ファンテヘジャンクッ(干しダラのスープ/황태해장국)

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ファンテヘジャンクッ(手前)

ファンテヘジャンクッ황태해장국)は、干しダラのスープ。

概要

ファンテ(황태)は漢字で「黄太」と書いて野外で自然乾燥させたスケトウダラの干物。ヘジャンクッ(해장국)は酔い覚ましに食べるスープの総称(「ヘジャンクッ(酔い覚ましのスープ/해장국)」の項目も参照)。麺棒などでよく叩いて柔らかくしたファンテを、ニンニク、ゴマ油とともに軽く炒め、そこに水を注ぎ入れて煮る。味付けには醤油、塩、コショウなどを用い、大根、豆腐、溶き卵などを具として加える。ファンテは江原道が主産地であり、現地の郷土料理店、専門店で味わえるほか、他地域においてもヘジャンクッの専門店や、ファンテ料理の専門店、一般の食堂においても広く味わえる。家庭料理として作られることも多い。ファンテを使った料理としては、ほかにファンテグイ(干しダラの薬味ダレ焼き/황태구이)ファンテチム(干しダラの蒸し煮/황태찜)などがある。類似の料理として、野外乾燥させたファンテではなく一般的な干しダラのプゴ(干しダラ、북어)を用いたプゴクッ(干しダラのスープ/북어국)がある。

  • ファンテとは
ファンテ(황태)は漢字で「黄太」と書いて野外で自然乾燥させたスケトウダラのこと。一般的なスケトウダラの名称はミョンテ(明太、명태)であるが、乾燥過程で黄色みを帯びることから名付けられた。また、その見た目がトドク(ツルニンジン、더덕북어)に似ていることからトドクプゴ(더덕북어)とも呼ぶ。プゴ(북어)は漢字で「北魚」と書いて乾燥スケトウダラの総称。江原道平昌郡の大関嶺(テグァルリョン、대관령)地区と、江原道麟蹄郡の龍垈里(ヨンデリ、용대리)地区が主な主産地であり、トクチャン(덕장)と呼ばれる丸太を櫓のように組んだ干し場をあちこちに見かける。もともとは北朝鮮に位置する咸鏡道(ハムギョンド、함경도)の特産品であるが、朝鮮戦争(1950~53年)によって南北が分断されて以降、江原道でも生産されるようになった。スケトウダラが水揚げされる12月から1月にかけて乾燥作業を始め、3月から4月にかけて出荷を行う。この間、トクチャンにかけられたスケトウダラは強風にさらされつつ、また昼夜の寒暖差から自然冷凍と自然解凍が繰り返される凍結乾燥によって水分が抜ける。手間と時間がかかることから、スケトウダラの加工品としては最高級の扱いを受ける。ただし近年は国産のスケトウダラが激減していることから、ファンテの原料もロシア産のスケトウダラが主流を占めている。

エピソード

明太(ミョンテ)の語源

咸鏡北道明川郡に住む漁師の太(テ)氏がとった魚という意味で、明川郡の「明」と「太」氏を合わせて「明太(ミョンテ、명태)」と名前がついたとされる。この逸話は朝鮮時代末期の文官、李裕元(イ・ユウォン、이유원)が1871年に書いた『林下筆記(임하필기)』の第27巻「春明逸史(춘명일사)/明太(명태)」[1]の項目に記されている。その内容は以下の通りである。
明川に住む漁師の中に太氏姓を持つ者がいた。 ある日、魚を1尾釣ったので、村の役所で厨房仕事をする役人を通して地域の長官に差し上げたところ、長官がたいそう気に入って魚の名前を尋ねた。だが、誰も名前を知らず、「漁師の太氏がとった」とだけ答えた。 長官は(明川の太氏がとったので)「明太」と名付けるのがよいと言った。その後、この魚は毎年数千石ずつとれ、全国に広がって「北魚」と呼ばれた。(朝鮮時代中期の文官)閔鼎重(ミン・ジョンジュン、민정중)は「300年後、この魚はいまより貴重になるだろう」と語ったが、その言葉が当たったわけだ。私が(江原道の)元山(ウォンサン、원산)を通ったとき、この魚を見たが、漢江(ハンガン、한강)に積まれた薪のように多く、どれほどか数えることができなかった。【原文1】※丸カッコ内は訳注
【原文1】明川漁父有太姓者。釣一魚使厨吏供道伯。道伯甚味之。問其名。皆不知。但道太漁父所得。道伯曰。名爲明太。可也。自是此魚歲得屢千。石遍滿八路。呼爲北魚。閔老峰之言。三百年後。此魚當貴于今。其言預驗。余過元山。見魚積如五江之峙柴。不計其數。

スケトウダラの主な呼び名

脚注

外部リンク

制作者関連サイト

関連項目