30,646
回編集
(同じ利用者による、間の7版が非表示) | |||
6行目: | 6行目: | ||
== 地域概要 == | == 地域概要 == | ||
[[ファイル:17071502.JPG|thumb|300px|船橋荘]] | [[ファイル:17071502.JPG|thumb|300px|船橋荘]] | ||
− | 江陵市は[[江原道の料理|江原道]]の中東部に位置し、[[江原道の料理|江原道]]の[[東海市の料理|東海市]]、[[旌善郡の料理|旌善郡]]、[[平昌郡の料理|平昌郡]]、[[洪川郡の料理|洪川郡]]、[[襄陽郡の料理|襄陽郡]]と接する。[[江原道の料理|江原道]] | + | 江陵市は[[江原道の料理|江原道]]の中東部に位置し、[[江原道の料理|江原道]]の[[東海市の料理|東海市]]、[[旌善郡の料理|旌善郡]]、[[平昌郡の料理|平昌郡]]、[[洪川郡の料理|洪川郡]]、[[襄陽郡の料理|襄陽郡]]と接する。[[江原道の料理|江原道]]東部の中心都市であり、人口は21万0630人と[[江原道の料理|江原道]]では[[原州市の料理|原州市]]、[[春川市の料理|春川市]]に次いで3番目に多い(2023年4月)<ref>[https://jumin.mois.go.kr/ 주민등록 인구 및 세대현황] 、行政安全部ウェブサイト、2023年5月7日閲覧</ref>。市の東部は東海岸に面して漁港や海水浴場が多く、西部は太白山脈(テベクサンメク、태백산맥)の一角を成し、雪岳山(ソラクサン、설악산)、五台山(オデサン、오대산)といった名峰を抱える。海と山の両方を楽しめる観光地として人気が高いほか、歴史的な見どころとして、1760年頃に建てられた両班の邸宅である船橋荘(ソンギョジャン、선교장)や、東海岸を望む景観のよい楼閣の鏡浦台(キョンポデ、경포대)、儒学者の栗谷李珥(ユルゴクイイ、율곡이이)と、母の申師任堂(シンサイムダン、신사임당)が生まれ育った烏竹軒(オジュコン、오죽헌)などがある。[[ソウル市の料理|ソウル市]]からのアクセスは、東ソウル総合ターミナル、ソウル高速バスターミナルから、江陵市の江陵高速バスターミナル、江陵市外バスターミナルまで高速バスで約2時間20分~2時間50分の距離。鉄道の場合、[[ソウル市の料理|ソウル市]]の清涼里(チョンニャンニ、청량리)駅から江陵駅まで高速鉄道のKTXで約1時間30~40分の距離である。 |
*江原道の地名由来 | *江原道の地名由来 | ||
29行目: | 29行目: | ||
*スンドゥブ | *スンドゥブ | ||
− | : | + | :押し固める前のもろもろとした豆腐を液体ごと器に盛り付け、少量の薬味醤油を加えて味わう。[[スンドゥブチゲ(柔らかい豆腐の鍋/순두부찌개)|スンドゥブチゲ]]のように辛く味付けをするのではなく、豆腐本来の甘味と、海水によるほんのりとした塩気で味わう。 |
*モドゥブ | *モドゥブ | ||
52行目: | 52行目: | ||
=== ハングァ(韓菓/한과) === | === ハングァ(韓菓/한과) === | ||
− | :ハングァは沙川(サチョン、사천)地区で作られている伝統菓子。菓子店の集まる一帯はモレネ韓菓村(모래내한과마을)と呼ばれる。「江陵ハングァ」の名称で農林畜産食品部が地域の名産品を認証する地理的表示農産物の第75号に指定されている<ref>[http:// | + | :ハングァは沙川(サチョン、사천)地区で作られている伝統菓子。菓子店の集まる一帯はモレネ韓菓村(모래내한과마을)と呼ばれる。「江陵ハングァ」の名称で農林畜産食品部が地域の名産品を認証する地理的表示農産物の第75号に指定されている<ref>[http://kpgi.co.kr/page/?mo_id=specialty&id=181&wr_id=247 강릉한과] 、韓国地理的表示特産品連合会ウェブサイト、2023年8月31日閲覧</ref>。 |
+ | |||
+ | === ユッチョクマヌルパン === | ||
+ | [[ファイル:23050603.JPG|thumb|300px|ユッチョクマヌルパン]] | ||
+ | :ユッチョクマヌルパン([[육쪽마늘빵]])は、江陵市のベーカリー「Pain Famille(팡파미유)」で販売されるガーリッククリームチーズパン。[[丹陽郡の料理|丹陽郡]]産のユッチョクマヌル(6片ニンニク、[[육쪽마늘]])を使用し、形状も上部を6片にカットしている。2019年に韓国のテレビ番組が取り上げたことなどをきっかけとして有名になり<ref>[https://programs.sbs.co.kr/culture/lifemaster/vod/55733/22000321863 659회 생활의 달인/강릉 마늘빵의 달인] 、SBSウェブサイト、2023年5月7日閲覧</ref>、[[ソウル市の料理|ソウル市]]の百貨店で出張販売を行ったところ、海外の観光客からも注目を集めるようになった。マレーシアやインドネシアなどでは「コリアンクリームチーズガーリックブレッド」として広まり、日本では2021年5月に「俺のBakery」が期間限定で発売したことから<ref>[https://www.oreno.co.jp/2021/05/14/oreno_zaiakupan202105 韓国屋台で大行列のマヌルパンを再現した 「俺の罪悪パン」を期間限定で販売!] 、俺の株式会社ウェブサイト、2023年5月7日閲覧</ref>、知名度が高まって「マヌルパン」の名前でブームになった。 | ||
