「蔚山市の料理」の版間の差分

提供: 韓食ペディア
ナビゲーションに移動 検索に移動
(ページの作成:「{{Notice}} '''蔚山市'''(ウルサンシ、울산시)は韓国南東部に位置する広域市。本ページでは蔚山市の料理、特産品について解...」)
(相違点なし)

2016年3月24日 (木) 17:06時点における版

この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。掲載されている情報によって被った損害、損失に対して一切の責任を負いません。また、内容は随時修正されます。

蔚山市(ウルサンシ、울산시)は韓国南東部に位置する広域市。本ページでは蔚山市の料理、特産品について解説する。

利川市内の陶磁器店

地域概要

蔚山市は韓国南東部に位置する広域市(韓国に6ヶ所ある上級地方自治体)。慶尚北道の慶州市、清道郡、慶尚南道の密陽市、梁山市、釜山広域市の機張郡と接する。人口は119万2262人(2014年12月) [1]。1960年代以降、韓国最大の工業都市として経済発展を支え、漢江の奇跡を成し遂げる原動力となった。現在も現代重工業、現代自動車、SKイノベーション、S-Oilといった韓国有数の大企業が本社や工場を置き、重工業と石油化学の町として栄える。一方で、古くからの捕鯨文化を守る町という側面もあり、市内の長生浦(チャンセンポ)地区は韓国で唯一のクジラ文化特区に指定される。ソウル(ソウル駅)から蔚山駅までは高速鉄道のKTXで約2時間10分の距離。釜山駅からは同じくKTXで20分の距離。

食文化の背景

南漢江の川魚を使った鍋料理

蔚山という地名は原三国時代(三韓時代)にこの地を統治した于尸山国(우시산국)に由来し、山に囲まれた地域を意味する。現在でこそ港湾都市、工業都市としての印象が強くあるものの、内陸部の蔚州郡には嶺南アルプスという景色の美しい山岳地域が連なり、自然の豊かな地域でもある。沿岸部では漁業、養殖業も盛んに行われており、中でも沿岸部の亭子港(정자항)で生産する天然のワカメ(돌미역)は全国的にもブランド価値が高い。蔚州郡の彦陽(언양)地区は古くから交通の要衝であり、日本統治時代以降に牛市場が置かれたことから牛肉料理が発達している。

代表的な料理

代表的な料理には長生浦地区のクジラ料理や、蔚州郡の牛肉料理、沿岸部の刺身、魚介料理などがある。

クジラ料理(고래고기 요리)

彦陽プルコギ(彦陽式の牛焼肉/언양불고기)

1人前のサルバプチョンシク
サルバプとは米飯の意味であり、1人前ずつ釜炊きしたごはんにたくさんの副菜を添えた定食をサルバプチョンシクと称している。副菜はハンジョンシク(韓定食/한정식)のようにテーブルを埋め尽くすほどに並べられ、テンジャンチゲ(味噌鍋/된장찌개)プルコギ(牛焼肉/불고기)センソングイ(焼き魚/생선구이)といったごはんに合う料理が多い。多くの店では副菜の種類や品数によって価格を細分化している。釜のごはんは別の茶碗に取り分け、熱の残った釜には水やお茶を注いでヌルンジ(おこげ湯/누룽지)としても味わう。

フェ(刺身/회)

チャムガジャミミヨックッ(マガレイ入りワカメスープ/참가자미미역국)

ヘッパン(太陽饅頭/해빵)

代表的な特産品

北区の亭子港では天然のワカメがとれるほか、ズワイガニやマガレイの産地としても有名。

チョンジャカク(亭子ワカメ/정자각)

