「サムギョプサル(豚バラ肉の焼肉/삼겹살)」の版間の差分

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== 歴史 ==
 
== 歴史 ==
豚バラ肉を焼いて食べるというシンプルな料理だけに、その発祥は明確になっていない。ただし、かつての韓国では豚バラ肉は人気のある部位ではなく、サムギョプサルが豚焼肉として広く普及したのは1970年代の半ばから後半にかけてではないかとの見解が多い。1970年代は大規模な養豚業が本格化し、ガスレンジが普及するとともに、経済成長で外食の機会が増えた時期でもある。焼肉としてではないが、食材として豚バラ肉に関する記述が文献に現れるのは1930年代からであり、それがサムギョプサルという名称で確認できるのは1950年代後半である。
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豚バラ肉を焼いて食べるというシンプルな料理だけに、その発祥は明確になっていない。ただし、かつての韓国では豚バラ肉は人気のある部位ではなく、豚焼肉として外食店に登場し始めたのは1970年代の半ばから後半にかけてと推測され、広く普及したのは1980年代前半ではないかとの見解が多い。1970~80年代は大規模な養豚業が本格化し、ガスレンジが普及したことで、外食や家庭において豚焼肉を食べる機会が増えた時期でもある。なお、焼肉としてではなく、食材として豚バラ肉の記述が文献に現れるのは1930年代からであり、それがサムギョプサルという名称で確認できるのは1950年代後半である。
  
 
=== 1930年代 ===
 
=== 1930年代 ===
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;京郷新聞(1959年)の記述
 
;京郷新聞(1959年)の記述
 
:1959年1月20日付の『京郷新聞(경향신문)』には、「夕飯の食卓に(저녁食卓에)」という記事があり、豚肉と大根の炒め物(돼지고기와무우볶음)という料理の作り方が紹介されている。その材料欄に「豚肉(サムギョプサル)」と書かれており、現在のところこれがサムギョプサルという名称を使用したもっとも古い記録とされている<ref>[http://newslibrary.naver.com/viewer/index.nhn?articleId=1959012000329104021&editNo=2&printCount=1&publishDate=1959-01-20&officeId=00032&pageNo=4&printNo=4224&publishType=00010 저녁食卓에] 、NAVERニュースライブラリー、2018年1月28日閲覧</ref>。
 
:1959年1月20日付の『京郷新聞(경향신문)』には、「夕飯の食卓に(저녁食卓에)」という記事があり、豚肉と大根の炒め物(돼지고기와무우볶음)という料理の作り方が紹介されている。その材料欄に「豚肉(サムギョプサル)」と書かれており、現在のところこれがサムギョプサルという名称を使用したもっとも古い記録とされている<ref>[http://newslibrary.naver.com/viewer/index.nhn?articleId=1959012000329104021&editNo=2&printCount=1&publishDate=1959-01-20&officeId=00032&pageNo=4&printNo=4224&publishType=00010 저녁食卓에] 、NAVERニュースライブラリー、2018年1月28日閲覧</ref>。
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=== 1970年代 ===
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;東亜日報(1979年)の記述
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:1979年8月25日付の『東亜日報(동아일보)』には「横説竪説(황설수설)」というコラムが掲載されており、「雨後のタケノコのごとく酒店街に増えていったサムギョプサルの店にも、夏が始まるとともに客足が目に見えて遠のいた」(原文3)との記述がある。かつては食中毒などへの憂慮から、夏場に豚肉を食べるのは避けるべきとの考え方が一般的であったためだが、記事の内容から見るに、この時期にはすでに飲食店でサムギョプサルが人気を得ていたことがわかる。
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:【原文3】
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:雨後竹筍처럼 酒店街에 늘어가던 삼겹살 집에도 여름이 시작되면서 사람의 발길이 눈에 띄게 뜸해졌다.<ref>[https://newslibrary.naver.com/viewer/index.naver?articleId=1979082500209201019&editNo=2&printCount=1&publishDate=1979-08-25&officeId=00020&pageNo=1&printNo=17811&publishType=00020 황설수설] 、NAVERニュースライブラリー、2023年1月29日閲覧</ref>
  
