ミルミョン(小麦粉麺の冷麺/밀면)
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ミルミョン(밀면)は、小麦粉麺の冷麺。釜山をはじめとした南部地域の郷土料理で、朝鮮戦争の際にネンミョン(冷麺/냉면)の本場である北部地域から避難した人たちが、そば粉やでんぷんの代用として小麦粉を使ったのが始まりとされる。冷たいスープに麺を入れる場合と、薬味ダレを麺と和えて食べる場合があり、前者をムルミルミョン(물밀면)、後者をピビムミルミョン(비빔밀면)と呼び分ける。主に専門店で味わう料理である。
名称
ミルミョンのミル(밀)は小麦、ミョン(면)は麺の意。ネンミョン(冷麺/냉면)の麺を小麦粉で作った料理であり、ミルネンミョン(밀냉면)とも呼ばれる。日本ではミル麺との表記も見かけるが、本辞典では「ミルミョン」を使用する。発音表記は[밀면]。
概要
ミルミョンは小麦粉、でんぷんを原料とし、押し出し式(生地に圧力をかけて小さな穴から押し出す方式)で麺を作る。ネンミョンと同じく、麺を冷たいスープに入れて食べるムルミルミョンと、辛い薬味ダレと絡めて食べるピビムミルミョンに大別される。具もまたネンミョンと同様に、茹でた牛肉や豚肉の薄切り、大根、キュウリ、ゆで卵、梨などが載る。
- ムルミルミョン
- スープに麺を入れて食べるミルミョン。牛骨などでダシを取ったスープを冷やして用いる。味付けには塩、醤油、酢、砂糖などを用い、甘草や桂皮などの韓方材を加えることも多い。また、薬味ダレをかけて、スープに溶かしながら味わうのも一般的である。
- ピビムミルミョン
- 辛い薬味ダレに麺を絡めて味わうミルミョン。薬味ダレは粉唐辛子、醤油、ゴマ油、砂糖、ニンニク、ネギなどを混ぜ合わせて作り、店によっては果物の汁などを混ぜることもある。
歴史
1953年に釜山市牛巌洞に店を開いた「内湖冷麺(내호냉면)」がミルミョンの元祖店として知られる。創業者である鄭漢金氏は1919年に咸鏡南道興南市内湖面の興南埠頭近くで創業した「トンチュン麺屋(동춘면옥)」を、義母であるイ・ヨンスン氏から技術を受け継いで経営していた。1950年に朝鮮戦争が起こると、イ・ヨンスン氏と鄭漢金氏は戦火を避けて釜山まで逃れた。当初は戦争が終わったらまた興南市へと戻るつもりであったが、一時的にと始めた店は現在まで代を継いで続いている。店の入口に掲げられた来歴には、鄭漢金氏の語った話として以下のようにミルミョンの由来が説明されている。「その当時はそば粉やサツマイモのでんぷんを入手するのがとてもたいへんでした。高すぎて……。それで米軍基地から小麦粉を手に入れて生地を作ったのですが、食べた人たちが『おー、これはおいしい』と。それで冷麺と一緒に売り始めたんです」(原文1)。
- 【原文1】「그 당시에는 메밀가루나 고구마 전분을 구하기가 너무 어려웠어요. 너무 비싸서... 그래서 미군부대에서 밀가루를 얻어 가지고는 반죽을 했는데 사람들이 먹오보고는 '야~ 이거 맛이 꽤 괸찮다' 그러대요. 그래서 국수랑 같이 팔기 시작했지요」[1]
脚注
- ↑ 内湖冷麺店頭の看板、2017年2月13日閲覧