飲食店で利川米のごはんを盛り付けているところ
米は利川市の特産品であり「紫彩サル(자채쌀)」という品種(極早生種)は朝鮮時代から長く栽培されてきた歴史がある[2]。第9代王である成宗の頃から進上米として使われるようになったとされ、利川市は1995年に自治体としては全国で初めて「王様印の利川米(임금님표 이천쌀)」として商標登録をしている。市内には利川米を用いたサルバプチョンシクの専門店がたくさんあるほか、それ以外の飲食店でも利川米を使用する場合が多い。
  • 韓国観光公社の記述
※この項目は原文に当たっておらず確認中です
韓国観光公社が配布する『韓国の味紀行』という冊子(WEBでも閲覧可)では以下のように紹介されている。この逸話は利川府使である卜承貞の残した記録に典拠があるとされるが原文は未確認。
「この話の始まりは、成宗21年(1490年)にさかのぼります。成宗は、驪州にある世宗の英陵に墓参りを済ませた帰り道、食事の時間となりました。文武百官と女官が恐れ多い思いで利川近辺のご飯とおかずを献上すると、美食家であることを自負していた成宗は、米が他と違うということ気付き問い尋ね、これからこのご飯を献上するように命令しました。」[3]
  • 朝鮮無双新式料理製法(1924年)の記述
李用基によって1924年に書かれた『朝鮮無双新式料理製法』には「ごはんは白飯がいちばんであり、利川の玉紫光や、通津の密多里がいちばんよい。最近は石抜米というものがあるが、石や籾、稲、砕け米をすべて手で取ったもので、その米がいちばんよい」(原文1)との記述がある[4]。ここで述べられている玉紫光は米の品種を指すものであり、この時期からブランド米として通っていたことが推測できる。なお、並び称されている通津とは京畿道金浦市通津邑を指し、密多里も同じく米の品種を表す。
【原文1】「밥은 흰밥이 제일이니 이천 옥자강이나 통진 밀다리가 제일 좋다. 요사이는 석발미라 하는 것이 있는데 돌과 뉘와 벼와 싸라기를 모두 손으로 고른 것으로 그 쌀이 매우 좋다.」。

ズワイガニ(대게)

利川市内の長湖院地区では日本統治時代からモモの栽培が盛んで、現在も長湖院モモとしてブランド化している。「美白桃(미백도)」「黄桃(황도)」の2種類が代表的で6~9月頃に旬を迎える。

代表的な酒類・飲料

利川市のマッコリ

特産品の利川米を利用したマッコリなどが流通しており、利川醸造場(이천양조장)、夫鉢醸造場(부발양조장)、長湖院醸造場(장호원양조장)といった酒造会社がマッコリを造っている。

飲食店情報

以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。

  • ナグィダングィ(나귀당귀)
住所:京畿道利川市徐熙路7-19(中里洞450-3)
住所:경기도 이천시 서희로 7-19(중리동 450-3)
電話:031-771-9250
料理:ロバ料理
  • 蟾津江硫黄オリ(섬진강유황오리)
住所:京畿道利川市利涉大川路1131(中里洞59-4)
住所:경기도 이천시 이섭대천로 1131(중리동 59-4)
電話:031-638-1073
料理:アヒル料理
  • クァンチョンスンドゥブ(관촌순두부)
住所:京畿道利川市京忠大路2934(沙音洞192-1)
住所:경기도 이천시 경충대로 2934(사음동 192-1)
電話:031-635-6561
料理:スンドゥブチゲ
  • シンガルミチュオタンセンソングクス(신갈미추어탕생선국수)
住所:京畿道利川市暮加面サシル路1063番キル36(薪葛里143-2)
住所:경기도 이천시 모가면 사실로1063번길 36(신갈리 143-2)
電話:031-634-0453
料理:チュオタン、センソングクス

エピソード

  • 韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2003年1月に初めて利川市を訪れた。以後、2008年10月、2014年11月、12月、2015年2月の計5度訪問している。
  • 2014年12月に八田靖史が利川市を訪れた際、サギマッコル陶芸村に店を構える「現代工芸社」のご夫婦にたいへん世話になった。ここに改めて謝意を示したい。

脚注

  1. 울산통계연보 、蔚山市ウェブサイト、2016年3月25日閲覧
  2. 이천쌀 、利川市ウェブサイト、2015年9月19日閲覧
  3. 京畿道の味紀行 、韓国観光公社ウェブサイト、2015年9月19日閲覧
  4. 李用基, 1924, 『朝鮮無双新式料理製法』, 永昌書館, P1

外部リンク

関連項目