30,747
回編集
36行目: | 36行目: | ||
=== トンネパジョン(東莱式のネギ焼き/동래파전) === | === トンネパジョン(東莱式のネギ焼き/동래파전) === | ||
+ | トンネパジョンは東莱(トンネ、동래)地区に伝わるネギのチヂミ。トンネは地名、パがネギ、ジョンがチヂミを意味する(「[[パジョン(ネギのチヂミ/파전)]]」の項目も参照)。朝鮮時代より東莱地区は葉ネギ([[쪽파]])の産地として知られ、東莱区福泉洞に位置する東莱市場での扱いも多かった。市場内にはパジョンを作って販売する店が並び、これが広まって地域の名物としての名声を得るに至った。トンネパジョンの特徴としては、生地に米粉やもち粉を用いること、魚介類をふんだんに入れること、蒸し焼きにして全体をとろっと柔らかな食感に仕上げること、チョコチュジャン(唐辛子酢味噌、[[고추장]])をつけて食べること、などがあげられる。葉ネギの旬は春であり、かつては旧暦の3月3日(サムジンナル)に食べる習慣もあった。 | ||
+ | |||
+ | *「東莱ハルメパジョン」の創業 | ||
+ | :トンネパジョンの老舗として東莱区福泉洞の「東莱ハルメパジョン(동래할매파전)」がある。創業は1940年とされるが、1930年代から東莱市場にて初代のカン・メヒさんが露店を営んでいたとされる。店を構えたのは1950年代であり、その当時は「第一食堂(제일식당)」という名前であった。1970年代に現在の「東莱ハルメパジョン」に店名を変更。時代とともに嫁から嫁へと代が受け継がれ、2代目の李允善さん、3代目の金玉子さんに続いて、現在は4代目の金貞姫さんが店を守っている。 | ||
+ | |||
+ | *「東莱ハルメパジョン」における調理法 | ||
+ | :「東莱ハルメパジョン」では店内に調理スペースを置き、一連の流れを見ることができるようになっている。調理の手順は以下のようになる。 | ||
+ | ::1、鉄板に油をしき、葉ネギを縦方向に載せる。 | ||
+ | ::2、葉ネギの上に具を載せる。具は季節ごとに多少異なり、アサリ、ハマグリ、タイラギ、エビ、牛肉のほか、冬季は牡蠣、ムール貝も加える。 | ||
+ | ::3、2の上に葉ネギをさらに載せる。このとき最初に敷いた葉ネギとは、葉先と根を互い違いにする。 | ||
+ | ::4、生地を上から流しかける。生地はごくゆるめであり、米粉、もち粉、ダシ汁、ジャン(醤、[[장]])などが入っている。この生地のことを店ではマックンムル(맛국물)と読んでいる。 | ||
+ | ::5、へらで全体をひっくり返し、90度回して縦と横を入れ替える。 | ||
+ | ::6、全体を縦に長く伸ばし、上から油をかける。 | ||
+ | ::7、全体に生地(マックンムル)をかける。 | ||
+ | ::8、形を正方形に整える。この縦に長く伸ばしたり、正方形に整えたりする作業を、4代目店主の金貞姫さんは「アコーディオンを演奏するように」と表現している。 | ||
+ | ::9、90度回して縦と横を入れ替えた後、全体をひっくり返す。 | ||
+ | ::10、卵をひとつ器に割り入れ、ざっと溶いたものを生地にかける。 | ||
+ | ::11、全体をフタで覆って蒸し焼きにする。 | ||
+ | ::12、卵が半熟に固まったらフタを取り、大皿に移して提供する。 | ||
=== チョバンナクチ(テナガダコの炒め物/조방낙지) === | === チョバンナクチ(テナガダコの炒め物/조방낙지) === |