「トックッ(韓国式の雑煮/떡국)」の版間の差分

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'''トックッ'''([[떡국]])は、韓国式の雑煮。
  
'''トックッ'''([[떡국]])は、韓国式の雑煮。トッ([[떡]])は餅、クッ([[국]])は汁、またはスープの意。古くはピョンタン(餅湯、[[병탕]])とも呼ばれた。主に牛の肩バラ肉([[양지머리]])を煮込んでスープを作り、カレトク([[가래떡]])、またはヒントク([[흰떡]])と呼ばれるうるち米で作った細長い棒状の餅を、小判型に薄く切って入れる。なお、細長い形は長寿を、小判型は富裕を意味する。味付けは醤油、塩で整え、みじん切りニンニクなどを加える。そのほか溶き卵、刻み海苔、刻みネギを加えたり、炒めた牛肉や、またはサンジョク(牛肉や野菜の串焼き、[[산적]])を載せることもある。また、具として[[マンドゥ(餃子/만두)]]を加えたものは、[[トッマンドゥクッ(餅入り餃子スープ/떡만두국)]]と呼ぶ。日本の雑煮と同様、韓国でも正月料理として欠かせない一品であるが、正月にのみ食べられるという訳ではなく、食堂や粉食店では1年を通してメニューに載せられている。類似の料理としては、雪だるま型の餅を使う[[チョレンイトックッ(開城式の雑煮/조랭이떡국)]]がある。
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== 概要 ==
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トッ([[떡]])は餅、クッ([[국]])は汁、またはスープの意。古くはピョンタン(餅湯、[[병탕]])とも呼ばれた。牛の肩バラ肉([[양지머리]])や鶏肉を煮込んでスープを作り、うるち米で作った細長い棒状の餅を、小判型に薄く切って入れる。味付けは醤油、塩で整え、みじん切りニンニクなどを加える。そのほか溶き卵、刻み海苔、刻みネギを加えたり、炒めた牛肉や、またはサンジョク(牛肉や野菜の串焼き、[[산적]])を載せることもある。また、具として[[マンドゥ(餃子/만두)]]を加えたものは、[[トッマンドゥクッ(餅入り餃子スープ/떡만두국)]]と呼ぶ。日本の雑煮と同様、韓国でも正月料理として欠かせない一品であるが、正月にのみ食べられるという訳ではなく、食堂や粉食店では1年を通してメニューに載せられている。類似の料理としては、雪だるま型の餅を使う[[チョレンイトックッ(開城式の雑煮/조랭이떡국)]]がある。
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*カレトク
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[[ファイル:22031902.JPG|thumb|300px|棒状に切った[[トッポッキ(餅炒め/떡볶이)|トッポッキ(餅炒め)]]用の餅と(写真左と右手前)、小判型にスライスしたトックッ用の餅(右奥)]]
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:トックッに用いる棒状の餅をカレトク([[가래떡]])、またはヒントク([[흰떡]])と呼ぶ。棒状に作ったものをななめにスライスして小判型にするが、細長い形は長寿を、小判型は富裕を意味する。
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*『東国歳時記』(1849年)の記述
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:洪錫謨によって1849年に書かれた『東国歳時記([[동국세시기]])』には、当時の歳時風俗が月ごとにまとめられており、1月の項目にはトックッに関する記述がある。「粳米の粉を蒸して大きな板のうえに置き、杵をもって無数に搗いてのち、長く引きのばしてつくった餅を白餅([[흰떡]])という。これを銭型に薄く輪切りにし、すまし汁に牛肉または雉肉を入れて炊き、とうがらし粉をふりかけたものを餅湯([[떡국]])という。これは祭祀の供え物として、お客の接待用としてつかわれるので、歳饌として無ければならないものである。お汁に入れてたいたものだから、昔の湿麺がこれに似たものである。店では時食としてこれを売る。俗に年齢をたずねるとき、餅湯を幾椀食べたか、といわれる所以である。」と説明されている。文末にあるように、トックッは正月に必ず食べる料理であることから、「トックッを何杯食べたか」との問いは年齢を尋ねる意味で使われる。<ref>洪錫謨・他、姜在彦(訳注),  1971,  『朝鮮歳時記』平凡社,  P20</ref>。
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*ソルラル(설날)
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:ソルラル([[설날]])は、旧正月(陰暦1月1日)。旧正(クジョン、구정)とも呼ぶ。韓国における名節([[명절]]、節句)のひとつであり、寒食([[한식]]、冬至から105日後)、端午([[단오]]、陰暦5月5日)、秋夕([[추석]]、陰暦8月15日)とともに4大名節とされる。その前後を含めて連休となり、多くの人が帰省をしたり、家族や親族らと集まって過ごす。ソルラルの行事には、新年の挨拶である「歳拝(セベ、세배)」や、祖先祭祀の「茶礼(チャレ、[[차례]])」、祖先の墓参りを指す「省墓(ソンミョ、성묘)」などがある。茶礼の際に祖先へ捧げる食膳を「茶礼床(チャレサン、[[차례상]])」と呼び、供えられた料理の数々は、茶礼の後に参加者で分け合って食べる。これを祖先の徳にあやかるとの意味から「飲福(ウムボク、[[음복]])」と呼び、トックッなどとともに正月料理となる。なお、陽暦の1月1日は新正(シンジョン、신정)と呼ばれる祝日ではあるが、その前後は連休ではなく、新年の行事はほぼ陰暦で行われる。2024年以降のソルラルは以下の通りである。
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== 脚注 ==
 
