霊岩郡の料理

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霊岩郡(ヨンアムグン、영암군)は全羅南道の南西部に位置する地域。本ページでは霊岩郡の料理、特産品について解説する。

王仁石像(왕인석상)

地域概要

霊岩郡は全羅南道の南西部に位置する地域。郡の北部は全羅南道羅州市、北東部は全羅南道和順郡、東部は全羅南道長興郡、南東部は全羅南道康津郡、南西部は全羅南道海南郡、北西部は全羅南道木浦市と接する。人口は5万2395人(2022年12月)[1]

王仁博士(왕인박사)

王仁(ワンイン、왕인)は、百済時代の4世紀に霊岩郡の郡西面東鳩林里(クンソミョン トングリムニ、군서면 동구림리)で生まれたとされる学者。王仁博士(ワンインバクサ、왕인박사)とも呼ばれる。応神天皇の時代に日本へと渡り、『論語』や『千字文』を伝えたとされている。ゆかりの地である東鳩林里一帯は「王仁博士遺跡地(ワンインバクサユジョクチ、왕인박사유적지)」として整備され、位牌と肖像画を奉安した祠堂や、聖泉(ソンチョン、성천)と呼ばれる井戸、霊月館(王仁博士記念展示館)などがある。また、「王仁博士遺跡地」から2kmほど離れた山中には、王仁博士が籠って学んだとされる石窟の「冊窟(チェックル、책굴)」や、そこに隣接して後世に掘られた「王仁石像(ワンインソクサン、왕인석상)」がある。毎年4月には「霊岩王仁文化祭り(영암왕인문화축제)」が開催される。

食文化の背景

 
犢川テナガダコ料理名所通り(독천 낙지음식 명소거리)


代表的な料理

 
カルラクタン

カルラクタン(牛カルビとテナガダコのスープ/갈낙탕)

カルラクタン(갈낙탕)は、牛カルビとテナガダコのスープ(カルラクタン(牛カルビとテナガダコのスープ/갈낙탕)の項目も参照)。1970年代後半に、全羅南道霊岩郡で生まれたとされる。韓国では1976年より外国産牛肉の輸入を開始したことなどを理由として国内産の牛肉価格が暴落し、多くの畜産関係者が打撃を受けた。霊岩郡鶴山面犢川里(ハクサンミョン トクチョンニ、학산리 독천리)の牛市場も例外でなく、活気を失ってしまうことに危機感を覚えたある飲食店が、新メニューとして地元の名産であるテナガダコと牛肉を掛け合わせた料理を思いついた[2][3]。これがカルラクタンであり、好評を博したことから他の飲食店にも波及し、地域の名物料理となった。現在も犢川里には「犢川テナガダコ料理名所通り(독천 낙지음식 명소거리)」があって、多くの専門店でカルラクタンをはじめとしたテナガダコ料理を提供している。なお、犢川里の「犢」は「子牛」を意味し、古くから牛の飼育で有名だったことが窺われる。

  • その他のテナガダコ料理
テナガダコ料理の専門店ではカルラクタンのほかに、サンナクチ(テナガダコの踊り食い/산낙지)ナクチボックム(テナガダコ炒め/낙지볶음)ヨンポタン(テナガダコのスープ/연포탕)、ナクチスッケ(茹でテナガダコ、낙지숙회)、ナクチチョムチム(テナガダコの酢和え、낙지초무침)、ナクチホロン(テナガダコの串巻き焼き、낙지호롱)などの料理を提供している。

メミルグクス(冷やしそば/메밀국수)

 
キチャンメミルのメミルグクス

霊岩農協は2017年に、霊岩邑開新里(ヨンアムプ ケシルリ、용암읍 개신리)地区の田んぼだった土地を、菜の花畑と、そば畑として新たに造成し、特産品としての育成を開始した[4]。収穫したそばは、霊岩郡のキャッチコピーである「気の故郷」から、「キチャンメミル(気がみなぎるそば、기찬메밀)と命名された。地域の専門店では、メミルグクス(そば/메밀국수)メミルチョンビョン(そば粉のクレープ巻き/메밀전병)などの料理を提供している。

代表的な特産品

ムファグァ(イチジク/무화과)

 
霊岩郡産のイチジクジャム

霊岩郡はイチジクの主産地であり、生産量は全国の約60%を占める[5]。8~10月頃を旬とする。ジャムなどの加工品としても利用されている。

代表的な酒類・飲料

飲食店情報

以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。

  • 犢川ナクチマダン(독천낙지마당)
住所:全羅南道霊岩郡鶴山面栄山路15(犢川里178-1)
住所:전라남도 영암군 학산면 영산로 15(독천리 178-1)
電話:061-472-4057
料理:カルラクタン、テナガダコ料理
  • 犢川食堂(독천식당)
住所:全羅南道霊岩郡鶴山面犢川路162-1(犢川里184-12)
住所:전라남도 영암군 학산면 독천로 162-1(독천리 184-12)
電話:061-472-4222
料理:カルラクタン、テナガダコ料理
  • 霊岩キチャンメミルグクス(영암기찬메밀국수)
住所:全羅南道霊岩郡霊岩邑霊岩路1588、2階(南豊里111-2)
住所:전라남도 영암군 영암읍 영암로 1588, 2층(남풍리 111-2)
電話:061-473-2400
料理:メミルグクス

エピソード

韓食ペディアの執筆者である八田靖史は、2016年1月に初めて霊岩郡を訪れた。知人の墓参りに付き合ったのが理由であるが、その帰り道に「犢川テナガダコ料理名所通り」を訪れ、名物のカルラクタン(牛カルビとテナガダコのスープ/갈낙탕)や、ナクチチョムチム(テナガダコの酢和え、낙지초무침)、ナクチホロン(テナガダコの串巻き焼き、낙지호롱)などをご馳走になって大満足であった。

脚注

  1. 주민등록 인구 및 세대현황 、行政安全部ウェブサイト、2023年1月18日閲覧
  2. 낙지와 한우의 찰떡궁합, 독천 갈낙탕 、デジタル霊岩文化大典、2023年2月24日閲覧
  3. 갈비탕과 연포탕의 환상적인 결합, 영암 갈낙탕 、知識N文化ポータル、2023年2月24日閲覧
  4. 봄에는 유채, 가을엔 메밀… 영암농협의 색다른 실험 、東亜日報(2018年5月28日紙面)、2023年2月24日閲覧
  5. 살거리 > 영암브랜드 > 무화과 、霊岩郡ウェブサイト、2023年2月25日閲覧

外部リンク

関連サイト
制作者関連サイト

関連項目