「スンドゥブチゲ(柔らかい豆腐の鍋/순두부찌개)」の版間の差分

提供: 韓食ペディア
ナビゲーションに移動 検索に移動
67行目: 67行目:
  
 
=== 2006年 ===
 
=== 2006年 ===
==== ドラマ「輪舞曲(ロンド)」の影響 ====
+
==== ドラマ「輪舞曲(ロンド)」の放送 ====
 +
*「牛角」グループでの展開
 +
*「チャメ」のオープン
  
 +
==== 「東京純豆腐」のオープン ====
 +
 +
=== 2007年 ===
 +
==== 丸大食品の参入 ====
  
 
== エピソード ==
 
== エピソード ==

2015年3月25日 (水) 02:37時点における版

この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。掲載されている情報によって被った損害、損失に対して一切の責任を負いません。また、内容は随時修正されます。

スンドゥブチゲ순두부찌개)は、柔らかい豆腐の鍋。

名称

スンドゥブはにがりを打って押し固める前の豆腐を意味し、チゲは汁気の少ない鍋料理を総称する。また、スンドゥブのドゥブは漢字語の豆腐であり、漢字で全体を「純豆腐」、「順豆腐」と表記することもあるが、スンドゥブのスンは語源が明らかになっておらず当て字に過ぎない。語源としては水豆腐(ストゥブ)が転化したとの説や、スナントゥブ(柔らかい豆腐、순한 두부)が転化したとの説がある。飲食店のメニューではチゲを省略してスンドゥブとだけ表記をしたり、定食を意味するペッパン(백반)をつけてスンドゥブペッパンとすることもある。また、日本ではスントゥブ、スンドゥーフ、スンドゥプといった表記も見られるが、本辞典においては「スンドゥブチゲ」を使用する。発音表記は[순두부찌개]。

概要

スンドゥブチゲは、柔らかい豆腐(=スンドゥブ)を主材料として作る鍋料理。アサリや豚肉、タマネギ、長ネギなどの野菜、キノコなどを具とし、味付けには塩、粉唐辛子、ニンニク、ゴマ油などを用いる。仕上げとして生卵を落とすことも多い。飲食店では主に1人前のトゥッペギ(뚝배기、チゲ用に使う素焼きの鍋)で調理をするが、大きな鍋で作ったものをシェアして食べることもある。韓国にはスンドゥブチゲの専門店が多数あり、また食堂や居酒屋などでもメニューに載る。家庭料理として作られることも多い。専門店では牡蠣、エビ、イカなどを入れたものや、キムチ、牛肉、餃子などをメインの具としたものも提供する。

歴史

1960年代

もともとスンドゥブはチゲとしてでなく、出来たてに薬味醤油をかけて食べるものであった。現在のようなスンドゥブチゲは1960年前後に、ソウル市庁近くの小公洞、西小門洞あたりで専門店が増えたことから広まったとされる。これらのエリアは有名繁華街の明洞からも近いため、発祥と明洞として語るケースもままある。その背景としては、近隣に大きな豆腐工場があったため、そこから仕入れをする形で近隣にスンドゥブチゲの専門店が増えたと説明される。

「小公洞トゥッペギチプ」の開店

「小公洞トゥッペギチプ(소공동 뚝배기집)」は1962年に小公洞で創業し、現在の韓国においてはもっとも古いスンドゥブチゲ専門店とされる。2代目社長であるホ・ヨンソク氏は「父が店を始める前に市場などでチゲとして販売するケースはあったようだが、店舗として構えたのは『小公洞トゥッペギチプ』が初めて」(八田靖史の取材記録より、2010年2月)と語っており、それを根拠とすれば1950年代後半から1960年代前半にはスンドゥブチゲが料理として存在していたと推測される。

「チョンウォンスンドゥブ」の開店

「チョンウォンスンドゥブ」は1969年に西小門洞で創業した。店では「当時、小公洞、西小門洞の付近には豆腐工場があり、そのため近隣にスンドゥブチゲ店がたくさんあった」(八田靖史の取材記録より、2009年2月24日)と説明している。

1980~90年代

1980年代から90年代にかけて、韓国系移民によるスンドゥブチゲ専門店がアメリカで増えていった。代表的な店舗には「ニュージャージー小公洞スンドゥブ(뉴저지 소공동순두부)」(1984年創業)、「ビバリースンドゥブ(베버리 순두부)」(1986年創業)、「BCD TOFU HOUSE(북창동순두부)」(1996年創業)などがある。これらの店はコリアンタウンを中心に店舗を拡大し、やがてアメリカ人からもヘルシーフードとして人気を集める。これが後に日本での定着へと影響していった(日本における定着参照)。

アメリカにおける進化

アメリカで専門店が増えたことによって、スンドゥブチゲは韓国とはまた違った独自の進化を遂げることとなった。大きくは以下のような特徴があげられる。これらの進化はやがて韓国にも逆輸入されたり、また日本をはじめとした第三国におけるスンドゥブチゲの普及にもおおいに役立った。

