「コッケタン(ワタリガニ鍋/꽃게탕)」の版間の差分
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+ | :主材料と調理法から「ワタリガニ鍋」「ワタリガニの鍋」と訳す場合が多い。粉唐辛子が入って辛口に仕立てることから「辛口鍋」「ピリ辛鍋」といった表現を用いる例もある。韓国風の強調として「ワタリガニのチゲ」といった訳も散見される。ワタリガニは本来、ワタリガニ科の総称であり、標準和名はガザミであるため、「ガザミ鍋」「ガザミの鍋」といった訳も見かけるが、ワタリガニがガザミの通称として広く使用されていることから少数派になっている。本辞典では「ワタリガニ鍋」を使用している。 | ||
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+ | === ワタリガニの語源 === | ||
+ | :ワタリガニを指す「꽃게」は直訳すると「花蟹」となるが、もともとは「곶게」が変化したものとされ、「곶」は漢字で「串」と書いて「岬」を意味する。甲羅の両端が岬のようにとがっていることを指したもので、朝鮮時代後期の学者、李瀷(イ・イク、이익)が1760年頃に書いたとされる百科事典『星湖僿説(성호사설)』では、ワタリガニの語源について、「俗称を串蟹というのは背中に串のようなふたつの角があるからだ」【原文1】<ref>[https://db.itkc.or.kr/dir/item?itemId=BT#dir/node?dataId=ITKC_BT_1368A_0050_010_0400&viewSync=OT 星湖僿説 / 第4巻萬物門(蟹)] 、韓国古典総合DB、2025年3月3日閲覧</ref>と紹介している。 | ||
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+ | :【原文1】「俗名串蟹以匡有两角如串也」 | ||
== 概要 == | == 概要 == | ||
− | + | 主材料であるワタリガニのほかに、大根、エホバク(カボチャの未熟果、[[애호박]])、長ネギなどを具に入れ、味噌、粉唐辛子、塩などで味付けて作る。ワタリガニ料理の専門店をはじめ、刺身専門店、魚介料理店などでメニューに並ぶ。居酒屋、民俗酒場などで酒肴として出されることもある。ワタリガニを用いた料理としては、ほかに[[カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)]]、[[ヤンニョムケジャン(ワタリガニの辛味ダレ漬け/양념게장)]]、[[コッケチム(ワタリガニ蒸し/꽃게찜)]]などがある。 | |
*主産地 | *主産地 | ||
− | [[仁川市の料理|仁川市]]の江華島(カンファド、강화도)沖を主産地として、西海岸の各地域に水揚げされる。2024年の全国生産量は2万0817トンであり、1位の[[忠清南道の料理|忠清南道]]が9133トン(48.9%)、2位の[[仁川市の料理|仁川市]]が4049トン(19.5%)、3位の[[全羅北道の料理|全羅北道]]が3823トン(18.4%)を占める<ref>[https://kosis.kr/statHtml/statHtml.do?orgId=101&tblId=DT_1EW0004 어업별 품종별 통계] 、統計庁ウェブサイト、2025年3月3日閲覧</ref>。 | + | :[[仁川市の料理|仁川市]]の江華島(カンファド、강화도)沖を主産地として、西海岸の各地域に水揚げされる。2024年の全国生産量は2万0817トンであり、1位の[[忠清南道の料理|忠清南道]]が9133トン(48.9%)、2位の[[仁川市の料理|仁川市]]が4049トン(19.5%)、3位の[[全羅北道の料理|全羅北道]]が3823トン(18.4%)を占める<ref>[https://kosis.kr/statHtml/statHtml.do?orgId=101&tblId=DT_1EW0004 어업별 품종별 통계] 、統計庁ウェブサイト、2025年3月3日閲覧</ref>。 |
