぼるとされ、高麗時代にはこの地域を温水郡(オンスグン、온수군)と呼んだ歴史もある。朝鮮時代には歴代の王も温陽温泉を訪れ、休養をしたり、病気の治療を行っている[2]ソウル市(東ソウルバスターミナル、南部バスターミナル)から高速バスで約2時間の距離。またはソウル駅から高速鉄道のKTXに乗れば天安牙山駅まで約40分で到着する。ソウル市の地下鉄1号線が温陽温泉駅まで伸びているので、時間はかかるものの例えば市庁駅から乗ると約2時間20分で到着する。

食文化の背景

牙山市の北部は牙山湾に面し、かつては汽水域でとれるウナギ(장어)をはじめ多くの海産物が名産であった。ところが1970年代になって牙山湾防潮堤、挿橋川防潮堤などが相次いで建設されたことで、それまで海だった場所は人造湖へと変貌を遂げた。現在は仁州面傑梅里などにわずかな海が残るのみとなっており、漁業人口は激減している。一方で、ウナギ料理の専門店は仁州(インジュ、인주)地区にまだ多く、現在は養殖物が主となってはいるが、仁州ウナギ(インジュジャンオ、인주장어)の名前で地元の名物になっている。また、一部店舗では数少ないながら天然物のウナギも扱う。そのほか市内の塩峙(ヨムチ、염치)地区には牛焼肉の専門店が集っており、松岳面駅村里の「外岩民俗村(ウェアムミンソクチョン、외암민속촌)」では自家製の味噌や酒などを販売するとともに、入口付近の飲食店ではススブクミ(タカキビ餅、수수부꾸미)が名物となっている。

代表的な料理

牙山市の料理には国内有数の温泉地としての姿が密接にかかわっている。他地域から大勢の観光客が訪れるためウナギ焼きや牛焼肉といった高級料理が発達した。

チャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이)

  • 仁州チャンオ
牙山市の仁州(インジュ、인주)地区にはチャンオグイの専門店が集まっている。韓国観光公社が配布する『韓国の味紀行』という冊子(WEBでも閲覧可)ではその始まりを以下のように紹介している。
「1973年に牙山湾の防潮堤が建設され牙山湾は塞がれ湖になりましたが、1977年には観光地として開発されることになり、観光客のための飲食店が立ち並び始めました。牙山湾の防潮堤と挿橋川の防潮堤の間の仁州面にうなぎの蒲焼きの食堂ができたのは、その直後の1980年代からだと言われています。昔ならではのノウハウを生かした韓方ソースを考案し、観光客の口コミで牙山湾のうなぎの蒲焼きが全国的に知られるようになりました。初めは数軒だったお店も徐々に増え、現在ではうなぎの蒲焼き村が形成されています。」[3]
  • 老舗のチャンオグイ
牙山市の得山洞(トゥクサンドン、득산동)には1936年創業の老舗チャンオグイ店「恋春(연춘)」がある(老舗 恋春(연춘)参照)。

ソゴギグイ(牛焼肉/소고기구이)

塩峙韓牛村
ソゴギグイ(소고기구이)は、牛焼肉(「ソゴギグイ(牛焼肉/소고기구이)」の項目も参照)。1980年代後半から市内の塩峙(ヨムチ、염치)地区には韓牛(한우)を扱う焼肉店が集まり始め、塩峙韓牛村、塩峙韓牛特化通りなどと呼ばれている。韓牛を使った焼肉のほか、ユッケジャン(牛肉の辛いスープ/육개장)なども名物に数えられる。古株店の「京東食堂(경동식당)」にはコドゥンシム(고등심)と呼ばれる希少部位があり、これはトゥンシム(牛ロースの焼肉/등심)の一部を指すものだが、カットしたときの形状がコドゥンオ(サバ、고등어)に似ていることからコドゥンオトゥンシム(サバロース、고등어등심)、それを略してコドゥンシムと呼んだものである。

ススブクミ(タカキビ餅/수수부꾸미)

ススブクミ
ススブクミ(수수부꾸미)は、タカキビ餅。松岳面駅村里にある外岩民俗村の入口付近には飲食店があり、白あんを入れて焼いたススブクミが名物となっている。

農家レストラン(농가맛집)

牙山市では農家の食文化を観光アイテムとして活用する「農家レストラン(농가맛집)」の発掘、開発、普及に力を入れている。また、これは国が地方と連携して行っている施策の一環でもある。農家の家屋や、その一部を飲食店、または体験プログラムの場として利用するもので、牙山市の農業技術センターによれば、2014年11月時点で松岳面江長里の「オドルゲ(오돌개)」、外岩里民俗村内の「豊徳古宅(풍덕고택)」の2ヶ所が稼働している(八田靖史の取材記録より、2014年11月6日)。

