「クルビグイ(イシモチの干物/굴비구이)」の版間の差分
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+ | クルビ([[굴비]])はイシモチ([[조기]])の干物。グイ(=クイ、[[구이]])は焼き物の総称。イシモチの干物を焼き魚にしたものを指す。クルビは[[全羅南道の料理|全羅南道]][[霊光郡の料理|霊光郡]]の名産であり、旧正月や秋夕などの贈答品としても用いられるほどの高級品である。現地の郷土料理店で提供されるほか、宮中料理店、韓定食店などでもコースの一品として登場する。一方で安価な輸入物のクルビも広く流通しており、こちらは家庭料理としても親しまれるほか、焼き魚の専門店や定食店でも味わうことができる。クルビを用いた料理としては、ほかに[[コチュジャングルビ(干しイシモチのコチュジャン漬け/고추장굴비)]]、クルビメウンタン(イシモチの干物の辛い鍋、[[굴비매운탕]])、クルビジョン(イシモチの干物のチヂミ、[[굴비전]])、ポリグルビ(麦イシモチの干物、[[보리굴비]])などがある。なお、干物にしていないイシモチのことはチョギ([[조기]])と呼び、それを焼き魚にしたものはチョギグイ(イシモチの焼き魚、[[조기구이]])と呼ぶ。 | ||
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+ | :本辞典ではチョギ([[조기]])の日本語訳をイシモチとしているが、日本語のイシモチはシログチ([[보구치]]、[[백조기]])やニベ([[민어]])などの総称であり、韓国語のチョギ([[조기]])もまたキグチ([[참조기]])とその近縁種を指す総称である。チョギ([[조기]])と呼ばれる魚にはキグチ([[참조기]])のほか、コイチ([[수조기]])、フウセイ([[부세]])、クログチ([[흑조기]])、シログチ([[보구치]]、[[백조기]])や、近年は海外から輸入されるタイセイヨウニベ([[대서양조기]])、英名「bobo croaker([[침조기]]、[[긴가이석태]])」、英名「longneck croaker([[민어조기]]、[[영상가이석태]])」などを含む。 | ||
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+ | 高麗時代の文臣、李資謙(イ・ジャギョム、이자겸)は第17代王の仁宗(インジョン、인종)と対立し、1126年には王位の簒奪を試みるが(李資謙の乱)、失敗に終わって[[全羅南道の料理|全羅南道]][[霊光郡の料理|霊光郡]]に流配される。李資謙は[[霊光郡の料理|霊光郡]]でクルビに出合い、これを仁宗に進上品として送ったが、その際に「屈非(屈するに非ず)」と書いて反骨の意を示したとされる<ref>[https://www.yeonggwang.go.kr/subpage/?site=tour_2019&mn=7473 1品 밥도둑으로 유명한 영광굴비] 、霊光郡文化観光、2024年8月10日閲覧</ref>。この逸話に明確な史料がある訳ではないが、これをきっかけとして干したイシモチを「屈非(クルビ、[[굴비]])」と呼ぶようになったと語られることが多い。ほかに、イシモチを干したときに腰が曲がることから、曲がったことを意味する「仇非(クビ、구비)」が変化してクルビになったとの説もある。 | ||
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+ | :ポリグルビ([[보리굴비]])は、麦イシモチの干物。ポリ([[보리]])は大麦、グルビ(=クルビ、[[굴비]])はイシモチの干物を指す。大麦を入れた甕の中でイシモチの干物を熟成させたもので、適度に水分が抜けて味に深みが出るのに加え、大麦の香りをまとって生ぐささを消すと評価される。ほぐした身をごはんに載せ、冷たい[[ノクチャ(緑茶/녹차)|緑茶]]をかけて、お茶漬け風に味わうのが定番である。 | ||
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+ | :本来のクルビ([[굴비]])はキグチ([[참조기]])を用いたものを指すが、漁獲量の減少により類似の魚で代用することが増えている。キグチを干したものを「[[참굴비]](直訳は真のクルビ)」と呼び分け、他の魚種を用いたものは以下のような名称で呼ばれる。 | ||
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+ | :ヨングァングルビ([[영광굴비]])は、[[全羅南道の料理|全羅南道]][[霊光郡の料理|霊光郡]]で作られるクルビ(イシモチの干物、[[굴비]])。[[霊光郡の料理|霊光郡]]はイシモチ([[조기]])の中でも最高級とされるキグチ([[참조기]])の名産地で、3~4月頃に産卵期を迎えて霊光沖まで回遊してくる。これをとって[[霊光郡の料理|霊光]]産の天日塩を振ったのち、海風にあてながら干したものをヨングァングルビと呼ぶ。[[霊光郡の料理|霊光郡]]の中でも北部の法聖浦(ポプソンポ、법성포)がいちばんの名産地とされる。 | ||
