出張でソウルに来ております。用心のためにマスクをしていますが、街中でのマスク率は20人にひとりぐらいの割合でしょうか。明洞あたりの観光地だとマスク率も高まりますが、その多くが日本や中国からの観光客だったりします。ニュースでも大きく取り上げられていますが、マスク以外はほぼ普段通りのソウルですね。
日本からは心配するメールもいただいていますが、病院など特別に感染を気を付けるべき場所に行かない限りは、大きな心配もいらないようです。
外務省の海外安全ホームページではMERSコロナウイルスの一般的な予防について、十分な休息や、手洗いの励行、マスク着用などをあげています。日本からだと大パニックのようにも見えるかもしれませんが、市民は日常生活を送っていますし、観光客の姿もごく普通に見かけます。
もちろん安全と過信するのも禁物ですが、とりあえず僕のほうは順調に取材を進めております。
という報告を経て、本題は冒頭の写真。
出張前に自宅へと届いたのは大きな発泡スチロールの箱。
なんと大量のアワビを送っていただきました。
活アワビ。韓国の南海岸、莞島(ワンド)というアワビの養殖が盛んな島から、活きたまま直送されたエゾアワビです。みなさんが韓国でアワビ入りのサムゲタン(高麗人参とひな鶏のスープ、삼계탕)などを食べる場合、たいていのものが莞島産です。
莞島はアワビのエサとなるコンブやワカメといった海藻類が豊富なので、それを食べて育つ莞島産アワビは質も高く、日本へもたくさん輸入されています。
2kgで30個ほどはありましたかねぇ。
ウチだけでは食べきれないので自宅から徒歩5分の実家へと運び、妹家族も呼び出してみんなでアワビパーティということにしました。
こんなたくさんの活アワビをどうしようかと思いましたが、<アワビのさばき方>と書かれた紙が同封されており、これを見ながらやってみると意外になんとかなりました。
スプーンやナイフを殻と身の隙間から差し込んで、グイッとひねれば貝柱がはがれます。あとは肝を破らないようにヒモの部分を取り外せばとりあえずの解体完了。
細かく包丁目を入れれば見たような刺身になりました。
ほどよくコリコリとした食感と絶妙なる甘さ。殻から外してすぐの新鮮な状態で、間髪入れず口に運ぶというのはなんとも至福の贅沢です。
刺身を楽しんだら、殻ごと踊り焼きにするのも手軽でよいとのこと。
火が通ればスルッと外れるので、塩でこすって洗ったまま網焼きにしたり、あるいは使い古しのフライパンがあればそこに載せて焼いても大丈夫でした。
ちょっとお酒を振って醤油をかけてガブッといけば磯の香り満開。
最初は刺身でコリコリ感を楽しみたいところですが、やっぱり熱を通したほうが味は格段に膨らみます。踊り焼きめっちゃウマイ。
そのほか炊き込みごはんを作ったり……。
肝だけをさっとゆがいてポン酢で和えたり……。
でも、いちばん好評だったのはバター焼きでしたね。
丸ごとだったり、食べやすく切ったり、肝も投入したり、いろんな形でのバター焼きを作ってみましたが、どれも悶えるほどに美味しかったです。
最初は2kgもどうやって食べるんだという雰囲気でしたが、どんどん手が伸びて、結局ひと晩ですべてを食べ尽くしてしまいました。鮮度のいいうちに食べられて本当によかった。人生でもなかなかないような贅沢を満喫しました。
送ってくださった「True World Japan」の社長さんに大感謝。
築地で水産物の輸入などを手がけている会社で、莞島産のエゾアワビや、済州島産のヒラメなどを多く日本に流通させています。エゾアワビの場合は大手スーパーでもフェアを組んだりしているので、鮮魚コーナーを見てみると活きたものが並んでいるかもしれません。
あるいは寿司店で食べるヒラメが済州島産ということもあるでしょうね。こちらも養殖ですが、済州島では特産品のサボテンエキスをエサに加えることで、肉質のよいヒラメに成長するというのが自慢だそうです。通称サボテンヒラメ。
といった感じで幸せなアワビ尽くしを楽しんだのですが、残念なことに僕はまだ莞島へは足を伸ばしたことがありません。ちょうど今年秋のまんぷくツアーは全羅南道方面を予定していることですし、莞島のアワビを食べに行くというのもいいですねぇ。
実施は例年通りの11月になるとの見込みなので、夏から秋にかけてしっかり下見をして、みなさんにお声かけしたいと思います。
また、それよりも前に……。
旅いさらツアー(洪城&仁川 旬のグルメを食べ尽くす3日間)
というのも発表になりました。
いちばんのウリは9~10月の旬に合わせて、西海岸の洪城(ホンソン)でエビ三昧(焼きエビと、生エビの醤油漬け)の晩餐を楽しもうというもの。そこに唐津(タンジン)名物のカンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け)を加え、エビカニツアーにするのがメインです。
オプションとしてソウルのフリータイムを含めた3泊4日のプランもありますし、東京、名古屋、大阪、福岡の各都市からの出発を用意してあります。
また、このツアーの説明も兼ねたトークイベントも用意しましたので、ツアーに参加するしないはともかくとして(というか参加しなくてもまったく可ですが)、洪城をはじめとした西海岸の魅力に興味のある方は、ぜひお越しいただければと思います。