「アグタン(アンコウ鍋/아구탕)」の版間の差分

提供: 韓食ペディア
ナビゲーションに移動 検索に移動
 
(同じ利用者による、間の8版が非表示)
1行目: 1行目:
 
{{Notice}}
 
{{Notice}}
[[ファイル:19050307.JPG|400px|thumb|アグタン(右手前)とアグチム]]
+
[[ファイル:22033101.JPG|thumb|400px|アグタン]]
'''アグタン'''([[아구탕]])は、アンコウ鍋。アグ([[아구]])はアンコウ、タン([[탕]])は鍋料理の意。アンコウはアグィ([[아귀]])とも呼ばれるため、アグィタン([[아귀탕]])と呼ぶこともある。アンコウのアラなどでとったスープに、ぶつ切りにしたアンコウ、大豆モヤシ、セリ、長ネギ、青唐辛子などの具として入れ、みじん切りニンニク、ショウガ、粉唐辛子、塩、醤油などで味付ける。アンコウの身は、ワサビ醤油につけて食べてもよい。アンコウ料理の専門店や、海鮮料理店、居酒屋などで提供される。そのほかアンコウを使った料理としては、[[アグチム(アンコウの蒸し煮/아구찜)]]、アグスユク(茹でアンコウ、[[아구수육]])などがある。[[仁川市の料理|仁川市]]や、[[慶尚南道の料理|慶尚南道]][[昌原市の料理|昌原市]]の郷土料理としても知られる。
+
'''アグタン'''([[아구탕]])は、アンコウ鍋。
 +
 
 +
== 概要 ==
 +
アグ([[아구]])はアンコウ、タン([[탕]])は鍋料理の意。アンコウはアグィ([[아귀]])とも呼ばれるため、アグィタン([[아귀탕]])と呼ぶこともある。アンコウのアラなどでとったスープに、ぶつ切りにしたアンコウ、大豆モヤシ、セリ、長ネギ、青唐辛子などの具として入れ、みじん切りニンニク、ショウガ、粉唐辛子、塩、醤油などで味付ける。アンコウの身は、ワサビ醤油につけて食べてもよい。アンコウ料理の専門店や、海鮮料理店、居酒屋などで提供される。そのほかアンコウを使った料理としては、[[アグチム(アンコウの蒸し煮/아구찜)]]、アグスユク(茹でアンコウ、[[아구수육]])などがある。韓国でアンコウが食用として利用され始めたのは1960年代であり、この時期に[[慶尚南道の料理|慶尚南道]][[昌原市の料理|昌原市]]の馬山(マサン、마산)地区や、[[仁川市の料理|仁川市]]において調理法が普及していった。
 +
 
 +
*アンコウの語源
 +
:1814年に丁若銓の書いた魚類学書『茲山魚譜(자산어보)』では、アンコウの名称を「釣絲魚([[조사어]])」、俗称を「餓口魚([[아구어]])」と紹介している<ref>[https://library.korea.ac.kr/detail/?cid=CAT000000733434&ctype=o 玆山魚譜 / 筆寫本(P30)] 、高麗大学校図書館、2024年5月14日閲覧</ref>。名称の「釣絲魚」は「釣り糸を垂らした魚」という意味で、頭部の誘引突起を釣り糸に見立てたもの。俗称は「飢えた口の魚」という意味で、大きな口を持つ見た目から名前がついた。標準語の「아귀」も「餓鬼」が語源とされる。
 +
 
 +
*ムルトムボンイタン
 +
:ムルトムボンイタン([[물텀벙이탕]])は、アグタンの[[仁川市の料理|仁川市]]方言。ムルトムボンイ([[물텀벙이]])はアンコウ([[아귀]])の別称。ムルトムボン([[물텀벙]])とも呼ぶ。直訳すると「水にドボンする魚」という意味であり、かつてはとれても捨てられていたことに由来する。タン([[탕]])は漢字で「湯」と書いて鍋料理の意。[[仁川市の料理|仁川市]]彌鄒忽区龍峴洞(ミチュホルグ ヨンヒョンドン、미추홀구 용현동)に専門店が集まっており、一帯は「龍峴洞ムルトムボンイ通り」(용현동 물텀벙이거리)と呼ばれる。
 +
 
