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=== 食文化の背景 === | === 食文化の背景 === | ||
− | : | + | :慶尚北道を構成する23市郡のうち、18市郡は内陸にあって海に面しておらず、農業、畜産業が地域の基幹産業となっている。中でも果物やその加工品を名産とする地域が多く、[[栄州市の料理|栄州市]]や、[[青松郡の料理|青松郡]]のリンゴ([[사과]])、[[永川市の料理|永川市]]のブドウ([[포도]])、[[星州郡の料理|星州郡]]のマクワウリ([[참외]])、[[高霊郡の料理|高霊郡]]のイチゴ、[[清道郡の料理|清道郡]]の熟柿([[홍시]])、[[尚州市の料理|尚州市]]の干し柿([[곳감]])、[[聞慶市の料理|聞慶市]]のチョウセンゴミシ(五味子、[[오미자]])、[[慶山市の料理|慶山市]]のナツメ([[대추]])といった名産品がある。また、果物以外でも[[栄州市の料理|栄州市]]の高麗人参([[인삼]])、[[奉化郡の料理|奉化郡]]のマツタケ([[송이버섯]])、[[義城郡の料理|義城郡]]のニンニク([[마늘]])などは全国的な知名度を誇る。畜産業においては韓牛([[한우]])の飼育頭数が全国1位であり、豚と鶏も全国3位である(2017年1~3月期)<ref>[http://kosis.kr/statHtml/statHtml.do?orgId=101&tblId=DT_1EO099&vw_cd=MT_ZTITLE&list_id=F1A&seqNo=&lang_mode=ko&language=kor&obj_var_id=&itm_id=&conn_path=E1# 축종별 시도별 가구수 및 마리수] 、統計庁「家畜動向調査」、2017年7月18日閲覧</ref>。一方の海岸部は[[蔚珍郡の料理|蔚珍郡]]、[[盈徳郡の料理|盈徳郡]]、[[浦項市の料理|浦項市]]、[[慶州市の料理|慶州市]]、そして島嶼地域である[[鬱陵郡の料理|鬱陵郡]]の計5ヶ所と少ないが、いずれもズワイガニ([[대게]])の名産地であり、シーズンとなる11~5月は各漁港が大勢の観光客で賑わう。そのほか[[浦項市の料理|浦項市]]のクァメギ(サンマの生干し、[[과메기]])や、[[鬱陵郡の料理|鬱陵郡]]のスルメイカ([[오징어]])などが名産として知られる。 |
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+ | *両班家の食文化 | ||
+ | :慶尚北道には朝鮮時代からの伝統的な集落が多く残されているとの特徴がある。ユネスコの世界文化遺産に登録される、[[安東市の料理|安東市]]の河回村(하회마을)や、[[慶州市の料理|慶州市]]の良洞村(양동마을)をはじめ、[[星州郡の料理|星州郡]]のハンゲ村(한개마을)、[[栄州市の料理|栄州市]]のムソム村(무섬마을)の計4ヶ所が国家民俗文化財に指定されている。村全体としての指定は全国で7ヶ所しかなく、これらの地域では朝鮮時代からの家並みとともに、当時の文化や風習が現代まで伝えられてきた。郷土料理の中には両班家の料理に端を発するものが多く、[[安東市の料理|安東市]]の名物であるカンコドゥンオ(塩サバ焼き、[[간고등어]])や、[[栄州市の料理|栄州市]]のムノスッケ(茹でダコの薄切り、[[문어숙회]])、[[永川市の料理|永川市]]のサンオトムベギ(サメの切り身焼き、[[상어돔배기]])、[[奉化郡の料理|奉化郡]]のハングァ(伝統菓子、[[한과]])などはいずれも祭祀料理から郷土料理へと転化した事例である。また、祭祀料理全体を現代風の定食仕立てにした[[安東市の料理|安東市]]のホッチェサバプ(祭祀料理定食、[[헛제사밥]])や、祭祀膳にあがった乾物を醤油煮にして作る[[星州郡の料理|星州郡]]のコノムルチム(乾物の蒸し煮、[[건어물찜]])といった郷土料理も存在する。[[英陽郡の料理|英陽郡]]のトゥドゥル村では両班家に伝わった17世紀の料理書をもとに、当時のレシピを再現して実際に味わえるように体験プログラムを組んでいる。 | ||
=== 詳細ページのある地域 === | === 詳細ページのある地域 === |