「大邱市の料理」の版間の差分

編集の要約なし
31行目: 31行目:
 
大邱地域を代表する料理は「大邱10味(대구십미)」として選定されている。2006年に大邱市が専門家らの意見を総合して作成したもので、[[ユッケジャン(牛肉の辛いスープ/육개장)]]、マクチャングイ(ギアラ焼き、豚の直腸焼き、[[막창구이]])、ムンティギ(牛刺身、[[뭉티기]])、チムカルビ(辛口の牛カルビ煮、[[찜갈비]])、ノンメギメウンタン(ナマズの辛口鍋、[[논메기매운탕]])、ポゴプルコギ(フグの炒め焼き、[[복어불고기]])、[[カルグクス(韓国式の手打ちうどん/칼국수)|ヌルングクス(韓国式の手打ちうどん、누른국수)]]、ムチムフェ(刺身和え、[[무침회]])、ヤキウドン(辛口焼きうどん、[[야끼우동]])、ナプチャクマンドゥ(薄焼餃子、[[납작만두]])の10種類である<ref>[http://tour.daegu.go.kr/PageLink.do?ret=home/kor/sleepneat/sleepneat 대구가 자랑하는 10가지 별미] 、大邱観光案内ウェブサイト、2017年8月8日閲覧</ref>。
 
大邱地域を代表する料理は「大邱10味(대구십미)」として選定されている。2006年に大邱市が専門家らの意見を総合して作成したもので、[[ユッケジャン(牛肉の辛いスープ/육개장)]]、マクチャングイ(ギアラ焼き、豚の直腸焼き、[[막창구이]])、ムンティギ(牛刺身、[[뭉티기]])、チムカルビ(辛口の牛カルビ煮、[[찜갈비]])、ノンメギメウンタン(ナマズの辛口鍋、[[논메기매운탕]])、ポゴプルコギ(フグの炒め焼き、[[복어불고기]])、[[カルグクス(韓国式の手打ちうどん/칼국수)|ヌルングクス(韓国式の手打ちうどん、누른국수)]]、ムチムフェ(刺身和え、[[무침회]])、ヤキウドン(辛口焼きうどん、[[야끼우동]])、ナプチャクマンドゥ(薄焼餃子、[[납작만두]])の10種類である<ref>[http://tour.daegu.go.kr/PageLink.do?ret=home/kor/sleepneat/sleepneat 대구가 자랑하는 10가지 별미] 、大邱観光案内ウェブサイト、2017年8月8日閲覧</ref>。
  
=== ユッケジャン(육개장) ===
+
=== ユッケジャン(牛肉の辛口スープ/육개장) ===
 
:ユッケジャンは牛肉を煮込んだ辛口のスープ。他地域のユッケジャンとは異なり、大きく切った牛肉と、とろとろになるまで煮込んだ長ネギの2種が具材の大半を占める。少量の芋茎や大根を入れることもあるが、牛肉のうま味と長ネギから出る甘味が味の要となる。ごはんを添えて提供するのが一般的だが、かわりに麺を入れて食べるユッククス([[육국수]])という派生メニューもある。
 
:ユッケジャンは牛肉を煮込んだ辛口のスープ。他地域のユッケジャンとは異なり、大きく切った牛肉と、とろとろになるまで煮込んだ長ネギの2種が具材の大半を占める。少量の芋茎や大根を入れることもあるが、牛肉のうま味と長ネギから出る甘味が味の要となる。ごはんを添えて提供するのが一般的だが、かわりに麺を入れて食べるユッククス([[육국수]])という派生メニューもある。
  
40行目: 40行目:
 
:大邱ではユッケジャンから派生した料理として[[タロクッパプ(別盛のスープごはん/따로국밥)]]を位置づけている。牛肉のスープにごはんを入れた状態で提供していたものを、客の要望によってごはんを分けて出したのが始まりとされる。現在の大邱におけるタロクッパプは牛肉や牛骨スープでダシを取り、長ネギ、芋がらなどの野菜と一緒に煮込んだ辛いスープという点で共通するが、多くの店でソンジ(牛の血、[[선지]])を具として加えており、その点でユッケジャンと異なる。
 
:大邱ではユッケジャンから派生した料理として[[タロクッパプ(別盛のスープごはん/따로국밥)]]を位置づけている。牛肉のスープにごはんを入れた状態で提供していたものを、客の要望によってごはんを分けて出したのが始まりとされる。現在の大邱におけるタロクッパプは牛肉や牛骨スープでダシを取り、長ネギ、芋がらなどの野菜と一緒に煮込んだ辛いスープという点で共通するが、多くの店でソンジ(牛の血、[[선지]])を具として加えており、その点でユッケジャンと異なる。
  
