「ユッケジャン(牛肉の辛いスープ/육개장)」の版間の差分

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20世紀初頭には大邱式のユッケジャンがソウルなどで流行した。これをテグタンバン(大邱湯飯、[[대구탕반]])、またはテグタン(大邱湯、[[대구탕]])と称し、それぞれ大邱式の湯飯(スープごはん)、大邱式のスープを意味する。一般的なユッケジャンとはやや異なり、牛肉を裂くのではなくごろんと大きく切り、具もワラビや大豆モヤシ、溶き卵などは用いず、大量の長ネギと、ごく少量の芋茎だけを用いる。唐辛子油([[고추기름]])を使用することなく、牛肉から出る脂だけで仕上げるのも特徴的である。大邱でユッケジャンが発達した理由としては、大邱が盆地地域で夏場は特に暑く、暑さに打ち克つ料理として頻繁に食べられたからと説明されることが多い。現在の韓国では、大邱も含めてテグタンバン、テグタンという名称はほぼ使われておらず、後述するソウルの「朝鮮屋」に残っているぐらいだが、日本の焼肉店、韓国料理店ではテグタンの名で広く定着している。
 
20世紀初頭には大邱式のユッケジャンがソウルなどで流行した。これをテグタンバン(大邱湯飯、[[대구탕반]])、またはテグタン(大邱湯、[[대구탕]])と称し、それぞれ大邱式の湯飯(スープごはん)、大邱式のスープを意味する。一般的なユッケジャンとはやや異なり、牛肉を裂くのではなくごろんと大きく切り、具もワラビや大豆モヤシ、溶き卵などは用いず、大量の長ネギと、ごく少量の芋茎だけを用いる。唐辛子油([[고추기름]])を使用することなく、牛肉から出る脂だけで仕上げるのも特徴的である。大邱でユッケジャンが発達した理由としては、大邱が盆地地域で夏場は特に暑く、暑さに打ち克つ料理として頻繁に食べられたからと説明されることが多い。現在の韓国では、大邱も含めてテグタンバン、テグタンという名称はほぼ使われておらず、後述するソウルの「朝鮮屋」に残っているぐらいだが、日本の焼肉店、韓国料理店ではテグタンの名で広く定着している。
  
*『東亜日報』(1926年)の記述
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;『東亜日報』(1926年)の記述
 
:1926年5月14日発行の紙面に「大邱湯飯主人 旧罪が発覚し木浦に連れられる」という見出しの記事が掲載されている。テグタンバンの名称が見られる記録としてはこれが最古である。
 
:1926年5月14日発行の紙面に「大邱湯飯主人 旧罪が発覚し木浦に連れられる」という見出しの記事が掲載されている。テグタンバンの名称が見られる記録としてはこれが最古である。
  
*『別乾坤』(1927、29年)の記述
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;『別乾坤』(1927、29年)の記述
 
:1927年7月1日発行の第7号には「雑同散異 臨時大清潔」という飲食店の衛生状況について述べたコラムにテグタンバンの店が出てくるほか<ref>[http://db.history.go.kr/item/level.do?setId=3&itemId=ma&synonym=off&chinessChar=on&position=0&levelId=ma_015_0070_0140 별건곤 제7호 雜同散異 臨時大淸潔] 、韓国史データベース、2017年7月5日閲覧</ref>、1929年9月27日発行の第23号には「2日間ソウルをひとしきり観光する法、田舎の友人を案内する路順……」という記事があり、当時ソウルの鍾路にあった「典洞食堂」を紹介しつつ、テグタンバンが20銭であることも記されている<ref>[http://db.history.go.kr/item/level.do?setId=3&itemId=ma&synonym=off&chinessChar=on&position=1&levelId=ma_015_0210_0210 별건곤 제23호 2일 동안에 서울 구경 골고로 하는 法, 시골親舊 案內할 路順......] 、韓国史データベース、2017年7月5日閲覧</ref>。
 