 +
== 地域 ==
 +
*[[仁川市の料理|仁川市]]
 +
*[[慶尚南道の料理|慶尚南道]][[昌原市の料理|昌原市]]
  
 
== 脚注 ==
 
== 脚注 ==
10行目: 23行目:
 
*[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活](韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
 
*[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活](韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
 
*[http://www.kansyoku-life.com/profile 八田靖史プロフィール](八田靖史のプロフィール)
 
*[http://www.kansyoku-life.com/profile 八田靖史プロフィール](八田靖史のプロフィール)
*[https://itunes.apple.com/us/app/%E9%9F%93%E5%9B%BD%E8%AA%9E%E9%A3%9F%E3%81%AE%E5%A4%A7%E8%BE%9E%E5%85%B8/id1220010846?l=ja&ls=1&mt=8 韓国語食の大辞典アプリ版](八田靖史制作の韓国料理専門辞典)
 
  
 
== 関連項目 ==
 
== 関連項目 ==

2024年5月14日 (火) 13:33時点における最新版

この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。掲載されている情報によって被った損害、損失に対して一切の責任を負いません。また、内容は随時修正されます。
アグタン

アグタン아구탕)は、アンコウ鍋。

概要

アグ(아구)はアンコウ、タン()は鍋料理の意。アンコウはアグィ(아귀)とも呼ばれるため、アグィタン(아귀탕)と呼ぶこともある。アンコウのアラなどでとったスープに、ぶつ切りにしたアンコウ、大豆モヤシ、セリ、長ネギ、青唐辛子などの具として入れ、みじん切りニンニク、ショウガ、粉唐辛子、塩、醤油などで味付ける。アンコウの身は、ワサビ醤油につけて食べてもよい。アンコウ料理の専門店や、海鮮料理店、居酒屋などで提供される。そのほかアンコウを使った料理としては、アグチム(アンコウの蒸し煮/아구찜)、アグスユク(茹でアンコウ、아구수육)などがある。韓国でアンコウが食用として利用され始めたのは1960年代であり、この時期に慶尚南道昌原市の馬山(マサン、마산)地区や、仁川市において調理法が普及していった。

  • アンコウの語源
1814年に丁若銓の書いた魚類学書『茲山魚譜(자산어보)』では、アンコウの名称を「釣絲魚(조사어)」、俗称を「餓口魚(아구어)」と紹介している[1]。名称の「釣絲魚」は「釣り糸を垂らした魚」という意味で、頭部の誘引突起を釣り糸に見立てたもの。俗称は「飢えた口の魚」という意味で、大きな口を持つ見た目から名前がついた。標準語の「아귀」も「餓鬼」が語源とされる。
  • ムルトムボンイタン
ムルトムボンイタン(물텀벙이탕)は、アグタンの仁川市方言。ムルトムボンイ(물텀벙이)はアンコウ(아귀)の別称。ムルトムボン(물텀벙)とも呼ぶ。直訳すると「水にドボンする魚」という意味であり、かつてはとれても捨てられていたことに由来する。タン()は漢字で「湯」と書いて鍋料理の意。仁川市彌鄒忽区龍峴洞(ミチュホルグ ヨンヒョンドン、미추홀구 용현동)に専門店が集まっており、一帯は「龍峴洞ムルトムボンイ通り」(용현동 물텀벙이거리)と呼ばれる。

地域

脚注

  1. 玆山魚譜 / 筆寫本(P30) 、高麗大学校図書館、2024年5月14日閲覧

外部リンク

制作者関連サイト

関連項目