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'''ヤンコチ'''([[양꼬치]])は、羊肉の串焼き。串に刺した羊肉に塩、コショウ、粉唐辛子、ゴマ、クミンなどを混ぜたスパイスをまぶして焼く。もともとは中国東北部に住む朝鮮族(朝鮮半島にルーツを持つ中国の少数民族)の料理である。 | '''ヤンコチ'''([[양꼬치]])は、羊肉の串焼き。串に刺した羊肉に塩、コショウ、粉唐辛子、ゴマ、クミンなどを混ぜたスパイスをまぶして焼く。もともとは中国東北部に住む朝鮮族(朝鮮半島にルーツを持つ中国の少数民族)の料理である。 | ||
− | + | == 名称 == | |
ヤンコチは、羊肉の串焼き。ヤン([[양]])は羊。コチ([[꼬치]])は串の意。中国語の「羊肉串」からヤンロウチュァン([[양로우촨]])、または朝鮮族の地域では「串」という意味でチャル([[촬]])という呼び名も用いられる。本辞典ではヤンコチと表記する。発音表記は[양꼬치]。 | ヤンコチは、羊肉の串焼き。ヤン([[양]])は羊。コチ([[꼬치]])は串の意。中国語の「羊肉串」からヤンロウチュァン([[양로우촨]])、または朝鮮族の地域では「串」という意味でチャル([[촬]])という呼び名も用いられる。本辞典ではヤンコチと表記する。発音表記は[양꼬치]。 | ||
− | + | == 概要 == | |
ヤンコチはひと口大に切った羊肉を鉄串に刺し、羊肉に塩、コショウ、粉唐辛子、ゴマ、クミンなどを混ぜたスパイスをまぶして焼く。羊肉は当初マトンが主流だったが、需要が増えるにつれて現在はラムが多く使用されている。多くの専門店では卓上に専用の焼き台を用意し、客が自ら焼いて食べるが、店によっては厨房で焼いたものを皿に載せて提供する場合もある。 | ヤンコチはひと口大に切った羊肉を鉄串に刺し、羊肉に塩、コショウ、粉唐辛子、ゴマ、クミンなどを混ぜたスパイスをまぶして焼く。羊肉は当初マトンが主流だったが、需要が増えるにつれて現在はラムが多く使用されている。多くの専門店では卓上に専用の焼き台を用意し、客が自ら焼いて食べるが、店によっては厨房で焼いたものを皿に載せて提供する場合もある。 | ||
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:皮を剥いたニンニクが用意される。肉を食べた串にニンニクを刺して焼いてもよい。 | :皮を剥いたニンニクが用意される。肉を食べた串にニンニクを刺して焼いてもよい。 | ||
− | + | == 歴史 == | |
ヤンコチは中国東北部に住む朝鮮族(朝鮮半島にルーツを持つ中国の少数民族)の料理であり、そのルーツはウイグル料理であるとされる。朝鮮族が多く住む吉林省の延辺朝鮮族自治州において、1990年代に大流行したのをきっかけに、韓国では2000年代前半頃からヤンコチの専門店が増えた。当初は朝鮮族同士によるが身内向けの商売との側面が強かったが、2000年代後半から徐々にその美味しさが知られるようになり、2010年代に入って広く人気を博すようになった。2015年にはコメディアンのチョン・サンフンによる「ヤンコチエンチンタオ(ヤンコチには青島、양꼬치엔 칭따오)」というフレーズが流行語となり、ヤンコチと青島ビールの組み合わせが定番となった。また、同時期にはヤンコチと歩調を合わせる形で、日本の札幌式を掲げるヤンカルビ(ラムチョップ、[[양갈비]])も流行となり、韓国では全体的に羊肉の需要が増えている。 | ヤンコチは中国東北部に住む朝鮮族(朝鮮半島にルーツを持つ中国の少数民族)の料理であり、そのルーツはウイグル料理であるとされる。朝鮮族が多く住む吉林省の延辺朝鮮族自治州において、1990年代に大流行したのをきっかけに、韓国では2000年代前半頃からヤンコチの専門店が増えた。当初は朝鮮族同士によるが身内向けの商売との側面が強かったが、2000年代後半から徐々にその美味しさが知られるようになり、2010年代に入って広く人気を博すようになった。2015年にはコメディアンのチョン・サンフンによる「ヤンコチエンチンタオ(ヤンコチには青島、양꼬치엔 칭따오)」というフレーズが流行語となり、ヤンコチと青島ビールの組み合わせが定番となった。また、同時期にはヤンコチと歩調を合わせる形で、日本の札幌式を掲げるヤンカルビ(ラムチョップ、[[양갈비]])も流行となり、韓国では全体的に羊肉の需要が増えている。 | ||
− | + | == 種類 == | |
ヤンコチの専門店では、さまざまな串焼きが一緒に販売される。 | ヤンコチの専門店では、さまざまな串焼きが一緒に販売される。 | ||
− | + | == 日本における定着 == | |
90年代後半以降に東京の池袋、上野などで延辺料理の専門店が増え始めた。 | 90年代後半以降に東京の池袋、上野などで延辺料理の専門店が増え始めた。 | ||
− | + | == エピソード == | |
韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2000年代半ばに、東京、新大久保の延辺料理店でよくヤンコチを食べていた。2006年12月に書いたブログの記事には「韓国関係の集まりだけど、韓国料理からは少し目先を変えたい。そんなときに重宝するのが、延辺料理の専門店」と述べている<ref>[http://www.kansyoku-life.com/2006/12/354.html 新大久保「金達莱」で韓国料理&延辺料理。] 、韓食生活、2019年1月6日閲覧</ref>。2017年12月には念願であった延辺朝鮮族自治州を訪れ、州都の延吉で本場のヤンコチを食べることができた。そのときの話はブログの延辺報告にまとまっている<ref>[http://www.kansyoku-life.com/2017/12/19788.html 延辺報告(3)~朝鮮族のおばあちゃん家で手作りのお昼ごはんを満喫!] 、韓食生活、2019年1月6日閲覧</ref>。 | 韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2000年代半ばに、東京、新大久保の延辺料理店でよくヤンコチを食べていた。2006年12月に書いたブログの記事には「韓国関係の集まりだけど、韓国料理からは少し目先を変えたい。そんなときに重宝するのが、延辺料理の専門店」と述べている<ref>[http://www.kansyoku-life.com/2006/12/354.html 新大久保「金達莱」で韓国料理&延辺料理。] 、韓食生活、2019年1月6日閲覧</ref>。2017年12月には念願であった延辺朝鮮族自治州を訪れ、州都の延吉で本場のヤンコチを食べることができた。そのときの話はブログの延辺報告にまとまっている<ref>[http://www.kansyoku-life.com/2017/12/19788.html 延辺報告(3)~朝鮮族のおばあちゃん家で手作りのお昼ごはんを満喫!] 、韓食生活、2019年1月6日閲覧</ref>。 | ||