:1927年7月1日発行の第7号には「雑同散異 臨時大清潔」という飲食店の衛生状況について述べたコラムにテグタンバンの店が出てくるほか<ref>[http://db.history.go.kr/item/level.do?setId=3&itemId=ma&synonym=off&chinessChar=on&position=0&levelId=ma_015_0070_0140 별건곤 제7호 雜同散異 臨時大淸潔] 、韓国史データベース、2017年7月5日閲覧</ref>、1929年9月27日発行の第23号には「2日間ソウルをひとしきり観光する法、田舎の友人を案内する路順……」という記事があり、当時ソウルの鍾路にあった「典洞食堂」を紹介しつつ、テグタンバンが20銭であることも記されている<ref>[http://db.history.go.kr/item/level.do?setId=3&itemId=ma&synonym=off&chinessChar=on&position=1&levelId=ma_015_0210_0210 별건곤 제23호 2일 동안에 서울 구경 골고로 하는 法, 시골親舊 案內할 路順......] 、韓国史データベース、2017年7月5日閲覧</ref>。
 
:1929年12月1日発行の第24号には「珍品・名品・天下名食八道名食礼賛」という企画があり、全国の名物料理から9種類がそれぞれ独自のコラムとして紹介されている。そのひとつが大邱のテグタンバンであり、執筆者の達城人(大邱の地名である達城郡から取ったと推測される)が「大邱の自慢 大邱の大邱湯飯」というタイトルで、約800字に渡ってテグタンバンの魅力を紹介している。このコラムでは「テグタンバンの本名はユッケジャンである」との記述があって、両者が同じ料理であることや、ユッケジャンのルーツが犬肉料理のケジャンにあるということ、その料理が大邱で発達しソウルまで進出してきたことなど、ユッケジャンにまつわる当時の逸話が詳細に記録されている<ref>[http://db.history.go.kr/item/level.do?setId=3&itemId=ma&synonym=off&chinessChar=on&position=2&levelId=ma_015_0220_0360 별건곤 제24호 大邱의 자랑 大邱의 大邱湯飯, 珍品·名品·天下名食 八道名食物禮讚] 、韓国史データベース、2017年7月5日閲覧</ref>。
 
:1929年12月1日発行の第24号には「珍品・名品・天下名食八道名食礼賛」という企画があり、全国の名物料理から9種類がそれぞれ独自のコラムとして紹介されている。そのひとつが大邱のテグタンバンであり、執筆者の達城人(大邱の地名である達城郡から取ったと推測される)が「大邱の自慢 大邱の大邱湯飯」というタイトルで、約800字に渡ってテグタンバンの魅力を紹介している。このコラムでは「テグタンバンの本名はユッケジャンである」との記述があって、両者が同じ料理であることや、ユッケジャンのルーツが犬肉料理のケジャンにあるということ、その料理が大邱で発達しソウルまで進出してきたことなど、ユッケジャンにまつわる当時の逸話が詳細に記録されている<ref>[http://db.history.go.kr/item/level.do?setId=3&itemId=ma&synonym=off&chinessChar=on&position=2&levelId=ma_015_0220_0360 별건곤 제24호 大邱의 자랑 大邱의 大邱湯飯, 珍品·名品·天下名食 八道名食物禮讚] 、韓国史データベース、2017年7月5日閲覧</ref>。
  
*「朝鮮屋」の事例
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;「朝鮮屋」の事例
 
[[ファイル:17071004.JPG|thumb|300px|「朝鮮屋」のテグタン]]
 
[[ファイル:17071004.JPG|thumb|300px|「朝鮮屋」のテグタン]]
 
:ソウル市中区乙支路に位置する「朝鮮屋(조선옥)」は1956年創業の老舗焼肉店であり、現在もテグタンの名称で牛肉を煮込んだスープを提供している。現在の韓国においてテグタンバン、テグタンという料理名はまず見ることがなく、料理名としてメニューに残しているのはほぼ唯一といってよい事例である。
 
:ソウル市中区乙支路に位置する「朝鮮屋(조선옥)」は1956年創業の老舗焼肉店であり、現在もテグタンの名称で牛肉を煮込んだスープを提供している。現在の韓国においてテグタンバン、テグタンという料理名はまず見ることがなく、料理名としてメニューに残しているのはほぼ唯一といってよい事例である。
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