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− | : | + | :4~6月頃に卵を持ったメスが西海岸の各漁港に水揚げされ、この時期をいちばんの旬と考えることが多い。卵にこだわらなければ秋のほうが身が詰まって美味しいと評価され、9~10月にはオスのワタリガニが、10~12月にはメスのワタリガニが旬を迎える。6月下旬~8月下旬は禁漁期となっている<ref>[https://www.nifs.go.kr/contents/actionContentsCons0148.do 금어기·금지체장 소개] 、国立水産科学院ウェブサイト、2025年3月3日閲覧</ref>。 |
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2025年3月3日 (月) 10:52時点における最新版
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コッケタン(꽃게탕)は、ワタリガニ鍋。
名称
コッケタンの、コッケ(꽃게)はワタリガニ、タン(탕)は鍋料理の意。発音表記は[꼳께탕]。漢字表記は[꽃게湯]。
- 日本語訳
- 主材料と調理法から「ワタリガニ鍋」「ワタリガニの鍋」と訳す場合が多い。粉唐辛子が入って辛口に仕立てることから「辛口鍋」「ピリ辛鍋」といった表現を用いる例もある。韓国風の強調として「ワタリガニのチゲ」といった訳も散見される。ワタリガニは本来、ワタリガニ科の総称であり、標準和名はガザミであるため、「ガザミ鍋」「ガザミの鍋」といった訳も見かけるが、ワタリガニがガザミの通称として広く使用されていることから少数派になっている。本辞典では「ワタリガニ鍋」を使用している。
ワタリガニの語源
- ワタリガニを指す「꽃게」は直訳すると「花蟹」となるが、もともとは「곶게」が変化したものとされ、「곶」は漢字で「串」と書いて「岬」を意味する。甲羅の両端が岬のようにとがっていることを指したもので、朝鮮時代後期の学者、李瀷(イ・イク、이익)が1760年頃に書いたとされる百科事典『星湖僿説(성호사설)』では、ワタリガニの語源について、「俗称を串蟹というのは背中に串のようなふたつの角があるからだ」【原文1】[1]と紹介している。
- 【原文1】「俗名串蟹以匡有两角如串也」
概要
主材料であるワタリガニのほかに、大根、エホバク(カボチャの未熟果、애호박)、長ネギなどを具に入れ、味噌、粉唐辛子、塩などで味付けて作る。ワタリガニ料理の専門店をはじめ、刺身専門店、魚介料理店などでメニューに並ぶ。居酒屋、民俗酒場などで酒肴として出されることもある。ワタリガニを用いた料理としては、ほかにカンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)、ヤンニョムケジャン(ワタリガニの辛味ダレ漬け/양념게장)、コッケチム(ワタリガニ蒸し/꽃게찜)などがある。
- 主産地
- 仁川市の江華島(カンファド、강화도)沖を主産地として、西海岸の各地域に水揚げされる。2024年の全国生産量は2万0817トンであり、1位の忠清南道が9133トン(48.9%)、2位の仁川市が4049トン(19.5%)、3位の全羅北道が3823トン(18.4%)を占める[2]。
- 旬
- 4~6月頃に卵を持ったメスが西海岸の各漁港に水揚げされ、この時期をいちばんの旬と考えることが多い。卵にこだわらなければ秋のほうが身が詰まって美味しいと評価され、9~10月にはオスのワタリガニが、10~12月にはメスのワタリガニが旬を迎える。6月下旬~8月下旬は禁漁期となっている[3]。
地域
- 仁川市延寿区玉蓮洞
- 仁川市の延寿区玉蓮洞(ヨンスグ オンニョンドン、연수구 옥련동)には「松島ワタリガニ通り」(ソンドコッケゴリ、송도꽃게거리)がある。
- 仁川市江華郡
脚注
- ↑ 星湖僿説 / 第4巻萬物門(蟹) 、韓国古典総合DB、2025年3月3日閲覧
- ↑ 어업별 품종별 통계 、統計庁ウェブサイト、2025年3月3日閲覧
- ↑ 금어기·금지체장 소개 、国立水産科学院ウェブサイト、2025年3月3日閲覧
外部リンク
- 制作者関連サイト
- 韓食生活(韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
- 八田靖史プロフィール(八田靖史のプロフィール)