「江華郡の料理」の版間の差分

1,680 バイト除去 、 2015年4月5日 (日) 02:53
編集の要約なし
9行目: 9行目:
  
 
== 食文化の背景 ==
 
== 食文化の背景 ==
漢江、臨津江、礼成江という3つの河川が流れ込む河口地域に位置するため、堆積地として肥沃な土壌を有することから、島嶼地域であっても漁業のみならず農業が盛んに行われている。
+
島嶼地域という特性から漁業、養殖業が盛んに行われている。郡内では四季折々の魚介が食卓にのぼり、春はイイダコ([[주꾸미]])、メフグ([[황복]])、春から初夏にかけてはワタリガニ([[꽃게]])や、マナガツオ([[병어]])、ツマリエツ([[반지]], [[밴댕이]])、塩辛用のアキアミ([[젓새우]])、秋はコノシロ([[전어]])や、コウライエビ([[대하]])、冬はボラ([[숭어]])といった魚介が旬を迎える。また江華郡は漢江、臨津江、礼成江という3つの河川が流れ込む河口地域に位置するため、堆積地として肥沃な土壌を有することから、漁業のみならず農業が盛んに行われている。米([[]])、サツマイモ([[고구마]])、カブ([[순무]])、ブドウ([[포도]])、高麗人参([[인삼]])、ヨモギ([[쑥]])といった特産品があり、これらを利用した加工品も多く作られている。食品以外では、花紋席(화문석)と呼ばれる花ござの生産が盛んである。
 
 
 
 
半島として西海岸に突き出た扶安郡は三方を海に囲まれ、また広大な干潟を有していることから四季折々の海産物に恵まれた地域である。例えば、格浦港(キョッポハン、격포항)のある刺身店では、春はマダイ([[도미]])、夏はスズキ([[농어]])、秋はコノシロ([[전어]])、冬はボラ([[숭어]])とそれぞれ旬の刺身を主力商品とし、そこに加えて3~4月は卵を持ったイイダコ(주꾸미)、5~6月はコウイカ([[갑오징어]])を提供する(八田靖史の取材記録より、2010年4月4日)。また、扶安の食文化においては干潟からの恵みを欠かすことはできず、アサリ([[바지락]])、バカガイ([[개량조개]])、アカガイ([[피조개]])、タイラガイ([[키조개]])、シオフキ([[동죽]])などがよくとれる。こうした干潟を利用した塩田事業も古くから栄え、天日塩を特産品とするとともに、豊富な海産物を用いた塩辛([[젓갈]])の生産も盛んである。一方で、養蚕事業も盛んであることから郡内には桑畑が多く、桑の葉([[뽕잎]])や、桑の実([[오디]])を利用した郷土料理も多い。食品以外では、高麗時代から青磁の生産地として栄えた歴史を持ち、現在も陶磁器作りが盛んである。
 
 
 
=== セマングム干拓事業 ===
 
[[ファイル:15011902.JPG|thumb|300px|セマングム防潮堤]]
 
*事業概要
 
セマングムとは扶安郡、金堤市、群山市にまたがる大規模な干拓地である。セマングムのセは「新しい」、マンは万頃平野(만경평야)の「万」、グムは金堤平野(김제평야)の「金」(金堤の金はキムと読むが、別の読み方ではグムとも読める)から取られている。扶安の辺山半島から古群山群島を経て群山市までを全長33.9kmの防潮堤(2010年4月に完成)で結び、その内側を干拓することによって総面積4万100ha(面積でソウルの3分の2に相当)という広大な土地を新たに造成する<ref>[http://www.kasdi.go.kr/sda/sub/why/SMA10001.do 새만금의 위치] 、セマングム開発庁ウェブサイト、2015年1月19日閲覧</ref>。この事業が計画されたのは1970~80年代で、当初は農業用地の確保がいちばんの目的であったが、地元や環境団体の反対もあって事業が長期化したことにより、当初の目的はすでに意味を失い、現在は東北アジア地域における経済の中心地としての開発と変更されている。
 
 
 
*食文化への影響
 
干拓事業によって多くの干潟が埋立てられ、漁業にも大きな影響が出ている。一例として、界火島(ケファド、개화도)一帯はハマグリの主産地として全国的に有名だったが、干拓事業によって生産量が激減した。あるハマグリ料理の専門店では、長らく使ってきた界火島産を諦め、北朝鮮の海州産に切り替えることとなった(八田靖史の取材記録より、2010年4月5日)。
 
  
 
