「浦項市の料理」の版間の差分

5,708 バイト追加 、 2023年9月27日 (水) 13:24
11行目: 11行目:
  
 
== 代表的な料理 ==
 
== 代表的な料理 ==
*コドゥンオチュオタン(サバのスープ/고등어추어탕)北区興海邑
+
[[ファイル:22041302.JPG|thumb|300px|クァメギを生ワカメに載せたところ]]
:下煮をしたサバをすりつぶして作るスープ料理。
+
=== クァメギ(サンマの生干し/과메기) ===
*クァメギ(サンマの生干し/과메기)南区九龍浦邑
+
:クァメギ([[과메기]])は、サンマの生干し(「[[クァメギ(サンマの生干し/과메기)]]」の項目も参照)。市南東部の南区九龍浦邑(ナムグ クリョンポウプ、남구 구룡포읍)が名産地として知られる。かつてはニシン([[청어]])で作ったが、ニシンが不漁になったことからサンマ([[꽁치]])で代用されるようになった(ただし、近年はサンマも漁獲量が減少傾向にある)。生干ししたサンマを食べやすい大きさに切り、コンブやワカメなどに載せて、チョコチュジャン(唐辛子酢味噌、[[초고추장]])で味わう。秋から冬にかけての季節料理であり、浦項市の郷土料理店、魚介料理店で味わえるほか、近年は浦項市で生産されたものが全国に流通している。
*コッセウフェ(シマエビの刺身/꽃새우회)北区斗湖洞
+
 
:シマエビの刺身。頭は塩焼きにしてくれる。迎日湾海水浴場に隣接して室内屋台が立ち並ぶ。
+
=== ムルフェ(冷汁風の刺身/물회) ===
*モリグクス(海鮮麺/모리국수)南区九龍浦邑
+
[[ファイル:23081401.JPG|thumb|300px|[[浦項市の料理|浦項]]式のムルフェ]]
:海産物を煮込んだスープに麺を入れた料理。九龍浦港で食べられている漁師料理のひとつ。大鍋で煮込むためボリュームが多い。
+
:ムルフェ([[물회]])は、冷汁風の刺身(「[[ムルフェ(冷汁風の刺身/물회)]]」の項目も参照)。一般にムルフェは刺身を冷たいスープとともに味わう料理だが、浦項市では白身魚などの刺身を生野菜と和えて[[フェムチム(刺身和え/회무침)]]のように提供する。これに別途、冷水か、または酸味と辛味のある冷たいスープを用意し、食べる人が好みで加えてムルフェとするが、そのまま混ぜて食べたり、ごはんを入れてフェトッパプ(刺身丼/회덮밥)として食べたり、それらを複合的に楽しんだりもする。
*ムルフェ(冷汁風の刺身/물회)
+
1950年代から60年代にかけて浦項市では、ムルフェを看板料理とする「浦項ムルフェ(포항물회)」(1951年創業?)、「嶺南ムルフェ(영남물회)」(1961年創業?)などの専門店が登場し、浦項市における元祖格として親しまれた(いずれも現在は閉店)<ref>[https://www.yeongnam.com/web/view.php?key=20060905.010220813000001 [경상도 맛길기행 .76] 日食 이야기- (10) 물회] 、嶺南日報2006年9月5日付記事、2023年8月13日閲覧</ref>。1973年8月4日の朝鮮日報には、「松島海水浴場(송도해수욕장)内、80ヶ所の飲食店で販売されるこの地方の特味、ムルフェは最高の人気」とあることから、この時期には浦項市の名物として広く定着していたと考えられる<ref>[https://newslibrary.naver.com/viewer/index.naver?articleId=1973080400239106001 [「비키니 群像」…原色의 파노라마] 、NAVERニュースライブラリー(朝鮮日報1973年8月4日記事)、2023年8月13日閲覧</ref>。
*ソモリコムタン(牛頭肉のスープごはん/소머리곰탕)北区竹島洞
+
 
:牛頭肉のスープごはん。竹島市場に隣接して専門店が多い。
+
=== モリグクス(海鮮うどん/모리국수) ===
*チョンボッチュク(アワビ粥/전복죽)南区九龍浦邑
+
:モリグクス([[모리국수]])は、海鮮うどん。アンコウ([[아귀]])や、スケトウダラ([[명태]])、タナカゲンゲ([[미역초]], [[벌레문치]])といった魚を主材料に、ムール貝([[홍합]])や、エビ([[새우]])、豆モヤシ([[콩나물]])などを加え、どろっとした辛口のスープを仕立てて[[カルグクス(韓国式の手打ちうどん/칼국수)]]用の麺を入れる。南区九龍浦邑(ナムグ クリョンポウプ、남구 구룡포읍)の郷土料理であり、九龍浦里(クリョンポリ、남구 구룡포리)の「カックネモリグクス(까꾸네모리국수)」が元祖店として有名である。
:アワビ粥。九龍浦港のやや外れに専門店が集まっている。浦項ではアワビの養殖も盛んに行っており、濃厚な磯の香りと肉厚な身の味わいを楽しむことができる。
+
 