=== 江陵中央市場のB級グルメ === | === 江陵中央市場のB級グルメ === | ||
78行目: | 82行目: | ||
=== ケドゥルプ(ハリギリの芽/개두릅) === | === ケドゥルプ(ハリギリの芽/개두릅) === | ||
− | :沙川地区のヘサリ村(해살이마을)ではケドゥルプ([[개두릅]])と呼ばれるハリギリの芽が名産となっている。4月頃に顔を出した新芽を摘み、ナムル([[나물]])や、[[チョン(チヂミ/전)]]にしたり、さっとゆがいて唐辛子酢味噌につけて味わうスッケ([[숙회]])などに利用する。毎年4月には「江陵ヘサリ村ケドゥルプ祭り(강릉 해살이마을 | + | :沙川地区のヘサリ村(해살이마을)ではケドゥルプ([[개두릅]])と呼ばれるハリギリの芽が名産となっている。4月頃に顔を出した新芽を摘み、ナムル([[나물]])や、[[チョン(チヂミ/전)]]にしたり、さっとゆがいて唐辛子酢味噌につけて味わうスッケ([[숙회]])などに利用する。毎年4月には「江陵ヘサリ村ケドゥルプ祭り(강릉 해살이마을 개두릅축제)」が開催される。江陵ケドゥルプ(강릉개두릅)は山林庁が地域の名産品を認証する地理的表示林産物の第41号として登録されている<ref>[http://kpgi.co.kr/page/?mo_id=specialty&id=181&wr_id=313 강릉개두릅(음나무새순)] 、韓国地理的表示特産品連合会ウェブサイト、2023年8月31日閲覧</ref>。 |
== 代表的な酒類・飲料 == | == 代表的な酒類・飲料 == | ||
108行目: | 112行目: | ||
*ソジチョガットゥル(서지초가뜰) | *ソジチョガットゥル(서지초가뜰) | ||
− | : | + | :蘭谷洞(난곡동)の「ソジチョガットゥル」は、300年続く昌寧曺氏の家系に伝わる両班家庭の料理を伝える店。田植えの時期に働き手をもてなす意味で作られた、モッパプ、チルサンと呼ばれる定食を自慢としている。農作業の合間に昼食としたのがモッパプ、作業後に自宅へ持ち帰った料理をチルサンと呼び分ける。地元の山菜料理や、祭祀料理、餅などが組み合わされており、田植えで余った種籾を蒸し餅にしてヨモギやカボチャを加えたシジョンジトク(씨종지떡)や、海藻のスジメ(쇠미역)を油で揚げて砂糖を振ったセミヨクティガク(쇠미역튀각)、干しダラを手で細かく裂いて大根や粟などと一緒に発酵させたポシッケ(포식해)といった料理が特徴的である。韓食ペディアの執筆者である八田靖史は、著書『八田靖史と韓国全土で味わう 絶品! ぶっちぎり108料理』において、江陵市のモッパプ・チルサンを厳選したベスト8の3位として紹介した<ref>八田靖史, 2014, 『八田靖史と韓国全土で味わう 絶品! ぶっちぎり108料理』, 三五館, P12-13</ref>。 |
:*松竹杜鵑酒(ソンジュクトゥギョンジュ、송죽두견주) | :*松竹杜鵑酒(ソンジュクトゥギョンジュ、송죽두견주) | ||
187行目: | 191行目: | ||
:電話:033-648-2760 | :電話:033-648-2760 | ||
:料理:コーヒー | :料理:コーヒー | ||
+ | |||
+ | *Pain Famille(팡파미유) | ||
+ | :住所:江原道江陵市注文津邑注文路7(橋項里116-7) | ||
+ | :住所:강원도 강릉시 주문진읍 주문로 7(교항리 116-7) | ||
+ | :電話:033-662-3680 | ||
+ | :料理:ユッチョクマヌルパン | ||
== エピソード == | == エピソード == | ||
201行目: | 211行目: | ||
*[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活](韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト) | *[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活](韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト) | ||
*[http://www.kansyoku-life.com/profile 八田靖史プロフィール](八田靖史のプロフィール) | *[http://www.kansyoku-life.com/profile 八田靖史プロフィール](八田靖史のプロフィール) | ||
− | |||
== 関連項目 == | == 関連項目 == |