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− | '''扶安郡''' | + | '''扶安郡'''(プアングン、부안군)は[[全羅北道の料理|全羅北道]]に位置する地域。本ページでは扶安郡の料理、特産品について解説する。 |
[[ファイル:15011901.JPG|thumb|400px|来蘇寺の大雄宝殿]] | [[ファイル:15011901.JPG|thumb|400px|来蘇寺の大雄宝殿]] | ||
== 地域概要 == | == 地域概要 == | ||
− | + | 扶安郡は[[全羅北道の料理|全羅北道]]の南西部に位置し、[[全羅北道の料理|全羅北道]]の[[金堤市の料理|金堤市]]、[[井邑市の料理|井邑市]]、[[高敞郡の料理|高敞郡]]と接する。また、後述するセマングム防潮堤によって[[群山市の料理|群山市]]とも結ばれている。人口は5万0020人(2023年4月)<ref>[https://jumin.mois.go.kr/ 주민등록 인구 및 세대현황] 、行政安全部ウェブサイト、2023年5月2日閲覧</ref>。郡の約3分の2を西海岸に突き出た辺山半島(ピョンサンバンド、변산반도)が占め、北東部の一部は湖南平野(ホナムピョンヤ、호남평야)の一角を成す。辺山半島の大半は辺山半島国立公園(변산반도국립공원)として指定されており、内陸部の山岳地域から海岸部に至るまで多様な自然景観を楽しむことができる。代表的な観光地に、百済時代の633年に創建された古刹の来蘇寺(ネソサ、내소사)、同じく634年に創建された開岩寺(ケアムサ、개암사)、時代劇などのロケ地として使われる扶安映像テーマパーク(부안영상테마파크)などがある。ソウル(ソウル高速バスターミナル)からは高速バスで約2時間50分の距離。 | |
== 食文化の背景 == | == 食文化の背景 == | ||
− | 半島として西海岸に突き出た扶安郡は三方を海に囲まれ、また広大な干潟を有していることから四季折々の海産物に恵まれた地域である。例えば、格浦港(キョッポハン、격포항)のある刺身店では、春はマダイ([[도미]])、夏はスズキ([[농어]])、秋はコノシロ([[전어]])、冬はボラ([[숭어]] | + | 半島として西海岸に突き出た扶安郡は三方を海に囲まれ、また広大な干潟を有していることから四季折々の海産物に恵まれた地域である。例えば、格浦港(キョッポハン、격포항)のある刺身店では、春はマダイ([[도미]])、夏はスズキ([[농어]])、秋はコノシロ([[전어]])、冬はボラ([[숭어]])とそれぞれ旬の刺身を主力商品とし、そこに加えて3~4月は卵を持ったイイダコ([[주꾸미]])、5~6月はコウイカ([[갑오징어]])を提供する(八田靖史の取材記録より、2010年4月4日)。また、扶安郡の食文化においては干潟からの恵みを欠かすことはできず、アサリ([[바지락]])、バカガイ([[개량조개]])、アカガイ([[피조개]])、タイラガイ([[키조개]])、シオフキ([[동죽]])などがよくとれる。こうした干潟を利用した塩田事業も古くから栄え、天日塩を特産品とするとともに、豊富な海産物を用いた塩辛([[젓갈]])の生産も盛んである。一方で、養蚕事業も盛んであることから郡内には桑畑が多く、桑の葉([[뽕잎]])や、桑の実([[오디]])を利用した郷土料理も多い。食品以外では、高麗時代から青磁の生産地として栄えた歴史を持ち、現在も陶磁器作りが盛んである。 |
=== セマングム干拓事業 === | === セマングム干拓事業 === | ||
[[ファイル:15011902.JPG|thumb|300px|セマングム防潮堤]] | [[ファイル:15011902.JPG|thumb|300px|セマングム防潮堤]] | ||
*事業概要 | *事業概要 | ||
− | : | + | :セマングムとは扶安郡、[[金堤市の料理|金堤市]]、[[群山市の料理|群山市]]にまたがる大規模な干拓地である。セマングムのセは「新しい」、マンは万頃平野(만경평야)の「万」、グムは金堤平野(김제평야)の「金」(金堤の金はキムと読むが、別の読み方ではグムとも読める)から取られている。扶安郡の辺山半島から古群山群島を経て群山市までを全長33.9kmの防潮堤(2010年4月に完成)で結び、その内側を干拓することによって総面積409km²(面積でソウルの3分の2に相当)という広大な土地を新たに造成する計画である<ref>[http://www.saemangeum.go.kr/sda/sub/why/SMA10001.do 새만금의 위치] 、セマングム開発庁ウェブサイト、2017年7月27日閲覧</ref>。この事業が計画されたのは1970~80年代で、当初は農業用地の確保がいちばんの目的であったが、地元や環境団体の反対もあって事業が長期化したことにより、当初の目的はすでに意味を失い、現在は東北アジア地域における経済の中心地としての開発と変更されている。 |
*食文化への影響 | *食文化への影響 | ||
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=== パジラッチュク(アサリ粥/바지락죽) === | === パジラッチュク(アサリ粥/바지락죽) === | ||
[[ファイル:15011903.JPG|thumb|300px|パジラッチュク]] | [[ファイル:15011903.JPG|thumb|300px|パジラッチュク]] | ||
− | : | + | :パジラッチュクはアサリ粥。地元でとれたアサリをむき身にして、米と一緒にゴマ油で炒め、水を加えてじっくり煮込んで作る。具にはアサリのほか、刻んだ野菜やキノコ、緑豆などを加え、店によっては高麗人参や、桑の葉などを加えて作ることもある。アサリの旬は春だが、専門店ではほぼ通年で味わえる。辺山面大項里に専門店が集まっている。韓食ペディアの執筆者である八田靖史は、著書『八田靖史と韓国全土で味わう 絶品! ぶっちぎり108料理』において、扶安郡のパジラッチュクを厳選したベスト8の8位として紹介した<ref>八田靖史, 2014, 『八田靖史と韓国全土で味わう 絶品! ぶっちぎり108料理』, 三五館, P22-23</ref>。 |
=== ペカプクイ(ハマグリ焼き/백합구이) === | === ペカプクイ(ハマグリ焼き/백합구이) === | ||
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== エピソード == | == エピソード == | ||
*韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2009年5月に初めて扶安郡を訪れた。以後、2010年4月、10月の計3度訪問している。 | *韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2009年5月に初めて扶安郡を訪れた。以後、2010年4月、10月の計3度訪問している。 | ||
− | * | + | *2010年4月には「韓国語ジャーナル第33号」(アルク)の取材で訪れ、「干潟の恵みと四季の魚介、扶安まんぷくガイド」という記事にまとめた<ref>八田靖史, 2010, 「干潟の恵みと四季の魚介、扶安まんぷくガイド」(『韓国語ジャーナル第33号』), アルク, P18-21</ref>。 |
== 脚注 == | == 脚注 == | ||
118行目: | 118行目: | ||
== 外部リンク == | == 外部リンク == | ||
− | + | ;関連サイト | |
*[http://www.buan.go.kr/02tour/ 扶安郡文化観光(韓国語)] | *[http://www.buan.go.kr/02tour/ 扶安郡文化観光(韓国語)] | ||
+ | ;制作者関連サイト | ||
+ | *[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活](韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト) | ||
+ | *[http://www.kansyoku-life.com/profile 八田靖史プロフィール](八田靖史のプロフィール) | ||
== 関連項目 == | == 関連項目 == |