ソルロンタン(牛スープ/설렁탕)
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ソルロンタン(설렁탕)は、牛スープ。大きな鍋で牛肉、牛骨、内臓などの各部位を長時間煮込んで作る。白濁したスープを器に盛り付け、煮込んだ肉や内臓を食べやすい大きさに切って具とする。刻みネギや、素麺、または春雨などを入れることも多い。味付けはごく薄い塩味にとどめ、食べる人が卓上の塩、コショウ、タデギ(唐辛子ペースト、다대기)を好みで加える。主に専門店で食べる料理だが、一般の食堂でメニューに載せているところもある。類似の料理に、コムタン(牛スープ/곰탕)、コリコムタン(牛テールスープ/꼬리곰탕)、トガニタン(牛膝肉のスープ/도가니탕)などがある。
名称
ソルロンタンという名称は、朝鮮時代に行われた豊作祈願の祭祀、先農祭(ソンノンジェ、선농제)に由来するという説と、モンゴル語のシュル(スープの意、шөл)が転化したとする2つの説がある。国立国語院が編纂する『標準国語大辞典』においては「설렁탕」を標準語としているが、非標準語として「설농탕(雪濃湯)」も掲載がある。日本ではソロンタン、ソーロンタンといった表記も見かけるが、本辞典ではソルロンタンと表記する。発音表記は[설렁탕]。
- 先農祭
- 先農祭は、啓蟄を過ぎて最初の亥の日に行われた農業祭祀。時の王が農業神の神農氏と后稷氏に豊作を祈願し、直々に田を耕すことで国民に農事の大切さを説いた。このとき供物として捧げた牛を祭祀後に大釜で煮込み、集まった民衆に振る舞ったことから、先農祭におけるスープ(湯)として、ソルロンタン(先農湯)という名前がついたとされる。祭祀を行った先農壇(ソンノンダン、선농단)は、ソウル市の東大門区祭基洞(トンデムング チェギドン、동대문구 제기동)に跡地が残っており、2001年に国の史跡第436号として指定された[1]。
- モンゴル語のシュル
- 13世紀に高麗王朝は元(モンゴル)の支配を受け、第25代の忠烈王(충렬왕)から第31代の恭愍王(공민왕)までは元の王族と婚姻をした。このことから高麗時代末期の宮中にはモンゴルの文化が流入し、食文化においても大きな影響を与えるに至った。代表的な例のひとつが仏教の伝来以降、公には避けられてきた肉食の復活である。ソルロンタンは、モンゴル料理のシュル(ヒツジのスープ、шөл)を牛肉で応用された料理と考えられ、シュルが変化してソルロンタンになったと考えられる。また、宮中では王、王妃、王大妃の食事を水剌(スラ、수라)と呼ぶが、これも同じくシュルが語源とされる。
脚注
- ↑ 서울 선농단 (서울 先農壇) 、文化財庁国家文化遺産ポータル、2018年12月12日閲覧
外部リンク
- 制作者関連サイト
- 韓食生活(韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
- 八田靖史プロフィール(八田靖史のプロフィール)
- 韓国語食の大辞典アプリ版(八田靖史制作の韓国料理専門辞典)