「タッカンマリ(丸鶏の鍋/닭한마리)」の版間の差分

提供: 韓食ペディア
ナビゲーションに移動 検索に移動
(ページの作成:「※この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国...」)
 
11行目: 11行目:
 
=== タッカンマリの食べ方 ===
 
=== タッカンマリの食べ方 ===
 
*卓上での作業
 
*卓上での作業
:丸鶏のまま登場する場合、客が自らハサミで食べやすい大きさにカットする必要がある。日本人客の場合は店員がやってくれることもあるが、韓国人客の多くは自分たちで行う。骨の継ぎ目を探り当てつつハサミを入れていくのに少しのコツがいるが、慣れてしまえばこれもタッカンマリを味わう楽しさといえる。
+
:タッカンマリは卓上で鍋を火にかけ調理しながら味わうことが多い。このとき下煮をした丸鶏がそのまま登場する場合、客が自らハサミで食べやすい大きさにカットする必要がある。日本人客の場合は店員がかわりにやってくれることもあるが、韓国人客の多くは自分たちで行う。骨の継ぎ目を探り当てつつハサミを入れていくのに少しのコツがいるものの、慣れてしまえばこれもタッカンマリを味わう楽しさといえる。また、ビギナー客を伴って訪れた場合、この作業をスムーズに行えるとたいへんカッコいい。
 +
 
 +
:店によっても異なるが、テーブルに浅漬けの白菜キムチや、刻みニンニクが置かれていることが多い。好みによってこれを鍋の中に投入してもよい。
  
 
*つけダレの作り方
 
*つけダレの作り方
:
+
:タッカンマリのつけダレは、醤油、酢、マスタード、タデギ([[다데기]]、唐辛子ペースト)の4種類を基本とすることが多い。これを好みで混ぜ合わせ、煮えた鶏肉をつけて味わう。濃い場合は、鍋のスープを足し薄めて調節をする。店によっては最初から混ぜ合わせたものが用意されることもある。
 
 
 
 
  
 +
=== 調理器具の美学 ===
 +
*鍋
 +
:タッカンマリに使われる鍋にはとってがなく、洗面器か、金だらいのような鍋が用いられることが多い。
  
 
== 歴史 ==
 
== 歴史 ==

2014年10月8日 (水) 04:32時点における版

※この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。

タッカンマリ닭한마리)は、丸鶏の鍋。

名称

タッカンマリは丸鶏の鍋。タッが鶏、ハンマリは一羽という意味で、直訳をするなら「鶏一羽」となる。丸鶏を一羽そのまま使ったことに由来し、客が注文時に「鶏一羽!」と注文したところから、そのまま料理名へと転化したと語られる。日本ではダッカンマリ、タッハンマリ、ダッハンマリ、タクハンマリ、ダクハンマリ、タガンマリといった表記も見られるが、本辞典においては「タッカンマリ」を使用する。発音表記は[다칸마리]。

概要

タッカンマリは丸鶏を使用した鍋。鶏一羽をそのままの形で煮込む場合と、ぶつ切りにして提供する場合がある。水炊きにしたものを、つけダレで味わう方式が一般的で、具にはジャガイモ、長ネギ、ニラ、韓国餅などを加える。残ったスープにはカルグクス(칼국수)を入れて味わうのが定番である。もともとはソウルの東大門を発祥とする料理で、現在は鍾路5街に専門店が集まっている。いわばソウルの郷土料理であり、他地域においては比較的近年までほとんど存在を知られていなかったと言ってよい。それとは対照的に日本人観光客の間では、インターネットサイトやガイドブックなどで取り上げられたこともあって、2000年代初頭から話題の料理として知名度を上げてきた。

タッカンマリの食べ方

  • 卓上での作業
タッカンマリは卓上で鍋を火にかけ調理しながら味わうことが多い。このとき下煮をした丸鶏がそのまま登場する場合、客が自らハサミで食べやすい大きさにカットする必要がある。日本人客の場合は店員がかわりにやってくれることもあるが、韓国人客の多くは自分たちで行う。骨の継ぎ目を探り当てつつハサミを入れていくのに少しのコツがいるものの、慣れてしまえばこれもタッカンマリを味わう楽しさといえる。また、ビギナー客を伴って訪れた場合、この作業をスムーズに行えるとたいへんカッコいい。
店によっても異なるが、テーブルに浅漬けの白菜キムチや、刻みニンニクが置かれていることが多い。好みによってこれを鍋の中に投入してもよい。
  • つけダレの作り方
タッカンマリのつけダレは、醤油、酢、マスタード、タデギ(다데기、唐辛子ペースト)の4種類を基本とすることが多い。これを好みで混ぜ合わせ、煮えた鶏肉をつけて味わう。濃い場合は、鍋のスープを足し薄めて調節をする。店によっては最初から混ぜ合わせたものが用意されることもある。

調理器具の美学

タッカンマリに使われる鍋にはとってがなく、洗面器か、金だらいのような鍋が用いられることが多い。

歴史

1970年代

カルメギサルは豚肉の一部位としてよりも内臓に近い副産物ととらえられていた。カルメギサルを独立したひとつの部位として食べ始めたのは1970年代からと考えられている。

