「コッケタン(ワタリガニ鍋/꽃게탕)」の版間の差分
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:ケグッチ([[게국지]])は、ワタリガニのキムチ鍋。ケックッチ([[겟국지]]、[[겟국지]])とも呼ばれる。ケグッチのケ([[게]])はカニ、グッ(=クッ、[[국]])は汁、チ([[지]])はキムチを意味する。[[カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)|カンジャンケジャン(カニの醤油漬け/간장게장)]]の汁を用いて漬けたキムチを意味するが、そのままでは塩辛く、生ぐささが残るため、チゲ(鍋、[[찌개]])のように煮込んで食べることが多い。もともとは[[忠清南道の料理|忠清南道]]の[[泰安郡の料理|泰安郡]]や[[瑞山市の料理|瑞山市]]の家庭で作る素朴な郷土料理であったが、近年は飲食店での提供が増えてレシピが多様化し、ワタリガニ([[꽃게]])などの魚介をふんだんに入れて豪華に作ることが多い。本辞典での日本語訳は「ワタリガニのキムチ鍋」としたが、伝統的な調理法においては必ずしもワタリガニ([[꽃게]])に限らず、多様なカニが用いられる。 | :ケグッチ([[게국지]])は、ワタリガニのキムチ鍋。ケックッチ([[겟국지]]、[[겟국지]])とも呼ばれる。ケグッチのケ([[게]])はカニ、グッ(=クッ、[[국]])は汁、チ([[지]])はキムチを意味する。[[カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)|カンジャンケジャン(カニの醤油漬け/간장게장)]]の汁を用いて漬けたキムチを意味するが、そのままでは塩辛く、生ぐささが残るため、チゲ(鍋、[[찌개]])のように煮込んで食べることが多い。もともとは[[忠清南道の料理|忠清南道]]の[[泰安郡の料理|泰安郡]]や[[瑞山市の料理|瑞山市]]の家庭で作る素朴な郷土料理であったが、近年は飲食店での提供が増えてレシピが多様化し、ワタリガニ([[꽃게]])などの魚介をふんだんに入れて豪華に作ることが多い。本辞典での日本語訳は「ワタリガニのキムチ鍋」としたが、伝統的な調理法においては必ずしもワタリガニ([[꽃게]])に限らず、多様なカニが用いられる。 | ||
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*仁川市江華郡 | *仁川市江華郡 | ||
:[[仁川市の料理|仁川市]][[江華郡の料理|江華郡]]の内可面外浦里(ネガミョン ウェポリ、내가면 외포리)にはワタリガニ料理の専門店が集まっており、「外浦里ワタリガニ村(ウェポリ コッケマウル、외포리 꽃게마을)」と呼ばれる。 | :[[仁川市の料理|仁川市]][[江華郡の料理|江華郡]]の内可面外浦里(ネガミョン ウェポリ、내가면 외포리)にはワタリガニ料理の専門店が集まっており、「外浦里ワタリガニ村(ウェポリ コッケマウル、외포리 꽃게마을)」と呼ばれる。 | ||
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| + | *忠清南道泰安郡 | ||
| + | :[[忠清南道の料理|忠清南道]][[泰安郡の料理|泰安郡]]の新津島(シンジド、신지도)では、毎年5月に「新津島ワタリガニ祭り(신진도 꽃게 축제)」が開催される。 | ||
== 脚注 == | == 脚注 == | ||
2025年12月12日 (金) 12:17時点における最新版
| この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。掲載されている情報によって被った損害、損失に対して一切の責任を負いません。また、内容は随時修正されます。 |
コッケタン(꽃게탕)は、ワタリガニ鍋。
名称
コッケタンの、コッケ(꽃게)はワタリガニ、タン(탕)は鍋料理の意。発音表記は[꼳께탕]。漢字表記は[꽃게湯]。
- 日本語訳
- 主材料と調理法から「ワタリガニ鍋」「ワタリガニの鍋」と訳す場合が多い。粉唐辛子が入って辛口に仕立てることから「辛口鍋」「ピリ辛鍋」といった表現を用いる例もある。韓国風の強調として「ワタリガニのチゲ」といった訳も散見される。ワタリガニは本来、ワタリガニ科の総称であり、標準和名はガザミであるため、「ガザミ鍋」「ガザミの鍋」といった訳も見かけるが、ワタリガニがガザミの通称として広く使用されていることから少数派になっている。本辞典では「ワタリガニ鍋」を使用している。
ワタリガニの語源
