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== 歴史 == | == 歴史 == | ||
=== 文献上の記録 === | === 文献上の記録 === | ||
+ | トッポッキに関する文献上の記録は19世紀後半から見られる。宮中で食べられていたトッポッキはもともと坡平尹氏(パピョンユンシ、파평윤씨)の家門に伝わる料理であり、17世紀頃には存在したとされる。 | ||
*『飲食知味方』(1670年頃)の記述 | *『飲食知味方』(1670年頃)の記述 | ||
:張桂香(チャン・ゲヒャン、장계향)によって1670年頃に書かれた『飲食知味方(음식티미방)』にはトッポッキに関する直接の記述はないものの、餅を焼いて食べる料理法が紹介されている。<ref>황혜성(감수), 2000, 『다시 보고 배우는 음식디미방』, 궁중음식연구원, P97、140</ref> | :張桂香(チャン・ゲヒャン、장계향)によって1670年頃に書かれた『飲食知味方(음식티미방)』にはトッポッキに関する直接の記述はないものの、餅を焼いて食べる料理法が紹介されている。<ref>황혜성(감수), 2000, 『다시 보고 배우는 음식디미방』, 궁중음식연구원, P97、140</ref> | ||
*『是議全書』(1800年代後半)の記述 | *『是議全書』(1800年代後半)の記述 | ||
− | : | + | :1800年代後半に書かれた『是議全書(시의전서)』(原著者不詳)にはトッポッキという項目があり、「他の蒸し煮料理と同じく、上等な餅をサトウダイコンのように切り、少し炒めて作る。蒸し煮料理の材料はすべて入るが、とろみはつけない」(原文1)と記述されている。現代語訳された原文は以下の通りである。 |
+ | 【原文1】 | ||
+ | :다른 찜과 같이 하되 잘 된 흰떡을 탕무처럼 썰어 잠깐 볶아서 한다. 찜 재료가 모두 들어가나 가루즙만 넣지 않는다.<ref>이효지 외(엮음), 2004,『시의전서』, 신광출판사, P179</ref> | ||
*『婦人必知』(1915年)の記述 | *『婦人必知』(1915年)の記述 | ||
− | :憑虚閣李氏(ピンホガク イシ、빙허각 | + | :憑虚閣李氏(ピンホガク イシ、빙허각 이씨)によって1915年に書かれた『婦人必知(부인필지)』にはトッポッキの調理法が以下のように紹介されている。 |
+ | 「白い餅を切り、茹で肉や牛の胃袋、ロース肉を草の葉のように薄切りする。油醤(油を混ぜた薬味醤油)を作り、ネギ、シイタケ、イワタケを細切りにし熱した鍋で炒め、熱が通ったら、餅とヤンニョム(薬味ダレ)を入れる。油醤を加えてさらに炒め、じっくり火を通した後、器によそい、松の実、塩、コショウなどすべてのものを多めに入れる」(原文2) | ||
+ | 【原文2】 | ||
+ | :흰떡을 썰어 숙육과 양깃머리, 등심살을 풀잎같이 저민다. 유장을 맞추고, 파, 표고버섯, 석이버섯을 가늘게 썰어 달군 솥에 볶다가 익을 만하거든 떡과 양념을 넣는다. 유장을 더 넣어 다시 볶아 흠씬 익힌 후 퍼서 잣, 소금, 후춧가루 등 온갖 것을 많이 넣는다.<ref>이효지 외(엮음), 2010,『부인필지』, 교문사, P192~193</ref> | ||
*『朝鮮料理製法』(1917年)の記述 | *『朝鮮料理製法』(1917年)の記述 | ||
:方信栄(パン・シニョン、방신영)によって1917年に初めて書かれ、その後も増補を重ねた『朝鮮料理製法(조선요리제법)』にはトッポッキという項目があり、3人分の調理法が詳細に紹介されている。具には薄切りにした牛肉、長ネギ、シイタケ、イワタケ、セリなどが入り、調味料には油、醤油、コショウが使われる。トッピングには錦糸卵と松の実を用いる。<ref>方信栄, 2011, 『朝鮮料理製法(悦話堂韓国近現代書籍復刻叢書)』, 悦話堂, P289~291</ref> | :方信栄(パン・シニョン、방신영)によって1917年に初めて書かれ、その後も増補を重ねた『朝鮮料理製法(조선요리제법)』にはトッポッキという項目があり、3人分の調理法が詳細に紹介されている。具には薄切りにした牛肉、長ネギ、シイタケ、イワタケ、セリなどが入り、調味料には油、醤油、コショウが使われる。トッピングには錦糸卵と松の実を用いる。<ref>方信栄, 2011, 『朝鮮料理製法(悦話堂韓国近現代書籍復刻叢書)』, 悦話堂, P289~291</ref> | ||
