おでん。
僕は大根とはんぺんが好きです。そんなおでんが韓国へ行くと……。
こんな感じになっています。
練り物中心に串に刺さって屋台で売られているのが主流のスタイル。この写真は日本から近い釜山の富平市場(プピョンシジャン)で撮りましたので、練り物に加えてコンニャクと餅が追加されています。他地域では練り物だけということも多いので、いくらかゴージャスですね。
それを唐辛子の入った薬味醤油につけて食べ、合間に紙コップでオデンのつゆを飲むというのが韓国的な醍醐味。冬場の寒い時期にはこのオデンのつゆを目当てに屋台を訪れる人も少なくありません。
韓国におでんが入ったのは日本統治時代に入った頃か、その直前ぐらいと推測されますが、1920年代にはすでに富平市場で扱いがあったそうです。
日本から近いのもありますが、韓国でオデンというと釜山が本場。
1950年代からの老舗店も多いので、日本とはまた違った独自の進化も遂げています。
上の写真は、1953年創業の「サムジンオムク」が売り出したオムクコロッケ(おでんコロッケ、어묵고로케)。韓国でコロッケというとカレーパン風の揚げパンを指すのが一般的ですが、そのパン生地をオデンの練り物に変えたのがこの商品です。
オデンもコロッケも日本から入った言葉ですが、それが日本とは違った形で浸透し、独自のアレンジで新しい料理に生まれ変わる。そんな姿は韓国をウロウロしていれば別段珍しい話でもありません。
でも、
サムジンオムク……日本の福岡に4月、1号店をオープン(釜山市、韓国語)
というニュースは驚嘆に値すると思います。少なくとも僕はぶったまげました。
以下、主要な部分を訳してみますが……。
サムジンオムクは昨年8月中国の上海に事務所を設置したのに続き、4月には日本の福岡に海外1号店をオープンする予定だ。サムジンオムクは福岡店をはじめとして、日本最大の都市である東京と大阪まで進出する計画だ。オデンの本場で「釜山オデン」として全面勝負を繰り広げるのである。
距離的に近い福岡から始めて、いずれは東京、大阪とやってくるのが楽しみですが、それ以上に韓国のオデンが日本市場でどのように受け止められるのかがまず楽しみです。
この話、もう少し早く知っていれば新刊『食の日韓論 ボクらは同じものを食べている』の中にも盛り込んだんですけどね。こうした食のUターン現象として、新刊の中では盛岡冷麺の韓国進出を取り上げました。釜山オデンの日本進出はまさにそれが逆になった形と言えましょう。
最後にお知らせ。このあたりの最新情報なども盛り込みつつ、新刊発売記念のイベントを神保町の「チェッコリ」で行うことが決まりました。
詳細は以下をご覧ください。
チェッコリ/イベント
2/4(木)19:00~八田靖史の「食する日韓交流 ~美味い!は国境を越えて」
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