昨日、開催されました「食客トーク」。
参加者募集の告知を出した瞬間から応募が殺到し、
わずか1日でキャンセル待ちの方が出るほどの勢いでした。
連休の最終日という忙しい時期にもかかわらず、
ご参加頂いた皆様には深く感謝したいと思います。
また、ご参加頂けなかった皆様もたくさんいらっしゃいました。
関係者用、取材用に空けておいた枠も利用したのですが、
結局、10数名の方をお断りすることになってしまいました。
心苦しい限りで、本当に申し訳なく思っております。
今後もイベントなど随時開催していくつもりですので、
ご都合よいときに、ご参加頂ければと思います。
さて、記事ではイベントの後記をお伝えする訳ですが、
その前に簡単なあらすじを追っておきたいと思います。
すぐ上の写真が主人公のイ・ソンチャン(キム・レウォン)。
宮中料理店「雲岩亭」で働きつつ、料理の才能を磨くのですが、
その「雲岩亭」の後継者争いに参加することから話が進みます。
ストーリーが進むにつれて、数多くの料理勝負が行われるのですが、
そこに出てくる料理というのがまた美味しそうなんですよね。
ドラマを楽しみつつ、韓国の食文化にも触れることができるという、
一石二鳥、そして韓食好きにはそれ以上の魅力を持った作品です。
イベントではそんな『食客』の中から名場面を抜き出し、
参加者みなさんにご覧頂きつつ、トークを進めていきました。
軸としたのは『食客』のココがスゴイ! という3つの見所。
僕が全体を見ていく中で、おおいに感動した部分でもあります。
その見所を……。
・食材探しがスゴイ!編
・創作料理がスゴイ!編
・ソンチャンの料理がスゴイ!編
と題しまして、さらにそのひとつずつでベスト3を作成。
全部で9つの場面を、それぞれ3~5分ずつ切り取ってまとめました。
その一覧は以下の通り。
<食材探しがスゴイ!編>
第3位:スケトウダラの澄まし汁(第1話)
第2位:三千浦の煮干(第14話)
第1位:ズワイガニ(第6話)
<創作料理がスゴイ!編>
第3位:キムチサラダ(第3話)
第2位:ロブスタートッポッキ(第24話)
第1位:茶キムチ(第15話)
<ソンチャンの料理がスゴイ!編>
第3位:ソンチャンラーメン(第7話)
第2位:醍醐湯(第11話)
第1位:ジンスソンチャン印のチャプタン(第16話)
これらの詳細については別途いくつか語りたいと思います。
イベントのためにあれこれ調べたのですが、
面白い薀蓄がわらわら出てきて勉強になりました。
特に『食客』はブランド食材を丁寧に描いた点が画期的です。
主人公たちが、韓国各地へ出かけて食材探しを敢行。
シンプルに見える食材でも、最高級を求めると奥が深い!
ということが、ドラマを見ていくと本当によくわかります。
60分ほどのトークが終わったら会食タイム。
イベントの中に出てきた料理のうちいくつかを、
会場となった「イーストアジアン新宿」で作ってもらいました。
上の写真はなんとも贅沢なロブスタートッポッキ。
ドラマ最終話の料理対決で出てくる象徴的な料理ですが、
大衆的な料理であるトッポッキを、ゴージャスに仕立てています。
この日作られたものは、ロブスターの味わいを最大限活かすため、
トッポッキのソースにロブスターの煮汁を加えたとのこと。
食べると確かに海鮮の風味が鼻をくすぐるトッポッキでした。
ちなみに劇中では「外国人の舌にも合う料理」として登場。
特に西洋圏の人たちを意識した料理ということだったみたいですが、
見た目の迫力なども含めて、確かに喜ばれるアレンジではと思います。
近年の韓国では「韓国料理の世界化」が叫ばれており、
そんな傾向がドラマの中にも色濃く反映されているんですよね。
そのあたりも、ドラマを見る上での大きなキーワードになります。
「イーストアジアン新宿」を運営する「てじまぅる」グループは、
平田牧場産のブランド豚を提供しているのが自慢のひとつ。
その豚肉を使って、『食客』に関連する料理を作ってもらいました。
残念なことに劇中に豚肉料理はほぼ登場していないので、
この料理に限り、ソンチャンことキム・レウォンさんの料理本から抜粋。
丸ごとの豚バラ肉を用意し、いったん表面を焦がしたあと全体を蒸し、
パイナップルソースをかけて、大根、ニラの和え物を添える料理です。
この日はそれを「てじまぅる」方式で少しアレンジを加え、
ソースには海龍ブランドのチョジャン(唐辛子酢味噌)ソースを使用。
豚肉は骨付きの部分(カルビ)なども贅沢に加えて頂きました。
トークだけでなく、この日は僕も料理に参加。
ドラマの中に登場したソンチャン式のラーメンを実演しました。
・熱湯で韓国ラーメンを煮る、スープ、かやくも入れる
・麺がほぐれてきたら緑茶葉を2つまみ入れる
・続いて豆モヤシ、みじん切りニンニク、エゴマの葉を入れる
・軽くかき混ぜ、フタをして1分待つ
ということで簡単極まりない料理ですけどね。
ただ、これがやってみると意外にさっぱりとしていて美味しい。
主人公のソンチャン曰く
「お茶っぱで後味すっきり、モヤシでさっぱり、エゴマの葉でいい香り」
とのことですが、確かにその通りの味になります。
個人的な印象ですが、緑茶葉とモヤシは少し多めがいい感じ。