*『朝鮮無双新式料理製法』(1924年)の記述 | *『朝鮮無双新式料理製法』(1924年)の記述 | ||
:李用基(イ・ヨンギ、이용기)によって1924年に書かれた『朝鮮無双新式料理製法(조선무쌍신식요리제법)』にはトッポッキという項目があり、牛肉、牛の胃袋、シイタケ、イワタケ、マツタケ、長ネギ、セリ、黄花菜(乾燥させたノカンゾウやヤブカンゾウの花、[[황화채]])を具とし、醤油、砂糖、コショウで味付けをし、糸唐辛子、錦糸卵、松の実をトッピングするレシピが紹介されている。また、アレンジとして緑豆モヤシや、エホバク(カボチャの未熟果、[[애호박]])、乾燥エホバクを具としてもよいとある。<ref>李用基, 1924, 『朝鮮無双新式料理製法』, 永昌書館, P255</ref> | :李用基(イ・ヨンギ、이용기)によって1924年に書かれた『朝鮮無双新式料理製法(조선무쌍신식요리제법)』にはトッポッキという項目があり、牛肉、牛の胃袋、シイタケ、イワタケ、マツタケ、長ネギ、セリ、黄花菜(乾燥させたノカンゾウやヤブカンゾウの花、[[황화채]])を具とし、醤油、砂糖、コショウで味付けをし、糸唐辛子、錦糸卵、松の実をトッピングするレシピが紹介されている。また、アレンジとして緑豆モヤシや、エホバク(カボチャの未熟果、[[애호박]])、乾燥エホバクを具としてもよいとある。<ref>李用基, 1924, 『朝鮮無双新式料理製法』, 永昌書館, P255</ref> | ||
− | * | + | *『李朝宮廷料理通考』(1957年)の記述 |
− | :< | + | :1957年に書かれた『李朝宮廷料理通考(이조궁정요리통고)』は、宮中にて最末期の厨房尚宮(厨房女官)として勤め、初代の朝鮮王朝宮中料理技能保有者(人間国宝に相当)と指定された韓煕順(ハン・ヒスン、한희순)が宮中料理の調理法をまとめた著書である(共著者に黄慧性、李惠卿)。本書には宮中料理としてトッポッキが紹介されており、その調理法が以下のように紹介されている。 |
− | + | 「牛肉を細かく刻んで、醤油、砂糖、胡椒、すりゴマ、ゴマ油、ネギ、ニンニクと合わせる。 緑豆モヤシとセリはさっとゆがき、シイタケ、ニンジン、タマネギ、エホバク(カボチャの未熟果、애호박)、オガリ(干し野菜、오가리)などは細切りにして、ゴマ油でそれぞれ別に炒めておく。餅(うるち米で作る棒状のもの)は4cmの長さに切って、再び4等分して熱湯でゆでる。薬味ダレに漬け込んだ牛肉を炒めたところ、茹でた餅を加えて混ぜ合わせる。餅に牛肉の味が染みたら、油で炒めておいた野菜を足し、塩加減を見て、汁が少なくなるように炒める。これを器に盛り、錦糸卵を飾る」(原文3) | |
+ | 【原文3】 | ||
+ | :소고기를 보드랍게 다저서 양념(간장, 설탕, 후추가루, 깨소금, 참기름, 파, 마늘)에 잰다. 숙주와 미나리는 살작 디쳐놓고 표고, 당근, 옥총, 애호박, 오가리 등은 채로 썰어서 참기름에 따로따로 볶아 놓는다. 흰떡은 4cm기리로 짜르고 다시 사절(四切)하여 끓는물에 삶는다. 소고기 잰것을 볶다가 흰떡 삶은것을 한데넣고 소고기와 함께 버무린다. 흰떡에 고기간이 완전히 배게되면 기름에 볶아놓은 채소들을 함께넣고 간을 맞추고 국물기를 적게하여 볶는다. 이것을 그릇에 담고 알지단을 채로 썰어서 뿌린다.<ref>[http://www.koreantk.net/ktkp2014/kfood/kfood-view.view?foodCd=121544 떡볶이, 이조궁정요리통고(1957년)] 、韓国伝統知識ポータル、2018年1月28日閲覧</ref> | ||
=== コチュジャントッポッキの誕生 === | === コチュジャントッポッキの誕生 === |