 
=== 1980年代 ===
 
=== 1980年代 ===
 
;キム・チャンビョルの報告
 
;キム・チャンビョルの報告
:キム・チャンビョルは著書『韓国料理、その美味しい誕生(한국음식 그 맛있는 탄생)』の中でサムギョプサルの発祥年代を考察し、「70年代後半であってもサムギョプサルは人気のある部位ではなかった。当時の外食、または家庭における焼肉の主要メニューは大部分がプルコギか、または豚ロースに塩を振って焼いたソグムグイ(別名ロースグイ)だった。サムギョプサルを初めて食べた時期について何人かにアンケートをしてみた。大部分の人はサムギョプサルを初めて食べたのは80年代前半であると回答した。この頃に家で、または食堂でサムギョプサルを焼いて食べたというのが彼らに共通する記憶だ」(原文1)と述べている。
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:キム・チャンビョルは著書『韓国料理、その美味しい誕生(한국음식 그 맛있는 탄생)』の中でサムギョプサルの発祥年代を考察し、「70年代後半であってもサムギョプサルは人気のある部位ではなかった。当時の外食、または家庭における焼肉の主要メニューは大部分がプルコギか、または豚ロースに塩を振って焼いたソグムグイ(別名ロースグイ)だった。サムギョプサルを初めて食べた時期について何人かにアンケートをしてみた。大部分の人はサムギョプサルを初めて食べたのは80年代前半であると回答した。この頃に家で、または食堂でサムギョプサルを焼いて食べたというのが彼らに共通する記憶だ」(原文4)と述べている。
  
:【原文1】「70년대 후반까지도 삼겹살은 인기 있는 부위 아니었다. 당시의 외식 또는 가정식 고기구이의 주요 메뉴는 대부분 육수 불고기 아니면 돼지 등심에 소금을 뿌려 굽는 소금구이(일명 로스구이)였다. 삼겹살을 처음 먹어본 시점에 대해 여러 사람들에게 설문을 해 보았다. 대부분의 사람들이 삼겹살을 처음 먹어본 것은 80년대 초반이라고 응답했다. 이맘때 집에서 또는 식당에서 삼겹살을 구워먹었다는 것이 여러 사람들의 공통된 기억이다.」<ref>김찬별, 2008, 『한국음식 그 맛있는 탄생』, 로크미디어, P87</ref>
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:【原文4】「70년대 후반까지도 삼겹살은 인기 있는 부위 아니었다. 당시의 외식 또는 가정식 고기구이의 주요 메뉴는 대부분 육수 불고기 아니면 돼지 등심에 소금을 뿌려 굽는 소금구이(일명 로스구이)였다. 삼겹살을 처음 먹어본 시점에 대해 여러 사람들에게 설문을 해 보았다. 대부분의 사람들이 삼겹살을 처음 먹어본 것은 80년대 초반이라고 응답했다. 이맘때 집에서 또는 식당에서 삼겹살을 구워먹었다는 것이 여러 사람들의 공통된 기억이다.」<ref>김찬별, 2008, 『한국음식 그 맛있는 탄생』, 로크미디어, P87</ref>
  
 
;『B級グルメが見た韓国』の記述
 
;『B級グルメが見た韓国』の記述
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:冷凍肉に対して生肉を使用したサムギョプサル。セン([[생]])は生を意味する。
 
:冷凍肉に対して生肉を使用したサムギョプサル。セン([[생]])は生を意味する。
 
*ネンドンサムギョプサル(냉동삼겹살)
 
*ネンドンサムギョプサル(냉동삼겹살)
:生肉に対して冷凍肉を使用したサムギョプサル。ネンドン([[냉동]])は冷凍を意味する。ただしあえてメニューとして記載されることはない。
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:生肉に対して冷凍肉を使用したサムギョプサル。ネンドン([[냉동]])は冷凍を意味する。近年はレトロブームにより、ネンサム([[냉삼]])との略語で人気が高まっている。
 
*フッテジサムギョプサル(흑돼지삼겹살)
 
*フッテジサムギョプサル(흑돼지삼겹살)
 
:黒豚([[흑돼지]])を使用したサムギョプサル。[[済州道の料理|済州道]]の特産品でもある。黒豚を使用した場合はその証明として皮付きで提供されることが多く、皮をよく見ると黒い毛が残っている。
 
:黒豚([[흑돼지]])を使用したサムギョプサル。[[済州道の料理|済州道]]の特産品でもある。黒豚を使用した場合はその証明として皮付きで提供されることが多く、皮をよく見ると黒い毛が残っている。
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=== パートナー素材の要素 ===
 
