「扶安郡の料理」の版間の差分

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'''扶安郡'''(プアングン、부안군)は全羅北道に位置する地域。本ページでは扶安郡の料理、特産品について解説する。
 
'''扶安郡'''(プアングン、부안군)は全羅北道に位置する地域。本ページでは扶安郡の料理、特産品について解説する。
  
[[ファイル:15011801.JPG|thumb|400px|金佐鎮将軍像]]
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[[ファイル:15011901.JPG|thumb|400px|来蘇寺の大雄殿]]
  
 
== 地域概要 ==
 
== 地域概要 ==
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== 食文化の背景 ==
 
== 食文化の背景 ==
[[ファイル:15011802.JPG|thumb|300px|南塘港]]
 
 
半島として西海岸に突き出た扶安郡は三方を海に囲まれ、また広大な干潟を有していることから四季折々の海産物に恵まれた地域である。例えば、格浦港(キョッポハン、격포항)のある刺身店では、春はマダイ([[도미]])、夏はスズキ([[농어]])、秋はコノシロ([[전어]])、冬はボラ([[숭어]])とそれぞれ旬の刺身を主力商品とし、そこに加えて3~4月は卵を持ったイイダコ(주꾸미)、5~6月はコウイカ([[갑오징어]])も提供している(八田靖史の取材記録より、2010年4月4日)。また、扶安の食文化においては干潟からの恵みを欠かすことはできず、アサリ([[바지락]])、バカガイ([[개량조개]])、アカガイ([[피조개]])、タイラガイ([[키조개]])、シオフキ([[동죽]])などがよくとれる。こうした干潟を利用した塩田事業も古くから栄え、天日塩を特産品とするとともに、豊富な海産物を用いた塩辛([[젓갈]])の生産も盛んである。一方で、養蚕事業も盛んであることから郡内には桑畑が多く、桑の葉([[뽕잎]])や、桑の実([[오디]])を利用した郷土料理も多い。食品以外では、高麗時代から青磁の生産地として栄えた歴史を持ち、現在も陶磁器作りが盛んである。
 
半島として西海岸に突き出た扶安郡は三方を海に囲まれ、また広大な干潟を有していることから四季折々の海産物に恵まれた地域である。例えば、格浦港(キョッポハン、격포항)のある刺身店では、春はマダイ([[도미]])、夏はスズキ([[농어]])、秋はコノシロ([[전어]])、冬はボラ([[숭어]])とそれぞれ旬の刺身を主力商品とし、そこに加えて3~4月は卵を持ったイイダコ(주꾸미)、5~6月はコウイカ([[갑오징어]])も提供している(八田靖史の取材記録より、2010年4月4日)。また、扶安の食文化においては干潟からの恵みを欠かすことはできず、アサリ([[바지락]])、バカガイ([[개량조개]])、アカガイ([[피조개]])、タイラガイ([[키조개]])、シオフキ([[동죽]])などがよくとれる。こうした干潟を利用した塩田事業も古くから栄え、天日塩を特産品とするとともに、豊富な海産物を用いた塩辛([[젓갈]])の生産も盛んである。一方で、養蚕事業も盛んであることから郡内には桑畑が多く、桑の葉([[뽕잎]])や、桑の実([[오디]])を利用した郷土料理も多い。食品以外では、高麗時代から青磁の生産地として栄えた歴史を持ち、現在も陶磁器作りが盛んである。
  
 
=== セマングム干拓事業 ===
 
=== セマングム干拓事業 ===
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[[ファイル:15011902.JPG|thumb|300px|セマングム防潮堤]]
 
*事業概要
 
*事業概要
 
セマングムとは扶安郡、金堤市、群山市にまたがる大規模な干拓地である。セマングムのセは「新しい」、マンは万頃平野の「万」、グムは金堤平野の「金」(金堤の金はキムと読むが、別の読み方ではグムとも読める)から取られている。扶安の辺山半島から古群山群島を経て群山市までを全長33.9kmの防潮堤(2010年4月に完成)で結び、その内側を干拓することによって総面積4万100ha(面積でソウルの3分の2に相当)という広大な土地を新たに造成する<ref>[http://www.kasdi.go.kr/sda/sub/why/SMA10001.do 새만금의 위치] 、セマングム開発庁ウェブサイト、2015年1月19日閲覧</ref>。この事業が計画されたのは1970~80年代で、当初は農業用地の確保がいちばんの目的であった。ところが地元や環境団体の反対もあって事業が長期化したことにより、当初の目的はすでに意味を失っており、現在は東北アジア地域における経済の中心地としての開発と変更されている。
 
