「チョゲタン(鶏の冷製スープ/초계탕)」の版間の差分
ナビゲーションに移動
検索に移動
(→概要) |
|||
(同じ利用者による、間の6版が非表示) | |||
1行目: | 1行目: | ||
{{Notice}} | {{Notice}} | ||
+ | [[ファイル:22122847.JPG|thumb|400px|チョゲタン]] | ||
+ | '''チョゲタン'''([[초계탕]])は、鶏の冷製スープ。 | ||
− | + | == 概要 == | |
− | + | チョ([[초]])は漢字で「醋」と書いて酢のこと。ゲ(계)は漢字で「鶏」。タン([[탕]])は漢字で「湯」と書いては鍋料理、スープの意。鶏肉を酸味のある冷たいスープで味わう料理を指す。チョゲタンの「ゲ」をカラシの方言とする説もあるが、国立国語院ではそれを否定している<ref>[http://www.korean.go.kr/front/onlineQna/onlineQnaView.do?mn_id=61&qna_seq=122388&pageIndex=1 초계탕 뜻] 、国立国語院、2018年3月30日閲覧</ref>。チョゲグクス([[초계국수]])とも呼ばれる。鶏を茹でたダシ汁に酢、カラシ、砂糖、醤油、すりゴマなどを加えてスープを作り、茹でて裂いた鶏肉や、キュウリなどの生野菜を入れて味わう。本来は冷たいスープ料理ではあるが、近年は麺を入れて味わうことが多く、[[ネンミョン(冷麺/냉면)]]用のそば麺や、小麦麺、素麺などが用いられる。夏に食べる季節料理であり、一部の[[ネンミョン(冷麺/냉면)|ネンミョン]]専門店や、[[サムゲタン(ひな鶏のスープ/삼계탕)]]で提供されることが多い。近年は料理としての知名度が向上し、焼肉店や、麺料理店などで夏の限定メニューとして出されることもままある。かつての[[:Category:宮中料理の一覧|宮中料理]]であり、また現在の[[北朝鮮の料理|北朝鮮]]に位置する平安道(ピョンアンド、평안도)地方の郷土料理でもある。 | |
*チョゲタンの歴史 | *チョゲタンの歴史 | ||
:17世紀末から18世紀初めにかけて洪萬選(1643~1715年)が編纂した『山林経済(산림경제)』には、チョンゲタン(葱鶏湯、총계탕)という料理の作り方が記録されており、これがチョゲタンのルーツになったとされる。その製法は現在のチョゲタンとはだいぶ異っており、以下のように記述されている。「よく太った雌鶏の毛を抜いてきれいに洗い、ネギ7本のひげ根と葉先を切り、白い部分だけを残して用いる。鉢に3~4杯の水を釜に注ぎ、ネギの白い部分と鶏を一緒に入れる。よい酢とよい醤油、ゴマ油を杯に1杯ずつ(ゴマ油は少し少なめでもよい)加える。強火や弱火で煮込み、鶏から骨が外れるぐらいになったら卵6~7個をスープに溶いて食べる。その味はとてもよい」(原文1)。 | :17世紀末から18世紀初めにかけて洪萬選(1643~1715年)が編纂した『山林経済(산림경제)』には、チョンゲタン(葱鶏湯、총계탕)という料理の作り方が記録されており、これがチョゲタンのルーツになったとされる。その製法は現在のチョゲタンとはだいぶ異っており、以下のように記述されている。「よく太った雌鶏の毛を抜いてきれいに洗い、ネギ7本のひげ根と葉先を切り、白い部分だけを残して用いる。鉢に3~4杯の水を釜に注ぎ、ネギの白い部分と鶏を一緒に入れる。よい酢とよい醤油、ゴマ油を杯に1杯ずつ(ゴマ油は少し少なめでもよい)加える。強火や弱火で煮込み、鶏から骨が外れるぐらいになったら卵6~7個をスープに溶いて食べる。その味はとてもよい」(原文1)。 | ||
8行目: | 10行目: | ||
*日本での定着 | *日本での定着 | ||
− | : | + | :エバラ食品は2013年2月21日に、夏向けの家庭用おかずスープとして「冷製チョゲタン風」を発売した<ref>[https://www.ebarafoods.com/company/20130121_soup.pdf News Release(平成25年1月21日)] 、エバラ食品ウェブサイト、2018年3月30日閲覧</ref>。 |
+ | *よく似た名前の料理 | ||
+ | :日本語では混同されやすい、[[チョゲタン(アサリスープ/조개탕)]]とはハングルのスペルが異なる。 | ||
== 脚注 == | == 脚注 == | ||
18行目: | 22行目: | ||
