「ネンミョン(冷麺/냉면)」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
52行目: 52行目:
  
 
;『谿谷集』(1635年)の記述
 
;『谿谷集』(1635年)の記述
:張維によって書かれた『谿谷集』27巻には「紫漿冷麺」と題された五言律詩がある<ref>[http://db.mkstudy.com/mksdb/e/korean-literary-collection/book/reader/8529/?sideTab=toc&articleId=1046227 계곡집] 、한국문집총간、2017年2月4日閲覧</ref>。冷麺に関する文献上の記録としてはもっとも古く、朝鮮時代中期にはネンミョンが一般的な料理であったと推測される。
+
:張維によって書かれた『谿谷集(계곡집)』27巻には「紫漿冷麺」と題された五言律詩がある<ref>[http://db.mkstudy.com/mksdb/e/korean-literary-collection/book/reader/8529/?sideTab=toc&articleId=1046227 계곡집] 、한국문집총간、2017年2月4日閲覧</ref>。冷麺に関する文献上の記録としてはもっとも古く、朝鮮時代中期にはネンミョンが一般的な料理であったと推測される。
  
;『増補山林経済』(1766年)の記述
+
;『山林経済』(1700年代前半)の記述
:17世紀末から18世紀初めにかけて洪萬選(1643~1715年)が編纂した『山林経済』には、「木麦麺法」として木製の押し出し機で作るそば麺の製法が次のように紹介されている。「粉にしたそばに水をかけて殻を取り、布の上に広げて天日で干し、そば粉1斗を準備する。皮をむいた緑豆2升を普通のやり方で粉にする。細い製麺機で押し出して白い麺を作ると味がよい。または細かくひいたそば粉に水をよく混ぜて生地を作り、包丁で切ってもよい」(原文1)。この時代にはすでに押し出し式で作る麺が普及していることがわかる。
+
:17世紀末から18世紀初めにかけて洪萬選(1643~1715年)が編纂した『山林経済(산림경제)』には、「木麦麺法」として木製の押し出し機で作るそば麺の製法が次のように紹介されている。「粉にしたそばに水をかけて殻を取り、布の上に広げて天日で干し、そば粉1斗を準備する。皮をむいた緑豆2升を普通のやり方で粉にする。細い製麺機で押し出して白い麺を作ると味がよい。または細かくひいたそば粉に水をよく混ぜて生地を作り、包丁で切ってもよい」(原文1)。この時代にはすでに押し出し式で作る麺が普及していることがわかる。
  
 
::【原文1】「木麥取米作末,水飛鋪布上晒乾一斗,去皮菉豆二升作末如常法,細板壓作白麵味勝,或作末搜水刀切作麫亦佳」<ref>[http://www.koreantk.com/ktkp2014/kfood/kfood-view.view?foodCd=103749 메밀국수] 、한국전통지식포탈、2017年2月4日閲覧</ref>
 
::【原文1】「木麥取米作末,水飛鋪布上晒乾一斗,去皮菉豆二升作末如常法,細板壓作白麵味勝,或作末搜水刀切作麫亦佳」<ref>[http://www.koreantk.com/ktkp2014/kfood/kfood-view.view?foodCd=103749 메밀국수] 、한국전통지식포탈、2017年2月4日閲覧</ref>
  
 
;『東国歳時記』(1849年)の記述
 
;『東国歳時記』(1849年)の記述
:洪錫謨によって1849年に書かれた『東国歳時記』には、当時の歳時風俗が月ごとにまとめられており、11月の項目にはネンミョンに関する記述がある。文献上におけるネンミョンの記録はこれが初出とされる。「そば麺を大根キムチや白菜キムチを加え、豚肉と和えたものを冷麺と呼ぶ。また、いろいろな野菜や梨、栗、牛肉、豚肉と、油と醤油をそば麺に入れたものを骨董麺と呼ぶ。冷麺は関西地方のものがもっともよい」(原文2)と書かれており、冷麺が冬の季節料理であったことに加え、現在のピビムネンミョンに相当する骨董麺([[골동면]])の存在も見てとれる。もっともよいと書かれた関西地方は、現在の平壌あたりを指すもので、この時代から平壌冷麺の評判が高かったことを示す。
+
:洪錫謨によって1849年に書かれた『東国歳時記(동국세시기)』には、当時の歳時風俗が月ごとにまとめられており、11月の項目にはネンミョンに関する記述がある。文献上におけるネンミョンの記録はこれが初出とされる。「そば麺を大根キムチや白菜キムチを加え、豚肉と和えたものを冷麺と呼ぶ。また、いろいろな野菜や梨、栗、牛肉、豚肉と、油と醤油をそば麺に入れたものを骨董麺と呼ぶ。冷麺は関西地方のものがもっともよい」(原文2)と書かれており、冷麺が冬の季節料理であったことに加え、現在のピビムネンミョンに相当する骨董麺([[골동면]])の存在も見てとれる。もっともよいと書かれた関西地方は、現在の平壌あたりを指すもので、この時代から平壌冷麺の評判が高かったことを示す。
  
