「栄州市の料理」の版間の差分
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== 代表的な特産品 == | == 代表的な特産品 == | ||
+ | 北部の小白山麓では農業、畜産業が盛んに行われている。リンゴ、ブドウ、モモなどの果物が有名であるほか、豊基の高麗人参や、栄州韓牛、浮石面でとれる大豆の評価も高い。 | ||
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=== 高麗人参 === | === 高麗人参 === | ||
:栄州市の豊基地区は高麗人参の栽培地、集散地として全国的に有名である。豊基駅前には高麗人参市場が広がり、全国各地から高麗人参を仕入れにくる人たちで賑わう。一帯では水参(生の高麗人参)のほか、紅参(燻蒸した高麗人参)、茶や菓子などの加工品を販売する店が並ぶほか、高麗人参を使った料理を提供する飲食店もある。高麗人参を使った料理は市場のみならず、栄州市内の各地域で名物となっており、同じく栄州の名産である牛肉と組み合わせた、インサムカルビタン(高麗人参と牛カルビのスープ、인삼갈비탕)や、インサムソルロンタン(高麗人参と牛肉のスープ、인삼설렁탕)、そのほかインサムマンドゥ(高麗人参餃子、인삼만두)といった料理を味わえる。 | :栄州市の豊基地区は高麗人参の栽培地、集散地として全国的に有名である。豊基駅前には高麗人参市場が広がり、全国各地から高麗人参を仕入れにくる人たちで賑わう。一帯では水参(生の高麗人参)のほか、紅参(燻蒸した高麗人参)、茶や菓子などの加工品を販売する店が並ぶほか、高麗人参を使った料理を提供する飲食店もある。高麗人参を使った料理は市場のみならず、栄州市内の各地域で名物となっており、同じく栄州の名産である牛肉と組み合わせた、インサムカルビタン(高麗人参と牛カルビのスープ、인삼갈비탕)や、インサムソルロンタン(高麗人参と牛肉のスープ、인삼설렁탕)、そのほかインサムマンドゥ(高麗人参餃子、인삼만두)といった料理を味わえる。 | ||
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=== 韓牛 === | === 韓牛 === | ||
− | + | :小白山の清涼な自然の中で飼育されており全国的にも評価が高い。栄州市内では焼肉のカルビサルが地元人気を集める。 | |
=== 大豆 === | === 大豆 === | ||
+ | :北部の浮石面でとれる大豆は地名から浮石太(プソクテ、부석태)の名前でブランド化されている。標準的な大豆の百粒重(百粒の重さ)が25~30gであるのに対し、浮石太は40gほどと大粒である。この大豆を用いた[[チョングッチャン(韓国式の納豆汁/청국장)]]なども名物料理のひとつに数えられる。 | ||
== 飲食店情報 == | == 飲食店情報 == |
2014年11月20日 (木) 02:05時点における版
この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。掲載されている情報によって被った損害、損失に対して一切の責任を負いません。また、内容は随時修正されます。 |
栄州市(ヨンジュシ、영주시)は慶尚北道に位置する地域。本ページでは栄州市の料理について解説する。
地域概要
栄州市は慶尚北道の北部に位置し、江原道の寧越郡、忠清北道の丹陽郡、慶尚北道の奉化郡、安東市、醴泉郡と接する。人口は11万2625人(2013年)[1]。市の北部から西部にかけて小白山脈が連なり、一帯は小白山国立公園に指定されている。代表的な観光地に韓国初の書院(私塾)である紹修書院(ソスソウォン、소수서원)、新羅時代の676年に創建された浮石寺(プソクサ、부석사)、朝鮮時代の両班村をそのまま残したムソム村(ムソムマウル、무섬마을)などがある。ソウル(東ソウルバスターミナル)からは高速バスで2時間30分の距離。