*[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活](韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト) | *[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活](韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト) | ||
*[http://www.kansyoku-life.com/profile 八田靖史プロフィール](八田靖史のプロフィール) | *[http://www.kansyoku-life.com/profile 八田靖史プロフィール](八田靖史のプロフィール) | ||
− | |||
== 関連項目 == | == 関連項目 == | ||
24行目: | 27行目: | ||
*[[ネンミョン(冷麺/냉면)]] | *[[ネンミョン(冷麺/냉면)]] | ||
*[[サムゲタン(ひな鶏のスープ/삼계탕)]] | *[[サムゲタン(ひな鶏のスープ/삼계탕)]] | ||
+ | *[[チョゲタン(アサリスープ/조개탕)]] | ||
*[[北朝鮮の料理]] | *[[北朝鮮の料理]] | ||
[[Category:韓食ペディア]] | [[Category:韓食ペディア]] |
2024年6月8日 (土) 09:43時点における最新版
この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。掲載されている情報によって被った損害、損失に対して一切の責任を負いません。また、内容は随時修正されます。 |
チョゲタン(초계탕)は、鶏の冷製スープ。
概要
チョ(초)は漢字で「醋」と書いて酢のこと。ゲ(계)は漢字で「鶏」。タン(탕)は漢字で「湯」と書いては鍋料理、スープの意。鶏肉を酸味のある冷たいスープで味わう料理を指す。チョゲタンの「ゲ」をカラシの方言とする説もあるが、国立国語院ではそれを否定している[1]。チョゲグクス(초계국수)とも呼ばれる。鶏を茹でたダシ汁に酢、カラシ、砂糖、醤油、すりゴマなどを加えてスープを作り、茹でて裂いた鶏肉や、キュウリなどの生野菜を入れて味わう。本来は冷たいスープ料理ではあるが、近年は麺を入れて味わうことが多く、ネンミョン(冷麺/냉면)用のそば麺や、小麦麺、素麺などが用いられる。夏に食べる季節料理であり、一部のネンミョン専門店や、サムゲタン(ひな鶏のスープ/삼계탕)で提供されることが多い。近年は料理としての知名度が向上し、焼肉店や、麺料理店などで夏の限定メニューとして出されることもままある。かつての宮中料理であり、また現在の北朝鮮に位置する平安道(ピョンアンド、평안도)地方の郷土料理でもある。
- チョゲタンの歴史
- 17世紀末から18世紀初めにかけて洪萬選(1643~1715年)が編纂した『山林経済(산림경제)』には、チョンゲタン(葱鶏湯、총계탕)という料理の作り方が記録されており、これがチョゲタンのルーツになったとされる。その製法は現在のチョゲタンとはだいぶ異っており、以下のように記述されている。「よく太った雌鶏の毛を抜いてきれいに洗い、ネギ7本のひげ根と葉先を切り、白い部分だけを残して用いる。鉢に3~4杯の水を釜に注ぎ、ネギの白い部分と鶏を一緒に入れる。よい酢とよい醤油、ゴマ油を杯に1杯ずつ(ゴマ油は少し少なめでもよい)加える。強火や弱火で煮込み、鶏から骨が外れるぐらいになったら卵6~7個をスープに溶いて食べる。その味はとてもよい」(原文1)。
- 【原文1】肥雌鷄去毛治浄 用蔥七束 切去鬚葉 只用蔥白 以水三四椀許下鼎中 以蔥白與鷄 同納鼎水中 又以好醋清醬香油各一鐘子〔香油少减許〕灌於鼎中 用文武火爛煮 至於鷄骨可以拔出 然后以鷄卵六七介 和於汁中而食之 則其味甚佳矣[2]
- 日本での定着
- エバラ食品は2013年2月21日に、夏向けの家庭用おかずスープとして「冷製チョゲタン風」を発売した[3]。
- よく似た名前の料理
- 日本語では混同されやすい、チョゲタン(アサリスープ/조개탕)とはハングルのスペルが異なる。
脚注
外部リンク
- 制作者関連サイト
- 韓食生活(韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
- 八田靖史プロフィール(八田靖史のプロフィール)