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トッポッキ(떡볶이)は、餅を野菜などと炒めたもの。
名称
トッ(떡)は餅。ポッキ(볶이)は炒める(볶다)という単語の名詞形。日本語では「トッポギ」との表記も見られるが、韓国語の発音に照らし合わせるとトッポッキとの表記が近い。本辞典においてはより韓国語の発音に近い「トッポッキ」を使用する。また、近年の日本においてはトッポッキ用の棒状に切られた餅を「トッポギ」と称する場合があり、同様にトックッ(韓国式の雑煮/떡국)用の小判型にスライスした餅を「トック」と呼び分けることがあるが、この分類も日本独自のもので韓国語とは関係がない。韓国語では棒状の餅をカレトク(가래떡、棒状の餅の意)、またはヒントク(흰떡、白い餅の意)と称し、小判型にスライスしたものはトックットク(떡국떡、トックッの餅)のように呼ぶ。
概要
うるち米で作った餅を野菜などの具材と炒めて作る。屋台、粉食店などで提供されることが多く、老若男女、特に女性や子どもからの人気が高い料理である。
歴史
文献上の記録
- 『飲食知味方』の記述
1670年頃に書かれた『飲食知味方』にはトッポッキの記述はないものの、餅を焼いて食べる料理法が紹介されている。
- 『是議全書』の記述
1800年代後半に書かれた『是議全書』にはトッポッキという項目があり、「他の蒸し煮料理と同じく、上等な餅をサトウダイコンのように切り、少し炒めて作る。蒸し煮料理の材料はすべて入るが、とろみはつけない」と記述されている。
- 『朝鮮無双新式料理製法』の記述
1924年に書かれた『朝鮮無双新式料理製法』にはトッポッキという項目があり、牛肉、牛の胃袋、シイタケ、イワタケ、マツタケ、長ネギ、セリ、黄花菜(乾燥させたノカンゾウやヤブカンゾウの花)を具とし、醤油、砂糖、コショウで味付けをし、糸唐辛子、錦糸卵、松の実をトッピングするレシピが紹介されている。また、アレンジとして緑豆モヤシや、エホバク(カボチャの未熟果)、乾燥エホバクを具としてもよいとある。
- 『朝鮮料理製法』の記述
1942年に書かれた『朝鮮料理製法』にはトッポッキという項目があり、3人分の調理法が詳細に紹介されている。具には薄切りにした牛肉、長ネギ、シイタケ、イワタケ、セリなどが入り、調味料には油、醤油、コショウが使われる。トッピングには錦糸卵と松の実を用いる。
- 『李朝宮庭料理通考』の記述
※この項目は原文に当たっておらず確認中 1959年に書かれた『李朝宮庭料理通考』は李王家の尚宮として勤めた韓煕順(初代朝鮮王朝宮中料理技能保有者)の著書であり、ここではトッポッキが宮中で食べられていた料理として紹介されている。また、宮中で食べられていたトッポッキはもともと坡平尹氏の家門に伝わる料理であり、17世紀頃には存在したとされる。
種類
トッポッキには次のような種類がある。
具のバリエーション
- ラポッキ(라볶이)
- インスタントラーメンをトッピングしたトッポッキ。間食というよりも、食事に近いボリューム感がある。
- チーズトッポッキ(치즈떡볶이)
- スライスチーズやシュレッドチーズをトッピングトッポッキ。辛さがマイルドになり、濃厚なコクも加わる。
- ヘムルトッチム(해물떡찜)
- 蒸し煮仕立ての海鮮トッポッキ。エビや、ムール貝などを具とした豪華なトッポッキで鍋料理のように提供される。韓国の飲食店「ヘムルトッチム0410(해물떡찜0410)」が火付け役となって2008年に大流行した。
味付けのバリエーション
- カンジャントッポッキ(간장떡볶이)
- 醤油味のトッポッキ。牛肉を具として用いることが多い。かつて宮中でも作られたとの逸話からクンジュントッポッキ(궁중떡볶이、宮中トッポッキ)との呼び名もある。2003年に韓国で放映されたドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」に登場して話題となった。劇中(第14話)では主人公のチャングムが牛肉や干し野菜を具としたトッポッキを作り、梨で加えて甘味を出した醤油を用いて味付けをしている。韓国では「宮廷女官チャングムの誓い」によってカンジャントッポッキの知名度が向上し、一時期ブームにもなった。なお、カンジャントッポッキに対して、一般的なコチュジャン味のトッポッキをコチュジャントッポッキ(고추장떡볶이)と呼ぶこともある。
- カルボナーラトッポッキ(까르보나라 떡볶이)
- カルボナーラ風に仕立てたトッポッキ。韓国の飲食店「SCHOOL FOOD」の人気メニューとしても有名。
- クリームソーストッポッキ(크림소스 떡볶이)
- クリームソースに絡めたトッポッキ。日本の食品メーカー「モランボン」は2012年7月15日に2種類のチーズとクリームソースを用いた「おうち韓食 チーズクリームトッポギ」を発売した。
- キルムトッポッキ(기름떡볶이)
- 直訳をすると「油トッポッキ」。油に絡めながら鉄板で炒めて作るトッポッキを指す。ソウルの通仁市場名物として有名。
- カレートッポッキ(카레떡볶이)
- カレールーを絡めたトッポッキ。
- チャジャントッポッキ(짜장떡볶이)
- チャジャンミョン(짜장면、ジャージャー麺)風に黒味噌を絡めたトッポッキ。
提供方法のバリエーション
- チュクソクトッポッキ(즉석떡볶이)
- 直訳をすると「即席トッポッキ」。乾麺、餃子、ソーセージなど多様な具材を入れて鍋料理のように調理する。一般的なトッポッキが調理済のものを販売するのに対し、チュクソクトッポッキは客の注文ごとに、テーブル上に置いたコンロに鍋を置いて即席で調理することから名付けられた。このスタイルはソウルの新堂洞(シンダンドン/신당동)が特に有名である。新堂洞には同業の店が林立するトッポッキタウンが形成されており、シンダンドントッポッキ/신당동떡볶이の名前は全国に広く知られている。2008年以降にブームとなって専門店が増加した。
- クンムルトッポッキ(국물떡볶이)
- 直訳をすると「スープトッポッキ」。甘辛のソースに汁気を持たせたもので、餅をはじめとした具だけでなくスープも味わうことを目的としている。このスープにティギム(튀김、天ぷら)やキムパプ(김밥、海苔巻き)を浸して食べるのも定番。
- トッコチ(떡꼬치)
- 串に刺した餅にトッポッキのソースをかけたもの。食べやすい新種の屋台料理として登場。
調理
カレトク、またはヒントクと呼ばれるうるち米で作った棒状の餅を、野菜などとともに甘辛く炒めて作る。野菜にはタマネギ、ニンジン、長ネギなどを用い、味付けにはコチュジャン、粉唐辛子、砂糖などを用いる。具にはトッピングとしてギョウザ、ゆで卵、おでん(おでんに入る練り製品のこと)などを加えてもよい。
地域
- シンダンドントッポッキ(신당동떡볶이)