京畿道城南市の事例

京畿道城南市中院区麗水洞にはカルメギサルの専門店が集まっており、1970年代から専門店ができ始めたとされる。この一帯はヨスル村(여술마을)とも呼ばれる。
  • 韓国観光公社の記述
韓国観光公社が配布する『韓国の味紀行』という冊子(WEBでも閲覧可)では以下のように紹介されている。
「『カルメギ肉』と呼ばれる豚の横隔膜の肉は、鶏粥とともに城南を代表する料理です。豚の横隔膜に付いている『カロマク肉』を間違って呼んだものですが、その名が有名になってそのまま使われています。1970年ごろ、島村洞の屠殺場近くの麗水洞一帯の飲食店で、歯ごたえのよいカルメギ肉をおつまみとして出したところ、噂が広まって全国的に評判となりました。」[1]
  • デジタル城南文化電子大典の記述
城南市の郷土文化を紹介する「デジタル城南文化電子大典」では、「麗水洞カルメギサル村」について以下のように説明している。
「盆唐区と中院区の間に位置する麗水洞はカルメギサルを専門的に販売する食堂30余ヶ所が集まる場所である。1960年代からこの近所である野塔洞のチャンミ村には、城南屠畜場があった。もともと屠畜場では豚肉の横隔膜と肝臓の間にある筋肉質のスジである『カロマクサル』を販売できるものと考えてはいなかった。ところがある日、誰かが見向きもされない『カロマクサル』を集めて皮をはがして売り始めた。人々はカルマクサルの、脂肪がなく、肉質が柔らかく、シコシコとした味を喜んだ。すると『カロマクサル』だけを専門的に扱う焼肉店ができ、それが集団を形成し、今日の麗水洞カルメギサル村になった。『アンチャンコギ(ハラミ肉)』とも呼ばれるカロマクサルは速く発音すると、『カルメギサル』と呼ばれるようになる。しかし、その理由について今まで定説はない」(原文1)[2]
【原文1】「분당구와 중원구의 사이에 위치하고 있는 여수동은 갈매기살을 전문적으로 판매하는 식당 30여 곳이 모여 있는 곳이다. 1960년대부터 이곳 근처인 지금의 야탑동 장미마을에는 성남도축장이 있었다. 원래 도축장에서는 돼지고기의 횡격막(橫膈膜)과 간(肝) 사이에 있는 근육질 힘살인 ‘가로막살’을 판매할 수 있는 고기로 여기지 않았다. 그런데 어느 날 누군가가 거들떠보지도 않던 ‘가로막살’을 모아 껍질을 벗긴 뒤 팔기 시작했다. 사람들은 가로막살에 기름이 없고 육질이 부드러우며 쫄깃한 맛이 나서 좋아했다. 특히 거의 버렸던 돼지고기 부위이기 때문에 가격이 싸서 서민들이 먹기에 좋았다. 그러자 ‘가로막살’만 전문으로 취급하는 고깃집이 생겨났고, 그것이 집단을 이루어 오늘날 여수동의 갈매기살촌이 되었다. ‘안창고기’라고도 불리는 가로막살은 빨리 발음하면, ‘갈매기살’이라고 하게 된다. 그러나 그 이유에 대해 아직까지 정설이 없다.」

ソウル市麻浦区桃花洞の事例

ソウル市麻浦区桃花洞にはカルメギサルの専門店が集まっており、1970年代後半から専門店ができ始めたとされる。「釜山カルメギ(부산갈매기)」が1978年、「元祖カルメギ(원조갈매기)」が1979年創業の看板を掲げており、一帯は「麻浦カルメギサル通り(마포갈매기살골목)」と呼ばれる。

2010年代

2010年から11年頃に豚肉の特殊部位を扱う専門店が続々と増えてブームになった。これは2008年頃からの韓牛ブームによって、牛肉の特殊部位を提供する店が増えたことも影響していると考えられる。カルメギサルはハンジョンサル(항정살、首すじの肉、豚トロ)、カブリサル(가브리살、バラ肉を包んでいる肉 )、コプテギ(껍데기、豚皮)などとともに代表的な豚肉の特殊部位として定着している。

種類

カルメギサルには次のような種類がある。

  • センカルメギサル(생갈매기살)
味付けなしのカルメギサル
  • ヤンニョムカルメギサル(양념갈매기살)
辛い薬味ダレを絡めたカルメギサル
  • マヌルカルメギサル(마늘갈매기살)
ニンニクダレを絡めたカルメギサル

日本における定着

日本では焼肉店などで豚ハラミとして提供されている。韓国料理のカルメギサルとしては、まだほとんど馴染みがなく、これからの定着が期待される。

エピソード

  • 韓食ペディアの執筆者である八田靖史は留学時代の2000年に豚焼肉店でメニューにカルメギサルを発見し、韓国ではカモメの肉を食べるのだと本気で勘違いをした過去がある。

地域

  • ソウル市麻浦区桃花洞
孔徳駅の近くにカルメギサルの専門店が集まっており、麻浦カルメギサル通りと呼ばれる。
  • ソウル市鍾路区敦義洞
鍾路3街駅の近くにカルメギサルの専門店が集まっており、鍾路3街カルメギサル通り(종로3가 갈매기살골목)と呼ばれる。
  • 京畿道城南市中院区麗水洞
麗水洞にカルメギサルの専門店が集まっている。

脚注

  1. 京畿道の味紀行 、韓国観光公社ウェブサイト、2014年10月4日閲覧
  2. 여수동갈매기살촌 、デジタル城南文化電子大典、2014年10月4日閲覧

外部リンク

関連項目