昨年から韓国の牛肉事情に着目しています。
きっかけとなったのは米国産牛の輸入問題にかかわるデモ。
もっとも加熱した時期には暴動騒ぎにも発展しており、
連日、新聞紙面を賑やかしておりました。
僕もちょうどその時期、ソウル取材に出かけており、
デモ隊に遭遇して、「キミらは記者か?」などと聞かれたり。
翌日の報道で、韓国人記者がデモ隊に殴られており、
対応を間違えていたら危なかったかも、という体験もしました。
そのへんの話は、メルマガにも書いています。
コリアうめーや!!第179号
http://www.melonpan.net/letter/backnumber_all.php?back_rid=584450
そのメルマガでは、輸入牛への不安から、
国産牛、特に「韓牛」人気が上がっているとも書きました。
日本でいう和牛に相当する、ブランド牛です。
また人気上昇、需要拡大の一方で、価格高騰にも驚きました。
もともと韓国の牛肉って、ずいぶん高いですけどね。
高級店に行けば、日本よりも値段が高かったりします。
また霜降りよりも、赤身のほうが好まれているため、
日本人が、
「本場の焼肉!」
と入れ込んで行ったものの、
さして感動せずに帰ってきた、という話も多く聞きました。
「韓国で焼肉を食べるなら豚!」
というキーワードがリピーターや在住者を中心に、
ほんの数年前まで熱く語られていたのはそんな理由からです。
今では韓国の豚焼肉もずいぶん有名になりましたけどね。
そういった状況を頭に入れつつ、今回も韓国に行ったのですが、
「韓牛」人気の流れは、さらに拡大しているように感じました。
値段が高いので、ブームというほどのインパクトはありませんが、
確かに食文化の一角で、着実に進化を続けている印象です。
理由はいくつかあるのですが、まず情報の細分化。
以前は「韓牛使用」というだけで充分自慢でしたが、
今回の取材では、
・○○産の韓牛を使用
・韓牛の「1++、1+」等級のみを使用
・韓牛を1頭買いして使用
というセリフを何度となく聞かされました。
それも焼肉店だけでなく、牛肉以外の料理がメインの店でも。
日本でも「A5」ランクの牛肉などと表現しますが、
韓国ではそれが「1++」と表現されます。
読み方は1等級の「ツープラス」。
韓国語的に書けば、「トゥ プルロス」。
略されて「トゥプル」ともいうようです。
「1+」の場合は「ワォンプル」ですね。
ただ、これも情報が出てくるとやはり反動があるようで、
「100頭のうち1、2頭しかいない1++の韓牛!」
というのがなぜかゴロゴロ出回っている様子。
取材した店では、こちらが問うまでもなく証明書を出され、
うちのは本物だと、強く力説されました。
また、冒頭の写真もちょっとしたポイントがあり、
ハングルで「1等級韓牛のみ使用」と書かれています。
1等級と聞くと、最高級のように聞こえますが、
実際には上で書いたように「1++」と「1+」があるので、
2等級、3等級との間に挟まる、中間的な品質となります。
このあたりは消費者が賢くならねば、というのもありますね。
日本ではすでに施行されている牛肉の履歴表示制度も、
韓国では段階的に少しずつ、実施しているところだそうです。
今回取材させてもらった店の方からも、
「まだ不十分だが、できるだけ履歴のたどれる韓牛を仕入れている」
との話がありました。
米国産牛肉の輸入問題を機に、安全への取り組みが、
少しずつ進んでいるのはおおいに歓迎すべきことです。
こうした流れは、より牛肉価格の高騰を生みそうですが、
一方で、リーズナブル系牛焼肉店が注目を集めているも面白い点。
高級部位だけでなく、希少部位などで品数を充実させる店や、
精肉店が牛焼肉店を兼ねて人気を集めるケースも増えています。
今回の取材では「霜降り」にこだわる、という店にも出会えましたし、
韓国の牛焼肉事情は、今後だいぶ情報を入れ替える必要がありそうです。
「韓国焼肉における牛肉回帰」
旅行客にとっても面白いキーワードになる予感。
今後も引き続き、注目していきたいところです。
※追記
当初「A++」などと書いてしまいましたが、
「1++」の誤りです。お詫び、訂正させて頂きます。
2 Responses to 2009年は韓国の牛肉事情が面白い。