=== マクチャングイ(막창구이) ===
+
=== マクチャングイ(豚の直腸焼き/막창구이) ===
 
[[ファイル:17081404.JPG|thumb|300px|マクチャングイ]]
 
[[ファイル:17081404.JPG|thumb|300px|マクチャングイ]]
 
:マクチャングイはギアラ(牛の第4胃)焼き、または豚の直腸焼き。マクチャン([[막창]])とはマジマクチャン(最後の腸、마지막창)という意味で、牛の場合はギアラ、豚の場合は直腸を表す。いずれも練炭や炭火で網焼きにして味わう。
 
:マクチャングイはギアラ(牛の第4胃)焼き、または豚の直腸焼き。マクチャン([[막창]])とはマジマクチャン(最後の腸、마지막창)という意味で、牛の場合はギアラ、豚の場合は直腸を表す。いずれも練炭や炭火で網焼きにして味わう。
47行目: 47行目:
 
:地下鉄1号線のアンジラン(안지랑)駅近くに、アンジランコプチャン通り(안지랑 곱창골목)と呼ばれる一角があり、長さ500mほどの通りに、2017年6月時点で52軒ものホルモン焼き専門店が並んでいる(八田靖史の取材記録より、2017年6月23日)。ほとんどの店で豚ホルモンを看板メニューとしており、通りの名称としてはコプチャン(小腸、[[곱창]])だが、豚のマクチャンも一緒に扱う店が多い。また、串に刺した鶏のヨムトン(ハツ、[[염통]])も通りの名物とされる。
 
:地下鉄1号線のアンジラン(안지랑)駅近くに、アンジランコプチャン通り(안지랑 곱창골목)と呼ばれる一角があり、長さ500mほどの通りに、2017年6月時点で52軒ものホルモン焼き専門店が並んでいる(八田靖史の取材記録より、2017年6月23日)。ほとんどの店で豚ホルモンを看板メニューとしており、通りの名称としてはコプチャン(小腸、[[곱창]])だが、豚のマクチャンも一緒に扱う店が多い。また、串に刺した鶏のヨムトン(ハツ、[[염통]])も通りの名物とされる。
  
=== ムンティギ(뭉티기) ===
+
=== ムンティギ(牛刺身/뭉티기) ===
 
[[ファイル:17081405.JPG|thumb|300px|ムンティギ]]
 
[[ファイル:17081405.JPG|thumb|300px|ムンティギ]]
 
:ムンティギは牛肉の刺身。[[ユッケ(牛刺身/육회)]]のように味付けはせず、鮮度のよい赤身肉をひと口大に切り、コチュジャン([[고추장]])や、タデギ(唐辛子ペースト、[[다대기]])などの辛味ダレにつけて味わう。地方によってはセンゴギ([[생고기]])、ユクサシミ([[육사시미]])とも呼ばれるが、ムンティギははざくざくと切ることを表す擬音語のムントンムントン([[뭉텅뭉텅]])から来ている<ref>[http://tour.daegu.go.kr/PageLink.do?ret=home/kor/sleepneat/sleepneat03 뭉티기] 、大邱観光案内ウェブサイト、2017年8月8日閲覧</ref>。もともとはチョジゲサル([[처지개살]])と呼ばれるモモ肉の内側にある希少部位を用いたが、現在はモモの赤身部位全般を扱う。
 
:ムンティギは牛肉の刺身。[[ユッケ(牛刺身/육회)]]のように味付けはせず、鮮度のよい赤身肉をひと口大に切り、コチュジャン([[고추장]])や、タデギ(唐辛子ペースト、[[다대기]])などの辛味ダレにつけて味わう。地方によってはセンゴギ([[생고기]])、ユクサシミ([[육사시미]])とも呼ばれるが、ムンティギははざくざくと切ることを表す擬音語のムントンムントン([[뭉텅뭉텅]])から来ている<ref>[http://tour.daegu.go.kr/PageLink.do?ret=home/kor/sleepneat/sleepneat03 뭉티기] 、大邱観光案内ウェブサイト、2017年8月8日閲覧</ref>。もともとはチョジゲサル([[처지개살]])と呼ばれるモモ肉の内側にある希少部位を用いたが、現在はモモの赤身部位全般を扱う。
54行目: 54行目:
 
:ムンティギの専門店では、ほかに希少部位の網焼きをメニューに載せることが多い。ヤンジモリ(肩バラ肉、[[양지머리]])、オドゥレギ(血管、心臓のつけ根にある大動脈、[[오드레기]])、ヒョッパダク(タン、[[혓바닥]])、テチャン(大腸、[[대창]])などが代表的であり、これらを複合させたヤンジオドゥレギ(肩バラ肉と血管の炭火焼き、[[양지오드레기]])といったメニューもある。
 