  • 段階的に辛さを選べる(1辛~5辛など)
  • 具をトッピングとして選べる
  • サイドメニューに焼肉があり、セットにもできる

種類

スンドゥブチゲには次のような種類がある。

  • ヘムルスンドゥブチゲ(해물순두부찌개)
牡蠣、エビ、イカなどの海産物を入れたスンドゥブチゲ
  • クルスンドゥブチゲ(굴순두부찌개)
牡蠣を入れたスンドゥブチゲ
  • キムチスンドゥブチゲ(김치순두부찌개)
キムチを入れたスンドゥブチゲ
  • プデスンドゥブチゲ(부대순두부찌개)
ソーセージやランチョンミート、チーズなどを入れたプデチゲ(ソーセージ鍋/부대찌개)風のスンドゥブチゲ
  • ソゴギスンドゥブチゲ(소고기순두부찌개)
牛肉を入れたスンドゥブチゲ
  • テジゴギスンドゥブチゲ(돼지고기순두부찌개)
豚肉を入れたスンドゥブチゲ
  • ポソッスンドゥブチゲ(버섯순두부찌개)
キノコを入れたスンドゥブチゲ
  • マンドゥスンドゥブチゲ(만두순두부찌개)
餃子を入れたスンドゥブチゲ
  • トゥルケスンドゥブチゲ(들께순두부찌개)
エゴマを入れたスンドゥブチゲ
  • カレースンドゥブチゲ(카레순두부찌개)
カレー味のスンドゥブチゲ

日本における定着

日本では2000年代前半からスンドゥブチゲの専門店が誕生し始め、2000年代後半にかけて急速に広まっていった。2003~4年頃からの韓流人気とも同調する形であったが、当初は韓国よりもアメリカでのブームを輸入するという例が目立った。むしろ両者の相乗効果によって大きな知名度を獲得できたとも言える。

2003年

「まん馬」の開店

2003年8月に大阪、堂島で「まん馬」がオープン。日本で店を開いたことについて、岡田正比古社長は「アメリカ旅行をした際、ロサンゼルスのコリアンタウンでスンドゥブチゲと出合ったのがそもそものきっかけだった。初めて食べる味だったが、辛さのなかにもまろやかさとコクがあって美味しい。これを日本に持ち帰ったら人気が出るのでは、との思いから大阪に戻って店を開いた」[1]と語っている。

「OKKII」の開店

2003年10月に大阪、豊中で「OKKII」がオープン。以前からスンドゥブチゲの店を日本で出したいと考えていた金友香社長は「アメリカで専門店が展開しているのを知り、すぐさま現地での修行を決意。ロサンゼルスの専門店に飛び込みで承諾をもらい、料理のレシピや、提供のノウハウを一つひとつ習得していった」[2]と語っている。

2005年

「BCD TOFU HOUSE」の日本進出

2005年11月に東京、新大久保でアメリカに拠点を持つ「BCD TOFU HOUSE」の日本進出1号店がオープン。この時点で「BCD TOFU HOUSE」は韓国、中国、タイなどにも進出していた。日本におけるスンドゥブチゲブームの草創期を担った1軒だが、2010年7月に閉店している。

2006年

ドラマ「輪舞曲(ロンド)」の放送

  • 「牛角」グループでの展開
  • 「チャメ」のオープン

「東京純豆腐」のオープン

2007年

丸大食品の参入

エピソード

  • 韓食ペディアの執筆者である八田靖史は留学時代の2000年に延世語学堂の学生食堂で当時1800ウォンのスンドゥブチゲをよく食べていた。また、たまの贅沢として語学堂の近所にある粉食店「タルギコル(달기골)」にて、3300ウォンのキムチスンドゥブを食べることもあった。

地域

  • 江原道江陵市草堂洞
草堂洞は古くから豆腐作りが盛んで、現在も豆腐料理店や豆腐工場が集まっている。この地域の豆腐は、にがりのかわりに東海岸の海水を用いるのが特徴。この地域では薬味醤油をかけて食べる昔ながらのスンドゥブを味わえる。
  • 慶尚北道慶州市北軍洞
普門湖の周辺にスンドゥブチゲの専門店が集まっている。この地域では大豆を石臼でひいて豆腐を作ったメットルスンドゥブ(石臼豆腐、맷돌순두부)を自慢としている。
  • 全羅北道益山市金馬面
弥勒寺址周辺にスンドゥブチゲの専門店が集まっている。
  • 全羅北道完州郡花心里
花心里には古くから豆腐工場があり、1960年代に近くを訪れる登山客のためスンドゥブチゲを提供したところ話題となった。店頭で揚げるおからドーナツ(비지더넛)も有名。

脚注

  1. 八田靖史, 2013, 『韓国料理には、ご用心!』, 三五館, P67
  2. 八田靖史, 2013, 『韓国料理には、ご用心!』, 三五館, P67

外部リンク

関連項目