食文化の背景
栄州市は「ソンビの里」とのキャッチコピーを掲げており、ソンビとは朝鮮時代の儒学者を指す。韓国初の書院(私塾)である紹修書院が置かれたように、地域の教育熱は高く中央へと多くの官僚を輩出した。中央との距離が近かったこともあってか、栄州市の郷土料理であるテピョンチョは宮中料理のタンピョンチェ(宮中式の和え物/탕평채)に由来するとされる。産業としては農業、畜産業が盛んに行われており、中でも昼夜の寒暖差が大きい小白山麓では良質の果物がとれる。市内の豊基(プンギ、풍기)地区は高麗人参の産地として全国的に有名であり、また韓方材としては長芋、何首烏(ツルドクダミ)も産する。食品以外では人絹(インギョン、인경)と呼ばれる再生繊維(レーヨン)の生産が盛んで、それを用いた衣類や寝具などが名産とされる。
代表的な料理
テピョンチョ(そば寒天入りキムチ鍋/태평초)
- テピョンチョはそば粉のでんぷんを固めて作るメミルムク(매밀묵)を入れたキムチ鍋。ほかに豚肉や刻んだ白菜キムチなどが具として入り、海苔や錦糸卵を飾りとして散らす。栄州市順興面では古くからそばの栽培が盛んで、古くからメミルムクを作り、ムッパプ(そば寒天の冷製スープ、묵밥)や、テピョンチョを作って食べたという。栄州市下望洞に位置する「伝統ムッチプ食堂(전통묵집식당)」の朴勝昌社長によれば、このテピョンチョという料理は「宮中料理のタンピョンチェに由来し、それを庶民的に解釈したもの」だという。また70代の朴社長にとって「テピョンチョは子どもの頃のご馳走料理であり、家に来客があった際に母や祖母が作ってくれた」と語る(八田靖史の取材記録より、2014年5月4日)。市内にテピョンチョを出す飲食店は「伝統ムッチプ食堂」のほか、「元祖順興ムッチプ(원조순흥묵집)」「順興伝統ムッチプ(순흥전통묵집)」などがある。
センガンドノッ(ショウガドーナツ/생강도넛)
- センガンドノッはもち米で作った揚げ菓子にショウガやピーナッツをまぶしたもの。栄州市豊基邑山法里に本店を置く「情ドーナツ(정도너츠)」の看板商品で、原材料のもち米やショウガは栄州産のものを使用している。同社はもともと1982年に「チョンア粉食(정아분식)」として創業し、一般的な食堂として営業をしていたが、メニューのひとつであったセンガンドノッが評判を集め、2008年に現在の「情ドーナツ」へと店名を変更した[2]。現在はフランチャイズ化し、ソウルや、釜山などにも店舗を構える。なお、ドーナツの正式な韓国語表記は「도넛」であるが、「情ドーナツ」では「도너츠」を採用している。店舗におけるメニュー名も、正しくは「センガンドノチュ(생강도너츠)」である。
カルビサル(牛カルビ焼き/갈비살)
- 小白山で飼育された牛肉は、栄州韓牛(ヨンジュハヌ、영주한우)と呼ばれ地元の名産品となっている。市の中心部である栄州洞には焼肉店が集まっており、そこでは他の部位よりも圧倒的にカルビサルが人気を集める。カルビサルとは牛カルビを焼いたものだが、骨から外した肉を食べやすい大きさに切って焼くスタイルを指す。
コグマパン(サツマイモ饅頭/고구마빵)
- コグマパンはサツマイモあんを中に詰めた焼き菓子。栄州市鳳峴面大村里に本店を置く「ミソモグムゴ(미소머금고)」が2006年に開発し、栄州の新たな名物として広まった。栄州産のサツマイモを使ったパイや、ガレットなどの商品も販売している。
サグァマルレンイ(リンゴチップ/사과말랭이)
- サグァマルレンイは栄州市の特産品であるリンゴをスライスしてスナック風に乾燥させたもの。浮石寺の参道に露店がたくさん出ている。露店ごとに味がずいぶんと異なり、甘味の強いもの、酸味の強いもの、食感のサクサクしたものとそうでないものがあるため、できれば試食をしたうえで、自分の好みに合ったものを探すのが肝要である。
