先日、Facebook経由で届いたこの画像。
本来は6月11日に直接受け取る予定だったものです。縁あってと言いますか、初めて訪問したのが昨年5月でしたから、急速に関係が深まったと言いますか。ともかくもたいへんに名誉なことですが、慶尚北道栄州市の広報大使を拝命しました。
冒頭の写真は広報大使の委嘱碑。
受け取る予定だったというのは、受け取れなかったということで、要はMERS(中東呼吸器症候群)の影響がここにもちらりと出ている訳ですね。先週に栄州市長をはじめとする議員団の来日が予定されていたのですが、さすがに市のトップが地元を空けることはできなかったのでしょう。後日の報道で見ましたが、友好交流関係都市の静岡県富士宮市を訪問し、首長会談や世界遺産富士山の視察などを行う計画も延期となったそうです。
ということで厳密にはエア拝命なのかもしれませんが、もう公表してもいいですよ、とのことなのでブログに書かせていただくことにしました。委嘱碑はいずれの機会にいただくとして、栄州市のPRはすぐにでも始めていきたいと思います。
拡大してなんとか文字が読めますかね。
委嘱碑
栄州市広報大使 八田靖史
貴殿は栄州市の地域広報や日本と栄州市との交流発展のために貢献されました。よってその功績を称え感謝の意を表し貴殿を栄州市広報大使として委嘱します。今後とも今までと変わらぬ多くの関心を栄州にお寄せいただき地域発展のためにご尽力賜ることを願います。
個人的には韓国語の
「한결같은 마음으로 영주를 사랑하고 지역 발전을 위해 힘써 주시기 바랍니다.」
という一文にグッときました。日本語における最後の一文、「今後とも~願います」までが該当するのですが、直訳すると「変わらぬ気持ちで栄州を愛し、地域発展のためにご尽力願います」といった感じでしょうか。
これを「多くの関心を栄州にお寄せいただき」と訳した技術にも感服しますが、もともとの韓国語では「栄州を愛する」ように願われているんですね。今後、僕は栄州への「地域愛」をもって広報活動をしていこうと肝に命じました。
なお、これを日本語に訳した方、というのが僕を初めて栄州に連れて行ってくれた韓国語の先生。池成林(チ・ソンニム)先生とおっしゃいますが、その方も今回同じく広報大使に任命されたそうです。栄州のご出身でたくさんの御弟子さんと栄州を旅行なさっており、日韓相互で交流を続ける中、ひとりのお弟子さんに誘われて僕が混ざったのがそもそものきっかけでした。
池成林先生とお弟子さん皆様に深く感謝をするとともに、今後も協力しながら日本での栄州広報に邁進できればと思います。
ときに先ほど委嘱碑の韓国語に「한결같은」という表現もありました。
これがまたグッときたフレーズその2。もともとこの表現が好きで、辞書を引くと「한결같이」で、「終始一貫して」とか「一様に」「等しく」なんて訳が出ていますが、なんかこう「目標に向かってまっすぐコツコツと進む誠実さ」といったニュアンスを感じるんですよね。それをもっともよく象徴していると感じるのが……。
こういう店の屋号です。
「한결청국장(ハンギョルチョングッチャン)」
終始一貫して美味しいチョングッチャンを作るために、コツコツ頑張っていますみたいな気持ちがビンビン伝わってきませんか。ちなみにこの店、「八田靖史と韓国全土で味わう 絶品! ぶっちぎり108料理」でも紹介していますので、お手持ちの方はご確認ください。P76-77ページに誠実そうなご夫妻の写真も掲載されています。
店名:ハンギョルチョングッチャン
住所:慶尚北道栄州市豊基邑人参路1-1(西部里138-10)
電話:054-636-3224
1人前W8000のチョングッチャン(納豆汁、청국장)にこれだけの副菜を添えて。
そして何より豆が素晴らしいんですよ。写真だと伝わりにくいのですが、実物を見るとその大粒っぷりに驚くぐらいです。これもまた栄州の特産品なのですが……。
レジカウンターのところにそんな説明もしっかりありました。
浮石太(プソクテ)とは
栄州地域でのみ生産される大豆として、見た目は濃い黄色を帯び、粒が大きく、チョングッチャンとして調理されるときには、香ばしさと柔らかさが他の大豆に比べて素晴らしく、濃厚な風味がどの大豆よりも段違いによい、私たち栄州市の特産品です。
そんな浮石太の由来は、新羅時代の676年に創建された浮石寺(プソクサ)というお寺にちなみます。ひとつのお寺だけで、5つもの国宝を有しているという名刹ですが、その近くで生産されているから浮石太。
浮石寺の参道で販売されているリンゴチップも超おすすめです。
栄州は韓国1位のリンゴ生産地であり、そのほかモモ、ブドウ、スイカなどの果物栽培で有名な地域です。どころか、サツマイモの生産が盛んなことからサツマイモスイーツを作っていたり、ショウガドーナツの店が全国展開していたり、栄州韓牛というブランド牛の生産地でもあるほか、養鶏が盛んで卵の生産では全国2位なんだとか。
そして何よりも豊基(プンギ)地区の高麗人参ですね。
栄州のある小白山一帯は新羅時代から代表的な山参(天然の高麗人参)の産地であり、新羅の王様が唐に献上したとの歴史もあります。
市内には4ヶ所の高麗人参市場があり、そのうちのもっとも代表的なものが豊基駅前に広がる市場。その目の前に、先ほどの「ハンギョルチョングッチャン」があるのですが、その並びにある「梁大監」という店では、高麗人参入りのマンドゥ(餃子、만두)、マンドゥクッ(餃子スープ、만두국)なども開発されています。
店名:梁大監(ヤンデガム)
住所:慶尚北道栄州市豊基邑人参路11-1(西部里141-3)
電話:054-633-6335
なんて書けば書くほどに、ついついあれもこれもとなってしまいますね。
そのぐらい食文化という面では豊かな土地なのですし、それ以外にも見どころが山ほどあるのですが、いかんせん他の観光地に比べるとまだまだ日本での知名度は低いです。栄州と聞いても「どこ?」という人が大半でしょうし、かくいう僕も昨年5月に訪れる前までは「どこ?」状態でした。
「安東(アンドン)のひとつ上」
という言い方がいちばんわかりやすいかもしれませんが、とりあえず慶尚北道のいちばん北。江原道、忠清北道と接する境目の土地、といった表現で韓国の地方に詳しい人ならだいたいのアタリがつくかと思います。
むしろ、そのあたりから伝えて行くのが広報大使の役割かと。
いや、それよりももっと手前からかもしれません。
「栄州と書いてヨンジュと読みます!」
という部分から覚えていただくべきでしょうね。今後、僕の活動には至るところで栄州が登場するはずなので、まずは僕の身の回りの方々から、ぜひ栄州という地域を記憶していただきたいと思います。
機会あれば、ぜひ直接足を運んでください。いいところです。
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One Response to 栄州市の広報大使を拝命しました~まずは名前だけでも覚えて帰ってください。