ヤンニョムケジャン(ワタリガニの辛味ダレ漬け/양념게장)

2025年3月3日 (月) 10:53時点におけるHatta (トーク | 投稿記録)による版 (→‎関連項目)
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ヤンニョムケジャン양념게장)は、ワタリガニの辛味ダレ漬け。

ヤンニョムケジャン

名称

ヤンニョムケジャンの、ヤンニョム(양념)はさまざまな調味料、香辛料、香味野菜などを混ぜ合わせた辛味ダレ。ケジャン(게장)はカニを薬味醤油や辛味ダレに漬けたものを表す。本来はカニ全般の辛味ダレ漬けを指す料理名だが、ワタリガニで作られることがもっとも多く、ヤンニョムケジャンだけでワタリガニの辛味ダレ漬けを意味することが多い。ワタリガニはコッケ(꽃게)と呼び、コッケジャン(꽃게장)、またはヤンニョムコッケジャン(양념꽃게장)とも呼ぶ。発音は「ヤンニョムゲジャン」がより近い。発音表記は[양념게장]。漢字表記は[양념게醬]。

  • 日本語訳
主材料と調理法から「ワタリガニの〇〇漬け」「ワタリガニの〇〇和え」といった訳が多い。〇〇の部分は多岐に渡り、「薬味」「薬味ダレ」「辛味」「辛味ダレ」「甘辛」「甘辛ダレ」「辛味噌」「甘辛味噌」などのほか、そのまま「ヤンニョム漬け」「ヤンニョム和え」とする訳も見られる。「ワタリガニのキムチ」「カニキムチ」といった訳も見られるが、韓国では魚介類を漬けたものをキムチと呼ぶことはなく、本来的には誤用である。また、ワタリガニは本来、ワタリガニ科の総称であり、標準和名はガザミであるため、「ガザミの〇〇漬け」「ガザミの〇〇和え」といった訳も見かけるが、ワタリガニがガザミの通称として広く使用されていることから少数派になっている。本辞典では「ワタリガニの辛味ダレ漬け」を使用している。

ワタリガニの語源

ワタリガニを指す「꽃게」は直訳すると「花蟹」となるが、もともとは「곶게」が変化したものとされ、「곶」は漢字で「串」と書いて「岬」を意味する。甲羅の両端が岬のようにとがっていることを指したもので、朝鮮時代後期の学者、李瀷(イ・イク、이익)が1760年頃に書いたとされる百科事典『星湖僿説(성호사설)』では、ワタリガニの語源について、「俗称を串蟹というのは背中に串のようなふたつの角があるからだ」【原文1】[1]と紹介している。
【原文1】「俗名串蟹以匡有两角如串也」

概要

ヤンニョムケジャンは、生のワタリガニを丸ごと辛味ダレに漬け込んで作る。食べる際は殻ごとぶつ切りにして中の身を味わう。主に専門店や海鮮料理店のメニューに並ぶほか、市場でも販売される。ワタリガニを用いた料理としては、ほかにカンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)コッケタン(ワタリガニ鍋/꽃게탕)コッケチム(ワタリガニ蒸し/꽃게찜)などがある。

  • 主産地
仁川市の江華島(カンファド、강화도)沖を主産地として、西海岸の各地域に水揚げされる。2024年の全国生産量は2万0817トンであり、1位の忠清南道が9133トン(48.9%)、2位の仁川市が4049トン(19.5%)、3位の全羅北道が3823トン(18.4%)を占める[2]
4~6月頃に卵を持ったメスが西海岸の各漁港に水揚げされ、この時期をいちばんの旬と考えることが多い。卵にこだわらなければ秋のほうが身が詰まって美味しいと評価され、9~10月にはオスのワタリガニが、10~12月にはメスのワタリガニが旬を迎える。6月下旬~8月下旬は禁漁期となっている[3]

脚注

  1. 星湖僿説 / 第4巻萬物門(蟹) 、韓国古典総合DB、2025年3月3日閲覧
  2. 어업별 품종별 통계 、統計庁ウェブサイト、2025年3月3日閲覧
  3. 금어기·금지체장 소개 、国立水産科学院ウェブサイト、2025年3月3日閲覧

外部リンク

制作者関連サイト

関連項目