プルラクジョンゴル(牛肉とテナガダコの鍋/불낙전골)
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プルラクジョンゴル(불낙전골)は、牛肉とテナガダコの鍋。
名称
プルラクジョンゴルの、プルはプルコギ(牛焼肉/불고기)、ラクはナクチ(テナガダコ、낙지)の「ナク(낙)」が発音変化したもの。プルラク(불낙)で牛肉とテナガダコの組み合わせを表す。ジョンゴル(전골)は鍋料理を表す。日本ではプルナクジョンゴル、プルラクチョンゴル、プルナクチョンゴル、プルナッチョンゴル、プルラッチョンゴルなどの表記も見られるが、本辞典では「プルラクジョンゴル」を使用する。発音表記は〔불락쩐골〕。
- 日本語訳
- 簡潔に「牛タコ鍋」「牛肉とタコ鍋」とする例も見られる。本辞典では「牛肉とテナガダコの鍋」とした。
- 語源
- ナクチはかつて漢字語で「絡蹄(ナクチェ、낙제)」とも表記し、これがナクチに変化したとの説がある。「絡」はひも状のものが絡まる様子、「蹄」はひづめを意味し、足が絡まった様子から名付けられたのではと推測される。なお、余談であるが、「絡蹄(낙제)」が「落第(낙제)」と同音異義語であることから、試験前にテナガダコを食べてはいけないとの俗説がある。同様に、ミヨックッ(ワカメスープ/미역국)もワカメがぬるぬると「滑る」ことから試験前に避けられる料理である。
概要
薄切りにした牛肉と、ぶつ切りのテナガダコ、タマネギ、長ネギ、春菊などを鍋に盛り付け、醤油、粉唐辛子、ゴマ油、砂糖、ニンニク、ショウガなどを混ぜ合わせた薬味ダレを加えて煮る。家庭料理として作られるほか、海鮮料理の専門店などで食べられる。
テナガダコを用いた料理としては、ほかにサンナクチ(テナガダコの踊り食い/산낙지)、ナクチボックム(テナガダコ炒め/낙지볶음)、ヨンポタン(テナガダコのスープ/연포탕)、カルラクタン(牛カルビとテナガダコのスープ/갈낙탕)、ナクチスッケ(茹でテナガダコ、낙지숙회)、ナクチチム(テナガダコの蒸し煮、낙지찜)、ナクチチョムチム(テナガダコの酢和え、낙지초무침)、ナクチホロン(テナガダコの串巻き焼き、낙지호롱)などがある。
歴史
文献上の記録
- 『茲山魚譜』(1814年)の記述
- 丁若銓の書いた魚類学書『茲山魚譜(자산어보)』には、テナガダコについての記述があり、名称を「石距(석거)」、俗称を「낙제어(絡蹄魚)」と紹介している。その項目内では、テナガダコについて「色は白く甘味があり、刺身やチゲ、干物によく、人に元気を与える」(原文1)とあり、また「疲れた牛にテナガダコを4~5匹食べさせるとすこぶる健康になる」(原文2)とも書かれている[1]。
- 【原文1】色白甘美宣鱠及羹腊人元気
- 【原文2】牛之疲憊者飼石距四五首則頗健也
種類
牛肉の部位をカルビ(あばら肉、갈비)にした場合は、カルラクジョンゴル(牛カルビとテナガダコの鍋、갈낙전골)と呼ばれる。
日本における定着
韓国家庭料理店ではメニューに載せているところもある。
地域
- 全羅南道
- テナガダコの主産地は全羅南道であり、2021年の生産量は全体の68.4%を占める[2]。木浦市、務安郡、霊岩郡、長興郡などが有名であり、テナガダコ料理の専門店や海鮮料理店では各種のテナガダコ料理とともにプルラクジョンゴルも提供される。
脚注
- ↑ 玆山魚譜 / 筆寫本(P60-62) 、高麗大学校図書館、2023年2月20日閲覧
- ↑ 어업별 품종별 통계 、統計庁ウェブサイト、2023年2月18日閲覧
外部リンク
- 制作者関連サイト
- 韓食生活(韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
- 八田靖史プロフィール(八田靖史のプロフィール)