=== パートナー素材の要素 ===
[[ファイル:17081912.JPG|thumb|300px|チュクミサムギョプサル]]
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[[ファイル:23020302.JPG|thumb|300px|チュクミサムギョプサル]]
 
キムチ、大豆モヤシ、海鮮など一緒に焼く、または一緒に食べる素材に特徴を持つもの。
 
キムチ、大豆モヤシ、海鮮など一緒に焼く、または一緒に食べる素材に特徴を持つもの。
 
*キムチサムギョプサル(김치삼겹살)
 
*キムチサムギョプサル(김치삼겹살)
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:味付けをしたツルニンジンと一緒に焼くサムギョプサル。トドク([[더덕]])はツルニンジンを意味する。
 
:味付けをしたツルニンジンと一緒に焼くサムギョプサル。トドク([[더덕]])はツルニンジンを意味する。
 
*チュクミサムギョプサル(주꾸미삼겹살)
 
*チュクミサムギョプサル(주꾸미삼겹살)
:味付けをしたイイダコと一緒に焼くサムギョプサル。チュクミ([[주꾸미]])はイイダコを意味する。
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:味付けをしたイイダコと一緒に焼くサムギョプサル。チュクミ([[주꾸미]])はイイダコを意味する([[チュクミボックム(イイダコ炒め/주꾸미볶음)]]の項目も参照)。
 
*ナクチサムギョプサル(낙지삼겹살)
 
*ナクチサムギョプサル(낙지삼겹살)
 
:味付けをしたテナガダコと一緒に焼くサムギョプサル。ナクチ([[낙지]])はテナガダコを意味する。
 
:味付けをしたテナガダコと一緒に焼くサムギョプサル。ナクチ([[낙지]])はテナガダコを意味する。
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日本にサムギョプサルが入ってきた時代は明確ではないが、本格的に広まっていったのは1990年代後半頃からと推測される。韓食ペディアの執筆者である八田靖史の個人的な体験では、2001年には東京の新大久保や三河島などでサムギョプサルを食べていた。この時期のサムギョプサルは薄切りの豚バラ肉を焼いて食べるだけのシンプルなものであった。
 
日本にサムギョプサルが入ってきた時代は明確ではないが、本格的に広まっていったのは1990年代後半頃からと推測される。韓食ペディアの執筆者である八田靖史の個人的な体験では、2001年には東京の新大久保や三河島などでサムギョプサルを食べていた。この時期のサムギョプサルは薄切りの豚バラ肉を焼いて食べるだけのシンプルなものであった。
  
=== 2002年 ===
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=== 2000年代 ===
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;2002年
 
*「とんちゃん」の開店
 
*「とんちゃん」の開店
 
:2002年6月に東京、歌舞伎町でサムギョプサル専門店の「とんちゃん」がオープンした。とんちゃんでは「元祖日本初サムギョプサル専門店」を掲げており、2017年8月現在他業態も含めて16店舗を展開する<ref>[http://www.tonchang.com/branch.html ご挨拶] 、とんちゃんウェブサイト、2017年8月19日閲覧</ref>。
 
:2002年6月に東京、歌舞伎町でサムギョプサル専門店の「とんちゃん」がオープンした。とんちゃんでは「元祖日本初サムギョプサル専門店」を掲げており、2017年8月現在他業態も含めて16店舗を展開する<ref>[http://www.tonchang.com/branch.html ご挨拶] 、とんちゃんウェブサイト、2017年8月19日閲覧</ref>。
  
=== 2003年 ===
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;2003年
 
*ドラマ『冬のソナタ』の影響
 
*ドラマ『冬のソナタ』の影響
 
:2003年にドラマ『冬のソナタ』が日本で放映されると、日本でも韓国料理への関心が高まっていった。『冬のソナタ』の第6話にはミニョン(ペ・ヨンジュン)とユジン(チェ・ジウ)が会食をするシーンがあり、そのときのメニューがサムギョプサルであった。
 
:2003年にドラマ『冬のソナタ』が日本で放映されると、日本でも韓国料理への関心が高まっていった。『冬のソナタ』の第6話にはミニョン(ペ・ヨンジュン)とユジン(チェ・ジウ)が会食をするシーンがあり、そのときのメニューがサムギョプサルであった。
  