代表的な特産品

牙山市では農業、畜産業が盛んで、一部の特産品ではブランド化も進められている。

牙山マルグンサル(아산맑은쌀)

米は牙山市の特産品であり「牙山マルグンサル(아산맑은쌀)」というブランド米を流通させている。マルグンサルとは澄んだ米、清浄な米という意味である。

道後温泉硫黄豚(도고온천유황돈)

温陽温泉伝統市場内にある道後温泉硫黄豚の販売店
硫黄泉で有名な道後温泉地区では、硫黄を飼料に加えて育てた豚を特産品として育成している。市内の精肉店で販売されるほか、飲食店でも提供されている。

代表的な酒類・飲料

牙山市のマッコリ

特産品の牙山マルグンサルを利用したマッコリなどが流通しており、オナ濁酒共同製造場(온아탁주공동제조장)、陰峰醸造場(음봉양조장)、タウォン酒家(다원주가)といった酒造会社がマッコリを造っている。

牙山蓮葉酒(아산연엽주)

忠清南道牙山市松岳面外岩里の李家に伝わるハスの葉を加えた民俗酒。もち米とうるち米を混ぜて原料とした醸造酒で、忠清南道の無形文化財第11号に指定される[4]

老舗

恋春のチャンオグイ(右)とタックイ
  • 恋春(연춘)
牙山市の得山洞(トゥサンドン、득산동)に位置するウナギ料理店の「恋春(연춘)」は1936年創業である。牙山市においてはもっとも古い飲食店であり、また韓国内でもウナギ料理の専門店としてもっとも古い。1926年に造られた人造湖の神井湖(シンジョンホ、신정호)湖に位置し、日本統治時代に建てられた家屋をそのまま残している。店主によれば「温泉地である牙山には創業当時、日本人が休養地としてよく訪れており、日本人に向けた高級料理としてウナギを出すようになった。当時は近くに光興楼という楼閣があったため、『光興楼観光食堂』という名前を掲げ、ウナギ料理と韓定食を扱った。後に『迎春』と名前を変え、また現在は『恋春』としている。春を迎える、春に恋するというのは、もともとウナギのオフシーズンである9月末から3月は営業をせず、春を待って営業を始めたことに由来する」(八田靖史の取材記録より、2014年12月17日)。現在もメニューにはチャンオグイ(ウナギ焼き、장어구이)を筆頭に掲げ、ウナギと同じタレで焼いたタックイ(鶏肉焼き、닭구이)も他店ではあまり見ない名物として親しまれる。

飲食店情報

以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。

  • ソルメジャント(솔뫼장터)
住所:忠清南道牙山市松岳面講堂路36(駅村里71-1)
住所:충청남도 아산시 송악면 강당로 36(역촌리 71-1)
電話:041-544-7554
料理:ススブクミ(タカキビ餅)、チャンチグクス(にゅうめん)
  • 恋春(연춘)
住所:忠清南道牙山市神井湖キル67(得山洞15-3)
住所:충청남도 아산시 신정호길 67(득산동 15-3)
電話:041-545-2866
料理:チャンオグイ(ウナギ焼き)、タックイ(鶏焼き)
  • 塩峙食堂(염치식당)
住所:忠清南道牙山市塩峙邑塩星キル110(塩峙邑268-10)
住所:충청남도 아산시 염치읍 염성길 110(염치읍 268-10)
電話:041-542-2768
料理:ソゴギグイ(牛焼肉)
  • イルシンチョクタン(일신족탕)
住所:忠清南道牙山市市民路382(温泉洞221-11)
住所:충청남도 아산시 시민로 382(온천동 221-11)
電話:041-545-2696
料理:ウジョクタン(牛の足のスープ)

エピソード

  • 韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2014年11月に初めて牙山市を訪れた。以後、2014年12月、2015年2月の計3度訪問している。
  • 2014年12月に八田靖史が牙山市観光課を訪れた際、担当者にチョクタン(牛足のスープ、족탕)の店を尋ねたつもりが、同音異義語である足湯のパンフレットを出され、慌てて訂正したことがある。

脚注

  1. 주민등록 인구 및 세대현황 、行政安全部ウェブサイト、2023年4月9日閲覧
  2. 1300년 온천역사 、牙山市ウェブサイト、2015年5月22日閲覧
  3. 忠清南道味紀行 、韓国観光公社ウェブサイト、2015年6月25日閲覧
  4. 1300년 아산연엽주 、文化財庁ウェブサイト、2015年6月24日閲覧

外部リンク

関連サイト
制作者関連サイト

関連項目