「江陵市の料理」の版間の差分

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=== ウロクミヨックッ(クロソイのワカメスープ/우럭미역국) ===
 
=== ウロクミヨックッ(クロソイのワカメスープ/우럭미역국) ===
:ウロクミヨックッはクロソイのワカメスープ。ウロク([[우럭]])がクロソイ、ミヨックッがワカメスープを表す(「[[ミヨックッ(ワカメスープ/미역국)]]」の項目も参照)。クロソイのアラを煮込んでダシを取り、たっぷりのワカメを加えて煮込んで作る。江門港(강문항)に隣接して刺身店の集まる江門活魚刺身タウンの名物として知られる。
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:ウロクミヨックッ([[우럭미역국]])は、クロソイのワカメスープ。ウロク([[우럭]])がクロソイ、ミヨックッがワカメスープを表す(「[[ミヨックッ(ワカメスープ/미역국)]]」の項目も参照)。クロソイのアラを煮込んでダシを取り、たっぷりのワカメを加えて煮込んで作る。江門港(カンムナン、강문항)に隣接して刺身店の集まる「江門活魚刺身タウン(강문활어회타운)」の名物として知られる。
  
 
=== ハングァ(韓菓/한과) ===
 
=== ハングァ(韓菓/한과) ===
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*ソジチョガットゥル(서지초가뜰)
 
*ソジチョガットゥル(서지초가뜰)
:蘭谷洞(난곡동)の「ソジチョガットゥル」は、300年続く昌寧曺氏の家系に伝わる両班家庭の料理を伝える店。田植えの時期に働き手をもてなす意味で作られた、モッパプ、チルサンと呼ばれる定食を自慢としている。農作業の合間に昼食としたのがモッパプ、作業後に自宅へ持ち帰った料理をチルサンと呼び分ける。地元の山菜料理や、祭祀料理、餅などが組み合わされており、田植えで余った種籾を蒸し餅にしてヨモギやカボチャを加えたシジョンジトク([[씨종지떡]])や、海藻のスジメ([[쇠미역]])を油で揚げて砂糖を振ったセミヨクティガク([[쇠미역튀각]])、干しダラを手で細かく裂いて大根や粟などと一緒に発酵させたポシッケ([[포식해]])といった料理が特徴的である。韓食ペディアの執筆者である八田靖史は、著書『八田靖史と韓国全土で味わう 絶品! ぶっちぎり108料理』において、江陵市のモッパプ・チルサンを厳選したベスト8の3位として紹介した<ref>八田靖史, 2014, 『八田靖史と韓国全土で味わう 絶品! ぶっちぎり108料理』, 三五館, P12-13</ref>。
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:蘭谷洞(ナンゴクトン、난곡동)の「ソジチョガットゥル」は、300年続く昌寧曺氏の家系に伝わる両班家庭の料理を伝える店。かつては田植えの時期に働き手をもてなす意味で作られた、モッパプ、チルサンと呼ばれる定食を提供していたが、現在はカフェとして営業する。田植えで余った種籾を蒸し餅にしてヨモギやカボチャを加えたシジョンジトク([[씨종지떡]])が代々受け継がれる伝統の料理であり、ほかに各種の伝統茶も用意している。
 
 
:*松竹杜鵑酒
 
::松竹杜鵑酒(ソンジュクトゥギョンジュ、[[송죽두견주]])は、モッパプ、チルサンとともに昌寧曺氏の家系で受け継がれた伝統酒である。祭祀用に捧げるもので、名前の通り、松の葉、竹の葉、杜鵑(ツツジ)の花が材料として入る。醸造酒であり、主原料にはもち米、うるち米、もち粟が用いられる。
 
  
 
== 飲食店情報 ==
 
== 飲食店情報 ==
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[[ファイル:17071512.JPG|thumb|300px|八田靖史著『八田式「イキのいい韓国語あります。」』(学研)の表紙(オビなし)]]
 
[[ファイル:17071512.JPG|thumb|300px|八田靖史著『八田式「イキのいい韓国語あります。」』(学研)の表紙(オビなし)]]
 
*韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2000年8月に初めて江陵市を訪れた。当時は留学生であり、韓国人の友人らと夏休みを利用しての旅行であった。海水浴をしたり、五台山をハイキングとしたりと満喫するなど、まさしく海と山の両方を楽しんだ。なお、このときに海で撮影した写真は、デビュー作である『八田式 イキのいい韓国語あります。』(学研)の表紙を飾っている。
 
*韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2000年8月に初めて江陵市を訪れた。当時は留学生であり、韓国人の友人らと夏休みを利用しての旅行であった。海水浴をしたり、五台山をハイキングとしたりと満喫するなど、まさしく海と山の両方を楽しんだ。なお、このときに海で撮影した写真は、デビュー作である『八田式 イキのいい韓国語あります。』(学研)の表紙を飾っている。
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*韓食ペディアの執筆者である八田靖史は、著書『八田靖史と韓国全土で味わう 絶品! ぶっちぎり108料理』において、江陵市のモッパプ([[못밥]])・チルサン([[질상]])を厳選したベスト8の3位として紹介した<ref>八田靖史, 2014, 『八田靖史と韓国全土で味わう 絶品! ぶっちぎり108料理』, 三五館, P12-13</ref>。300年続く昌寧曺氏の家系に伝わる両班家庭の料理で、農作業の合間に昼食としたものをモッパプ、作業後に自宅へ持ち帰った料理をチルサンと呼び分ける。地元の山菜料理や、祭祀料理、餅などが組み合わされており、田植えで余った種籾を蒸し餅にしてヨモギやカボチャを加えたシジョンジトク([[씨종지떡]])や、海藻のスジメ([[쇠미역]])を油で揚げて砂糖を振ったセミヨクティガク([[쇠미역튀각]])、干しダラを手で細かく裂いて大根や粟などと一緒に発酵させたポシッケ([[포식해]])といった料理が印象的であった。同じく、昌寧曺氏の家系で受け継がれる祭祀用の伝統酒に松竹杜鵑酒(ソンジュクトゥギョンジュ、[[송죽두견주]])があり、もち米、うるち米、もち粟を主材料とした醸造酒で、名前の通り、松の葉、竹の葉、杜鵑(ツツジ)の花が材料として入る。
  
 
== 脚注 ==
 
== 脚注 ==
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