=== 2004年 ===
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;2004年
 
[[ファイル:17081915.JPG|thumb|300px|3秒炭窯焼きサムギョプサルの提供開始を知らせる横断幕]]
 
[[ファイル:17081915.JPG|thumb|300px|3秒炭窯焼きサムギョプサルの提供開始を知らせる横断幕]]
 
東京、新大久保では韓流の影響により爆発的に韓国料理店が増えていった。新大久保では2004年末頃から、当時韓国で流行していた新しいサムギョプサルを導入する店が増えていった。
 
東京、新大久保では韓流の影響により爆発的に韓国料理店が増えていった。新大久保では2004年末頃から、当時韓国で流行していた新しいサムギョプサルを導入する店が増えていった。
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:2004年12月にスコップで焼くサプサムギョプサルの専門店としてオープン。店頭にはスコップに載せた豚肉を窯に入れて焼く、巨大な豚のオブジェを設置して目を引いた。
 
:2004年12月にスコップで焼くサプサムギョプサルの専門店としてオープン。店頭にはスコップに載せた豚肉を窯に入れて焼く、巨大な豚のオブジェを設置して目を引いた。
  
=== 2005年 ===
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;2005年
 
東京、新大久保では2005年に入ってバラエティに富んだサムギョプサルの専門店が乱立。韓食ペディアの執筆者である八田靖史は著書『韓国料理にはご用心!』にて、主要なサムギョプサル専門店の開店年月をまとめたうえで、「2005年というのは新大久保でサムギョプサルが定番料理となる決定的な年だった」と結論づけている<ref>八田靖史, 2013, 『韓国料理にはご用心!』, 三五館, P59</ref>。また、新大久保のみならず全国的にサムギョプサルという料理が知名度を得て、日本で広まっていったのがこの時期である。
 
東京、新大久保では2005年に入ってバラエティに富んだサムギョプサルの専門店が乱立。韓食ペディアの執筆者である八田靖史は著書『韓国料理にはご用心!』にて、主要なサムギョプサル専門店の開店年月をまとめたうえで、「2005年というのは新大久保でサムギョプサルが定番料理となる決定的な年だった」と結論づけている<ref>八田靖史, 2013, 『韓国料理にはご用心!』, 三五館, P59</ref>。また、新大久保のみならず全国的にサムギョプサルという料理が知名度を得て、日本で広まっていったのがこの時期である。
  
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:2005年9月にオープン。厚切りサムギョプサルの草分けとして人気を集める。
 
:2005年9月にオープン。厚切りサムギョプサルの草分けとして人気を集める。
  
=== 2006年 ===
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;2006年
 
*「ベジテジや」の開店
 
*「ベジテジや」の開店
 
:2006年8月に京都市伏見区深草にてオープン。「包まぬ豚は、ただの豚」というキャッチコピーを掲げ、自家栽培のサンチュに加え、玄米クレープ、あぶりトルティーヤ、京風包みもちなど個性的な包み素材を種類豊富に提供。
 
:2006年8月に京都市伏見区深草にてオープン。「包まぬ豚は、ただの豚」というキャッチコピーを掲げ、自家栽培のサンチュに加え、玄米クレープ、あぶりトルティーヤ、京風包みもちなど個性的な包み素材を種類豊富に提供。
  
=== 2012年 ===
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=== 2010年代 ===
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;2012年
 
[[ファイル:17081917.JPG|thumb|300px|ダイショーの「韓国式豚バラ焼肉 サムギョプサルの素」]]
 
[[ファイル:17081917.JPG|thumb|300px|ダイショーの「韓国式豚バラ焼肉 サムギョプサルの素」]]
 
