坡州市の料理

2023年6月15日 (木) 11:21時点におけるHatta (トーク | 投稿記録)による版 (→‎代表的な特産品)
この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。掲載されている情報によって被った損害、損失に対して一切の責任を負いません。また、内容は随時修正されます。

坡州市(パジュシ、파주시)は京畿道の北西部に位置する地域。本ページでは坡州市の料理、特産品について解説する。

地域概要

坡州市は京畿道の北西部に位置する地域。市の北部は京畿道漣川郡、東部は京畿道楊州市、南部は京畿道高陽市、南西部は京畿道金浦市と接する。また、北西部は軍事分界線を挟んで北朝鮮と面する。人口は49万5315人(2022年12月)[1]

食文化の背景

市北西部の板門店(パンムンジョム、판문점)は、1953年7月27日に朝鮮戦争の休戦協定が結ばれた場所であり、軍事分界線を挟んで南北が対峙する共同警備区域となっている。南北の分断を象徴する最前線の地域であり、臨津江(イムジンガン、임진강)を越えた地域は民間人統制区域に指定され、住民や軍関係者以外は所定の手続きを踏まなければ立ち入りが禁止されている。その反面、民間人統制区域内は人の往来が少ないことから、清浄な環境が保たれた地域として農産物への評価が高く、名産品であるチャンダンコン(長湍産の大豆、장단콩)をはじめ米、果物、高麗人参などを自慢としている。臨津江でとれるウナギ(뱀장어)、メフグ(황복)、チュウゴクモクズガニ(참게)も有名であるが、近年は漁獲量が減っている。代表的な郷土料理には、チャンダンコンを用いたトゥブジョンゴル(豆腐鍋、두부전골)や、トゥブボッサム(温豆腐と茹で豚の葉野菜包み、두부보쌈)、チャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이)、ファンボクフェ(メフグの刺身、황복회)、チャムゲタン(チュウゴクモクズガニの鍋、참게탕)などがある。

代表的な料理

  • マヌルパン(ガーリックパン/마늘빵)炭県面城洞里
  • メギメウンタン(ナマズの辛い鍋/매기매운탕)
  • ポリパプ(麦飯定食/보리밥)広灘面霊場里
  • チャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이)
  • チャムゲジャン(チュウゴクモクズガニの薬味醤油漬け/참게장)
  • ファンボクフェ(メフグの刺身/황복회)

代表的な特産品

代表的な特産品に、長湍豆(チャンダンコン、장단콩)、臨津江米(イムジンガンサル、임진강쌀)、坡州開城人参(パジュケソンインサム、파주개성인삼)があり、この3種を指して「長湍三白(チャンダンサムベク、장단삼백)」と総称する。

長湍豆(장단콩)

長湍豆(チャンダンコン、장단콩)は、長湍(チャンダン、장단)産の大豆。地名を冠して坡州長湍豆(パジュチャンダンコン、파주장단콩)とも呼ばれる。長湍はかつて長湍郡(チャンダングン、장단군)として独立した地域であったが、朝鮮戦争によって地域が南北に分断されてしまい、現在は周辺地域に編入されている。長湍郡は古くより良質の大豆を産する地域として知られ、1894年刊行の『国家経済会報告 37』には「京畿道長湍府下の産を再良質とし円形金色を帯び普通物に比し加倍の大粒にして通称長湍大豆と云ふもの是れなり」[2]とあり、1901年刊行の『朝鮮開化史』には「臨津江沿岸一帯大豆ノ産地ニシテ仁川ヲ経テ海外ニ輸出スルモノ莫大ノ数ニ上リ称シテ長湍大豆トス」と紹介されている[3]。1913年には当時の代表品種である「長湍白目(チャンダンベンモク、장단백목)」が、韓国初の大豆奨励品種に指定された。

臨津江米(임진강쌀)

臨津江米(イムジンガンサル、임진강쌀)は、坡州市内を流れる臨津江(イムジンガン、임진강)付近で栽培される米()。地名を冠して坡州臨津江米(パジュイムジンガンサル、파주임진강쌀)とも呼ばれる。

坡州開城人参(파주개성인삼)

坡州開城人参(パジュケソンインサム、파주개성인삼) は、坡州市で生産される高麗人参(인삼)。高麗時代より名産地として名高い、開城(ケソン、개성)産の流れを汲む高麗人参として、そのブランド価値をアピールしている。毎年10月には、坡州開城人参祭り(파주개성인삼축제)が開催され、そのテーマは「坡州人参は開城人参です。(파주인삼은 개성인삼입니다.)」となっている[4]

代表的な酒類・飲料

飲食店情報

エピソード

脚注

  1. 주민등록 인구 및 세대현황 、行政安全部ウェブサイト、2023年1月31日閲覧
  2. 1894, 『国家経済会報告 37』, 国家経済会, P57 、国立国会図書館デジタルコレクション(コマ番号30)、2023年6月15日閲覧
  3. 恒屋盛服, 1901, 『朝鮮開化史』, 博文館, P99 、国立国会図書館デジタルコレクション(コマ番号65)、2023年6月15日閲覧
  4. 인삼축제 축제소개 、坡州市ウェブサイト、2023年6月15日閲覧

外部リンク

関連サイト
制作者関連サイト

関連項目