コッケタン(ワタリガニ鍋/꽃게탕)

提供: 韓食ペディア
2025年3月3日 (月) 10:52時点におけるHatta (トーク | 投稿記録)による版
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
ナビゲーションに移動 検索に移動
この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。掲載されている情報によって被った損害、損失に対して一切の責任を負いません。また、内容は随時修正されます。
コッケタン

コッケタン꽃게탕)は、ワタリガニ鍋。

名称

コッケタンの、コッケ(꽃게)はワタリガニ、タン()は鍋料理の意。発音表記は[꼳께탕]。漢字表記は[꽃게湯]。

  • 日本語訳
主材料と調理法から「ワタリガニ鍋」「ワタリガニの鍋」と訳す場合が多い。粉唐辛子が入って辛口に仕立てることから「辛口鍋」「ピリ辛鍋」といった表現を用いる例もある。韓国風の強調として「ワタリガニのチゲ」といった訳も散見される。ワタリガニは本来、ワタリガニ科の総称であり、標準和名はガザミであるため、「ガザミ鍋」「ガザミの鍋」といった訳も見かけるが、ワタリガニがガザミの通称として広く使用されていることから少数派になっている。本辞典では「ワタリガニ鍋」を使用している。

ワタリガニの語源

ワタリガニを指す「꽃게」は直訳すると「花蟹」となるが、もともとは「곶게」が変化したものとされ、「곶」は漢字で「串」と書いて「岬」を意味する。甲羅の両端が岬のようにとがっていることを指したもので、朝鮮時代後期の学者、李瀷(イ・イク、이익)が1760年頃に書いたとされる百科事典『星湖僿説(성호사설)』では、ワタリガニの語源について、「俗称を串蟹というのは背中に串のようなふたつの角があるからだ」【原文1】[1]と紹介している。
【原文1】「俗名串蟹以匡有两角如串也」

概要

主材料であるワタリガニのほかに、大根、エホバク(カボチャの未熟果、애호박)、長ネギなどを具に入れ、味噌、粉唐辛子、塩などで味付けて作る。ワタリガニ料理の専門店をはじめ、刺身専門店、魚介料理店などでメニューに並ぶ。居酒屋、民俗酒場などで酒肴として出されることもある。ワタリガニを用いた料理としては、ほかにカンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)ヤンニョムケジャン(ワタリガニの辛味ダレ漬け/양념게장)コッケチム(ワタリガニ蒸し/꽃게찜)などがある。

  • 主産地
仁川市の江華島(カンファド、강화도)沖を主産地として、西海岸の各地域に水揚げされる。2024年の全国生産量は2万0817トンであり、1位の忠清南道が9133トン(48.9%)、2位の仁川市が4049トン(19.5%)、3位の全羅北道が3823トン(18.4%)を占める[2]
4~6月頃に卵を持ったメスが西海岸の各漁港に水揚げされ、この時期をいちばんの旬と考えることが多い。卵にこだわらなければ秋のほうが身が詰まって美味しいと評価され、9~10月にはオスのワタリガニが、10~12月にはメスのワタリガニが旬を迎える。6月下旬~8月下旬は禁漁期となっている[3]

地域

  • 仁川市延寿区玉蓮洞
仁川市の延寿区玉蓮洞(ヨンスグ オンニョンドン、연수구 옥련동)には「松島ワタリガニ通り」(ソンドコッケゴリ、송도꽃게거리)がある。
  • 仁川市江華郡
仁川市江華郡の内可面外浦里(ネガミョン ウェポリ、내가면 외포리)にはワタリガニ料理の専門店が集まっており、「外浦里ワタリガニ村(ウェポリ コッケマウル、외포리 꽃게마을)」と呼ばれる。

脚注

  1. 星湖僿説 / 第4巻萬物門(蟹) 、韓国古典総合DB、2025年3月3日閲覧
  2. 어업별 품종별 통계 、統計庁ウェブサイト、2025年3月3日閲覧
  3. 금어기·금지체장 소개 、国立水産科学院ウェブサイト、2025年3月3日閲覧

外部リンク

制作者関連サイト

関連項目