ソルロンタン(牛スープ/설렁탕)

2024年11月13日 (水) 01:42時点におけるHatta (トーク | 投稿記録)による版
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ソルロンタン설렁탕)は、牛スープ。

ソルロンタン

名称

ソルロンタンという名称は、朝鮮時代に行われた豊作祈願の祭祀、先農祭(ソンノンジェ、선농제)に由来するという説と、モンゴル語のシュル(スープの意、шөл)が転化したとする2つの説がある。国立国語院が編纂する『標準国語大辞典』においては「설렁탕」を標準語としているが、非標準語として「설농탕(雪濃湯)」も掲載がある。日本ではソロンタン、ソーロンタンといった表記も見かけるが、本辞典ではソルロンタンと表記する。発音表記は[설렁탕]。

  • 日本語訳
牛の各部位を煮込んで作るスープであり、「牛肉や牛骨、内臓などを煮込んだスープ」のように説明をするか、端的に「牛骨スープ」「牛肉スープ」とする例が多い。本辞典では牛肉、牛骨、内臓などすべての部位を網羅する意味から「牛スープ」としているが、コムタン(牛スープ/곰탕)の日本語訳も同様なので、差別化ができていないとの瑕疵がある。

概要

大きな鍋で牛肉、牛骨、内臓などの各部位を長時間煮込んで作る。白濁したスープを器に盛り付け、煮込んだ肉や内臓を食べやすい大きさに切って具とする。刻みネギや、素麺、または春雨などを入れることも多い。味付けはごく薄い塩味にとどめ、食べる人が卓上の塩、コショウ、タデギ(唐辛子ペースト、다대기)を好みで加える。主に専門店で食べる料理だが、一般の食堂でメニューに載せているところもある。牛の各部位を煮込んだスープ料理としては、ほかにカルビタン(牛カルビのスープ/갈비탕)コムタン(牛スープ/곰탕)コリコムタン(牛テールスープ/꼬리곰탕)トガニタン(牛膝肉のスープ/도가니탕)ソモリクッパプ(牛頭部のスープごはん/소머리국밥)ウジョクタン(牛の足のスープ/우족탕)などがある。

食べ方

卓上に用意された塩、コショウ、タデギ(唐辛子ペースト、다대기)、刻みネギなどを加えて好みの味に調整する。副菜として出てくるペチュキムチ(白菜キムチ/배추김치)や、カクトゥギ(大根の角切りキムチ/깍두기)、プチュムチム(ニラの和え物、부추무침)を入れて食べることも多い。カックッ(깍국)と呼ばれるカクトゥギの汁だけを入れることもある。
  • ごはん
ごはんは店ごとに、スープの中に入って出てくる場合と、別で出てくる場合がある。別で出てくる場合も、スープに入れて食べるのが一般的である。最初からごはんをすべて投入するか、途中で入れるか、あるいは入れずに別々で食べるかは好みである。スプーンでひと口ずつ、スープに浸して食べることもある。
  • キムチ
スープの中に入れて食べることから、ペチュキムチ(白菜キムチ/배추김치)や、カクトゥギ(大根の角切りキムチ/깍두기)は欠かせない副菜として位置付けられている。卓上に小さなキムチの甕を用意して、好きなだけ取り出して食べられるようになっている店もある。ひと口大に切られておらず、ハサミとトングで自分の好みに切って食べるスタイルも多い。カクトゥギのかわりに、チョンガッキムチ(小大根のキムチ/총각김치)を出す店もある。

語源

 
ソウル市東大門区祭基洞の先農壇跡
朝鮮時代の農業祭祀「先農祭(ソンノンジェ、선농제)」を由来とする説と、モンゴル語に由来するとの説がよく知られている。
  • 先農祭由来説
先農祭は、啓蟄を過ぎて最初の亥の日に行われた農業祭祀。時の王が農業神の神農氏と后稷氏に豊作を祈願し、直々に田を耕すことで国民に農事の大切さを説いた。このとき供物として捧げた牛を祭祀後に大釜で煮込み、集まった民衆に振る舞ったことから、先農祭におけるスープ(湯)として、ソルロンタン(先農湯)という名前がついたとされる。祭祀を行った先農壇(ソンノンダン、선농단)は、ソウル市の東大門区祭基洞(トンデムング チェギドン、동대문구 제기동)に跡地が残っており、2001年に国の史跡第436号として指定された[1]
  • モンゴル語由来説
13世紀に高麗王朝は元(モンゴル)の支配を受け、第25代の忠烈王(충렬왕)から第31代の恭愍王(공민왕)までは元の王族と婚姻をした。このことから高麗時代末期の宮中にはモンゴルの文化が流入し、食文化においても大きな影響を与えるに至った。代表的な例のひとつが仏教の伝来以降、公には避けられてきた肉食の復活である。ソルロンタンは、モンゴル料理のシュル(ヒツジのスープ、шөл)を牛肉で応用された料理と考えられ、シュルが変化してソルロンタンになったと考えられる。また、宮中では王、王妃、王大妃の食事を水剌(スラ、수라)と呼ぶが、これも同じくシュルが語源との説がある。

脚注

  1. 서울 선농단 (서울 先農壇) 、文化財庁国家文化遺産ポータル、2018年12月12日閲覧

外部リンク

制作者関連サイト

関連項目