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ソジュ(소주)は、焼酎。
概要
漢字では「焼酒」と書く。米、麦などの穀物、あるいはイモ類などから作られる蒸留酒を表す。伝統的な製法である蒸留式の焼酎と、酒精に水や甘味料などを混ぜて作る希釈式の焼酎に大別される。蒸留式の焼酎は伝統焼酎(전통소주)とも呼ばれ、京畿道金浦市のムンベスル(ムンベ酒、문배술)や、慶尚北道安東市の安東焼酎(안동소주)、全羅北道全州市の梨薑酒(이강주)などが有名である。一方の希釈式焼酎は、ハイト眞露のチャミスル(참이슬)、ロッテ酒類のチョウムチョロム(처음처럼)などが大量生産されて広く市販されている。韓国では希釈式焼酎の需要が高く、酒類を販売するほぼすべての飲食店で扱われる。また、街中のスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどでも広く販売される。一方の蒸留式焼酎は希釈式焼酎に比べて高価であり、民俗酒場や郷土料理店、韓定食店などで提供される。一部の銘柄はスーパーマーケットでも扱うが、高級酒として百貨店や免税店で扱われる銘柄も少なくない。メクチュ(ビール/맥주)や、マッコリ(韓国式の濁酒/막걸리)とともに、韓国で親しまれる酒類の代表格である。
種類
伝統焼酎
- ムンベスル(ムンベ酒/문배술)
- ムンベスル(문배술)は、京畿道金浦市で造られるナシの香りがする伝統焼酎。ムンベ(문배)はチュウゴクナシ(산돌배)の近似種である野生種のナシを指し、スル(술)は酒を意味する。ムンベジュ(문배주)とも呼ぶ。実際にナシを原料とする訳ではなく、うるちアワ(메조)、モチモロコシ(찰수수)、米などを用いて造る。1986年11月1日に、国家無形文化財第86-1号に指定され[1]、技能保有者のイ・ギチュン(이기춘)氏は大韓民国食品名人第7号でもある[2]。現在まで韓国で国家無形文化財に指定された酒は、ムンベスルのほか、忠清南道唐津市の沔川杜鵑酒(면천두견주、第86-2号)、慶尚北道慶州市の校洞法酒(교동법주、第86-3号)の計3種のみである。
- アンドンソジュ(安東焼酎/안동소주)
- アンドンソジュ(안동소주)は、安東市で生産される伝統製法の米焼酎。2023年4月に発足した安東焼酎組合には9ヶ所の醸造所が加盟している[3]。このうち、水上洞(スサンドン、수상동)に位置する「民俗酒安東焼酎(민속주 안동소주)」と、豊山邑槐亭里(プンサヌプ クェジョンニ、풍산읍 괴정리)に位置する「名人安東焼酎(명인 안동소주)」の2ヶ所が特に有名な蔵元として知られている。安東焼酎は、1987年5月に慶尚北道の無形文化財第12号に指定された。
- イガンジュ(梨薑酒/이강주)
- イガンジュ(이강주)は、全羅北道全州市で生産される伝統焼酎。漢字で「梨薑酒」と書き、原料に梨とショウガ(薑)を用いることから名付けられた。全羅北道の無形文化財第6-2号として登録されおり[4]、技能保有者のチョ・ジョンヒョン(조정형)氏は大韓民国食品名人第9号にも指定されている[5]。
- イド(이도)
- イド(이도)は、忠清北道清州市の醸造場「チョウンスル世宗(조은술세종)」が生産する伝統焼酎。ドジョウを利用した農法で栽培する有機栽培米の「クレットゥル(구레뜰)」を原料とする。銘柄名は朝鮮王朝の第4代王、世宗(セジョン、세종)大王の本名である李裪(イド、이도)にちなんでおり、清州市には世宗大王が湯治に来た椒井薬水(チョジョンヤクス、초정약수)という炭酸泉の温泉があることと、同醸造場の社長が世宗大王を尊敬しているとの理由で名付けられた。アルコール度数は、22、25、32、42度の4種類があり、22、32、42度は銘柄名と「2度(イド、이도)」をかけている。25度は世宗大王がハングルを作った、「世宗25年(1443年)」が由来である。
脚注
- ↑ 국가무형문화재 문배주 (문배酒) 、文化財庁国家文化遺産ポータル、2024年1月18日閲覧
- ↑ 명인소개 、大韓民国食品名人協会ウェブサイト、2024年1月18日閲覧
- ↑ 안동소주 세계화 1년, BTS같은 글로벌 명주를 빚는다 、慶尚北道ウェブサイト(2024年4月23日付報道資料)、2025年2月8日閲覧
- ↑ 전라북도무형문화재 향토술담그기-전주이강주 、全羅北道無形文化財連合会ウェブサイト、2023年10月13日閲覧
- ↑ 명인소개 、社団法人大韓民国食品名人協会ウェブサイト、2023年10月13日閲覧
外部リンク
- 制作者関連サイト
- 韓食生活(韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
- 八田靖史プロフィール(八田靖史のプロフィール)