 
::【原文2】「用蕎麥麵 沈菁菹菹 和猪肉 名曰冷麵 又和雜菜梨栗牛猪切肉 油醬於麵 名曰骨董麵 關西之麵最良」<ref>최대림(약), 1989, 『동국세시기』, 홍신문화사, P121</ref>
 
::【原文2】「用蕎麥麵 沈菁菹菹 和猪肉 名曰冷麵 又和雜菜梨栗牛猪切肉 油醬於麵 名曰骨董麵 關西之麵最良」<ref>최대림(약), 1989, 『동국세시기』, 홍신문화사, P121</ref>
  
 
;『是議全書』(1800年代後半)の記述
 
;『是議全書』(1800年代後半)の記述
:1800年代後半に書かれた『是議全書』(原著者不詳)の麺部という項目にはネンミョン(原文では令麺)、ピビムネンミョン(原文では汨董麺、부븸국슈)、チャンクッネンミョン(原文では장국냉면、肉スープの冷麺を意味する)の調理法が紹介されている。それぞれの記述は以下の通りである。
+
:1800年代後半に書かれた『是議全書(시의전서)』(原著者不詳)の麺部という項目にはネンミョン(原文では令麺)、ピビムネンミョン(原文では汨董麺、부븸국슈)、チャンクッネンミョン(原文では장국냉면、肉スープの冷麺を意味する)の調理法が紹介されている。それぞれの記述は以下の通りである。
 
#ネンミョン「澄んでさっぱりとしたナバッキムチ(ダイコンを薄く切り多目の塩水でつけたキムチ、[[나박김치]])や、よくできた[[トンチミ(大根の水キムチ/동치미)]]の汁に蜂蜜を足し、麺を入れて味わう。上には牛肩バラ肉、梨、丸ごと漬けた白菜キムチの3種をすべて千切りにして載せ、粉唐辛子と松の実を振る」(原文3)
 
#ネンミョン「澄んでさっぱりとしたナバッキムチ(ダイコンを薄く切り多目の塩水でつけたキムチ、[[나박김치]])や、よくできた[[トンチミ(大根の水キムチ/동치미)]]の汁に蜂蜜を足し、麺を入れて味わう。上には牛肩バラ肉、梨、丸ごと漬けた白菜キムチの3種をすべて千切りにして載せ、粉唐辛子と松の実を振る」(原文3)
 
#ピビムネンミョン「牛肉は細かく刻んだ後、薬味ダレに漬けて炒め、緑豆モヤシとセリは下茹でする。ムク(緑豆などのでんぷんを固めたもの、[[묵]])を和え、薬味ダレを整えておき、麺を混ぜて器に盛り付ける。上には肉を炒めたものと、粉唐辛子と、すりごまを振りかけるが、食卓に供する際には澄まし汁を一緒に置く」(原文4)
 
#ピビムネンミョン「牛肉は細かく刻んだ後、薬味ダレに漬けて炒め、緑豆モヤシとセリは下茹でする。ムク(緑豆などのでんぷんを固めたもの、[[묵]])を和え、薬味ダレを整えておき、麺を混ぜて器に盛り付ける。上には肉を炒めたものと、粉唐辛子と、すりごまを振りかけるが、食卓に供する際には澄まし汁を一緒に置く」(原文4)
75行目: 75行目:
  
 
;『婦人必知』(1915年)の記述
 
;『婦人必知』(1915年)の記述
:憑虚閣李氏によって1915年に書かれた『婦人必知』では、1903年(1909年説もある)に創業した飲食店「明月館(명월관)」のネンミョンを紹介している。「トンチミの汁に麺を入れる。大根、梨、柚子を薄切りにして入れ、薄切りの茹で豚と、錦糸卵を載せる。コショウ、梨、松の実を入れると、明月館冷麺と呼ぶ」(原文6)と記述されており、飲食店のレシピを紹介したものとしてはこれが初めてである。
+
:憑虚閣李氏によって1915年に書かれた『婦人必知(부인필지)』では、1903年(1909年説もある)に創業した飲食店「明月館(명월관)」のネンミョンを紹介している。「トンチミの汁に麺を入れる。大根、梨、柚子を薄切りにして入れ、薄切りの茹で豚と、錦糸卵を載せる。コショウ、梨、松の実を入れると、明月館冷麺と呼ぶ」(原文6)と記述されており、飲食店のレシピを紹介したものとしてはこれが初めてである。
  
 
::【原文6】「동치밋국에 국수를 만다. 무, 배, 유자를 얇게 저며 넣고, 제육을 썰고 달걀을 부쳐 채 썰어 넣는다. 후추, 배, 잣을 넣으면 명월관냉면이라 한다.」<ref>이효지 외(엮음), 2010,『부인필지』, 교문사, P192~193</ref>
 
::【原文6】「동치밋국에 국수를 만다. 무, 배, 유자를 얇게 저며 넣고, 제육을 썰고 달걀을 부쳐 채 썰어 넣는다. 후추, 배, 잣을 넣으면 명월관냉면이라 한다.」<ref>이효지 외(엮음), 2010,『부인필지』, 교문사, P192~193</ref>
30,747

回編集

案内メニュー