興味のある方は、ぜひご自宅で試してみてください。
さらにドラマの中に登場した茶キムチにも挑戦。
河東の名物料理として、劇中では描かれていたのですが、
実はこれ、料理監督の先生が考案した創作料理だったそうです。
いかにも本当っぽいエピソードだったんですけどね。
意外なところに創作料理が隠れていて驚きました。
なお、茶キムチは薬味ダレのかかった赤いキムチでなく、
粉唐辛子を使わず、白い状態で仕上げるペッキムチの一種。
緑茶葉を加えることで、さっぱりとした味に仕上がるそうです。
そして、この茶キムチとともに……。
ハイビスカスティーを加えたキムチまで登場しました。
調理スタッフの粋なアレンジだったようですが、
赤い花を加えるキムチって、ある種、キムチの原型なんですよね。
朝鮮時代の古い文献を紐解くと、唐辛子が導入される以前、
ケイトウ(鶏頭)という赤い花を使ってキムチを染めた記録があります。
キムチに唐辛子を入れた理由は諸説あるのですが、
そのひとつが現実的な問題として腐敗を防ぐためというもの。
その当時、腐敗という現象は悪い鬼神によってもたらされるとされ、
鬼神の嫌がる陽の気を持つものが、キムチや醤に多く加えられました。
陽の気を持つもののひとつが、赤いもの、すなわち赤い花。
ハイビスカスの花を加える、という極めて現代的なアレンジですが、
歴史的に見ると、古くからの伝統技法を持ってきたということにもなります。
そんな意味からごく個人的に「ほほー」と感心しておりました。
メインディッシュはジンスソンチャン印のチャプタン。
ソンチャンたちが、川でとれたシジミ、アユ、川ガニを使って、
適当に作った料理ですが、劇中ではこれが意外な美味だったと。
ならば、どんな味がするのか気になるじゃないですか。
ちょうどアユのシーズンでもあるということで作ってもらいました。
川ガニ(チュウゴクモクズガニ)だけはワタリガニに変更しています。
単体でも活躍できる食材がひとつの鍋で豪華競演。
そのスープの味わいは、美味しくないハズがないですよね。
こういう機会でもなければ絶対食べられない料理です。
なお、これもドラマの中に出てきた作り方を踏襲しましたが、
アユの骨が少し気になった、という意見もありました。
いったんアユを焼いてから入れたらどうだろう、という話も出るなど、
どうやらみなさんの調理欲をも刺激したようです。
創作料理はいろいろアレンジを加える楽しさがありますからね。
そういった部分でも非常に盛り上がった会でした。
食後のデザートとして用意したのは醍醐湯(ジェホタン)。
朝鮮時代の宮中で夏の清涼飲料として飲まれていた伝統茶です。
主材料となるのは梅を燻蒸して作った烏梅という漢方薬。
それを粉にしたものを蜂蜜とあわせて湯せんにかけて液状にし、
冷水と混ぜた飲み物で、好みでさらに蜂蜜と、松の実を加えます。
出来上がりは酸味、渋味の入り混じった独特の飲み物でしたね。
飲むと喉の渇きや、体内の熱を収める効果があるそうです。
なお写真は、スタッフが入手してくれた貴重な烏梅です。
最後になりましたが、僕がお土産として持ってきた伝統酒も賞味。
量が少なく、本当に味見程度となってしまった上に、
飲むことすら出来なかった方もいらしたようで申し訳ありません。
漫画版『食客』第100話(20巻)に登場するマッコリと伝統酒。
1929年創業という歴史ある醸造場(世王酒造)が作ったものです。
このマッコリについては、いずれまた記事にまとめますね。
先日のマッコリ取材で訪れ、たくさんの話を聞かせて頂きました。
といった形で雑駁ですが、一応の食客トーク後記。
これを機に多くの方へ『食客』の魅力が伝われば幸いです。
現在はDVDのレンタルが始まっており、また販売も間近に控えています。
韓国料理に関心のある方には、ぜひ見て頂きたい作品です。
韓国料理の魅力が、またひとつ奥深い形で伝わること間違いなしです。
DVDに関する情報は下記の通り。
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<DVD BOXⅠ>
8月7日(金)発売
品番:AVBF-29261~6
価格:\19,950
本編ディスク6枚 各ディスク2話収録
封入特典:『食客』特製グルメガイド1
<DVD BOXⅡ>
9月4日(金)発売
品番:AVBF-29267~72
価格:\19,950
本編ディスク6枚 各ディスク2話収録
映像特典:メイキング・オブ・『食客』(約60分)
封入特典:『食客』特製グルメガイド2
商品仕様:3方背スリーブ
ピクチャーレーベル
<スペック>
2008年/韓国作品/本編約720分/ MPEG-2/カラー/
16:9 LB/片面2層/DOLBY DIGITAL/
音声:オリジナル韓国語、日本語吹替
字幕:日本語字幕
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より詳しい情報は公式サイトをご確認ください。
食客DVD公式サイト
http://mv.avex.jp/shokkyaku/
10 Responses to 「食客トーク」後記。