2010年頃からのK-POPブームによって韓国料理の人気が拡大し、この時期からスーパーマーケットなどでは家庭用の韓国料理関連商品が増えていった。
 
2010年頃からのK-POPブームによって韓国料理の人気が拡大し、この時期からスーパーマーケットなどでは家庭用の韓国料理関連商品が増えていった。
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:2012年秋冬の新商品としてモランボンは鍋料理のシリーズとして「K-Cooking サムギョプサル鍋」を発売<ref>[http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20120925/1044019/?P=2 2012年「鍋」新トレンドは“ネオ韓国”、ひとり鍋もブレイク!?] 、日経トレンディネット、2017年8月19日閲覧</ref>。フライパンで豚バラ肉を焼いた後、鍋料理として野菜などと一緒に煮込むという料理であった。その後、モランボンは2013年3月に「サムギョプサルのたれ」<ref>[http://www.moranbong.co.jp/files/topics/1657_ext_05_0.pdf News Release] 、モランボンウェブサイト(PDF)、2017年8月19日閲覧</ref>、2015年3月に「ワイン漬けサムギョプサル」(ワインソース、つけだれ、サムジャンのセット)も発売した<ref>[http://www.moranbong.co.jp/news/detail/id=1994 News Release] 、モランボンウェブサイト、2017年8月19日閲覧</ref>。
 
:2012年秋冬の新商品としてモランボンは鍋料理のシリーズとして「K-Cooking サムギョプサル鍋」を発売<ref>[http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20120925/1044019/?P=2 2012年「鍋」新トレンドは“ネオ韓国”、ひとり鍋もブレイク!?] 、日経トレンディネット、2017年8月19日閲覧</ref>。フライパンで豚バラ肉を焼いた後、鍋料理として野菜などと一緒に煮込むという料理であった。その後、モランボンは2013年3月に「サムギョプサルのたれ」<ref>[http://www.moranbong.co.jp/files/topics/1657_ext_05_0.pdf News Release] 、モランボンウェブサイト(PDF)、2017年8月19日閲覧</ref>、2015年3月に「ワイン漬けサムギョプサル」(ワインソース、つけだれ、サムジャンのセット)も発売した<ref>[http://www.moranbong.co.jp/news/detail/id=1994 News Release] 、モランボンウェブサイト、2017年8月19日閲覧</ref>。
  
=== 2013年 ===
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;2013年
 
*八色サムギョプサルの日本進出
 
*八色サムギョプサルの日本進出
 
:2013年7月26日に大阪府大阪市中央区道頓堀で「八色サムギョプサル」の日本1号店がオープン<ref>[http://eightfood.cafe24.com/bbs/page.php?hid=01_02 8푸드 연혁] 、八色サムギョプサル(8フード)ウェブサイト、2017年8月19日閲覧</ref>。同店は2007年にソウルの新村で創業したサムギョプサル専門店で、店名の通り8種類の味付けをしたサムギョプサルをセットで提供するのが特徴である。
 
:2013年7月26日に大阪府大阪市中央区道頓堀で「八色サムギョプサル」の日本1号店がオープン<ref>[http://eightfood.cafe24.com/bbs/page.php?hid=01_02 8푸드 연혁] 、八色サムギョプサル(8フード)ウェブサイト、2017年8月19日閲覧</ref>。同店は2007年にソウルの新村で創業したサムギョプサル専門店で、店名の通り8種類の味付けをしたサムギョプサルをセットで提供するのが特徴である。
  
=== 2014年 ===
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;2014年
 
*トンサトンの日本進出
 
*トンサトンの日本進出
 
:2014年1月8日に大阪府大阪市北区天神橋で「トンサトン」の日本1号店がオープン<ref>[http://www.kansyoku-life.com/2014/07/4970.html 南森町(大阪)「トンサトン」~犬鳴豚のサムギョプサル&済州島直送の塩辛ソース] 、韓食生活、2017年8月19日閲覧</ref>。同店は済州道に本店を持つ済州道式の豚焼肉店で、クンゴギ(근고기)と呼ばれるかたまり肉で提供し、焼けた豚肉をイワシの塩辛ソースにつけて食べるのが特徴である。
 