- ワタリガニを指す「꽃게」は直訳すると「花蟹」となるが、もともとは「곶게」が変化したものとされ、「곶」は漢字で「串」と書いて「岬」を意味する。甲羅の両端が岬のようにとがっていることを指したもので、朝鮮時代後期の学者、李瀷(イ・イク、이익)が1760年頃に書いたとされる百科事典『星湖僿説(성호사설)』では、ワタリガニの語源について、「俗称を串蟹というのは背中に串のようなふたつの角があるからだ」【原文1】[1]と紹介している。
- 【原文1】「俗名串蟹以匡有两角如串也」
概要
主材料であるワタリガニのほかに、大根、エホバク(カボチャの未熟果、애호박)、長ネギなどを具に入れ、味噌、粉唐辛子、塩などで味付けて作る。ワタリガニ料理の専門店をはじめ、刺身専門店、魚介料理店などでメニューに並ぶ。居酒屋、民俗酒場などで酒肴として出されることもある。ワタリガニを用いた料理としては、ほかにカンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)、ヤンニョムケジャン(ワタリガニの辛味ダレ漬け/양념게장)、コッケチム(ワタリガニ蒸し/꽃게찜)などがある。
- 主産地
- 仁川市の江華島(カンファド、강화도)沖を主産地として、西海岸の各地域に水揚げされる。2024年の全国生産量は2万0817トンであり、1位の忠清南道が9133トン(48.9%)、2位の仁川市が4049トン(19.5%)、3位の全羅北道が3823トン(18.4%)を占める[2]。
- 旬
- 4~6月頃に卵を持ったメスが西海岸の各漁港に水揚げされ、この時期をいちばんの旬と考えることが多い。卵にこだわらなければ秋のほうが身が詰まって美味しいと評価され、9~10月にはオスのワタリガニが、10~12月にはメスのワタリガニが旬を迎える。6月下旬~8月下旬は禁漁期となっている[3]。
種類
ケグッチ(ワタリガニのキムチ鍋/게국지)
- ケグッチ(게국지)は、ワタリガニのキムチ鍋。ケックッチ(겟국지、겟국지)とも呼ばれる。ケグッチのケ(게)はカニ、グッ(=クッ、국)は汁、チ(지)はキムチを意味する。カンジャンケジャン(カニの醤油漬け/간장게장)の汁を用いて漬けたキムチを意味するが、そのままでは塩辛く、生ぐささが残るため、チゲ(鍋、찌개)のように煮込んで食べることが多い。もともとは忠清南道の泰安郡や瑞山市の家庭で作る素朴な郷土料理であったが、近年は飲食店での提供が増えてレシピが多様化し、ワタリガニ(꽃게)などの魚介をふんだんに入れて豪華に作ることが多い。本辞典での日本語訳は「ワタリガニのキムチ鍋」としたが、伝統的な調理法においては必ずしもワタリガニ(꽃게)に限らず、多様なカニが用いられる。
- 伝統的な調理法
- 海岸部の地域では、ワタリガニ、イシガニ(민꽃게、돌게、박하지)、ヤマトオサガニ(칠게、능쟁이)、シオマネキ(논게、황발이)などをカンジャンケジャンにして保存食とした。秋にキムジャン(キムチ漬け、김장)を行った際、余った白菜や大根などの野菜にカンジャンケジャンの汁と、殻のまま細かく刻んだカニを入れて漬けたものがケグッチである。すなわち本来の用語としてはキムチの一種と言える。ただし、そのまま食べるよりも水を加えて塩分を調節し、白菜、カボチャなどの野菜を足して煮込むことが多いため、鍋料理の名称としても用いられる。カニのダシが効いたキムチチゲ(キムチ鍋/김치찌개)と考えても間違いではない。
- 近年の調理法
- もともとのケグッチは保存食の一種だが、飲食店では熟成期間を置かず、コッチョリ(浅漬けキムチ/겉절이)のように即席で野菜とカンジャンケジャンの汁を和えて作ることが多い。具材もより豪華になって、生のワタリガニをぶつ切りにして入れたり、エビや牡蠣などの魚介を加えたりして作るのが主流である。ワタリガニ料理のひとつとして、コッケタンやカンジャンケジャンと並んでメニューに並ぶため、近年はキムチ入りのコッケタンとして認識されることがほとんどだ。調理法によっては、単にムグンジ(古漬けのキムチ、묵은지)とワタリガニを一緒に煮込んで作ることもある。
地域
- 仁川市延寿区玉蓮洞
- 仁川市の延寿区玉蓮洞(ヨンスグ オンニョンドン、연수구 옥련동)には「松島ワタリガニ通り」(ソンドコッケゴリ、송도꽃게거리)がある。
- 仁川市江華郡
- 忠清南道泰安郡
脚注
- ↑ 星湖僿説 / 第4巻萬物門(蟹) 、韓国古典総合DB、2025年3月3日閲覧
- ↑ 「어업생산동향조사」어업별 품종별 통계(자료갱신일: 2025-11-28) 、KOSIS(国家統計ポータル)、2025年12月4日閲覧
- ↑ 금어기·금지체장 소개 、国立水産科学院ウェブサイト、2025年3月3日閲覧
外部リンク
- 制作者関連サイト
- 韓食生活(韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
- 八田靖史プロフィール(八田靖史のプロフィール)