代表的な特産品
北部の小白山麓では農業、畜産業が盛んに行われている。リンゴ、ブドウ、モモなどの果物が有名であるほか、豊基の高麗人参や、栄州韓牛、浮石面でとれる大豆の評価も高い。
高麗人参
- 栄州市の豊基地区は高麗人参の栽培地、集散地として全国的に有名である。豊基駅前には高麗人参市場が広がり、全国各地から高麗人参を仕入れにくる人たちで賑わう。一帯では水参(生の高麗人参)のほか、紅参(燻蒸した高麗人参)、茶や菓子などの加工品を販売する店が並ぶほか、高麗人参を使った料理を提供する飲食店もある。高麗人参を使った料理は市場のみならず、栄州市内の各地域で名物となっており、同じく栄州の名産である牛肉と組み合わせた、インサムカルビタン(高麗人参と牛カルビのスープ、인삼갈비탕)や、インサムソルロンタン(高麗人参と牛肉のスープ、인삼설렁탕)、そのほかインサムマンドゥ(高麗人参餃子、인삼만두)といった料理を味わえる。
- 豊基高麗人参の歴史
- 三国史記(新羅本紀第八)を見ると、734年に新羅の聖徳王(第33代)が唐へと賀正使を派遣した際、高麗人参200本を送ったという記録がある[3]。小白山一帯は新羅における代表的な山参(天然の高麗人参)の産地であり、栄州市では豊基高麗人参のもっとも古い記録と位置付けている。また、朝鮮時代の1541年に豊基郡守として赴任した周世鵬は、豊基地区が高麗人参の栽培に適していることを見出し、山参の種をまいて高麗人参栽培に力を注いだ[4]。
- 豊基高麗人参祭り
- 毎年10月に豊基邑の南院川沿いで催される[5]。
リンゴ
- 小白山の山麓地域で主に栽培される。一帯は昼夜の寒暖差が大きく、香りと糖度の高いリンゴが生産される。主な品種は日本由来の富士であり、韓国語ではプサ(부사)と呼ばれる。観光客が多く訪れる浮石寺の参道ではリンゴや、乾燥リンゴのチップが露店で販売されている。
韓牛
- 小白山の清涼な自然の中で飼育されており全国的にも評価が高い。栄州市内では焼肉のカルビサルが地元人気を集める。
大豆
- 北部の浮石面でとれる大豆は地名から浮石太(プソクテ、부석태)の名前でブランド化されている。標準的な大豆の百粒重(百粒の重さ)が25~30gであるのに対し、浮石太は40gほどと大粒である。この大豆を用いたチョングッチャン(韓国式の納豆汁/청국장)なども名物料理のひとつに数えられる。
飲食店情報
歴史
1970年代
カルメギサルは豚肉の一部位としてよりも内臓に近い副産物ととらえられていた。カルメギサルを独立したひとつの部位として食べ始めたのは1970年代からと考えられている。
京畿道城南市の事例
- 京畿道城南市中院区麗水洞にはカルメギサルの専門店が集まっており、1970年代から専門店ができ始めたとされる。この一帯はヨスル村(여술마을)とも呼ばれる。
- 韓国観光公社の記述
- 韓国観光公社が配布する『韓国の味紀行』という冊子(WEBでも閲覧可)では以下のように紹介されている。
- 「『カルメギ肉』と呼ばれる豚の横隔膜の肉は、鶏粥とともに城南を代表する料理です。豚の横隔膜に付いている『カロマク肉』を間違って呼んだものですが、その名が有名になってそのまま使われています。1970年ごろ、島村洞の屠殺場近くの麗水洞一帯の飲食店で、歯ごたえのよいカルメギ肉をおつまみとして出したところ、噂が広まって全国的に評判となりました。」[6]
- デジタル城南文化電子大典の記述
- 城南市の郷土文化を紹介する「デジタル城南文化電子大典」では、「麗水洞カルメギサル村」について以下のように説明している。