== 代表的な料理 ==
 
== 代表的な料理 ==
 
=== コッケタン(ワタリガニ鍋/꽃게탕) ===
 
=== コッケタン(ワタリガニ鍋/꽃게탕) ===
 
[[ファイル:15011903.JPG|thumb|300px|パジラッチュク]]
 
[[ファイル:15011903.JPG|thumb|300px|パジラッチュク]]
パジラッチュクはアサリ粥。地元でとれたアサリをむき身にして、米と一緒にゴマ油で炒め、水を加えてじっくり煮込んで作る。具にはアサリのほか、刻んだ野菜やキノコ、緑豆などを加え、店によっては高麗人参や、桑の葉などを加えて作ることもある。アサリの旬は春だが、専門店ではほぼ通年で味わえる。辺山面大項里に専門店が集まっている。
+
:パジラッチュクはアサリ粥。地元でとれたアサリをむき身にして、米と一緒にゴマ油で炒め、水を加えてじっくり煮込んで作る。具にはアサリのほか、刻んだ野菜やキノコ、緑豆などを加え、店によっては高麗人参や、桑の葉などを加えて作ることもある。アサリの旬は春だが、専門店ではほぼ通年で味わえる。辺山面大項里に専門店が集まっている。
  
 
=== ペンデンイフェ(ツマリエツの刺身/밴댕이회) ===
 
=== ペンデンイフェ(ツマリエツの刺身/밴댕이회) ===
57行目: 46行目:
  
 
== 代表的な酒類・飲料 ==
 
== 代表的な酒類・飲料 ==
=== ポンジュ ===
+
=== 江華郡のマッコリ ===
:ポンジュ(뽕주)は桑の実を利用した果実酒。5~6月に収穫した桑の実を熟成させてから用いる。濃厚な甘味が特徴。
+
:主要な銘柄にチャヌムルの「高香(고향)」、江華温水醸造場の「民族(민족)」がある。また、特産品を活かした高麗人参マッコリや、ヨモギマッコリなども市販されている。
  
=== 江華郡のマッコリ ===
+
*江華温水醸造場(강화온수양조장)
:ポンジュと同じく桑の実を加えて作るマッコリが有名である。
+
:仁川市江華郡吉祥面に位置する江華温水醸造場は1924年の創業(実際は1923年の創業で法的な登記が1924年)で、ソウル、京畿道地域においてはもっとも古い醸造場である。3代目の社長によれば「ソウル、京畿道地域で現在営業する醸造場の多くが、江華温水醸造場で必要な技術を学んでおり、その人数は3~400人になるだろう」とのことである(八田靖史の取材記録より、2015年3月30日)。醸造場の建物は築100年を超えるもので、建築的な価値も高いとされる。
  
 
== 老舗 ==
 
== 老舗 ==
 
*仁川市江華郡江華邑に位置する「ウリオク(우리옥)」は1953年創業である。江華郡においてはもっとも古い飲食店であり、また仁川市内においても1945年創業の「平壌屋(평양옥)」に次いで2番目に古い。魚介料理を自慢とする定食店で、ハンシクペッパン(韓国料理定食、한식백반)と呼ばれる5000ウォンの基本定食に、好みでチゲや刺身などを追加するシステムを取っている。追加用の料理にはテグチゲ(タラの鍋、대구찌개)、ピョンオチゲ(マナガツオの鍋、병어찌개)、ピョンオフェ(マナガツオの刺身、병어회)、プルコギ(牛焼肉、불고기)などがある。
 
*仁川市江華郡江華邑に位置する「ウリオク(우리옥)」は1953年創業である。江華郡においてはもっとも古い飲食店であり、また仁川市内においても1945年創業の「平壌屋(평양옥)」に次いで2番目に古い。魚介料理を自慢とする定食店で、ハンシクペッパン(韓国料理定食、한식백반)と呼ばれる5000ウォンの基本定食に、好みでチゲや刺身などを追加するシステムを取っている。追加用の料理にはテグチゲ(タラの鍋、대구찌개)、ピョンオチゲ(マナガツオの鍋、병어찌개)、ピョンオフェ(マナガツオの刺身、병어회)、プルコギ(牛焼肉、불고기)などがある。
 +
:店名:ウリオク(우리옥)
 
:住所:仁川市江華郡江華邑南山キル12(新門里184)
 
:住所:仁川市江華郡江華邑南山キル12(新門里184)
 
:住所:인천시 강화군 강화읍 남산길 12
 
:住所:인천시 강화군 강화읍 남산길 12
30,747

回編集