:ムンティギの専門店では、ほかに希少部位の網焼きをメニューに載せることが多い。ヤンジモリ(肩バラ肉、[[양지머리]])、オドゥレギ(血管、心臓のつけ根にある大動脈、[[오드레기]])、ヒョッパダク(タン、[[혓바닥]])、テチャン(大腸、[[대창]])などが代表的であり、これらを複合させたヤンジオドゥレギ(肩バラ肉と血管の炭火焼き、[[양지오드레기]])といったメニューもある。
  
=== チムカルビ(찜갈비) ===
+
=== チムカルビ(辛口の牛カルビ煮/찜갈비) ===
 
[[ファイル:17081406.JPG|thumb|300px|チムカルビ]]
 
[[ファイル:17081406.JPG|thumb|300px|チムカルビ]]
 
:チムカルビは辛い牛カルビの蒸し煮。ぶつ切りにした牛カルビを甘辛く煮込んだもので、調理法としては[[カルビチム(牛カルビの煮物/갈비찜)]]ともほぼ共通するが、みじん切りのニンニクや粉唐辛子のたくさん入る刺激的な味付けが特徴的である。1972年創業の元祖店「鳳山チムカルビ(봉산찜갈비)」によれば、1970年代の初めに地下鉄工事が行われた際、近隣で働いていた労働者のリクエストに応える形で、辛く濃厚な味付けに仕上がっていったという(八田靖史の取材記録より、2011年12月11日)。アルマイトのチゲ用鍋([[양은냄비]])で調理、提供され、残ったタレにはごはんを入れて混ぜて食べるのも定番である。
 
:チムカルビは辛い牛カルビの蒸し煮。ぶつ切りにした牛カルビを甘辛く煮込んだもので、調理法としては[[カルビチム(牛カルビの煮物/갈비찜)]]ともほぼ共通するが、みじん切りのニンニクや粉唐辛子のたくさん入る刺激的な味付けが特徴的である。1972年創業の元祖店「鳳山チムカルビ(봉산찜갈비)」によれば、1970年代の初めに地下鉄工事が行われた際、近隣で働いていた労働者のリクエストに応える形で、辛く濃厚な味付けに仕上がっていったという(八田靖史の取材記録より、2011年12月11日)。アルマイトのチゲ用鍋([[양은냄비]])で調理、提供され、残ったタレにはごはんを入れて混ぜて食べるのも定番である。
64行目: 64行目:
 
:西門市場(서문시장)内には豚カルビを使用したテジチムカルビ([[돼지찜갈비]])を提供する飲食店の集まる一角がある。
 
:西門市場(서문시장)内には豚カルビを使用したテジチムカルビ([[돼지찜갈비]])を提供する飲食店の集まる一角がある。
  
=== ヤキウドン(야끼우동) ===
+
=== ヤキウドン(辛口焼きうどん/야끼우동) ===
 
[[ファイル:17081407.JPG|thumb|300px|ヤキウドン]]
 
[[ファイル:17081407.JPG|thumb|300px|ヤキウドン]]
 
:ヤキウドンは辛口の海鮮焼きうどん。韓国式の[[チャンポン(激辛スープの海鮮麺/짬뽕)]]を汁なしに仕立てたアレンジ料理で、大邱を発祥とする中華料理として位置付けられる。名称こそ日本料理の「焼きうどん」と共通するが、もともと韓国の中華料理店には日本語が多く浸透しており、例えば焼き餃子のことはヤキマンドゥとも表現する(「[[マンドゥ(餃子/만두)]]」の項目も参照)。また、野菜や魚介を具とした温かいスープの麺料理を、日本式の麺料理とは別途、ウドン([[우동]])と称するため、この両者を総合してヤキウドンという名称に至った。中区南一洞に位置する「中和飯店(중화반점)」にて、1970年代に新メニューとして開発されたとされる。
 
:ヤキウドンは辛口の海鮮焼きうどん。韓国式の[[チャンポン(激辛スープの海鮮麺/짬뽕)]]を汁なしに仕立てたアレンジ料理で、大邱を発祥とする中華料理として位置付けられる。名称こそ日本料理の「焼きうどん」と共通するが、もともと韓国の中華料理店には日本語が多く浸透しており、例えば焼き餃子のことはヤキマンドゥとも表現する(「[[マンドゥ(餃子/만두)]]」の項目も参照)。また、野菜や魚介を具とした温かいスープの麺料理を、日本式の麺料理とは別途、ウドン([[우동]])と称するため、この両者を総合してヤキウドンという名称に至った。中区南一洞に位置する「中和飯店(중화반점)」にて、1970年代に新メニューとして開発されたとされる。
30,747

回編集