- 「盆唐区と中院区の間に位置する麗水洞はカルメギサルを専門的に販売する食堂30余ヶ所が集まる場所である。1960年代からこの近所である野塔洞のチャンミ村には、城南屠畜場があった。もともと屠畜場では豚肉の横隔膜と肝臓の間にある筋肉質のスジである『カロマクサル』を販売できるものと考えてはいなかった。ところがある日、誰かが見向きもされない『カロマクサル』を集めて皮をはがして売り始めた。人々はカルマクサルの、脂肪がなく、肉質が柔らかく、シコシコとした味を喜んだ。すると『カロマクサル』だけを専門的に扱う焼肉店ができ、それが集団を形成し、今日の麗水洞カルメギサル村になった。『アンチャンコギ(ハラミ肉)』とも呼ばれるカロマクサルは速く発音すると、『カルメギサル』と呼ばれるようになる。しかし、その理由について今まで定説はない」(原文1)[7]
- 【原文1】「분당구와 중원구의 사이에 위치하고 있는 여수동은 갈매기살을 전문적으로 판매하는 식당 30여 곳이 모여 있는 곳이다. 1960년대부터 이곳 근처인 지금의 야탑동 장미마을에는 성남도축장이 있었다. 원래 도축장에서는 돼지고기의 횡격막(橫膈膜)과 간(肝) 사이에 있는 근육질 힘살인 ‘가로막살’을 판매할 수 있는 고기로 여기지 않았다. 그런데 어느 날 누군가가 거들떠보지도 않던 ‘가로막살’을 모아 껍질을 벗긴 뒤 팔기 시작했다. 사람들은 가로막살에 기름이 없고 육질이 부드러우며 쫄깃한 맛이 나서 좋아했다. 특히 거의 버렸던 돼지고기 부위이기 때문에 가격이 싸서 서민들이 먹기에 좋았다. 그러자 ‘가로막살’만 전문으로 취급하는 고깃집이 생겨났고, 그것이 집단을 이루어 오늘날 여수동의 갈매기살촌이 되었다. ‘안창고기’라고도 불리는 가로막살은 빨리 발음하면, ‘갈매기살’이라고 하게 된다. 그러나 그 이유에 대해 아직까지 정설이 없다.」
ソウル市麻浦区桃花洞の事例
- ソウル市麻浦区桃花洞にはカルメギサルの専門店が集まっており、1970年代後半から専門店ができ始めたとされる。「釜山カルメギ(부산갈매기)」が1978年、「元祖カルメギ(원조갈매기)」が1979年創業の看板を掲げており、一帯は「麻浦カルメギサル通り(마포갈매기살골목)」と呼ばれる。
2010年代
2010年から11年頃に豚肉の特殊部位を扱う専門店が続々と増えてブームになった。これは2008年頃からの韓牛ブームによって、牛肉の特殊部位を提供する店が増えたことも影響していると考えられる。カルメギサルはハンジョンサル(항정살、首すじの肉、豚トロ)、カブリサル(가브리살、バラ肉を包んでいる肉 )、コプテギ(껍데기、豚皮)などとともに代表的な豚肉の特殊部位として定着している。
種類
カルメギサルには次のような種類がある。
- センカルメギサル(생갈매기살)
- 味付けなしのカルメギサル
- ヤンニョムカルメギサル(양념갈매기살)
- 辛い薬味ダレを絡めたカルメギサル
- マヌルカルメギサル(마늘갈매기살)
- ニンニクダレを絡めたカルメギサル
日本における定着
日本では焼肉店などで豚ハラミとして提供されている。韓国料理のカルメギサルとしては、まだほとんど馴染みがなく、これからの定着が期待される。
エピソード
- 韓食ペディアの執筆者である八田靖史は留学時代の2000年に豚焼肉店でメニューにカルメギサルを発見し、韓国ではカモメの肉を食べるのだと本気で勘違いをした過去がある。
地域
- ソウル市麻浦区桃花洞
- 孔徳駅の近くにカルメギサルの専門店が集まっており、麻浦カルメギサル通りと呼ばれる。
- ソウル市鍾路区敦義洞
- 鍾路3街駅の近くにカルメギサルの専門店が集まっており、鍾路3街カルメギサル通り(종로3가 갈매기살골목)と呼ばれる。
- 京畿道城南市中院区麗水洞
- 麗水洞にカルメギサルの専門店が集まっている。