*チョゲグイ(貝焼き/조개구이)北区斗湖洞
+
:*語源
:貝焼き。ホタテ、ハマグリ、タイラギなどにチーズや薬味ダレを載せて焼く。迎日湾海水浴場に隣接して室内屋台が立ち並ぶ。
+
::モリグクスのグクス(=ククス、[[국수]])は麺の意。モリの語源は諸説ある。もっとも代表的なひとつが、「モイダ(集まる、모이다)」の慶尚道方言である「モディダ(모디다)」を語源とするもので、大勢の人が集まって食べる麺、またはたくさんの海産物が集まって作られた麺との意味から、「モディグクス(集まる麺)」がモリグクスへと変化したと考える。同じく、「モルダ(わからない、모르다)」の慶尚道方言である「モリダ(わからない、모리다)」から、特に名前のない漁師料理であったが、料理名を問われた際に「モリンダ(모린다、わからない)」と答えたことからモリグクスになったとの説もある。モリグクスが生まれた九龍浦邑は、かつて日本人が多く暮らした町であり、日本語の「盛り(大盛り)」を語源とする説もある。
*フェ(刺身/회)北区竹島洞
+
 
:刺身。竹島市場は観光地としても有名で、季節ごとの各種刺身に加え、名産のズワイガニなど浦項の海産物をバラエティ豊かに楽しめる。
+
=== チョンボッチュク(アワビ粥/전복죽) ===
 +
チョンボッチュク([[전복죽]])は、アワビ粥(「[[チョンボッチュク(アワビ粥/전복죽)]]」の項目も参照)。市南東部に位置する南区九龍浦邑(ナムグ クリョンポウプ、남구 구룡포읍)に専門店の集まる地域がある。九龍浦邑の近海では海女([[전복죽]])による天然アワビ漁が行われている。
 +
 
 +
=== フェ(刺身/회) ===
 +
:フェ([[회]])は、刺身(「[[センソンフェ(刺身/생선회)]]」の項目も参照)。浦項市は港町であり、ヒラメ([[광어]])、カレイ([[가자미]])、クロソイ([[우럭]])、アワビ([[전복]])、スルメイカ([[오징어]])など、季節ごとの魚介を用いた刺身を味わえる。
 +
 
 +
=== コッセウフェ(シマエビの刺身/꽃새우회) ===
 +
:コッセウフェ([[꽃새우회]])は、シマエビの刺身。迎日台海水浴場(ヨンイルデ ヘスヨクチャン、영일대 해수욕장)の付近には海鮮料理を自慢とする室内屋台が立ち並び、コッセウフェや、[[チョゲグイ(貝焼き/조개구이)]]などを提供している。コッセウフェは頭の部分をハサミで切り、別途塩焼きで提供する。
 +
 
 +
=== コドゥンオチュオタン(サバのスープ/고등어추어탕) ===
 +
:コドゥンオチュオタン([[고등어추어탕]])は、サバのスープ。一般に[[チュオタン(ドジョウ汁/추어탕)]]といえばドジョウをすりつぶして作るが、それをサバでアレンジした料理である。下煮をしたサバから骨を外し、食べやすくほぐしたうえで、白菜などの野菜と煮込んで味噌仕立てのスープにする。北区興海邑(プック フンヘウプ、북구 흥해읍)の名物料理として知られる。また、浦項市では同様の料理をサンマで作るコンチチュオタン(サンマのスープ、[[꽁치추어탕]])を提供する店もある。
 +
 
 +
=== ソモリコムタン(牛頭肉のスープごはん/소머리곰탕) ===
 +
:ソモリコムタン([[소머리곰탕]])は、牛頭肉のスープごはん。[[ソモリクッパプ(牛頭部のスープごはん/소머리국밥)]]とも呼ぶ。北区竹島洞(プック チュクトドン、북구 죽도동)の竹島市場(チュクトシジャン、죽도시장)に隣接して専門店が集まっている。
  
 
== 代表的な特産品 ==
 
== 代表的な特産品 ==
30,747

回編集