:2014年1月8日に大阪府大阪市北区天神橋で「トンサトン」の日本1号店がオープン<ref>[http://www.kansyoku-life.com/2014/07/4970.html 南森町(大阪)「トンサトン」~犬鳴豚のサムギョプサル&済州島直送の塩辛ソース] 、韓食生活、2017年8月19日閲覧</ref>。同店は済州道に本店を持つ済州道式の豚焼肉店で、クンゴギ(근고기)と呼ばれるかたまり肉で提供し、焼けた豚肉をイワシの塩辛ソースにつけて食べるのが特徴である。
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;2019年
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*ファミリーマートのおにぎり
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:2019年3月5日に、ファミリーマートがおにぎりの新商品として「韓国風味付海苔 サムギョプサル」を発売した。パッケージ表面に日本語訳はなく、カタカナで大きく「サムギョプサル」とだけ書かれていた。英語で「Pork」の記述はあった。
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=== 2020年代 ===
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;2020年
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*エビギョプサル
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:2020年3月頃から、東京、新大久保を中心としてエビを豚肉で巻いて焼くエビロールサムギョプサルが話題となった。略称として「エビギョプサル」とも呼ばれている。
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*セブンイレブンのチルド惣菜
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:2020年7月21日に、セブンイレブンが電子レンジで温めるだけで食べられるチルド惣菜の「ごま油塩ソースで食べる サムギョプサル」を発売した。
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*ギャル流行語大賞2020
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:2020年12月1日に、『2020年ギャル流行語大賞』が発表され、「ギョプる(サムギョプサルを食べること)」が第10位にランクインした<ref>[https://grpaward.com/ ギャル流行語大賞] 、ギャル流行語大賞ウェブサイト、2023年1月29日閲覧</ref>。
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;2022年
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*チュクミサムギョプサル
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:2022年5月頃から、東京、新大久保を中心としてイイダコを炒め鍋にした[[チュクミボックム(イイダコ炒め/주꾸미볶음)]]が流行した。バリエーションメニューのひとつとして豚バラ肉をトッピングしたチュクミサムギョプサル(쭈꾸미삼겹살)が話題となった。略称として「チュサム(쭈삼)」とも呼ばれている。
  
 
== エピソード ==
 
== エピソード ==
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== 地域 ==
 
== 地域 ==
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[[ファイル:23100311.JPG|thumb|300px|[[江原道の料理|江原道]][[洪川郡の料理|洪川郡]]のファログイ]]
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*江原道洪川郡
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:[[江原道の料理|江原道]][[洪川郡の料理|洪川郡]]では、コチュジャン味の豚バラ肉を七輪で焼くファログイ(豚バラ肉の七輪焼き、[[화로구이]])が郷土料理になっている。
 
*忠清北道清州市
 
*忠清北道清州市
:[[忠清北道の料理|忠清北道]][[清州市の料理|清州市]]には醤油ダレに浸してから焼くサムギョプサルがある。これを現地ではシオヤキ([[시오야끼]])と称しており、サムギョプサル以外の部位も含めて、醤油ダレに浸して食べる豚焼肉を総称する。日本語の「塩焼き」に由来する言葉であり、[[清州市の料理|清州市]]には日本統治時代に多くの日本人が住んでいた。だが、醤油ダレでの味付けに対し、なぜシオヤキと呼ばれるようになったかは不明である。若い世代ではシオヤキという言葉を知らないことも多く、現地ではこの食べ方を醤油サムギョプサルという意味で、カンジャンサムギョプサル(간장삼겹살)とも称する。醤油ダレにはタマネギ、ショウガなどが入り、豚肉の雑味を取るとの意味合いがあるが、近年は店によって韓方材を加えるところも増えている。醤油ダレはカンジャンムル([[간장물]])、またはチランムル([[지랑물]])と称する。[[清州市の料理|清州市]]の西門洞(ソムンドン)地区にはサムギョプサルの専門店が集まっており、一帯をサムギョプサル通り(삼겹살골목)と呼ぶ。[[清州市の料理|清州市]]ではサムギョプサルデーの3月3日を前後して、毎年「清州サムギョプサル祭り(청주삼겹살축제)」も開催している。
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[[ファイル:23100606.JPG|300px|thumb|[[忠清北道の料理|忠清北道]][[清州市の料理|清州市]]のサムギョプサル。醤油ダレに浸しているところ]]
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:[[忠清北道の料理|忠清北道]][[清州市の料理|清州市]]にはサムギョプサルなどの豚焼肉を醤油ダレに浸してから焼く習慣があり、これを現地ではシオヤキ([[시오야끼]])と呼び、サムギョプサル以外の部位も含めて醤油ダレに浸して食べる豚焼肉を総称する。日本語の「塩焼き」に由来する言葉であり、清州市には日本統治時代に多くの日本人が住んでいた。いわゆるソグムグイ(豚肉の塩焼き、[[소금구이]])をシオヤキと呼んだのが、醤油ダレのつけ焼きにも転用されたと見られる。若い世代ではシオヤキという言葉を知らないことも多く、現地ではこの食べ方を「醤油サムギョプサル」という意味で、カンジャンサムギョプサル([[간장삼겹살]])とも称する。醤油ダレにはタマネギ、ショウガなどが入り、豚肉の雑味を取る意味合いがあるが、近年は店によって韓方材を加えるところも増えている。醤油ダレはカンジャンムル([[간장물]])、またはチランムル([[지랑물]])と称する。清州市の西門洞(ソムンドン、서문동)地区にはサムギョプサルの専門店が集まっており、一帯をサムギョプサル(豚バラ肉の焼肉/삼겹살)と呼ぶ。清州市ではサムギョプサルデーの3月3日を前後して、毎年「清州サムギョプサル祭り(청주삼겹살축제)」を開催している。
 