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*[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活](韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト) | *[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活](韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト) | ||
*[http://www.kansyoku-life.com/profile 八田靖史プロフィール](八田靖史のプロフィール) | *[http://www.kansyoku-life.com/profile 八田靖史プロフィール](八田靖史のプロフィール) | ||
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2024年8月13日 (火) 22:23時点における最新版
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クルビグイ(굴비구이)は、イシモチの干物。
概要
クルビ(굴비)はイシモチ(조기)の干物。グイ(=クイ、구이)は焼き物の総称。イシモチの干物を焼き魚にしたものを指す。クルビは全羅南道霊光郡の名産であり、旧正月や秋夕などの贈答品としても用いられるほどの高級品である。現地の郷土料理店で提供されるほか、宮中料理店、韓定食店などでもコースの一品として登場する。一方で安価な輸入物のクルビも広く流通しており、こちらは家庭料理としても親しまれるほか、焼き魚の専門店や定食店でも味わうことができる。クルビを用いた料理としては、ほかにコチュジャングルビ(干しイシモチのコチュジャン漬け/고추장굴비)、クルビメウンタン(イシモチの干物の辛い鍋、굴비매운탕)、クルビジョン(イシモチの干物のチヂミ、굴비전)、ポリグルビ(麦イシモチの干物、보리굴비)などがある。なお、干物にしていないイシモチのことはチョギ(조기)と呼び、それを焼き魚にしたものはチョギグイ(イシモチの焼き魚、조기구이)と呼ぶ。
- 魚種の詳細
- 本辞典ではチョギ(조기)の日本語訳をイシモチとしているが、日本語のイシモチはシログチ(보구치、백조기)やニベ(민어)などの総称であり、韓国語のチョギ(조기)もまたキグチ(참조기)とその近縁種を指す総称である。チョギ(조기)と呼ばれる魚にはキグチ(참조기)のほか、コイチ(수조기)、フウセイ(부세)、クログチ(흑조기)、シログチ(보구치、백조기)や、近年は海外から輸入されるタイセイヨウニベ(대서양조기)、英名「bobo croaker(침조기、긴가이석태)」、英名「longneck croaker(민어조기、영상가이석태)」などを含む。
歴史
高麗時代の文臣、李資謙(イ・ジャギョム、이자겸)は第17代王の仁宗(インジョン、인종)と対立し、1126年には王位の簒奪を試みるが(李資謙の乱)、失敗に終わって全羅南道霊光郡に流配される。李資謙は霊光郡でクルビに出合い、これを仁宗に進上品として送ったが、その際に「屈非(屈するに非ず)」と書いて反骨の意を示したとされる[1]。この逸話に明確な史料がある訳ではないが、これをきっかけとして干したイシモチを「屈非(クルビ、굴비)」と呼ぶようになったと語られることが多い。ほかに、イシモチを干したときに腰が曲がることから、曲がったことを意味する「仇非(クビ、구비)」が変化してクルビになったとの説もある。
種類
ポリグルビ(麦イシモチの干物/보리굴비)
- ポリグルビ(보리굴비)は、麦イシモチの干物。ポリ(보리)は大麦、グルビ(=クルビ、굴비)はイシモチの干物を指す。大麦を入れた甕の中でイシモチの干物を熟成させたもので、適度に水分が抜けて味に深みが出るのに加え、大麦の香りをまとって生ぐささを消すと評価される。ほぐした身をごはんに載せ、冷たい緑茶をかけて、お茶漬け風に味わうのが定番である。
魚種別の名前
- 本来のクルビ(굴비)はキグチ(참조기)を用いたものを指すが、漁獲量の減少により類似の魚で代用することが増えている。キグチを干したものを「참굴비(直訳は真のクルビ)」と呼び分け、他の魚種を用いたものは以下のような名称で呼ばれる。
- 참굴비:キグチ(참조기)の干物、
- 수조기굴비:コイチ(수조기)の干物
- 부세술비:フウセイ(부세)の干物
- 흑조기굴비:クログチ(흑조기)の干物
- 백조기굴비、백굴비:シログチ(보구치、백조기)の干物
- 대서양굴비:タイセイヨウニベ(대서양조기)の干物
- 침굴비:英名「bobo croaker(침조기、긴가이석태)」の干物
- 민어굴비:英名「longneck croaker(민어조기、영상가이석태)」の干物
地域
ヨングァングルビ(霊光産のイシモチの干物/영광굴비)
- ヨングァングルビ(영광굴비)は、全羅南道霊光郡で作られるクルビ(イシモチの干物、굴비)。霊光郡はイシモチ(조기)の中でも最高級とされるキグチ(참조기)の名産地で、3~4月頃に産卵期を迎えて霊光沖まで回遊してくる。これをとって霊光産の天日塩を振ったのち、海風にあてながら干したものをヨングァングルビと呼ぶ。霊光郡の中でも北部の法聖浦(ポプソンポ、법성포)がいちばんの名産地とされる。
その他の地域
- クウルビ(구을비)
脚注
- ↑ 1品 밥도둑으로 유명한 영광굴비 、霊光郡文化観光、2024年8月10日閲覧
外部リンク
- 制作者関連サイト
- 韓食生活(韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
- 八田靖史プロフィール(八田靖史のプロフィール)