「カムジャジョリム(ジャガイモの煮物/감자조림)」の版間の差分

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== 概要 ==
 
== 概要 ==
 
カムジャジョリムのカムジャ([[감자]])はジャガイモ、ジョリム(=チョリム、[[조림]])は煮物を意味する。食べやすい大きさに切ったジャガイモを、油で炒め、醤油、砂糖、水飴(またはオリゴ糖)などで味付けをして作る。ニンニクやシシトウなどを加えることもある。主に家庭料理として作られるほか、飲食店では副菜のひとつとして提供されることが多い。ジャガイモを使った副菜料理としては、ほかに[[カムジャジョン(ジャガイモのチヂミ/감자전)]]、カムジャボックム(ジャガイモ炒め、[[감자볶음]])などがある。
 
カムジャジョリムのカムジャ([[감자]])はジャガイモ、ジョリム(=チョリム、[[조림]])は煮物を意味する。食べやすい大きさに切ったジャガイモを、油で炒め、醤油、砂糖、水飴(またはオリゴ糖)などで味付けをして作る。ニンニクやシシトウなどを加えることもある。主に家庭料理として作られるほか、飲食店では副菜のひとつとして提供されることが多い。ジャガイモを使った副菜料理としては、ほかに[[カムジャジョン(ジャガイモのチヂミ/감자전)]]、カムジャボックム(ジャガイモ炒め、[[감자볶음]])などがある。
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== 歴史 ==
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=== ジャガイモの伝来 ===
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[[ファイル:25022804.JPG|300px|thumb|市場で売られているジャガイモ]]
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:朝鮮半島にジャガイモ([[감자]])が伝来した時期は19世紀前半とみられ、1825年に実学者の徐有榘(ソ・ユグ、서유구)が書いた『杏蒲志(행포지)』が文献上の初出とされる。同書ではジャガイモを「北藷([[북저]])」の名前で紹介し、「近頃、関北に伝来した」【原文1】<ref>[https://dl.ndl.go.jp/pid/2536029/1/61 1825, 『杏蒲志 卷4』, 徐有榘著] 、国立国会図書館デジタルコレクション(コマ番号61/84)、2025年2月21日閲覧</ref>と記録している。関北は[[北朝鮮の料理|咸鏡道]]を指し、この時期に中国経由で伝わったと推測される。
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:以降、園芸書などに栽培に関する記述が登場するほか、19世紀半ばに実学者の李圭景(イ・ギュギョン、이규경)が書いた百科事典の『五洲衍文長箋散稿(오주연문장전산고)』には、「北藷」について「別名を土甘藷と呼ぶ。純祖24年、25年に関北から初めて入って来た」【原文2】<ref>[https://db.itkc.or.kr/dir/item?itemId=GO#/dir/node?dataId=ITKC_GO_1301A_0200_020_0150 李圭景『五洲衍文長箋散稿(오주연문장전산고)』萬物篇 / 草木類 / 穀種 / 北藷辨證說] 、韓国古典総合DB、2025年2月21日閲覧</ref>と書かれている。純祖24年、25年は、1824、25年なので、『杏蒲志(행포지)』の内容とも共通する。
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:【原文1】「北藷近自關北來」
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:【原文2】「一名土甘藷 純廟甲申 乙酉之間 始自關北出來」
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*語源
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:韓国語ではジャガイモのことを「カムジャ([[감자]])」と呼び、伝来当初に「北から来た甘藷(サツマイモ)」の意味で「北藷([[북저]])」「北甘藷([[북감저]])」「北方甘藷([[북방감저]])」などと呼ばれたものが、省略されて「甘藷(カムジョ、[[감저]])」だけが残り、「カムジャ」へと変化したとされる。現在の韓国ではサツマイモを「コグマ([[고구마]])」と呼ぶのが一般的だが、「甘藷」もサツマイモを意味し、結果として「甘藷」はジャガイモとサツマイモの両方を指す言葉になっている。国立国語院が編纂する『標準国語大辞典』では、「甘藷([[감저]])」について「ジャガイモの原語」「サツマイモの塊根」とふたつの意味を掲載している<ref>[https://stdict.korean.go.kr/search/searchView.do?word_no=388236&searchKeywordTo=3 감저2] 、国立国語院「標準国語大辞典」、2025年2月21日閲覧</ref>。
  
 
== 脚注 ==
 
== 脚注 ==
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