セマングムとは扶安郡、金堤市、群山市にまたがる大規模な干拓地である。セマングムのセは「新しい」、マンは万頃平野の「万」、グムは金堤平野の「金」(金堤の金はキムと読むが、別の読み方ではグムとも読める)から取られている。扶安の辺山半島から古群山群島を経て群山市までを全長33.9kmの防潮堤(2010年4月に完成)で結び、その内側を干拓することによって総面積4万100ha(面積でソウルの3分の2に相当)という広大な土地を新たに造成する<ref>[http://www.kasdi.go.kr/sda/sub/why/SMA10001.do 새만금의 위치] 、セマングム開発庁ウェブサイト、2015年1月19日閲覧</ref>。この事業が計画されたのは1970~80年代で、当初は農業用地の確保がいちばんの目的であった。ところが地元や環境団体の反対もあって事業が長期化したことにより、当初の目的はすでに意味を失っており、現在は東北アジア地域における経済の中心地としての開発と変更されている。
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== 代表的な料理 ==
 
== 代表的な料理 ==
 
=== パジラッチュク(アサリ粥/바지락죽) ===
 
=== パジラッチュク(アサリ粥/바지락죽) ===
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[[ファイル:15011903.JPG|thumb|300px|パジラッチュク]]
 
パジラッチュクはアサリ粥。地元でとれたアサリをむき身にして、米と一緒にゴマ油で炒め、水を加えてじっくり煮込んで作る。具にはアサリのほか、刻んだ野菜やキノコ、緑豆などを加え、店によっては高麗人参や、桑の葉などを加えて作ることもある。アサリの旬は春だが、専門店ではほぼ通年で味わえる。辺山面大項里に専門店が集まっている。
 
パジラッチュクはアサリ粥。地元でとれたアサリをむき身にして、米と一緒にゴマ油で炒め、水を加えてじっくり煮込んで作る。具にはアサリのほか、刻んだ野菜やキノコ、緑豆などを加え、店によっては高麗人参や、桑の葉などを加えて作ることもある。アサリの旬は春だが、専門店ではほぼ通年で味わえる。辺山面大項里に専門店が集まっている。
  
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=== チョッカルジョンシク(塩辛定食/젓갈정식) ===
 
=== チョッカルジョンシク(塩辛定食/젓갈정식) ===
[[ファイル:15011803.JPG|thumb|300px|テハグイ]]
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[[ファイル:15011904.JPG|thumb|300px|チョッカルジョンシク]]
 
チョッカルジョンシクは塩辛定食。地元で作られた塩辛を小皿にたくさん用意し、ごはん、副菜とともに提供する。塩辛の種類は季節ごとに変わり、例えば右の写真ではスケトウダラの内臓([[창난젓]])、ヌマエビ([[토하젓]])、タチウオ([[갈치젓]])、イシモチ([[황석어젓]])、牡蠣([[굴젓]])、ベイカ([[꼴뚜기젓]])、テナガダコ([[낙지젓]])、アサリ([[바지락젓]])、スルメイカ([[오징어젓]])の各塩辛が並んでいる。
 
チョッカルジョンシクは塩辛定食。地元で作られた塩辛を小皿にたくさん用意し、ごはん、副菜とともに提供する。塩辛の種類は季節ごとに変わり、例えば右の写真ではスケトウダラの内臓([[창난젓]])、ヌマエビ([[토하젓]])、タチウオ([[갈치젓]])、イシモチ([[황석어젓]])、牡蠣([[굴젓]])、ベイカ([[꼴뚜기젓]])、テナガダコ([[낙지젓]])、アサリ([[바지락젓]])、スルメイカ([[오징어젓]])の各塩辛が並んでいる。
  
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=== アサリ ===
 
=== アサリ ===
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[[ファイル:15011905.JPG|thumb|300px|アサリ漁の様子]]
 
:扶安郡の海岸部は広大な干潟が続いており、良質のアサリを多く産する。アサリは代表的な料理であるパジラッチュク(アサリ粥、바지락죽)のほか、パジラッカルグクス(アサリうどん、바지락칼국수)や、ゆがいたむき身を生野菜と和えたパジラクフェムチム(アサリの刺身和え、바지락회무침)、またそれをビビンバに仕立てたパジラクフェピビムパプ(アサリのビビンバ、바지락회비빔밥)といった料理に用いる。
 
:扶安郡の海岸部は広大な干潟が続いており、良質のアサリを多く産する。アサリは代表的な料理であるパジラッチュク(アサリ粥、바지락죽)のほか、パジラッカルグクス(アサリうどん、바지락칼국수)や、ゆがいたむき身を生野菜と和えたパジラクフェムチム(アサリの刺身和え、바지락회무침)、またそれをビビンバに仕立てたパジラクフェピビムパプ(アサリのビビンバ、바지락회비빔밥)といった料理に用いる。
  
 
=== 天日塩 ===
 
=== 天日塩 ===
 
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[[ファイル:15011906.JPG|thumb|300px|コムソ地区の塩田]]
  
 
=== 塩辛 ===
 
=== 塩辛 ===
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