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*[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活](韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
 
*[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活](韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
 
*[http://www.kansyoku-life.com/profile 八田靖史プロフィール](八田靖史のプロフィール)
 
*[http://www.kansyoku-life.com/profile 八田靖史プロフィール](八田靖史のプロフィール)
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== 関連項目 ==
 
== 関連項目 ==
 
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*[[トッマンドゥクッ(餅入り餃子スープ/떡만두국)]]
 
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*[[マンドゥ(餃子/만두)]]
 
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*[[チョレンイトックッ(開城式の雑煮/조랭이떡국)]]
 
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[[Category:餅・菓子・甘味・軽食の一覧]]

2024年7月6日 (土) 03:56時点における最新版

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トックッ

トックッ떡국)は、韓国式の雑煮。

概要

トッ()は餅、クッ()は汁、またはスープの意。古くはピョンタン(餅湯、병탕)とも呼ばれた。牛の肩バラ肉(양지머리)や鶏肉を煮込んでスープを作り、うるち米で作った細長い棒状の餅を、小判型に薄く切って入れる。味付けは醤油、塩で整え、みじん切りニンニクなどを加える。そのほか溶き卵、刻み海苔、刻みネギを加えたり、炒めた牛肉や、またはサンジョク(牛肉や野菜の串焼き、산적)を載せることもある。また、具としてマンドゥ(餃子/만두)を加えたものは、トッマンドゥクッ(餅入り餃子スープ/떡만두국)と呼ぶ。日本の雑煮と同様、韓国でも正月料理として欠かせない一品であるが、正月にのみ食べられるという訳ではなく、食堂や粉食店では1年を通してメニューに載せられている。類似の料理としては、雪だるま型の餅を使うチョレンイトックッ(開城式の雑煮/조랭이떡국)がある。

  • カレトク
棒状に切ったトッポッキ(餅炒め)用の餅と(写真左と右手前)、小判型にスライスしたトックッ用の餅(右奥)
トックッに用いる棒状の餅をカレトク(가래떡)、またはヒントク(흰떡)と呼ぶ。棒状に作ったものをななめにスライスして小判型にするが、細長い形は長寿を、小判型は富裕を意味する。
  • 『東国歳時記』(1849年)の記述
洪錫謨によって1849年に書かれた『東国歳時記(동국세시기)』には、当時の歳時風俗が月ごとにまとめられており、1月の項目にはトックッに関する記述がある。「粳米の粉を蒸して大きな板のうえに置き、杵をもって無数に搗いてのち、長く引きのばしてつくった餅を白餅(흰떡)という。これを銭型に薄く輪切りにし、すまし汁に牛肉または雉肉を入れて炊き、とうがらし粉をふりかけたものを餅湯(떡국)という。これは祭祀の供え物として、お客の接待用としてつかわれるので、歳饌として無ければならないものである。お汁に入れてたいたものだから、昔の湿麺がこれに似たものである。店では時食としてこれを売る。俗に年齢をたずねるとき、餅湯を幾椀食べたか、といわれる所以である。」と説明されている。文末にあるように、トックッは正月に必ず食べる料理であることから、「トックッを何杯食べたか」との問いは年齢を尋ねる意味で使われる。[1]
  • ソルラル(설날)
ソルラル(설날)は、旧正月(陰暦1月1日)。旧正(クジョン、구정)とも呼ぶ。韓国における名節(명절、節句)のひとつであり、寒食(한식、冬至から105日後)、端午(단오、陰暦5月5日)、秋夕(추석、陰暦8月15日)とともに4大名節とされる。その前後を含めて連休となり、多くの人が帰省をしたり、家族や親族らと集まって過ごす。ソルラルの行事には、新年の挨拶である「歳拝(セベ、세배)」や、祖先祭祀の「茶礼(チャレ、차례)」、祖先の墓参りを指す「省墓(ソンミョ、성묘)」などがある。茶礼の際に祖先へ捧げる食膳を「茶礼床(チャレサン、차례상)」と呼び、供えられた料理の数々は、茶礼の後に参加者で分け合って食べる。これを祖先の徳にあやかるとの意味から「飲福(ウムボク、음복)」と呼び、トックッなどとともに正月料理となる。なお、陽暦の1月1日は新正(シンジョン、신정)と呼ばれる祝日ではあるが、その前後は連休ではなく、新年の行事はほぼ陰暦で行われる。2024年以降のソルラルは以下の通りである。
  • 2024年2月10日(土)
  • 2025年1月29日(水)
  • 2026年2月17日(火)
  • 2027年2月7日(日)
  • 2028年1月27日(木)
  • 2029年2月13日(火)
  • 2030年2月3日(日)
  • 2031年1月23日(木)
  • 2032年2月11日(水)
  • 2033年1月22日(日)

脚注

  1. 洪錫謨・他、姜在彦(訳注), 1971, 『朝鮮歳時記』平凡社, P20

外部リンク

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関連項目