*慶尚北道清道郡
 
*慶尚北道清道郡
:[[慶尚北道の料理|慶尚北道]][[清道郡の料理|清道郡]]はセリの名産地であり、生のセリでサムギョプサルを包んで食べるミナリサムギョプサル(미나리삼겹살)が有名。
+
:[[慶尚北道の料理|慶尚北道]][[清道郡の料理|清道郡]]はセリの名産地であり、セリと一緒に焼いたり、生のセリ([[미나리]])でサムギョプサルを包んだりして味わうミナリサムギョプサル([[미나리삼겹살]])が有名。
 
*済州道
 
*済州道
 
:[[済州道の料理|済州道]]は黒豚の名産地であり、黒豚のサムギョプサルや、皮付きで提供する[[オギョプサル(豚バラ肉の焼肉/오겹살)]]が有名。また、焼けた豚肉を、イワシの塩辛に焼酎、ニンニク、青唐辛子などを加えて煮立てたタレで食べるのも定番である。
 
:[[済州道の料理|済州道]]は黒豚の名産地であり、黒豚のサムギョプサルや、皮付きで提供する[[オギョプサル(豚バラ肉の焼肉/오겹살)]]が有名。また、焼けた豚肉を、イワシの塩辛に焼酎、ニンニク、青唐辛子などを加えて煮立てたタレで食べるのも定番である。
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<地方>
 
<地方>
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*ヤンジマルファログイ(양지말화로구이)
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:住所:江原道洪川郡洪川邑ヤンジマルキル17-4(下吾安里631-3)
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:住所:강원도 홍천군 홍천읍 양지말길 17-4(하오안리 631-3)
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:電話:033-435-7533
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:備考:ファログイ(豚バラ肉の七輪焼き)の専門店
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*忠州トルグイ(충주돌구이)
 
*忠州トルグイ(충주돌구이)
 
:住所:忠清北道清州市上党区南社路89番キル37(西門洞174-1)
 
:住所:忠清北道清州市上党区南社路89番キル37(西門洞174-1)
362行目: 398行目:
 
:電話:064-746-8989
 
:電話:064-746-8989
 
:備考:サムギョプサルと肩ロースをセットで提供。塩辛ソースで味わう。
 
:備考:サムギョプサルと肩ロースをセットで提供。塩辛ソースで味わう。
 
*ウリオモン食堂(우리어멍식당)
 
:住所:済州道西帰浦市大静邑松岳観光路375(上摹里418)
 
:住所:제주도 서귀포시 대정읍 송악관광로 375(상모리 418)
 
:電話:064-792-0667
 
:備考:摹瑟浦に位置する黒豚焼肉とアワビ粥の専門店。
 
  
 
*ZZZ済州黒豚バーベキュー(ZZZ 제주 흑돼지 바비큐)
 
*ZZZ済州黒豚バーベキュー(ZZZ 제주 흑돼지 바비큐)
397行目: 427行目:
 
*[[ワインサムギョプサル(ワインに漬けた豚バラ肉の焼肉/와인삼겹살)]]
 
*[[ワインサムギョプサル(ワインに漬けた豚バラ肉の焼肉/와인삼겹살)]]
 
*[[ウサムギョプ(牛バラ肉の焼肉/우삼겹)]]
 
*[[ウサムギョプ(牛バラ肉の焼肉/우삼겹)]]
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*[[チュクミボックム(イイダコ炒め/주꾸미볶음)]]
 
*[[ハンジョンサル(豚トロの焼肉/항정살)]]
 
*[[ハンジョンサル(豚トロの焼肉/항정살)]]
 
*[[忠清北道の料理]]
 
*[[忠清北道の料理]]
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